マンションの耐震基準とは|新耐震・旧耐震の違いと確認方法

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/22

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なぜマンションの耐震基準が重要なのか

中古マンション購入を検討する際、「耐震基準は新耐震か旧耐震か」「築年数で判定できるのか」と気になる方は多いのではないでしょうか。

この記事では、マンションの耐震基準の種類、新耐震と旧耐震の違い、確認方法、耐震診断の費用と流れ、耐震基準適合証明書の取得方法を、国土交通省や日本耐震診断協会の公式情報を元に解説します。

地震大国日本で安心して暮らすために、マンションの耐震性を正確に判断する基準を把握できます。

この記事のポイント

  • 新耐震基準は1981年6月1日以降の建築確認に適用され、震度6強〜7で倒壊しない強度が必要
  • 旧耐震基準は1981年5月31日以前の建築確認に適用され、震度5程度で倒壊しない強度
  • 築年数で判定する場合、1983年以降に完成した物件であれば新耐震基準の可能性が高い
  • 耐震診断の費用はRC造マンションで500〜2,000円/㎡が相場
  • 耐震基準適合証明書は引渡し前に取得が必須、引渡し後では住宅ローン控除等の税制優遇を受けられない

なぜマンションの耐震基準が重要なのか

(1) 地震大国日本における耐震性の重要性

日本は地震大国であり、過去の大地震(阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震等)で建物の倒壊被害が発生しています。

マンションの耐震性は、居住者の生命・財産を守るために最も重要な要素の一つです。

(2) 中古マンション購入時の判断材料

中古マンション購入時には、耐震基準が「新耐震」か「旧耐震」かを確認することが重要です。

新耐震基準を満たす物件は、住宅ローン控除等の税制優遇を受けられる場合があります。旧耐震でも、耐震基準適合証明書を取得できれば税制優遇の対象になります。

マンションの耐震基準とは

(1) 建築基準法による耐震基準の定義

耐震基準とは、建築基準法に基づき、地震に対する建物の安全性を確保するための基準です。

国土交通省によると、耐震基準は地震による建物の倒壊を防ぎ、居住者の生命を守ることを目的としています。

(2) 耐震基準の変遷(1981年6月1日を境に)

耐震基準は、過去の大地震の教訓を踏まえて改正されてきました。

区分 適用時期 基準内容
旧耐震基準 1981年5月31日以前の建築確認 震度5程度で倒壊しない強度
新耐震基準 1981年6月1日以降の建築確認 震度6強〜7で倒壊しない強度

1981年の建築基準法改正により、耐震基準が大幅に強化されました。

(3) 2000年基準はマンションに関係あるか

2000年にも建築基準法の改正がありましたが、これは主に木造住宅向けの改正です。

RC造(鉄筋コンクリート造)マンションには、1981年の新耐震基準が適用されます。

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新耐震基準と旧耐震基準の違い

(1) 旧耐震基準(震度5程度で倒壊しない)

旧耐震基準は、震度5程度の地震で建物が倒壊しないことを基準としています。

阪神・淡路大震災(1995年)では、旧耐震基準の建物に倒壊被害が多く発生しました。

(2) 新耐震基準(震度6強〜7で倒壊しない)

長谷工マンションプラスによると、新耐震基準は震度6強〜7の地震で倒壊しないことを基準としています。

東日本大震災(2011年)や熊本地震(2016年)では、新耐震基準のマンションは倒壊がほとんど見られませんでした。

(3) RC造マンションの構造的特徴

SUUMOによると、RC造(鉄筋コンクリート造)マンションは、圧縮力に強いコンクリートと引張力に強い鉄筋の組み合わせで高い耐震性を持ちます。

適切に設計・施工されたRC造マンションは、地震に対して高い耐久性を発揮します。

マンションの耐震基準を確認する方法

(1) 築年数による判定(1983年以降なら新耐震の可能性が高い)

建築確認日と竣工日は異なります。1981年6月以降に建築確認を受けた物件でも、竣工は数ヶ月〜1年程度かかります。

目安:

  • 1983年以降の竣工: 新耐震基準の可能性が高い
  • 1982年以前の竣工: 旧耐震基準の可能性が高い

ただし、正確な判定には建築確認通知書の確認が必要です。

(2) 建築確認通知書(確認済証)の発行日確認

マンションが新耐震基準かどうかを正確に判定するには、**建築確認通知書(確認済証)**の発行日が1981年6月1日以降かをチェックします。

不動産会社や売主に確認してください。

(3) 自治体の耐震マーク・あん震マークの確認

自治体によっては、耐震基準適合の審査済みマンションのエントランスに耐震マークあん震マークが表示されている場合があります。

このマークがあれば、すでに耐震基準適合の審査を受けています。

耐震性の判断基準と対応策

(1) 耐震等級とは(等級1〜3の違い)

耐震等級は、品確法に基づく耐震性能の3段階評価です。

等級 基準
等級1 新耐震基準相当(震度6強〜7で倒壊しない)
等級2 新耐震基準の1.25倍の強度
等級3 新耐震基準の1.5倍の強度

SUUMOによると、コスト・居住空間の制約から、ほとんどのマンションは等級1です。

(2) 耐震診断の費用と流れ

旧耐震マンションを購入する場合、耐震診断を実施することを推奨します。

費用相場日本耐震診断協会):

  • RC造マンション: 500〜2,000円/㎡
  • 設計図書がない場合: 図面復元費用が追加

診断の流れ:

  1. 建築士事務所に所属する建築士に依頼
  2. 設計図書・現地調査による診断
  3. 上部構造評点を算出(1.0以上で基準適合)

(3) 耐震基準適合証明書の取得方法とメリット

耐震基準適合証明書とは、旧耐震建物が新耐震基準相当の耐震性を有することを建築士が証明する書類です。

取得方法アットホーム):

  • 建築士事務所に所属する建築士が発行可能
  • 費用: 5〜8万円程度
  • 引渡し前に取得が必須(引渡し後では住宅ローン控除等の対象外)

メリット:

  • 住宅ローン控除の適用(2025年12月31日入居まで、中古住宅は年間最大14万円×最長10年)
  • 不動産取得税の軽減措置
  • 登録免許税の軽減措置

(4) 旧耐震マンションの対応策(改修・建替え・敷地売却)

旭化成マンション建替え研究所によると、旧耐震マンションの再生選択肢は以下の3つです。

選択肢 内容
改修 耐震補強工事を実施(区分所有者の4分の3以上の賛成が必要)
建替え 建物を建て替え(区分所有者の5分の4以上の賛成が必要)
敷地売却 マンション敷地を売却し、所有者は転居(区分所有者の5分の4以上の賛成が必要)

マンションの耐震改修工事は、区分所有者の合意形成が必要で、総会での承認手続きが必要です。

まとめ:中古マンション購入時のチェックリスト

マンションの耐震基準は、1981年6月1日を境に「旧耐震」「新耐震」と区分されます。新耐震基準は震度6強〜7で倒壊しない強度が必要で、旧耐震基準は震度5程度で倒壊しない強度です。

築年数で判定する場合、1983年以降に完成した物件であれば新耐震基準の可能性が高いですが、正確な判定には建築確認通知書の確認が必要です。

中古マンション購入時のチェックリスト:

  • 竣工年を確認(1983年以降なら新耐震の可能性が高い)
  • 建築確認通知書(確認済証)の発行日を確認(1981年6月1日以降か)
  • 自治体の耐震マーク・あん震マークの有無を確認
  • 旧耐震の場合、耐震診断の実施状況を確認
  • 耐震基準適合証明書の取得可能性を確認(引渡し前に取得が必須
  • 耐震診断・耐震改修の費用を試算
  • 専門家(建築士、構造設計一級建築士等)への相談

信頼できる不動産会社や建築士に相談しながら、耐震性を正確に判断し、安心して暮らせるマンションを選びましょう。

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よくある質問

Q1旧耐震と新耐震の境目はいつですか?

A11981年6月1日以降の建築確認が新耐震基準です。ただし、建築確認日と竣工日は異なるため、1981年5月に確認申請が受理されていれば、竣工が6月以降でも旧耐震基準となります。築年数で判定する場合、1983年以降の竣工であれば新耐震基準の可能性が高いですが、正確には建築確認通知書(確認済証)の発行日を確認してください。

Q2旧耐震マンションは購入しても大丈夫ですか?

A2旧耐震でも、耐震診断で基準適合を確認済み、または耐震補強済みであれば問題ありません。耐震基準適合証明書を取得できれば、住宅ローン控除等の税制優遇を受けられます。ただし、証明書は引渡し前に取得が必須です。耐震診断の実施状況、耐震基準適合証明書の取得可能性を確認し、専門家(建築士)に相談することを推奨します。

Q3耐震診断の費用はいくらですか?

A3RC造マンションで500〜2,000円/㎡が相場です。設計図書がない場合は図面復元費用が追加で発生します。耐震基準適合証明書の発行費用は5〜8万円程度です。日本耐震診断協会によると、診断には設計図書・現地調査が必要で、上部構造評点1.0以上で基準適合と判定されます。詳細は建築士事務所にご相談ください。

Q4耐震基準適合証明書はいつ取得すればいいですか?

A4引渡し前に取得が必須です。引渡し後では住宅ローン控除等の税制優遇を受けられません。売買契約時に、取得スケジュール(誰が費用を負担するか、いつ取得するか)を確認してください。費用は5〜8万円程度で、建築士事務所に所属する建築士が発行します。取得には数週間かかる場合があるため、早めの手続きを推奨します。

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