土地の値段相場を調べる方法!公示地価、実勢価格、路線価の違いと活用法を解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/18

土地の値段を調べる必要がある理由と複数の価格指標の存在

土地購入・売却を検討する際、または相続で土地を取得した時、「適正な価格はいくらなのか」「公示地価と実勢価格の違いは何か」「どこで調べればよいのか」と悩む方は少なくありません。

この記事では、土地価格の5つの指標(公示地価、実勢価格、相続税路線価、固定資産税評価額、基準地価)の違い、それぞれの調べ方、実勢価格の算出方法、相場の見極め方を解説します。

土地購入・売却検討者や相続で土地を取得した方にとって、適正価格を理解し、最適な判断ができるようになります。

この記事のポイント

  • 土地の値段は「一物五価」と呼ばれる5つの指標(公示地価、実勢価格、相続税路線価、固定資産税評価額、基準地価)で表される
  • 公示地価は実勢価格の約90%、相続税路線価は約80%、固定資産税評価額は約70%に設定されている
  • 国土交通省「不動産情報ライブラリ」(2024年4月に名称変更)で公示地価・実勢価格を無料で確認可能
  • 路線価から実勢価格を推定する方法:路線価 ÷ 0.8 × 1.1 で概算値を算出
  • 最終的な価格判断は専門家(宅建士、不動産鑑定士等)への相談を推奨

一物五価とは?土地価格の5つの指標の違いと関係性

(1) 公示地価:国土交通省が毎年1月1日時点で調査(実勢価格の約90%)

大和ハウスの解説によると、**公示地価(こうじちか)**は、国土交通省が毎年1月1日時点の標準的な土地について調査し、3月に公表する土地価格の指標です。

公示地価は実勢価格(実際の取引価格)の約**90%**に設定されています。

(2) 基準地価:都道府県が毎年7月1日時点で調査

**基準地価(きじゅんちか)**は、都道府県が毎年7月1日時点で調査し、9月下旬に公表する土地価格の指標です(正式名称は「都道府県基準地標準価格」)。

公示地価と基準地価は調査主体と調査時期が異なりますが、いずれも指標として活用されます。

(3) 実勢価格:実際の取引価格(需要と供給で決定)

**実勢価格(じっせいかかく)**は、実際に土地が売買された際に取引された価格です。

売主と買主の需要と供給で決まるため、公示地価より高い・安い場合があります。

(4) 相続税路線価:相続税・贈与税の計算用(公示地価の約80%)

**相続税路線価(そうぞくぜいろせんか)は、相続税・贈与税の計算に利用される価格で、公示地価の約80%**に設定されています。

(5) 固定資産税評価額:固定資産税算出用(公示地価の約70%)

**固定資産税評価額(こていしさんぜいひょうかがく)は、市区町村が固定資産税を算出するために不動産を評価した価格で、公示地価の約70%**に設定されています。

指標 調査主体 調査時点 公示地価との関係 用途
公示地価 国土交通省 毎年1月1日 100%(基準) 土地取引の指標
基準地価 都道府県 毎年7月1日 ほぼ同等 土地取引の指標
実勢価格 - - 約110%(公示地価より高い) 実際の売買価格
相続税路線価 国税庁 毎年1月1日 約80% 相続税・贈与税計算
固定資産税評価額 市区町村 3年ごと 約70% 固定資産税計算

公示地価・基準地価の調べ方と活用法

(1) 国土交通省「不動産情報ライブラリ」の使い方(2024年4月に名称変更)

トーマ不動産の解説によると、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」(2024年4月に「土地総合情報システム」から名称変更)で、公示地価・基準地価・実勢価格を無料で確認できます。

(2) 全国地価マップで4種類の価格を一括閲覧

全国地価マップでは、固定資産税路線価・相続税路線価・公示地価・基準地価の4種類の公的土地評価情報を一括で閲覧できます。

(3) 公示地価から実勢価格を概算する方法(公示地価 × 1.1)

公示地価は実勢価格の約90%に設定されているため、以下の式で実勢価格の概算値を算出できます。

実勢価格の概算 = 公示地価 × 土地面積 × 1.1

ただし、あくまで目安であり、実際の価格は立地・形状・市場動向等により変動します。

実勢価格(実際の取引価格)の調べ方と相場の見極め方

(1) 不動産情報ライブラリで過去の取引価格を確認

不動産情報ライブラリでは、過去の実際の取引価格(実勢価格)を確認できます。

地域・時期を指定して、近隣の取引事例を参考にしてください。

(2) SUUMO等の不動産ポータルサイトで相場を把握

SUUMO等の不動産ポータルサイトで、都道府県別の土地価格相場と坪単価を確認できます。

(3) 土地価格を決める5つの要因:立地、形状、用途地域、建ぺい率・容積率、市場動向

HOME4Uの解説によると、土地価格を決める主な要因は以下の通りです。

  • 立地:エリア、駅距離、交通利便性
  • 形状:向き、広さ、接道幅
  • 用途地域:住居系・商業系・工業系等の指定
  • 建ぺい率・容積率:建築可能な建物の規模
  • 市場動向:需要と供給のバランス

(4) 2024年の土地価格動向:全国平均・東京23区・多摩地区

2024年第1四半期の全国平均土地価格は98,655円/㎡(約32.6万円/坪)で、前年比5.53%減です。

ただし、Cleverly Homeの調査によると、東京23区は約230万円/坪、多摩地区は約75万円/坪と、地域により大きく異なります。

中央区・渋谷区は約490万円/坪で最高値です。

相続税路線価・固定資産税評価額の調べ方と逆算による実勢価格推定

(1) 国税庁「路線価図・評価倍率表」の使い方

相続税路線価は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」で確認できます。

(2) 全国地価マップで固定資産税路線価を確認

全国地価マップで、固定資産税路線価を確認できます。

(3) 路線価から公示地価を逆算する方法(路線価 ÷ 0.8)

相続税路線価は公示地価の約80%に設定されているため、以下の式で公示地価を逆算できます。

公示地価の推定 = 相続税路線価 ÷ 0.8

(4) 公示地価から実勢価格を推定(公示地価 × 1.1)

公示地価を推定できたら、さらに × 1.1 で実勢価格の概算値を得られます。

実勢価格の概算 = (相続税路線価 ÷ 0.8)× 1.1

ただし、あくまで目安であり、最終判断は専門家(宅建士、不動産鑑定士等)に相談してください。

まとめ:土地の値段を正しく理解し、専門家と連携して最適な判断を

土地の値段は「一物五価」と呼ばれる5つの指標(公示地価、実勢価格、相続税路線価、固定資産税評価額、基準地価)で表されます。

公示地価は実勢価格の約90%、相続税路線価は約80%、固定資産税評価額は約70%に設定されています。

国土交通省「不動産情報ライブラリ」(2024年4月に名称変更)で公示地価・実勢価格を無料で確認でき、全国地価マップで4種類の価格を一括閲覧できます。

路線価から実勢価格を推定する方法は、路線価 ÷ 0.8 × 1.1 で概算値を算出できますが、あくまで目安です。

土地の値段は地域・時期・個別条件により大きく異なるため、最新の市場動向を確認し、専門家(宅建士、不動産鑑定士等)への相談を推奨します。

よくある質問

Q1公示地価と実勢価格の違いは何ですか?

A1公示地価は国土交通省が毎年1月1日時点で調査・公表する土地価格の指標で、実勢価格の約90%に設定されています。実勢価格は実際に土地が売買された価格で、売主と買主の需要と供給で決まります。公示地価はあくまで取引の指標であり、実際の価格は立地・形状・市場動向等により変動します。

Q2土地の値段はどこで調べられますか?

A2国土交通省の「不動産情報ライブラリ」(2024年4月に土地総合情報システムから名称変更)、全国地価マップ、SUUMO等の不動産ポータルサイトで確認できます。不動産情報ライブラリでは公示地価・基準地価・実勢価格を無料で閲覧可能です。全国地価マップでは固定資産税路線価・相続税路線価も一括で確認できます。

Q3路線価から実勢価格を推定する方法を教えてください。

A3相続税路線価は公示地価の約80%に設定されているため、路線価 ÷ 0.8 で公示地価を算出し、さらに × 1.1 で実勢価格の概算値を得られます。例えば、路線価が20万円/㎡の場合、(20 ÷ 0.8)× 1.1 = 27.5万円/㎡が実勢価格の目安です。ただし、あくまで概算であり、最終判断は専門家(宅建士、不動産鑑定士等)に相談してください。

Q42024年の土地価格相場はどうなっていますか?

A42024年第1四半期の全国平均は98,655円/㎡(約32.6万円/坪)で前年比5.53%減です。ただし、東京23区は約230万円/坪、多摩地区は約75万円/坪、中央区・渋谷区は約490万円/坪と、地域により大きく異なります。個別の地域データを不動産情報ライブラリやSUUMO等で確認してください。

Q5公示地価より実際の取引価格が高い場合、買うべきではないですか?

A5公示地価はあくまで指標であり、実勢価格は需要と供給で決まります。人気エリアや希少な物件は公示地価より高くなることが一般的です。立地(駅距離、交通利便性)、形状(向き、広さ)、用途地域、市場動向を総合的に判断し、専門家(宅建士、不動産鑑定士等)に相談することを推奨します。

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Room Match編集部

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