土地購入を検討する前に知っておくべき基礎知識
土地購入を検討する際、「価格相場はどれくらいなのか」「どのエリアを選べばいいのか」「建築規制は大丈夫なのか」といった疑問を持つ方は少なくありません。
この記事では、古川(宮城県大崎市)と加古川(兵庫県加古川市)の2つのエリアを例に、土地価格の調べ方、土地選びのチェックポイント、購入にかかる費用を解説します。国土交通省の不動産情報ライブラリや全国地価マップ等の公的データを元に、失敗しない土地購入のポイントを提供します。
初めて土地を購入する方でも、用途地域や建ぺい率等の基礎知識を理解し、適正価格で安全な土地を選べるようになります。
この記事のポイント
- 土地価格は公示地価・路線価・実勢価格の3種類があり、全国地価マップで確認できる
- 用途地域・建ぺい率・容積率を確認しないと、希望する建物が建てられないリスクがある
- 地盤の強度や災害リスクはハザードマップで確認し、地盤改良工事が必要な場合は数百万円の追加費用がかかる
- 土地代金のほか、仲介手数料・不動産取得税・登録免許税・測量費等の初期費用が必要
- 2024年の公示地価は全国平均で2.3%上昇し、33年ぶりの高水準を記録
土地価格の調べ方(公示地価・路線価・実勢価格)
(1) 一物四価とは|4つの異なる価格の意味
同じ土地に4つの異なる価格(一物四価)が存在します。
一物四価の内訳
| 価格の種類 | 発表機関 | 用途 | 目安額 |
|---|---|---|---|
| 公示地価 | 国土交通省 | 土地取引の指標 | 時価の約100% |
| 相続税路線価 | 国税庁 | 相続税・贈与税の計算 | 公示地価の約80% |
| 固定資産税評価額 | 市区町村 | 固定資産税の計算 | 公示地価の約70% |
| 実勢価格 | 実際の取引 | 売買価格 | 需要と供給で決まる |
(参考: 全国地価マップ)
公示地価は毎年3月に国土交通省が公表する標準地の価格で、土地取引の指標となります。路線価は相続税や固定資産税の計算に使用されます。実勢価格は実際の取引で成立した価格で、公示地価や路線価とは異なる場合があります。
(2) 全国地価マップと不動産情報ライブラリの使い方
全国地価マップでは、4種類の公的地価情報(固定資産税路線価・相続税路線価・公示地価・都道府県地価調査価格)を地図上で閲覧できます。
全国地価マップの使い方
- サイトにアクセス
- 調べたいエリアを地図上で指定
- 該当地点の路線価・公示地価を確認
- 複数の地価情報を比較し、適正価格を把握
国土交通省の不動産情報ライブラリでは、実際の取引価格データを検索できます。2024年4月にリニューアルされ、取引価格情報の検索が便利になりました。
(3) 2024年の土地価格動向(全国平均2.3%上昇)
三井のリハウスによると、2024年の公示地価は全国平均で2.3%上昇し、33年ぶりの高水準を記録しました。
2024年の土地価格動向
- 三大都市圏: 商業地・住宅地ともに上昇傾向
- 地方中核都市: 駅周辺や再開発エリアで上昇
- 円安の影響: 外国人投資家による不動産投資が増加し、価格を押し上げ
今後の土地購入を検討する際は、このような市場動向を参考にしてください。
古川・加古川エリアの土地市場と価格相場
(1) 古川エリア(宮城県大崎市)の特徴と価格相場
古川エリアは宮城県北部に位置し、豊かな自然環境と利便性を兼ね備えた地方都市です。
古川エリアの特徴
- 交通利便性: JR東北本線・陸羽東線が通り、仙台市へのアクセスが良好
- 住環境: 田園風景が広がり、落ち着いた生活環境
- 価格相場: 地方都市のため、比較的手頃な価格帯(詳細はSUUMO古川駅周辺の土地情報で確認)
古川エリアで土地を購入する際は、全国地価マップで公示地価を確認し、適正価格を把握することを推奨します。
(2) 加古川エリア(兵庫県加古川市)の特徴と価格相場
加古川エリアは兵庫県南部に位置し、関西圏のベッドタウンとして発展しています。
加古川エリアの特徴
- 交通利便性: JR山陽本線・加古川線が通り、大阪・神戸へのアクセスが良好
- 住環境: 商業施設が充実し、生活利便性が高い
- 価格相場: 関西圏のため、古川エリアよりやや高め(詳細はSUUMO加古川市の土地情報で確認)
加古川エリアは都市部に近いため、価格相場が上昇傾向にあります。購入前に複数の物件を比較検討してください。
(3) 交通利便性と住環境の比較
古川エリアと加古川エリアを比較すると、以下の特徴があります。
エリア比較表
| 項目 | 古川エリア | 加古川エリア |
|---|---|---|
| 都市圏 | 地方都市 | 関西圏ベッドタウン |
| 交通 | JR東北本線・陸羽東線 | JR山陽本線・加古川線 |
| 住環境 | 自然豊か、落ち着いた雰囲気 | 商業施設充実、利便性高い |
| 価格相場 | 比較的手頃 | やや高め |
どちらのエリアも、それぞれの魅力があります。自分のライフスタイルや予算に合わせて選択してください。
土地選びの7つのチェックポイント
(1) 用途地域・建ぺい率・容積率の確認
用途地域とは、都市計画法で定められた13種類のエリア区分で、建物の種類・規模が制限されます。
用途地域の主な種類
- 住居系: 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域等
- 商業系: 商業地域、近隣商業地域等
- 工業系: 工業地域、工業専用地域等
建ぺい率は敷地面積に対する建築面積(建物の1階部分の面積)の割合、容積率は敷地面積に対する延床面積(各階の床面積の合計)の割合です。これらの制限により、建物の大きさが決まります。
確認方法
各自治体の都市計画課や公式サイトで用途地域・建ぺい率・容積率を確認できます。購入前に必ず確認し、希望する建物が建てられるか検討してください。
(2) 地盤の強度と災害リスク(ハザードマップ確認)
地盤が弱い土地では、地盤改良工事が必要となり、数百万円の追加費用が発生する可能性があります。
地盤の強度確認方法
- ハザードマップ: 自治体が作成する災害リスク(水害・土砂崩れ・液状化等)を示した地図
- 地盤調査: 専門業者による調査で、地盤の強度を正確に把握
ハザードマップは各自治体の公式サイトで閲覧できます。購入前に必ず確認し、災害リスクを把握してください。
(3) インフラ整備状況(上下水道・ガス)
インフラ(上下水道・ガス)の引き込み工事が必要な場合、距離に応じて費用が高額になります。
インフラ確認のポイント
- 上下水道: 敷地前の道路に埋設されているか確認
- ガス: 都市ガスまたはプロパンガスの選択肢があるか確認
- 引き込み工事費: 距離が長いほど費用が増加(数十万円〜数百万円)
不動産会社や自治体の担当者に確認し、引き込み工事が必要な場合の費用を見積もってください。
(4) 立地・駅距離・周辺環境(学校・スーパー等)
日常生活の利便性を左右する立地条件を確認します。
立地確認のチェックリスト
- 最寄り駅までの距離(徒歩10分以内が理想)
- 小学校・中学校までの距離
- スーパー・コンビニの有無
- 病院・医療施設の近さ
- 公園・緑地の有無
これらの条件を確認し、自分のライフスタイルに合った立地を選択してください。
(5) 日当たり・通風・隣地との境界
現地視察で日当たり・通風・隣地との境界を確認します。
現地視察のポイント
- 日当たり: 南向きが理想だが、周辺建物の影響を確認
- 通風: 風通しが良いか、湿気がこもりやすくないか確認
- 隣地との境界: 境界線が明確か、測量図で確認
現地視察は晴れた日の昼間だけでなく、雨の日や夕方にも訪れることを推奨します。
(6) 接道状況(建築基準法の接道義務)
建築基準法により、敷地は幅4m以上の道路に2m以上接していなければなりません(接道義務)。
接道義務を満たさない場合のリスク
- 建物が建てられない
- 建物の規模が制限される
- 将来的に売却しにくくなる
接道状況は重要事項説明書で確認できます。購入前に必ず確認してください。
(7) 現地視察の重要性
図面や写真だけでは分からない情報を、現地視察で確認します。
現地視察で確認すべき項目
- 実際の地形(傾斜・高低差)
- 周辺の騒音(交通量・工場等)
- 臭い(工場・畜産施設等)
- 近隣住民の雰囲気
複数回訪れ、時間帯を変えて確認することを推奨します。
土地購入にかかる費用と税金
(1) 土地代金以外の初期費用(仲介手数料・測量費等)
土地代金のほか、以下の初期費用が必要です。
初期費用の内訳
| 費用項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 土地価格の3%+6万円+消費税 | 800万円以下の物件は2024年7月改正で上限33万円 |
| 測量費 | 30-100万円 | 境界が不明確な場合に必要 |
| 地盤調査費 | 5-10万円 | 地盤の強度を確認 |
| 登記費用 | 10-30万円 | 司法書士報酬含む |
(参考: HOME4U)
仲介手数料は土地価格に応じて変動します。2024年7月の法改正により、800万円以下の物件の仲介手数料上限が33万円に引き上げられました。
(2) 不動産取得税・登録免許税の計算方法
不動産取得税
不動産を取得した際に課される税金で、土地の場合は固定資産税評価額の3%(軽減措置あり)です。
計算例
固定資産税評価額: 1,000万円の場合
不動産取得税 = 1,000万円 × 3% = 30万円
登録免許税
土地の所有権移転登記時に課される税金で、固定資産税評価額の2%(2025年3月31日までは1.5%に軽減)です。
詳細は税理士等の専門家に相談することを推奨します。
(3) 地盤改良工事・インフラ引き込み工事の費用
地盤改良工事やインフラ引き込み工事が必要な場合、数百万円の追加費用が発生する可能性があります。
追加費用の例
| 工事種類 | 金額の目安 | 条件 |
|---|---|---|
| 地盤改良工事 | 100-300万円 | 地盤が軟弱な場合 |
| 上下水道引き込み工事 | 50-200万円 | 道路からの距離に応じて |
| ガス引き込み工事 | 10-50万円 | 都市ガスの場合 |
購入前に地盤調査やインフラ確認を行い、追加費用を見積もることを推奨します。
まとめ|失敗しない土地購入のための次のアクション
土地価格は公示地価・路線価・実勢価格の3種類があり、全国地価マップや国土交通省の不動産情報ライブラリで確認できます。用途地域・建ぺい率・容積率を確認しないと、希望する建物が建てられないリスクがあるため、購入前に必ず確認してください。
地盤の強度や災害リスクはハザードマップで確認し、地盤改良工事が必要な場合は数百万円の追加費用がかかる可能性があります。土地代金のほか、仲介手数料・不動産取得税・登録免許税・測量費等の初期費用を把握し、資金計画を立てましょう。
現地視察で日当たり・通風・周辺環境を確認し、不動産会社や専門家(宅建士、測量士等)に相談しながら、失敗しない土地購入を進めてください。
