なぜマンションの光回線工事で失敗する人が多いのか
マンションへの引っ越しや在宅勤務の開始に伴い、「光回線をマンションで引きたいが、工事の流れが分からない」「管理組合への許可は必要なのか」と不安に感じる方は少なくありません。
マンションの光回線工事で失敗する主な原因は、以下の3つです。
- 管理会社や大家への事前確認を怠り、無許可で工事して退去時にトラブルになる
- 光コンセントの有無を確認せず、工事費用が想定より高くなる
- 繁忙期(3月・4月)に申し込み、開通まで1ヶ月以上かかってインターネットが使えない
この記事では、マンションでの光回線導入方式の種類、工事の流れ、管理組合への手続き、費用の目安を、NTT西日本・NURO光などの公式情報を元に解説します。初めての方でも、光回線工事をスムーズに進められるようになります。
この記事のポイント
- マンションの光回線導入方式は光配線方式・VDSL方式・LAN配線方式の3種類
- 光コンセントが既に設置されている場合は無派遣工事で工事費を削減できる
- 共用部から室内への配線工事が必要な場合は管理会社や大家の許可が必須
- 工事費用は15,000~20,000円が目安だが、キャンペーンで無料になる場合もある
- 申し込みから開通まで最短2週間、繁忙期を避けると期間短縮できる
マンションの光回線導入方式と工事の種類
マンションの光回線導入方式には、以下の3種類があります。導入方式によって通信速度や工事費用が異なります。
(1) 光配線方式(最速・推奨)
光配線方式 は、マンションの共用部から各戸まで 光ファイバーケーブル を直接配線する方式です。
特徴:
- 通信速度: 最大1Gbps(理論値)で、最も高速
- 推奨: 新築マンション・大規模マンションに多い
- 月額料金: 3,000~4,000円程度
光配線方式はVDSL方式・LAN配線方式より高速で、オンライン会議や動画視聴に最適です。
(2) VDSL方式(築古マンションに多い)
VDSL方式 は、共用部までは光ファイバーケーブルを引き込み、共用部から各戸までは 既存の電話回線 を利用する方式です。
特徴:
- 通信速度: 最大100Mbps(理論値)で、光配線方式より遅い
- 築古マンションに多い: 配管の制約で光ファイバーを各戸まで配線できない物件
- 月額料金: 3,000~4,000円程度
VDSL方式は光配線方式より速度が遅いですが、一般的なWebブラウジングや動画視聴には十分です。
(3) LAN配線方式(比較的新しいマンション)
LAN配線方式 は、共用部までは光ファイバーケーブルを引き込み、共用部から各戸までは LANケーブル を利用する方式です。
特徴:
- 通信速度: 最大1Gbps(理論値)
- 比較的新しいマンション: 2000年代以降の物件に多い
- 月額料金: 3,000~4,000円程度
LAN配線方式は光配線方式に近い速度が期待できます。
(4) 無派遣工事と派遣工事の違い
マンションの光回線工事には、無派遣工事 と 派遣工事 の2種類があります。
| 項目 | 無派遣工事 | 派遣工事 |
|---|---|---|
| 工事担当者の訪問 | なし | あり |
| 条件 | 光コンセントが既に設置されている | 光コンセントが未設置 |
| 工事内容 | 機器のみ送付、利用者が自分で設置 | 共用部から室内への配線工事 |
| 工事費用 | 数千円程度 | 15,000~20,000円 |
光コンセント とは、光回線の接続口(光ファイバーケーブルを接続する専用コンセント)です。室内の壁面に「光」と書かれたコンセントがあれば、無派遣工事で済みます。
光回線工事の流れと期間
マンションでの光回線工事の流れは、以下の通りです。
(1) 光コンセントの有無を確認する
工事前に、室内の壁面に 光コンセント があるか確認します。光コンセントがあれば、無派遣工事で済むため工事費を削減できます。
光コンセントの見分け方:
- 壁面に「光」「光コンセント」と書かれたコンセントがある
- 一体型(電源コンセントと一体)または分離型(単独)
光コンセントがない場合は、派遣工事(工事担当者の訪問)が必要です。
(2) 申し込みから開通までの期間(最短2週間)
光回線の申し込みから開通までの期間は、以下の通りです。
- 最短: 2週間
- 繁忙期(3月・4月の新生活シーズン): 1ヶ月以上
- 古いマンション(配管の制約あり): さらに時間がかかる場合がある
引っ越しが決まったら、早めに申し込むことが重要です。繁忙期を避けると、工事期間を短縮できます。
(3) 工事の3つの段階(共用部まで→各戸まで→室内設置)
光回線工事は、以下の3つの段階で進みます。
段階1: 建物共用部までの光ファイバー引き込み
- 電柱やマンションの外壁から共用部(MDF室等)まで光ファイバーケーブルを引き込む
段階2: 共用部から各戸までの配線工事
- 共用部から各戸までの光ファイバーケーブル(または電話回線・LANケーブル)を配線する
- この段階で管理会社や大家の許可が必要な場合がある
段階3: 室内への光コンセント設置
- 室内の壁面に光コンセントを設置し、機器(ONU・ルーター)を接続する
段階1・2が既に完了している場合(光コンセントが既設)は、段階3のみで済みます。
(4) 繁忙期(3月・4月)を避けるメリット
3月・4月は新生活シーズンで、引っ越しに伴う光回線の申し込みが集中します。この時期に申し込むと、工事期間が1ヶ月以上かかる場合があります。
繁忙期を避けるメリット:
- 工事期間が最短2週間に短縮される
- 希望日時で工事を予約しやすい
- 引っ越し直後からインターネットを利用できる
可能であれば、2月以前または5月以降に申し込むことを推奨します。
管理組合への手続きと許可の取り方
マンションで光回線工事を行う場合、管理組合や大家への事前確認が重要です。
(1) 許可が必要なケースと不要なケース
許可が必要なケース:
- 共用部から室内への配線工事が必要な場合(光コンセントが未設置)
- 壁に穴を開ける可能性がある場合
許可が不要なケース:
- 光コンセントが既に室内に設置されている場合(無派遣工事)
- 機器のみ送付で利用者が自分で設置する場合
ただし、許可が不要なケースでも、念のため管理会社に事前確認することを推奨します。
(2) 管理会社・大家への相談方法
光回線工事の許可を取る際は、以下の手順で進めます。
管理会社または大家に連絡する
- 「光回線を導入したいので、工事の可否を確認させてください」と丁寧に依頼
工事内容を説明する
- 通常は既存の配管やエアコンダクトを利用するため、壁に穴を開けずに工事できることを説明
- やむを得ない場合のみ穴あけの可能性があることを伝える
工事業者の連絡先を伝える
- 管理会社が工事業者に直接確認したい場合があるため、通信事業者の連絡先を伝える
(3) 許可を得るためのコツ(穴あけ不要を説明)
許可を得るためのコツは、以下の通りです。
穴あけの可能性が低いことを強調する
- 「通常は既存の配管やエアコンダクトを利用するため、壁に穴を開けずに工事できます」
退去時の原状回復を約束する
- 「万が一、穴を開ける必要がある場合は、退去時に原状回復します」
工事実績を伝える
- 「同じマンションで既に導入されている住戸もあります」(該当する場合)
(4) 無許可工事のリスク(原状回復費用・契約違反)
無許可で工事を行うと、以下のリスクがあります。
- 退去時に原状回復費用を請求される(数万円~数十万円)
- 契約違反で退去を求められる可能性がある
- 管理組合とのトラブルで他の住民に迷惑がかかる
必ず事前に管理会社や大家に確認してください。
工事費用と月額料金の目安
マンションの光回線工事費用と月額料金の目安は、以下の通りです。
(1) 工事費用の相場(15,000~20,000円)
光回線工事費用の相場は、以下の通りです。
| 工事の種類 | 工事費用 |
|---|---|
| 無派遣工事(光コンセント既設) | 数千円程度 |
| 派遣工事(光コンセント未設置) | 15,000~20,000円 |
工事費用は通信事業者によって異なります。また、キャンペーンで工事費が無料になる場合もあります。
(2) キャンペーンで工事費無料になるケース
多くの通信事業者が、新規契約者向けに工事費無料キャンペーンを実施しています。
主なキャンペーン:
- 新規契約で工事費無料(ドコモ光、auひかり、NURO光など)
- 契約期間の縛りなしで工事費分割払い
- キャッシュバック特典(数万円)
複数の通信事業者のキャンペーンを比較し、自分に最適なプランを選ぶことが重要です。
(3) マンションプランの月額料金相場(3,000~4,000円)
マンションプランの月額料金相場は、3,000~4,000円程度 です。戸建てプランより約1,000円安く設定されています。
2025年11月時点の参考料金:
- enひかり: 月額3,520円(最安値)
- BIGLOBE光: 月額1,390円(2年間の実費、キャンペーン適用時)
- ドコモ光: 月額4,400円(スマホセット割引で実質割引あり)
料金は契約内容やキャンペーンにより異なるため、複数社を比較検討してください。
(4) スマホセット割引の活用
スマホセット割引 とは、光回線とスマホを同じキャリアで契約することで受けられる割引です。
主なスマホセット割引:
- ドコモ光 × ドコモ: 月額最大1,100円割引
- auひかり × au: 月額最大1,100円割引
- ソフトバンク光 × ソフトバンク: 月額最大1,100円割引
- 楽天ひかり × 楽天モバイル: 月額割引(キャンペーン次第)
スマホのキャリアに合わせて光回線を選ぶことで、トータルの通信費を削減できます。
(5) 複数社の比較検討が重要
光回線を選ぶ際は、以下のポイントで複数社を比較検討することが重要です。
- 月額料金(3,000~4,000円が相場)
- 工事費(キャンペーンで無料になるか)
- 通信速度(光配線方式なら最大1Gbps)
- スマホセット割引(利用中のキャリアと対応しているか)
- 契約期間の縛り(縛りなしプランがあるか)
- キャッシュバック特典(数万円)
価格.comやグローバルキャストなどの比較サイトを活用すると、自分に最適なプランを見つけやすくなります。
まとめ:事前確認で工事をスムーズに
マンションの光回線工事は、導入方式の確認・管理組合への手続き・費用の比較を事前に行うことで、スムーズに進められます。
重要なポイント:
- 光コンセントが既に設置されている場合は無派遣工事で工事費を削減できる
- 共用部から室内への配線工事が必要な場合は、必ず管理会社や大家に事前確認する
- 無許可で工事すると退去時にトラブルになるリスクがある
- 繁忙期(3月・4月)を避けると、工事期間を最短2週間に短縮できる
- 複数の通信事業者を料金・速度・キャンペーン・スマホセット割引で比較する
引っ越しが決まったら早めに申し込み、管理会社への事前確認を忘れずに行ってください。信頼できる通信事業者に相談しながら、自分に最適なプランを選びましょう。
