マンションの24時間換気システムとは?設置が義務化された背景
マンションで暮らしていると、「24時間換気」というスイッチや、壁にある給気口が気になる方も多いのではないでしょうか。
24時間換気システムとは、窓を開けなくても常時換気を行い、室内の空気を新鮮に保つ設備です。2003年7月の建築基準法改正により、新築住宅への設置が義務化されました。
この記事では、24時間換気システムの仕組み、止めてはいけない理由、電気代、メンテナンス方法まで、マンションに住む方が知っておきたい情報を解説します。
この記事のポイント
- 24時間換気システムは2003年の建築基準法改正で設置が義務化された
- シックハウス症候群や結露・カビを防ぐため、止めずに稼働させることが基本
- 電気代は月100〜700円程度で、健康リスクを考えると止めるべきではない
- フィルターは2〜3ヶ月に1回清掃、2年に1回交換が目安
24時間換気システムの基礎知識(種類・仕組みの違い)
第1種・第2種・第3種換気方式の違い
24時間換気システムには、給気と排気の方法によって3つの種類があります。
| 換気方式 | 給気方法 | 排気方法 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 第1種換気 | 機械(ファン) | 機械(ファン) | 確実な換気が可能だが、設置・運転コストが高い |
| 第2種換気 | 機械(ファン) | 自然排気 | 室内が正圧になり、クリーンルームなど特殊用途向け |
| 第3種換気 | 自然給気 | 機械(ファン) | コストが低く、マンションで最も多く採用 |
マンションで最も多い第3種換気方式の特徴
マンションで最も多く採用されているのは第3種換気方式です。リビングや寝室の壁に設置された給気口から外気を取り込み、浴室やトイレの換気扇で排気する仕組みです。
設置コストが低く、室内が負圧になるため結露を防ぎやすいというメリットがあります。
給気口・排気口の役割と設置場所
| 設備 | 役割 | 主な設置場所 |
|---|---|---|
| 給気口 | 外気を室内に取り込む | リビング・寝室の壁 |
| 排気口 | 室内の空気を外に排出 | 浴室・トイレ・洗面所 |
給気口にはフィルターが付いており、花粉やホコリを軽減しながら外気を取り込みます。排気口は機械で強制的に排気するため、室内の汚れた空気を効率的に排出できます。
マンションの24時間換気システムを止めてはいけない理由
シックハウス症候群のリスク(化学物質による健康被害)
シックハウス症候群とは、建材や家具から発生するホルムアルデヒドなどの化学物質により、頭痛・めまい・吐き気などの健康被害が出る症状です。
24時間換気システムは、これらの化学物質を外に排出し、室内の空気を新鮮に保つために設置されています。止めると化学物質が室内にこもり、健康被害のリスクが高まります。
結露・カビの発生と建物の耐久性低下
換気を止めると室内の湿気が滞留し、窓や壁に結露が発生しやすくなります。結露を放置するとカビが発生し、建物の耐久性が低下する原因にもなります。
特にマンションは気密性が高いため、換気システムを止めると湿気がこもりやすくなります。
室内の空気質悪化とハウスダストの滞留
換気を止めると、ハウスダストや細菌・ウイルスが室内に滞留します。アレルギー症状の悪化や、感染症のリスクが高まる可能性もあります。
24時間換気システムの電気代と節約のコツ
月額電気代の目安(100〜700円程度)
24時間換気システムの電気代は、月100〜700円程度(年間1,200〜8,400円)が一般的な目安です。最新の省エネ機種では、月18〜1,600円程度まで抑えられるものもあります。
「電気代がもったいない」と止めてしまう方もいますが、健康被害や建物の劣化リスクを考えると、月数百円の電気代は必要なコストといえます。
ON/OFFを繰り返すより常時稼働が省エネ
24時間換気システムは、こまめにON/OFFするよりも常時稼働させた方が省エネです。停止中に室内の空気質が悪化すると、再稼働時により多くの電力を消費します。
寒い時期の対策(給気口の開度調整・エアコン併用)
冬場は給気口から冷たい外気が入り、寒さを感じることがあります。以下の対策が有効です。
- 給気口の開度を調整:多くの給気口は開度を調整できる。全閉にせず、少し絞る程度で
- エアコンと併用:給気口の近くにエアコンを設置すれば、冷気を暖めながら換気できる
- 給気口用フィルターを設置:冷気を和らげるフィルターを追加で設置
24時間換気システムのメンテナンス方法(フィルター清掃・交換)
フィルター清掃の頻度(2〜3ヶ月に1回)
給気口のフィルターは、2〜3ヶ月に1回の清掃が推奨されます。フィルターにホコリや汚れが溜まると、換気効率が低下し、室内に汚れた空気が入りやすくなります。
清掃方法は以下の通りです。
- 給気口のカバーを外す(多くは手で回すか、ネジを外す)
- フィルターを取り出す
- 掃除機でホコリを吸い取るか、水洗いする
- よく乾かしてから元に戻す
フィルター交換の目安(2年に1回)
フィルターは清掃しても劣化するため、2年に1回を目安に交換しましょう。交換用フィルターは、メーカーや管理会社に問い合わせるか、ホームセンターで購入できます。
掃除を怠ると換気効率が半減するリスク
フィルターを1〜2年放置すると、換気効率が半減するといわれています。汚れたフィルターを通して入る空気は、花粉やホコリを十分に除去できず、室内の空気質が悪化します。
定期的なメンテナンスで、24時間換気システムの効果を維持しましょう。
まとめ:24時間換気システムの正しい使い方と注意点
マンションの24時間換気システムは、シックハウス症候群や結露・カビを防ぐために設置が義務化された重要な設備です。電気代は月100〜700円程度と負担が少なく、健康リスクを考えると止めずに常時稼働させることが基本です。
フィルターは2〜3ヶ月に1回の清掃、2年に1回の交換を行い、換気効率を維持しましょう。冬場の寒さが気になる場合は、給気口の開度調整やエアコン併用で対策できます。
24時間換気システムを正しく使い、快適で健康的なマンションライフを送りましょう。
