土地購入の基礎知識:不動産取引の流れと重要性
土地購入を検討しているけれど、「どうやって価格を調べればいいのか」「何に注意すればいいのか」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
この記事では、土地購入の流れ、価格の調べ方、重要なチェックポイント、かかる費用と税金を、国土交通省の公式データと専門家の情報を元に解説します。
初めて土地を購入する方でも、必要な知識を正確に把握し、後悔のない土地選びができるようになります。
この記事のポイント
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」で公示価格・基準地価・災害情報を無料で確認できる
- 用途地域(全13種類)と建ぺい率・容積率の確認が必須、建築できる建物の種類が決まる
- 2024-2025年は都心の優良物件は上昇、地方・郊外は下落傾向で二極化が進行
- 擁壁工事・地盤改良で数百万~数千万円の追加費用が発生する可能性がある
(1) 土地購入の流れ(物件探し→契約→登記)
土地購入は以下の流れで行います。
- 物件探し: SUUMO、HOME'S等のポータルサイト、不動産会社で検索
- 現地確認: 時間帯を変えて複数回訪問、周辺環境を確認
- 価格調査: 公示価格、基準地価、路線価等で相場を把握
- 重要事項確認: 用途地域、建ぺい率・容積率、インフラ整備状況を確認
- 売買契約: 契約書に署名・捺印、手付金支払い
- 決済・引き渡し: 残金支払い、所有権移転
- 登記: 法務局で所有権移転登記
(2) 2024-2025年の不動産市場動向(土地価格は下落傾向)
2024-2025年の不動産市場は、以下の動向が見られます。
土地価格:
- 東京圏で中古戸建・土地価格は下落傾向
- 都心の優良物件は上昇、地方・郊外は下落で二極化が進行
マンション価格:
- 2024年のマンション価格は過去10年で約2倍に上昇
- 日経平均株価と連動して史上最高値を更新
金利動向:
- 2024年3月のマイナス金利政策解除により、今後金利上昇の可能性
- 住宅需要に影響する見込み
(出典: LIFULL HOME'S)
(3) 国土交通省「不動産情報ライブラリ」の活用
国土交通省「不動産情報ライブラリ」は、以下の情報を無料で確認できる政府公式サイトです。
- 不動産取引価格(実際の取引事例)
- 公示地価(毎年3月下旬公表)
- 基準地価(毎年9月下旬公表)
- 災害情報(ハザードマップ)
- 都市計画(用途地域等)
- 周辺施設の情報
土地購入前に必ず確認することを推奨します。
土地価格の調べ方と相場の把握
(1) 一物五価(公示価格、基準地価、路線価、固定資産税評価額、実勢価格)
1つの土地には5つの価格(一物五価)が存在します。
| 価格の種類 | 公表時期 | 用途 |
|---|---|---|
| 公示価格(公示地価) | 毎年3月下旬 | 土地取引の指標 |
| 基準地価 | 毎年9月下旬 | 公示価格を補完 |
| 相続税路線価 | 毎年7月1日 | 相続税・贈与税の計算 |
| 固定資産税評価額 | 3年ごとに評価替え | 固定資産税・都市計画税の計算 |
| 実勢価格 | 随時 | 実際の取引価格 |
(出典: HOME4U)
公示価格の約1.1-1.2倍が実勢価格の目安とされています。
(2) 不動産情報ライブラリでの公的データ確認
不動産情報ライブラリで以下のデータを確認できます。
公示価格・基準地価:
- 標準地の1月1日または7月1日時点の価格
- 国土交通省土地鑑定委員会または都道府県が公表
実際の取引価格:
- 過去の取引事例を検索可能
- 価格帯の幅を把握できる
(3) SUUMO・HOME'S等のポータルサイトでの相場把握
不動産ポータルサイトで現在販売中の土地価格を確認できます。
複数の情報源で相場を確認し、適正価格を判断することが重要です。
土地購入時の重要チェックポイント
(1) 用途地域(全13種類)と建ぺい率・容積率の確認
用途地域は都市計画法に基づく13種類の地域区分で、建築可能な建物の種類や規模を規定します。
建ぺい率:
- 敷地面積に対する建築面積の割合
- 例: 建ぺい率60%の100㎡の土地では、建築面積は60㎡まで
容積率:
- 敷地面積に対する延べ床面積の割合
- 例: 容積率200%の100㎡の土地では、延べ床面積は200㎡まで
不動産情報ライブラリや自治体の窓口で確認できます。
(2) ハザードマップでの災害リスク確認
ハザードマップで以下の災害リスクを確認してください。
- 洪水
- 土砂災害
- 津波
- 地震(液状化)
国土交通省ハザードマップポータルサイトで全国のハザードマップを確認できます。
(3) インフラ整備状況(電気・ガス・水道)
電気・ガス・水道といったインフラが整備されていない場合、引き込み工事で高額な費用が発生します。
引き込み工事費用の目安:
- 電気: 数万~数十万円
- ガス: 数十万~数百万円
- 水道: 数十万~数百万円
購入前に自治体や各事業者に確認してください。
(4) 隣地との境界線の確認
隣接する土地との境界線が曖昧な場合、近隣住民とのトラブルが発生する可能性があります。
確認方法:
- 境界標の有無を確認
- 測量図(確定測量図)を取得
- 土地家屋調査士に依頼して境界確定
境界確定測量の費用は30万~80万円程度が目安です。
土地購入にかかる費用と税金
(1) 土地購入費用の内訳(購入代金、仲介手数料、登記費用等)
土地購入時には以下の費用が発生します。
| 項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 土地購入代金 | - |
| 仲介手数料 | 土地価格の3%+6万円+消費税(上限) |
| 登記費用 | 10万~30万円 |
| 印紙税 | 1万~6万円 |
| 測量費用 | 30万~80万円(境界確定測量) |
(2) 追加費用の可能性(擁壁工事、地盤改良、インフラ引き込み工事)
以下の追加費用が発生する可能性があります。
擁壁工事:
- 高低差のある土地で土砂崩れを防ぐための壁構造物
- 費用: 数百万~数千万円
地盤改良:
- 軟弱な地盤を強化する工事
- 費用: 数十万~数百万円
インフラ引き込み工事:
- 電気・ガス・水道が未整備の場合
- 費用: 数十万~数百万円
事前に調査・見積もりを取得し、購入予算に含めることが重要です。
(3) 税金(不動産取得税、固定資産税、都市計画税)
土地購入時には以下の税金が発生します。
| 税金 | 税率・金額 |
|---|---|
| 不動産取得税 | 固定資産税評価額の3% |
| 固定資産税 | 固定資産税評価額の1.4%(標準税率) |
| 都市計画税 | 固定資産税評価額の0.3%(上限) |
固定資産税と都市計画税は毎年1月1日時点の所有者に課されます。
土地選びの失敗例と後悔しないためのポイント
(1) 予算オーバー(擁壁工事・地盤改良で数百万円)
よくある失敗例として、購入後に予想外の費用が発生するケースがあります。
失敗例:
- 擁壁工事で数百万~数千万円の追加費用
- 地盤改良で数百万円の追加費用
- インフラ引き込み工事で数百万円の追加費用
対策:
- 購入前に地盤調査を実施
- 擁壁の状態を建築士に確認
- インフラ整備状況を自治体・事業者に確認
(2) 市街化調整区域での建築許可が下りない
市街化調整区域では、原則として建築が制限されます。
注意点:
- 建築許可が必要で、下りない場合もある
- 購入前に自治体の窓口で確認が必須
(3) 駅・スーパーが遠く生活が不便
失敗例:
- 駅まで徒歩30分以上
- スーパー・コンビニまで車で10分以上
対策:
- 通勤・通学の利便性を事前に確認
- 生活関連施設(スーパー、病院、学校等)の距離を確認
(4) 時間帯を変えて複数回現地訪問の重要性
現地は時間帯を変えて複数回訪問してください。
確認項目:
- 昼間: 日当たり、近隣の生活関連施設
- 夜間: 街灯の有無、騒音、人通りの多さ
昼間は静かでも夜は騒がしいエリアがあるため、複数回訪問することが重要です。
まとめ:土地購入のチェックリスト
土地購入では、国土交通省「不動産情報ライブラリ」で公示価格・基準地価・災害情報を確認し、用途地域(全13種類)と建ぺい率・容積率を必ず確認してください。2024-2025年は都心の優良物件は上昇、地方・郊外は下落傾向で二極化が進行しています。
擁壁工事・地盤改良で数百万~数千万円の追加費用が発生する可能性があるため、事前に地盤調査・擁壁確認を実施してください。市街化調整区域では建築許可が下りない場合があるため、自治体窓口での事前確認が必須です。
時間帯を変えて複数回現地訪問し、インフラ整備状況・隣地との境界線も確認しましょう。詳細は国土交通省の公式サイトでご確認ください。
