アパートとマンションの違いは何?正しい見分け方と選び方のポイント

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/2

広告

無料査定依頼キャンペーン 【ノムコム】

アパートとマンションの違いを知ることが重要な理由

賃貸物件を探す際、「アパート」と「マンション」という言葉をよく目にしますが、その違いを正確に理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。物件名だけでは正確な判断ができず、実際の構造や設備を確認しないと、住んでから「思っていたのと違った」となる可能性があります。

この記事では、アパートとマンションの法律上の定義、構造の違い、家賃・住み心地の違い、そして状況別の選び方を、不動産業界の基準や公的情報を元に解説します。初めて賃貸物件を探す方でも、自分に合った物件を正しく選べるようになります。

この記事のポイント

  • 法律上の明確な定義はなく、不動産会社が独自基準で分類している
  • 構造による区分が一般的:木造・軽量鉄骨造=アパート、RC造・SRC造=マンション
  • 同じ立地・広さでも5千円〜2万円の家賃差がある
  • 予算重視ならアパート、セキュリティ・防音重視ならマンションが向いている
  • 物件名だけでなく、実際の構造・設備を個別に確認することが重要

(1) 物件名だけでは判断できない理由

「○○アパート」「○○マンション」という物件名は、大家や不動産会社が自由につけているため、名前だけでは実際の構造や性能を判断できません。例えば、木造2階建てなのに「○○マンション」と名付けられている物件や、RC造5階建てなのに「○○アパート」と呼ばれている物件も実際に存在します。

法律上、アパートとマンションには明確な定義がなく、建築基準法や宅地建物取引業法では両方とも「共同住宅」として扱われています。このため、物件名に頼らず、実際の構造・階数・設備を確認することが必須です。

(2) 正しい見分け方を知るメリット

正しい見分け方を知ることで、以下のメリットがあります。

  • 家賃の妥当性を判断できる: 構造による家賃相場を理解することで、割高・割安を見極められる
  • 住み心地を予測できる: 防音性・セキュリティ・耐震性の違いを事前に把握できる
  • ライフスタイルに合った選択: 予算・生活スタイル・家族構成に応じて最適な物件タイプを選べる

法律上の定義と業界の分類基準

(1) 建築基準法・宅建業法での扱い

建築基準法や宅地建物取引業法では、アパートとマンションは区別されず、両方とも「共同住宅」という同じカテゴリーで扱われます。共同住宅とは、複数の世帯が独立して居住する建物のことで、法律上はアパートもマンションも同じ扱いです。

つまり、建築確認申請や賃貸借契約の際に、「これはアパートです」「これはマンションです」という区別は法的に意味を持ちません。

(2) 不動産業界の一般的な区分方法

法律上の定義がない中で、不動産業界では以下のような慣習的な区分が一般的に使われています。

項目 アパート マンション
構造 木造、軽量鉄骨造 RC造、SRC造、重量鉄骨造
階数 2〜3階建て 3階以上(高層も可)
建築コスト 低い 高い
家賃 比較的安い 比較的高い
防音性 劣る 優れる

ただし、この区分はあくまで慣習であり、不動産会社によって基準が異なる場合があります。地域や会社ごとに「うちでは鉄骨造もアパートと呼ぶ」「3階建て以上はすべてマンション」といった独自ルールが存在するため、物件情報に記載された構造を必ず確認することが重要です。

(3) マンション建替え円滑化法での定義

唯一、法律上で「マンション」という用語が定義されているのが「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」(マンション建替え円滑化法)です。ただし、この法律で定義される「マンション」は分譲マンションのみを指し、賃貸物件には適用されません。

このため、賃貸物件を探す際には、この法律の定義は参考にならず、やはり構造や設備を個別に確認する必要があります。

構造の違いと特徴

(1) アパートの主な構造(木造・軽量鉄骨造)

アパートは主に以下の構造で建てられます。

木造

  • 特徴: 柱・梁・壁などの主要構造部に木材を使用
  • メリット: 建築コストが安い、通気性が良い、湿気がこもりにくい
  • デメリット: 防音性・耐震性・耐久性がRC造に劣る、火災リスクが高い

軽量鉄骨造

  • 特徴: 厚さ6mm未満の鉄骨を骨組みに使用
  • メリット: 木造より強度がある、建築コストは比較的安い
  • デメリット: RC造に比べると防音性・断熱性が劣る

アパートは一般的に2〜3階建てで、エレベーターがない物件が多く、階段での昇降が基本です。

(2) マンションの主な構造(RC造・SRC造)

マンションは主に以下の構造で建てられます。

RC造(鉄筋コンクリート造)

  • 特徴: 鉄筋とコンクリートを組み合わせた構造
  • メリット: 高い防音性・耐震性・耐火性、遮音等級が高い
  • デメリット: 建築コストが高い、通気性が悪く湿気がこもりやすい

SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)

  • 特徴: 鉄骨と鉄筋コンクリートを組み合わせた構造
  • メリット: RC造よりさらに強度が高い、高層建築に適している
  • デメリット: 最も建築コストが高い、家賃も高額になりやすい

マンションは3階以上の中高層建築が多く、エレベーター、オートロック、防犯カメラなどの設備が充実している傾向があります。

(3) 構造による性能の違い

構造の違いは、以下のような性能差を生みます。

性能 アパート(木造・軽量鉄骨) マンション(RC造・SRC造)
防音性 低い(隣室・上下階の音が聞こえやすい) 高い(コンクリートが音を遮断)
耐震性 中程度(新耐震基準は満たす) 高い(高層建築にも対応)
耐火性 低い(木材は燃えやすい) 高い(コンクリートは不燃材)
断熱性 中程度(断熱材の性能に依存) 高い(コンクリートの蓄熱性)
耐用年数 22年(木造)、27年(軽量鉄骨) 47年(RC造)※税法上の耐用年数

ただし、防音性や耐震性は構造だけでなく、施工品質や建築年次によっても大きく異なるため、個別物件ごとの確認が必要です。

家賃・諸費用・ランニングコストの違い

(1) 家賃相場の違い(5千円〜2万円の差)

同じ立地・広さ・築年数の条件で比較すると、アパートとマンションでは月額5千円〜2万円程度の家賃差が生じることが一般的です。

家賃差が生じる理由

  • 建築コスト: RC造はコンクリート・鉄筋の材料費と工期が長く、建築コストが高い
  • 設備充実度: マンションはエレベーター・オートロック・防犯カメラなどの設備投資が必要
  • 管理体制: マンションは管理会社による常駐管理やメンテナンスが手厚い

アパートは建築コストが低いため、大家は家賃を抑えても収益を確保できる仕組みになっています。

(2) 初期費用の違い

賃貸契約時の初期費用は、家賃を基準に計算されるため、マンションの方が高額になる傾向があります。

項目 計算式 アパート(家賃6万円) マンション(家賃8万円)
敷金 家賃1〜2ヶ月分 6〜12万円 8〜16万円
礼金 家賃1〜2ヶ月分 6〜12万円 8〜16万円
仲介手数料 家賃1ヶ月分+消費税 約6.6万円 約8.8万円
前家賃 家賃1ヶ月分 6万円 8万円
合計 - 約24.6〜36.6万円 約32.8〜48.8万円

家賃差が2万円の場合、初期費用でも8〜12万円程度の差が生じることがあります。

(3) 管理費・修繕積立金の違い

マンションは共用部分(エントランス、廊下、エレベーター等)の維持管理費用が高額になるため、管理費・修繕積立金が設定されていることが多いです。

  • アパート: 管理費なし、または月額3,000〜5,000円程度
  • マンション: 管理費月額5,000〜15,000円、修繕積立金月額3,000〜10,000円

月々の支払総額は「家賃+管理費+修繕積立金」となるため、物件選びの際は必ず合計額を確認しましょう。

住み心地の違い(防音性・セキュリティ・耐震性)

(1) 防音性の違い

防音性は日常生活の快適さに直結する重要な要素です。

アパート(木造・軽量鉄骨造)の防音性

  • 隣室の話し声・テレビの音が聞こえやすい
  • 上階の足音(特に子どもの走る音)が響きやすい
  • 生活音に敏感な方はストレスを感じる可能性がある

マンション(RC造・SRC造)の防音性

  • コンクリートの壁・床が音を遮断し、隣室・上下階の音がほとんど聞こえない
  • 遮音等級(D値)が高く、生活音によるトラブルが少ない
  • 楽器演奏可能な物件も存在する

ただし、同じRC造でも施工品質や壁の厚さによって防音性は大きく異なるため、内見時に壁を軽く叩いて確認したり、不動産会社に遮音等級を問い合わせたりすることが推奨されます。

(2) セキュリティ設備の違い

セキュリティ面では、マンションの方が充実している傾向があります。

設備 アパート マンション
オートロック ほぼなし 多くの物件で標準装備
防犯カメラ なし〜1台程度 エントランス・駐車場・エレベーター内に複数台
管理人常駐 なし 日中常駐または巡回型
モニター付きインターホン 一部の新築物件のみ 標準装備が多い
宅配ボックス なし 多くの物件で設置

女性の一人暮らしや小さな子どもがいる家庭では、セキュリティの充実度を重視してマンションを選ぶケースが多く見られます。

(3) 耐震性・耐久性の違い

耐震性は、新耐震基準(1981年6月以降の建築確認)を満たしている物件であれば、アパートもマンションも一定の安全性は確保されています。

しかし、構造による違いは以下の通りです。

アパート(木造・軽量鉄骨造)

  • 新耐震基準を満たしていれば震度5〜6程度には耐えられる
  • ただし、築年数が古い物件は劣化が進んでいる可能性がある
  • 税法上の耐用年数は22年(木造)、27年(軽量鉄骨造)

マンション(RC造・SRC造)

  • 高い耐震性・耐久性を持ち、高層建築にも対応
  • 税法上の耐用年数は47年と長い
  • 適切なメンテナンスで50年以上使用可能

築年数の古い物件を選ぶ際は、耐震診断の実施状況や耐震補強工事の有無を確認することが重要です。

まとめ:状況別の選び方ガイド

アパートとマンションは、法律上の明確な定義はなく、構造・設備・家賃に違いがあります。どちらを選ぶべきかは、あなたの予算・ライフスタイル・優先事項によって異なります。

(1) 予算重視で選ぶ場合

アパートが向いている人

  • 初期費用・月々の家賃を抑えたい
  • 短期間(1〜2年)の居住予定
  • 日中は外出していることが多く、防音性はそれほど気にしない
  • 徒歩や自転車での移動が苦にならない(エレベーターなし)

同じ立地・広さでも家賃が5千円〜2万円安いため、年間で6万円〜24万円の節約になります。

(2) セキュリティ・防音重視で選ぶ場合

マンションが向いている人

  • 女性の一人暮らし、小さな子どもがいる家庭
  • 在宅勤務やテレワークで自宅にいる時間が長い
  • 隣室・上下階の生活音を気にせず快適に暮らしたい
  • セキュリティ設備(オートロック・防犯カメラ)を重視する

家賃は高くなりますが、生活の質・安心感を優先したい方にはマンションが適しています。

(3) 物件選びで確認すべきポイント

実際に物件を選ぶ際は、以下の点を必ず確認しましょう。

必須確認事項

  • 構造: 木造・軽量鉄骨造・RC造・SRC造のいずれか(物件情報に記載)
  • 築年数: 新耐震基準(1981年6月以降)を満たしているか
  • 設備: エレベーター、オートロック、防犯カメラ、宅配ボックスの有無
  • 管理費・修繕積立金: 月々の支払総額を確認
  • 遮音等級: 可能であれば不動産会社に問い合わせる

内見時のチェックポイント

  • 壁を軽く叩いて厚さ・防音性を確認
  • 共用部分(エントランス・廊下)の清掃状態
  • 隣室・上下階の住人の生活音(時間帯を変えて訪問)

アパートとマンションの違いを正しく理解し、自分の優先順位に合った物件を選ぶことで、快適な賃貸生活を送ることができます。物件名だけで判断せず、実際の構造・設備を個別に確認し、信頼できる不動産会社に相談しながら、納得のいく物件を見つけましょう。

広告

無料査定依頼キャンペーン 【ノムコム】

広告

よくある質問

Q1アパートとマンションの法律上の定義はありますか?

A1建築基準法や宅地建物取引業法では、アパートとマンションは区別されず、両方とも「共同住宅」として扱われます。明確な法律上の定義はなく、不動産業界の慣習により、木造・軽量鉄骨造をアパート、RC造・SRC造をマンションと呼ぶことが一般的です。分譲マンションのみマンション建替え円滑化法で定義されていますが、賃貸物件には適用されません。

Q2アパートとマンションではどちらが家賃が安いですか?

A2一般的にアパートの方が家賃が安い傾向にあります。同じ立地・広さ・築年数の条件で比較すると、月額5千円〜2万円程度の差が生じることが多いです。これは、アパート(木造・軽量鉄骨造)の方が建築コストが低く、設備も簡素なためです。ただし、築年数や設備の充実度により異なるため、複数物件を比較検討することが重要です。

Q3防音性はどちらが優れていますか?

A3マンション(RC造・SRC造)の方が一般的に防音性が優れています。コンクリートの壁・床が音を遮断するため、隣室や上下階の生活音がほとんど聞こえません。一方、アパート(木造・軽量鉄骨造)は構造上、隣室の話し声や上階の足音が聞こえやすい傾向があります。ただし、同じRC造でも施工品質や壁の厚さによって防音性は異なるため、内見時に壁を叩いて確認することが推奨されます。

Q4どちらを選ぶべきですか?

A4予算を重視するならアパート、セキュリティ・防音性・耐震性を重視するならマンションが向いています。短期間の居住や日中外出が多い方はアパート、在宅勤務や小さな子どもがいる家庭はマンションが適していることが多いです。ただし、物件名(○○アパート、○○マンション)だけでは判断できないため、必ず構造・設備・築年数・管理費を個別に確認し、信頼できる不動産会社に相談することが重要です。

R

Room Match編集部

Room Matchは、不動産の購入・売却・賃貸に関する実践的な情報を提供するメディアです。住宅ローン、物件選び、不動産会社の選び方など、実務担当者に役立つ情報を分かりやすく解説しています。

関連記事