マンション建築費用の内訳と相場|土地活用・投資の収支計画

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/22

広告

マンション建築が注目される理由|土地活用と不動産投資

土地活用または不動産投資としてマンション建築を検討する際、「建築費用はいくらかかるのか」「収支計画はどう立てるべきか」と気になる方は多いでしょう。マンション建築は高額投資のため、費用の内訳とリスクを理解することが重要です。

この記事では、マンション建築費用の内訳、構造別・地域別の坪単価相場、収支計画の立て方、リスクと注意点を国土交通省の建築着工統計調査や不動産情報サイトを元に解説します。

この記事のポイント

  • マンション建築費は本体工事費(約70%)+付帯工事費(15-20%)+諸費用(約10%)で構成
  • 坪単価は鉄骨造103-110万円、RC造110-120万円、SRC造135万円が目安
  • 建築費は2012年から2024年で約2倍に上昇。2024年問題で高止まり傾向
  • 収支計画は家賃収入・運営コスト・ローン返済を総合的に検討
  • 空室・修繕・金利変動のリスクがあり、専門家への相談を推奨

(1) 土地活用の選択肢としてのマンション建築

土地活用の選択肢として、駐車場・戸建て賃貸・アパート・マンション等があります。マンションは初期費用が高額ですが、家賃収入が大きく、長期的な収益が期待できます。

(2) 不動産投資としての収益性とリスク

不動産投資としてのマンション建築は、家賃収入によるインカムゲイン(継続的な収益)が魅力です。一方で、空室リスク・修繕費・金利変動等のリスクもあります。

マンション建築費用の内訳|本体工事費・付帯工事費・諸費用

(1) 本体工事費(建物本体を建てる費用:約70%)

HOME4Uオーナーズによると、本体工事費は建物本体を建てる費用で、建築費全体の約70%を占めます。構造・階数・設備グレードで金額が大きく変わります。

(2) 付帯工事費(給排水・電気・外構等:15-20%)

付帯工事費は、屋外給排水工事・電気工事・ガス工事・外構工事・地盤改良等の費用です。本体工事費の15-20%程度が目安です。

項目 内容
屋外給排水工事 上下水道の引き込み工事
電気工事 電柱からの引き込み工事
外構工事 舗装・フェンス・植栽等
地盤改良 軟弱地盤の補強工事

(3) 諸費用(ローン手数料・登記費用・税金:約10%)

諸費用は、ローン手数料・火災保険料・登記費用・不動産取得税等です。本体工事費の約10%が目安です。

項目 金額(目安)
ローン事務手数料 融資額の1〜3%
火災保険料 数十万円/年
登記費用 数十万円
不動産取得税 固定資産税評価額の3〜4%

(4) 設計料|施工会社1-3%、外部設計事務所5-8%

設計料は、施工会社に依頼する場合は建築費の1-3%、外部設計事務所に依頼する場合は5-8%が相場です。

構造別・地域別の坪単価相場|2024-2025年最新データ

(1) 構造別の坪単価|鉄骨造・RC造・SRC造の違い

アーキブックによると、構造別の坪単価相場は以下の通りです(2025年時点)。

構造 坪単価(目安) 特徴
鉄骨造(S造) 103-110万円 軽量で工期が短い
鉄筋コンクリート造(RC造) 110-120万円 耐震性・遮音性が高い
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) 135万円 最も強度が高い(高層ビル向け)

(2) 地域別の坪単価|東京は全国平均より1〜5割高い

地域によって坪単価が大きく異なります。東京は全国平均より1〜5割高く、北海道は最も低い傾向です。

地域 坪単価(目安)
北海道 63.8万円
全国平均 92.6万円
東京 137.5万円

(3) 建築費の推移|2012年から2024年で約2倍に上昇

HOME4Uオーナーズによると、東京の分譲マンション建築費は2012年から2024年で約101.4%上昇しています(70.1万円→141.2万円/坪)。

材料費高騰(コロナ禍・ウクライナ情勢)と2024年問題(建設業の残業規制による人手不足)の影響が継続中です。

(4) 坪単価から概算を出す計算式

建築費の概算は、以下の計算式で算出できます。

建築費(本体工事費)= 坪単価 × 延床面積(坪)
総建築費 = 本体工事費 ÷ 0.7(本体工事費70%として)

:延床面積240坪(約800㎡)、RC造(坪単価115万円)の場合

  • 本体工事費 = 115万円 × 240坪 = 2億7,600万円
  • 総建築費 = 2億7,600万円 ÷ 0.7 = 約3億9,400万円

広告

収支計画の立て方|家賃収入・運営コスト・ローン返済

(1) 想定家賃収入の設定|賃貸需要の調査方法

想定家賃収入は、周辺の賃貸相場を調査して設定します。不動産情報サイト(SUUMO、ホームズ等)で同じエリア・間取りの物件を確認してください。

賃貸需要の調査は、人口動態・駅からの距離・周辺施設(学校・スーパー等)を考慮します。

(2) 運営コスト|管理費・修繕積立金・固定資産税

運営コストには以下が含まれます。

項目 金額(目安)
管理費 家賃収入の5〜10%
修繕積立金 数十万円〜数百万円/年
固定資産税 固定資産税評価額の1.4%
都市計画税 固定資産税評価額の0.3%

(3) ローン返済シミュレーション|金利・返済期間

ローン返済額は、借入額・金利・返済期間で決まります。変動金利の場合、金利上昇リスクを考慮してシミュレーションしてください。

(4) 収益性の評価|表面利回り・実質利回り

収益性は表面利回り・実質利回りで評価します。

指標 計算式
表面利回り 年間家賃収入 ÷ 総建築費 × 100
実質利回り (年間家賃収入 - 運営コスト) ÷ 総建築費 × 100

実質利回りは運営コストを考慮するため、より現実的な収益性を示します。

リスクと注意点|空室・修繕・金利変動・2024年問題

(1) 空室リスク|賃貸需要の変動と対策

空室リスクは、賃貸需要の変動により家賃収入が減少するリスクです。人口減少エリアでは特に注意が必要です。対策として、立地選定・物件の魅力向上・管理会社の選定が重要です。

(2) 修繕リスク|長期修繕計画と費用の積立

建物の老朽化に伴い、大規模修繕(外壁塗装・屋上防水・設備更新等)が必要になります。長期修繕計画を立て、修繕積立金を計画的に積み立ててください。

(3) 金利変動リスク|変動金利の影響

変動金利でローンを組んだ場合、金利上昇により返済額が増加するリスクがあります。金利上昇を想定したシミュレーションを推奨します。

(4) 2024年問題|建設業の人手不足と建築費高騰

2024年問題(建設業の残業規制による人手不足)により、建築費は高止まり傾向です。建築時期の選定と複数社の相見積もりが重要です。

まとめ:専門家への相談と投資判断のポイント

マンション建築費用は、本体工事費(約70%)+付帯工事費(15-20%)+諸費用(約10%)で構成されます。坪単価は鉄骨造103-110万円、RC造110-120万円が目安です。

建築費は2012年から2024年で約2倍に上昇しており、2024年問題で高止まり傾向です。収支計画は家賃収入・運営コスト・ローン返済を総合的に検討し、実質利回りで評価してください。

空室・修繕・金利変動のリスクがあるため、専門家(ファイナンシャルプランナー、税理士、建築士等)への相談を強く推奨します。複数の建設会社から見積もりを取り、適正価格を把握することも重要です。

広告

よくある質問

Q1マンション建築費の坪単価はいくら?

A1構造によって異なります。鉄骨造(S造)は103-110万円、鉄筋コンクリート造(RC造)は110-120万円、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は135万円程度が目安です(2025年時点)。地域によっても大きく異なり、東京は全国平均より1〜5割高く、北海道は最も低い傾向です。複数の建設会社から見積もりを取り、適正価格を把握してください。

Q2建築費の内訳はどうなっている?

A2マンション建築費は3つで構成されます。本体工事費(建物本体を建てる費用)が約70%、付帯工事費(屋外給排水・電気・外構・地盤改良等)が15-20%、諸費用(ローン手数料・火災保険料・登記費用・不動産取得税等)が約10%です。設計料は施工会社依頼で建築費の1-3%、外部設計事務所で5-8%が相場です。

Q3建築費を抑えるコツは?

A3シンプルな設計(長方形のマンションはデザイナーズより建築費・メンテナンス費用を抑えられる)、複数の建設会社から相見積もりを取る、建材の選定(グレードを見直す)、外部設計事務所の検討などが有効です。ただし、建築費の安さだけでなく、長期的なメンテナンス費用も考慮することが重要です。

Q4マンション経営で注意すべきリスクは?

A4主なリスクは4つです。(1) 空室リスク(賃貸需要の変動により家賃収入が減少)、(2) 修繕リスク(大規模修繕費用の発生)、(3) 金利変動リスク(変動金利の上昇により返済額が増加)、(4) 2024年問題(建設業の人手不足による建築費高騰)。収支計画では実質利回りで評価し、専門家(ファイナンシャルプランナー、税理士等)への相談を強く推奨します。

関連記事