マンションの地震保険:必要性と補償内容の選び方

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/1

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マンションの地震保険が重要な理由

マンションを購入・所有している方にとって、地震保険の加入は重要な検討事項です。「耐震構造だから大丈夫」と考える方もいますが、過去の震災では多数のマンションが被災しており、地震保険の必要性は高いといえます。

この記事では、マンションにおける地震保険の必要性、補償内容、保険料の決まり方、加入時のポイントを、財務省の公式情報を元に解説します。

初めて地震保険を検討する方でも、補償内容・保険料・加入時の注意点を正確に把握できるようになります。

この記事のポイント

  • 耐震構造のマンションでも、過去の震災で多数の被災例があり、地震保険の必要性は高い
  • 専有部分(各戸内部)と家財は個人で加入、共用部分(外壁、廊下等)は管理組合が加入する形で保険を分ける
  • 保険金額は火災保険の30〜50%の範囲で設定。建物5,000万円・家財1,000万円が上限
  • マンション(イ構造)の保険料は戸建てより安く、長期契約や耐震基準割引で保険料を抑えられる
  • 2024年能登半島地震を受けて、今後保険料が引き上げられる可能性がある

(1) 過去の震災でのマンション被災事例

過去の大規模な震災では、マンションも多数被災しています。

  • 阪神・淡路大震災(1995年):多数のマンションが倒壊・損壊
  • 東日本大震災(2011年):津波被害に加え、液状化や建物損壊が発生
  • 熊本地震(2016年):新耐震基準のマンションも被災
  • 能登半島地震(2024年):耐震構造の建物も被害を受けた

SUUMOによると、これらの震災では耐震構造のマンションも被災しており、地震保険の必要性が再認識されています。

(2) 耐震構造でも地震保険が必要な理由

マンションは鉄骨鉄筋コンクリート造(イ構造)が多く、耐震性が高い建物です。しかし、以下の理由で地震保険の加入が推奨されます。

  • 全損時の再建費用: 保険金額は火災保険の30〜50%が上限のため、全額カバーはできないが、住宅ローン返済や仮住まい費用に充当できる
  • 大規模修繕の負担: 共用部分の損壊があると、修繕費用を管理組合で負担する必要がある
  • 液状化リスク: 地盤の液状化は耐震構造でも被害が発生する

財務省によると、地震保険は地震・噴火・津波による火災・損壊・埋没・流失を補償する制度であり、火災保険だけではカバーできない損害に対応します。

(3) マンション地震保険の加入率

ソニー損保によると、専有部分の地震保険加入率は以下の通りです。

年度 専有部分加入率 共用部分加入率
2021年度 74.9% 約40%

専有部分の加入率は上昇傾向にありますが、共用部分(管理組合加入)の加入率は4割程度と低い水準です。

地震保険の基礎知識

地震保険の制度を理解することで、適切な補償内容を選ぶことができます。

(1) 地震保険とは

財務省によると、地震保険は以下の特徴を持ちます。

  • 対象となる損害: 地震・噴火・津波による火災・損壊・埋没・流失
  • 保険金額の上限: 火災保険の30〜50%の範囲で設定(建物5,000万円・家財1,000万円が上限)
  • 損害区分: 全損100%、大半損60%、小半損30%、一部損5%の4区分で保険金を支払い

(2) 火災保険との関係

地震保険は火災保険に付帯する形でのみ加入できます。火災保険単独では地震による損害は補償されません。

保険の種類 補償対象
火災保険 火災・落雷・風災・水災等
地震保険 地震・噴火・津波による損害

まず火災保険に加入し、その後地震保険を付帯する流れになります。

(3) 専有部分と共用部分の違い

マンションの地震保険は、専有部分と共用部分で加入主体が異なります。

部分 所有者 保険加入者 対象
専有部分 個人 個人 各戸内部(居室、キッチン、浴室等)
共用部分 管理組合 管理組合 外壁、玄関ホール、廊下、エレベーター等
家財 個人 個人 家具、家電、衣類等

ソニー損保によると、専有部分と家財は個人で、共用部分は管理組合が加入する形で保険を分けます。

マンションの地震保険の補償内容

地震保険の補償内容を理解し、適切な保険金額を設定することが重要です。

(1) 補償対象となる損害

地震保険は以下の損害を補償します。

  • 地震による建物の損壊
  • 地震による火災
  • 噴火による損害
  • 津波による流失・埋没

火災保険では、地震が原因の火災は補償されないため、地震保険の加入が必要です。

(2) 保険金額の上限と設定範囲

財務省によると、保険金額は以下のように設定されます。

  • 範囲: 火災保険の30〜50%
  • 上限: 建物5,000万円、家財1,000万円

例えば、火災保険で建物3,000万円・家財500万円に加入している場合、地震保険は建物900〜1,500万円・家財150〜250万円の範囲で設定できます。

(3) 損害区分と保険金の支払割合

地震保険の保険金は、損害の程度に応じて4区分で支払われます。

損害区分 支払割合 判定基準
全損 100% 主要構造部の損害が50%以上、または焼失・流失した床面積が70%以上
大半損 60% 主要構造部の損害が40〜50%未満、または焼失・流失した床面積が50〜70%未満
小半損 30% 主要構造部の損害が20〜40%未満、または焼失・流失した床面積が20〜50%未満
一部損 5% 主要構造部の損害が3〜20%未満、または床面積の一部が損壊

(4) 補償対象外となるもの

ゼロリノベジャーナルによると、以下のものは補償対象外です。

  • 貴金属、有価証券、骨董品
  • 自動車
  • 通貨、預貯金証書(一部例外あり)
  • データ・ソフトウェア

地震保険料の決まり方と相場

マンションの地震保険料は、構造と地域によって決まります。

(1) 保険料を決める要素(構造・地域)

地震保険料は以下の要素で決まります。

  • 建物の構造: イ構造(耐火建築物)とロ構造(非耐火建築物)
  • 所在地: 都道府県別の地震リスク(1〜3等地で区分)
  • 保険金額: 設定した保険金額
  • 契約期間: 1年〜5年の長期契約

(2) イ構造とロ構造の違い

マンションは通常、イ構造(鉄骨鉄筋コンクリート造)に該当します。

構造 建物の種類 保険料
イ構造 耐火建築物・準耐火建築物(鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造等) 安い
ロ構造 非耐火建築物(木造等) 高い

イ構造はロ構造に比べて保険料が安く設定されています。

(3) マンションの地震保険料の相場

ソニー損保によると、都心部のマンション(イ構造)で建物500万円・家財150万円の場合、年間17,880円程度が目安です。

保険料は地域により異なります。

地域 年間保険料(建物500万円・家財150万円の場合)
東京・神奈川・千葉・埼玉 約17,880円
大阪・京都・兵庫 約14,000円
北海道・東北(一部) 約8,000円

(出典: ソニー損保

(4) 2024年以降の保険料改定の見通し

ほけんの窓口によると、2024年1月の能登半島地震を受けて、今後保険料が引き上げられる可能性があります。

過去の保険料改定:

年度 改定内容
2017年 全国平均で値上げ
2019年 全国平均で値上げ
2021年 平均5.1%増
2022年 福島・茨城・埼玉等で29.4〜29.9%増

今後の改定に備えて、早めの加入検討が推奨されます。

地震保険加入時の注意点

地震保険に加入する際は、以下のポイントを確認しましょう。

(1) 共用部分の加入状況の確認

共用部分の地震保険は管理組合が加入します。加入率は4割程度と低いため、管理組合の加入状況を確認することが重要です。

確認方法:

  • 管理組合の総会資料を確認
  • 管理会社に問い合わせ
  • 重要事項説明書で確認(購入時)

共用部分の地震保険に未加入の場合、大規模修繕費用を管理組合で負担する可能性があります。

(2) 保険料を抑える方法(長期契約・耐震基準割引)

保険料を抑えるには、以下の方法があります。

長期契約:

契約期間 割引率
1年 なし
2年 約5%
3年 約10%
5年 約15%

耐震基準割引:

HOME4Uによると、建築基準法の耐震基準を満たす建物は10〜50%の割引が適用されます。

割引の種類 割引率 適用条件
耐震等級割引 10〜50% 耐震等級1〜3を取得
免震建築物割引 50% 免震建築物として認定
耐震診断割引 10% 耐震診断を実施し、基準を満たす

(3) 複数社での見積もり比較

地震保険の保険料率は国が定めているため、保険金額が同じであれば保険料は同じです。ただし、火災保険とセットで加入するため、火災保険の補償内容・保険料を比較することが重要です。

比較すべきポイント:

  • 火災保険の補償内容(水災、風災等)
  • 火災保険の保険料
  • 割引制度(長期契約、耐震基準割引等)
  • 付帯サービス(24時間サポート等)

(4) 保険金の使い道

ゼロリノベジャーナルによると、地震保険の保険金は、修復・購入だけでなく、住宅ローン返済にも充当できます。

保険金の使途:

  • 建物の修復費用
  • 新しい住宅の購入費用
  • 仮住まいの費用
  • 住宅ローンの返済

保険金の使途は限定されていないため、被災後の生活再建に柔軟に活用できます。

まとめ:マンションの地震保険選びのポイント

マンションの地震保険は、耐震構造でも過去の震災で多数の被災例があり、加入の必要性は高いといえます。専有部分(各戸内部)と家財は個人で加入し、共用部分(外壁、廊下等)は管理組合が加入する形で保険を分けます。

保険金額は火災保険の30〜50%の範囲で設定され、建物5,000万円・家財1,000万円が上限です。マンション(イ構造)の保険料は戸建てより安く、長期契約や耐震基準割引を活用することで保険料を抑えられます。

2024年能登半島地震を受けて、今後保険料が引き上げられる可能性があるため、早めの加入検討が推奨されます。共用部分の地震保険加入状況を確認し、複数の保険会社で見積もりを比較しながら、適切な補償内容を選びましょう。

詳細はファイナンシャルプランナーや保険代理店への相談を推奨します。

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よくある質問

Q1マンションに地震保険は必要ですか?

A1耐震構造のマンションでも、過去の震災で多数の被災例があり、地震保険の必要性は高いといえます。阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震、能登半島地震では新耐震基準のマンションも被災しています。専有部分の加入率は74.9%(2021年度)と上昇傾向にあります。地震保険は地震・噴火・津波による損害を補償し、火災保険だけではカバーできない損害に対応します。

Q2専有部分と共用部分の地震保険はどう違いますか?

A2専有部分(各戸内部)と家財は個人で加入し、共用部分(外壁、廊下、エレベーター等)は管理組合が加入する形で保険を分けます。共用部分の地震保険加入率は4割程度と低いため、管理組合の加入状況を確認することが重要です。共用部分が未加入の場合、大規模修繕費用を管理組合で負担する可能性があります。管理組合の総会資料や管理会社への問い合わせで確認できます。

Q3地震保険料の相場はいくらですか?

A3マンション(イ構造)は戸建てより保険料が安く、都心部で建物500万円・家財150万円の場合、年間17,880円程度が目安です。保険料は建物の構造(イ構造・ロ構造)と地域(都道府県別の地震リスク)により異なります。北海道・東北の一部では年間8,000円程度、大阪・京都・兵庫では14,000円程度です。複数の保険会社で見積もりを比較し、補償内容・保険料・割引制度を確認しましょう。

Q4地震保険の保険金はどのように支払われますか?

A4全損100%、大半損60%、小半損30%、一部損5%の4区分で支払われます。保険金額は火災保険の30〜50%が上限(建物5,000万円・家財1,000万円が上限)のため、全損時でも再建費用を全額カバーできない可能性があります。ただし、保険金の使途は限定されておらず、建物の修復費用、新しい住宅の購入費用、仮住まいの費用、住宅ローンの返済にも充当できます。

Q5地震保険料を安くする方法はありますか?

A5長期契約(2〜5年)や耐震基準割引(10〜50%)を活用することで保険料を抑えられます。長期契約は2年で約5%、3年で約10%、5年で約15%の割引が適用されます。耐震等級1〜3を取得した建物は10〜50%の割引、免震建築物は50%の割引が適用されます。建築基準法の耐震基準を満たす建物は耐震診断割引(10%)も利用できます。複数の保険会社で見積もりを比較し、割引制度を確認しましょう。

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Room Match編集部

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