マンションの光回線工事とは?導入の流れと注意点を解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/20

マンションの光回線導入を検討する理由

マンションへの入居や購入を検討する際、「光回線は導入済みか」「工事が必要か」「速度はどのくらい出るのか」と気になる方は多いでしょう。

この記事では、マンションの光回線導入の確認方法、配線方式の違い、工事の流れ、注意点を、通信事業者の公式情報を元に解説します。

マンションで快適なインターネット環境を整えるための判断材料を正確に把握できるようになります。

この記事のポイント

  • 「インターネット完備」は部屋まで配線済みで工事不要、「インターネット対応」は共用部までで工事が必要
  • 配線方式は光配線(最大1~10Gbps)、VDSL(最大100Mbps)、LAN(最大100Mbps)の3種類
  • 光コンセント既設なら無派遣工事で機器接続のみ、未設置なら派遣工事が必要(2~4週間、15,000~20,000円が目安)
  • 総務省実証データでマンションの実測速度は100~300Mbps(戸建より20~30%遅い)
  • 賃貸マンションでの工事は管理会社の許可が必須、無断工事は損害賠償リスクあり

マンションの光回線とは?基礎知識と導入形態

光回線の仕組みと戸建てとの違い

光回線は、光ファイバーケーブルを使った高速インターネット回線です。マンションと戸建てでは、配線方式が異なります。

項目 戸建て マンション
配線 1世帯専用 1本の回線を複数世帯で共有
速度 安定 混雑時に低下しやすい
工事 外壁から直接配線 共用部から各部屋へ配線

マンションでは、1本の回線を複数世帯で共有するため、夜間帯(20~24時)など利用者が多い時間帯は速度が低下しやすい特徴があります。

「インターネット完備」と「インターネット対応」の違い

マンションのインターネット環境は、以下の3タイプに分類されます。

タイプ 意味 工事の要否
インターネット完備 部屋まで回線が引き込み済み 不要(機器接続のみで即日利用可能)
インターネット対応 共用部まで回線導入済み 必要(各部屋への配線工事が必要)
記載なし 回線未導入 必要(共用部への導入から必要)

「インターネット完備」物件なら、契約のみで即日利用可能です。

マンションタイプと戸建てタイプの速度差

総務省の2022年実証データによると、マンションの実測速度は100~300Mbpsが目安です。戸建てと比べて20~30%遅い傾向があります。

マンションの光回線導入状況の確認方法

物理的確認(光コンセント・LANポート・モジュラージャック)

部屋に以下のいずれかがあるか物理的に確認してください。

  • 光コンセント:光ファイバーケーブルを接続する専用コンセント。既設なら無派遣工事で開通可能
  • LANポート:LANケーブルを挿す差し込み口。LAN配線方式の可能性
  • モジュラージャック:電話線を挿す差し込み口。VDSL方式の可能性

管理会社・大家への問い合わせ

管理会社や大家に以下を確認してください。

  1. 「インターネット対応」か「インターネット完備」か
  2. 配線方式(光配線・VDSL・LAN)
  3. 利用可能な光回線サービス(フレッツ光、NURO光等)

契約書・掲示板の確認

賃貸契約書や共用部の掲示板に、光回線サービスの案内が記載されている場合があります。確認してみましょう。

配線方式の種類と速度への影響

光配線方式(最大1~10Gbps)

マンション共用部から各部屋まで光ファイバーケーブルで配線する方式です。

項目 内容
最大速度 1~10Gbps
速度 最速
配線 光ファイバーケーブル

最も高速で、オンラインゲームや4K動画視聴に適しています。

VDSL方式(最大100Mbps)

マンション共用部から各部屋まで電話回線(メタルケーブル)で配線する方式です。

項目 内容
最大速度 100Mbps程度
速度 遅い
配線 電話回線

古い物件に多く、速度が出にくい点がデメリットです。

LAN配線方式(最大100Mbps)

マンション共用部から各部屋までLANケーブルで配線する方式です。

項目 内容
最大速度 100Mbps程度
速度 遅い
配線 LANケーブル

VDSL方式と同様、速度が出にくい点がデメリットです。

配線方式と実測速度の違い

配線方式により、速度に最大10倍の差があります。

配線方式 最大速度 実測速度目安
光配線方式 1~10Gbps 300~500Mbps
VDSL方式 100Mbps 30~80Mbps
LAN配線方式 100Mbps 30~80Mbps

契約前に配線方式を必ず確認してください。

マンションでの光回線工事の流れと費用

無派遣工事(光コンセント既設時)

光コンセントが既設の場合、作業員が訪問せず、郵送機器を自分で接続する無派遣工事で開通できます。

  • 期間:約1週間
  • 費用:2,000~3,000円程度
  • 手順:郵送機器を光コンセントとパソコンに接続

派遣工事(光コンセント未設置時)

光コンセントが未設置の場合、作業員が訪問して光ファイバーケーブルを配線する派遣工事が必要です。

  • 期間:申し込みから2~4週間
  • 費用:15,000~20,000円が目安
  • 手順:共用部から各部屋まで光ファイバーケーブルを配線

工事期間と費用の目安(2~4週間、15,000~20,000円)

派遣工事が必要な場合、申し込みから開通まで2~4週間かかります。引っ越しシーズン(3~4月)は混雑するため、早めの申し込みを推奨します。

工事の具体的な手順

  1. 申し込み:光回線サービスに申し込み
  2. 工事日調整:業者から工事日の連絡
  3. 派遣工事:作業員が光ファイバーケーブルを配線
  4. 機器設置:ルーターやONU(終端装置)を設置
  5. 開通:インターネット利用開始

賃貸マンションでの光回線導入時の注意点

管理会社の許可取得(壁穴工事のリスク)

賃貸マンションで光回線工事を行う場合、管理会社の許可が必須です。

  • 壁穴工事:光ファイバーケーブルを通すために壁に穴を開ける場合がある
  • 損害賠償リスク:無断工事すると損害賠償請求される可能性
  • 許可取得方法:管理会社に「光回線工事の許可申請書」を提出

事前に必ず管理会社に確認してください。

速度低下の原因と対処法(IPv6対応、混雑時間帯)

マンションの光回線が遅い場合、以下の原因が考えられます。

原因 対処法
回線混雑(夜間帯) IPv6(IPoE)対応ルーターを導入
VDSL・LAN配線方式 光配線方式の物件に引っ越す
ルーター・機器の不調 再起動、最新機器に買い替え

IPv6(IPoE)対応ルーターを導入することで、混雑時間帯の速度低下を軽減できます。

スマホセット割引の活用

スマホとのセット割引が使える光回線を選ぶことで、月額料金を抑えられます。

  • ドコモ光:ドコモスマホとセット割
  • ソフトバンク光:ソフトバンク・ワイモバイルとセット割
  • auひかり:auスマホとセット割

まとめ:マンションで光回線を選ぶ際のチェックポイント

マンションの光回線導入には、「インターネット完備」(工事不要)と「インターネット対応」(工事必要)の2タイプがあります。配線方式は光配線(最大1~10Gbps)、VDSL(最大100Mbps)、LAN(最大100Mbps)の3種類で、速度に最大10倍の差があります。

光コンセント既設なら無派遣工事で機器接続のみ、未設置なら派遣工事(2~4週間、15,000~20,000円が目安)が必要です。賃貸マンションでの工事は管理会社の許可が必須で、無断工事は損害賠償リスクがあります。

契約前に配線方式、工事の要否、速度の実測値を確認し、スマホセット割引やIPv6対応を活用することで、快適で経済的なインターネット環境を整えましょう。

よくある質問

Q1マンションで光回線の工事は必要ですか?

A1光コンセント既設なら無派遣工事で機器接続のみで開通できます(約1週間、2,000~3,000円程度)。未設置なら派遣工事が必要です(2~4週間、15,000~20,000円が目安)。管理会社に「インターネット対応」か「インターネット完備」か確認してください。

Q2マンションの光回線が遅いのはなぜですか?

A21本の回線を複数世帯で共有するため、夜間帯(20~24時)など利用者が多い時間帯は混雑しやすくなります。また、VDSL方式やLAN配線方式は最大100Mbps程度で、光配線方式(最大1~10Gbps)より大幅に遅いです。総務省実証データではマンションの実測速度は100~300Mbps程度です。

Q3賃貸マンションで光回線工事できますか?

A3管理会社の許可が必要です。光ファイバーケーブルを通すために壁に穴を開ける場合があり、無断工事すると損害賠償請求される可能性があります。事前に必ず管理会社に「光回線工事の許可申請書」を提出してください。「インターネット完備」物件なら工事不要で即日利用可能です。

Q4VDSL方式と光配線方式の違いは何ですか?

A4VDSL方式は共用部から各部屋まで電話回線を使い最大100Mbps、光配線方式は光ファイバーケーブルで最大1~10Gbpsです。速度に最大10倍の差があります。古い物件はVDSL方式が多く、新しい物件は光配線方式が主流です。

Q5IPv6対応にするとどうなりますか?

A5混雑時間帯の速度低下を軽減できます。IPv6(IPoE)対応ルーターを導入することで、従来のIPv4(PPPoE)より高速な通信が可能になります。夜間帯に速度が遅い場合は、IPv6対応を検討してください。

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Room Match編集部

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