マンションの共用部分とは?専有部分との違いと管理のルール

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/25

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マンションの共用部分を理解する重要性

マンション購入や居住を検討する際、共用部分と専有部分の違いを正しく理解することは、トラブル回避や修繕責任の明確化に不可欠です。

この記事では、区分所有法に基づく共用部分の定義、専有部分との境界線、管理費・修繕積立金の使途、よくあるトラブル事例を詳しく解説します。

この記事のポイント

  • 共用部分は区分所有者全員が共有し、専有部分以外の全ての部分が該当する
  • バルコニー・玄関ドア外側・窓ガラスは一見専有部分のようだが、実際には共用部分(規約共用部分)とされる
  • 共用部分の修繕費用は原則として管理組合が管理費・修繕積立金から負担し、故意の破損は破損者が負担する
  • 廊下に私物を置く行為は消防法違反となり、バルコニーの勝手な改造は管理規約違反となる

(1) 購入・居住時に知っておくべき基礎知識

マンションは「共用部分」と「専有部分」で構成され、それぞれ所有・管理の主体が異なります。

購入時には「どこまでが自分のもので、どこまでが共有のものか」を正しく理解することで、リフォーム制限や修繕責任の所在を把握でき、予期せぬトラブルを防げます。

(2) トラブル回避と修繕責任の明確化

共用部分と専有部分の区別を誤ると、修繕責任の所在が不明確になり、近隣住民とのトラブルや損害賠償請求に発展する可能性があります。

例えば、バルコニーは共用部分ですが専用使用権があるため日常的に専有部分のように使えます。しかし、勝手に改造すると管理規約違反となります。不明点は管理会社・管理組合に確認することを推奨します。

共用部分とは何か

共用部分とは、区分所有者全員が共有する部分を指します。

(1) 区分所有法による定義

区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)では、マンション等の区分所有建物において、専有部分以外の全ての部分が共用部分とされます。

共用部分は住人全員のものとして、管理費・修繕積立金で維持されます。

(2) 法定共用部分と規約共用部分の違い

共用部分には「法定共用部分」と「規約共用部分」の2種類があります。

種類 定義 具体例
法定共用部分 区分所有法で定められる共用部分 エントランス・廊下・階段・エレベーター等
規約共用部分 管理規約により共用部分とされる部分 倉庫・会議室・バルコニー・玄関ドア外側・窓ガラス等

規約共用部分は、管理規約で定めることにより共用部分として扱われます。

(3) 専有部分以外の全てが共用部分

専有部分(各住戸の内部空間)以外の全ての部分が共用部分に該当します。

外壁・屋上・躯体部分、配管・配線の一部など、建物の構造や設備に関わる部分は基本的に共用部分とされます。

専有部分との違いと境界線

共用部分と専有部分の境界線を正しく理解することで、リフォームや修繕時の責任の所在が明確になります。

(1) 専有部分の定義(壁・床・天井で囲まれた内部空間)

専有部分とは、壁・床・天井で囲まれた各住戸の内部空間を指します。

リビング・キッチン・寝室・バスルーム・トイレなど、日常生活を営む空間が該当します。専有部分は各区分所有者が単独で所有し、自由にリフォームや修繕を行えます。

(2) バルコニー・玄関ドア・窓ガラスの扱い

一見専有部分のように見えるバルコニー・玄関ドア・窓ガラスは、実際には共用部分(規約共用部分)とされるのが一般的です。

箇所 共用部分 専有部分
バルコニー 全体(規約共用部分) -
玄関ドア 外側・鍵 内側の塗装
窓ガラス 全体 -

管理規約により異なるため、各マンションの規約を確認することを推奨します。

(3) 専用使用権とは何か

専用使用権とは、共用部分のうち特定の区分所有者が独占的に使用できる権利です。

バルコニー・専用庭・駐車場などに設定され、日常的に専有部分のように使えますが、所有権は管理組合にあるため、勝手に改造・変更することはできません。

共用部分の範囲と具体例

共用部分の具体的な範囲を知ることで、修繕責任や使用制限を正しく把握できます。

(1) エントランス・廊下・階段・エレベーター

エントランス・廊下・階段・エレベーターは、法定共用部分として住人全員が使用します。

これらの維持管理費用は管理費から支払われ、清掃・設備点検・照明交換などが定期的に行われます。

(2) 外壁・屋上・躯体部分

外壁・屋上・躯体部分(柱・梁等)は、建物の構造に関わる部分のため共用部分とされます。

大規模修繕(外壁塗装・屋上防水等)は、修繕積立金を使って管理組合が実施します。

(3) 配管・配線の責任分界点

配管・配線は、専有部分と共用部分の両方にまたがるため、「責任分界点」が設定されます。

一般的には、専有部分内の配管・配線は各区分所有者が、共用部分の配管・配線は管理組合が管理します。具体的な分界点は管理規約により異なるため、不明点は管理会社に確認することを推奨します。

(4) バルコニーが共用部分である理由(緊急避難経路)

バルコニーは、火災時の緊急避難経路として機能するため、共用部分とされます。

隣接住戸との境界にある避難はしごや仕切り板を妨げる物置小屋等の設置は禁止されており、避難経路を確保する必要があります。

管理費・修繕積立金と修繕責任

共用部分の維持管理には、管理費と修繕積立金が使われます。

(1) 共用部分の修繕費用は管理組合が負担

共用部分の修繕費用は、原則として管理組合が負担します。

エントランス・廊下・階段・外壁・屋上などの修繕は、管理費・修繕積立金から支払われるため、区分所有者が個別に負担する必要はありません。

(2) 管理費と修繕積立金の使途

管理費と修繕積立金は、用途が異なります。

費用 使途
管理費 共用部分の清掃・設備点検・管理員人件費・光熱費等の日常的な維持管理
修繕積立金 将来の大規模修繕(外壁塗装・屋上防水・共用部分の設備更新等)に備えて積み立てる費用

毎月徴収される管理費・修繕積立金により、共用部分の維持管理が行われます。

(3) 故意の破損時の費用負担

自然劣化による修繕は管理組合が負担しますが、故意・過失による破損は破損者が費用負担します。

例えば、引っ越し時に廊下の壁を傷つけた場合や、バルコニーから物を落として共用部分を破損させた場合は、破損者が修繕費用を負担します。

(4) 特別決議が必要な変更(2024年改正で要件緩和)

共用部分の変更(エレベーター増設・バリアフリー化等)には、特別決議が必要です。

2024年6月の標準管理規約改正により、特別決議の要件が緩和され、高齢化対策・バリアフリー化が進めやすくなりました。区分所有者の3/4以上の出席と議決権の3/4以上の賛成が必要です。

まとめ:共用部分の理解で避けるべきトラブル

共用部分と専有部分の違いを正しく理解することで、よくあるトラブルを避けられます。

(1) よくあるトラブル事例(廊下の私物・バルコニー改造)

よくあるトラブルとして、以下の事例があります。

  • 廊下に私物を置く: 自転車・傘等を廊下に置くと、消防法「避難を妨げるものを通路においてはならない」に違反し、罰則対象となる可能性がある
  • バルコニーの無断改造: 物置小屋の設置・床のタイル張り等は、緊急避難経路を妨げるため管理規約違反となる
  • ごみ置き場のルール違反: 指定日以外にゴミを出す・分別しない等のルール違反は、近隣トラブルの原因になる

(2) 消防法違反のリスク

廊下に私物を置く行為は、消防法違反となり、火災予防条例の侵害として罰則対象となる可能性があります。

火災時の避難経路を妨げることは、他の住人の生命・財産を危険にさらすため、絶対に避けるべきです。

(3) 管理組合・管理会社への相談を推奨

共用部分と専有部分の区別が不明な場合や、リフォーム・改造を検討する場合は、必ず管理組合・管理会社に相談しましょう。

管理規約はマンションにより異なるため、執筆時点(2025年)の一般的な情報だけでなく、各マンションの規約を確認することが重要です。不明点を放置すると、近隣トラブルや損害賠償請求に発展する可能性があります。

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よくある質問

Q1バルコニーは共用部分か専有部分か?

A1バルコニーは規約共用部分です。専用使用権があるため日常的に専有部分のように使えますが、所有権は管理組合にあります。火災時の緊急避難経路として機能するため、隣接住戸との境界にある避難はしごや仕切り板を妨げる物置小屋等の設置は禁止されています。改造希望時は管理組合に相談することを推奨します。

Q2玄関ドアは共用部分か専有部分か?

A2玄関ドアの外側・鍵は共用部分、内側の塗装は専有部分とされるのが一般的です。外側の塗装や鍵の交換は管理組合の承認が必要ですが、内側の塗装は区分所有者が自由に変更できます。ただし、管理規約により異なるため、各マンションの規約を確認することを推奨します。

Q3共用部分の修繕費用は誰が負担するか?

A3原則として管理組合が管理費・修繕積立金から負担します。エントランス・廊下・階段・外壁・屋上などの自然劣化による修繕は、管理組合が負担するため、区分所有者が個別に負担する必要はありません。ただし、故意・過失による破損(引っ越し時の壁の傷、バルコニーからの落下物による破損等)は、破損者が修繕費用を負担します。

Q4廊下に私物を置いてもいいか?

A4廊下に私物(自転車・傘等)を置く行為は消防法違反となり、罰則対象となる可能性があります。消防法では「避難を妨げるものを通路においてはならない」と定められており、火災予防条例の侵害として大きなトラブルに発展する可能性があります。火災時の避難経路を確保するため、廊下には私物を置かないようにしましょう。

Q5共用部分を変更するには?

A5共用部分の変更(エレベーター増設・バリアフリー化等)には、特別決議が必要です。区分所有者の3/4以上の出席と議決権の3/4以上の賛成が必要です。2024年6月の標準管理規約改正により要件が緩和され、高齢化対策・バリアフリー化が進めやすくなりました。詳細は管理組合・管理会社に相談することを推奨します。

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Room Match編集部

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