土地相場マップとは|地価を地図上で確認できる便利ツール
土地の購入や売却を検討する際、「相場がいくらなのか」「どこで調べればいいのか」と悩む方は多いのではないでしょうか。
この記事では、土地相場マップの種類、見方、活用方法を、国土交通省の不動産情報ライブラリや資産評価システム研究センターの全国地価マップを元に解説します。
土地価格の基礎を理解し、公的データを使いこなすことで、適正な価格判断ができるようになります。
この記事のポイント
- 「全国地価マップ」で公示地価・基準地価・路線価・固定資産税路線価の4種類を一括確認できる
- 路線価は公示地価の約80%に設定されており、路線価÷0.8で公示地価水準に換算可能
- 実勢価格(実際の売買価格)は公示地価の1.1〜1.2倍程度が目安
- 国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では過去の実取引データを地図上で確認できる
- 地価データは基準日から発表まで2〜3ヶ月のタイムラグがあり、個別の土地条件で価格は大きく変動する
土地相場マップの役割
土地相場マップは、地価を地図上で視覚的に確認できるツールです。公的機関が公表するデータ(公示地価、路線価等)と民間サイトの市場データを活用することで、土地売買の価格目安や税金計算の基準を把握できます。
公的データと民間データの違い
公的データ(公示地価、路線価等)は信頼性が高く、税金計算や取引指標として使用されます。一方、民間データ(SUUMOやLIFULL HOME'Sの相場情報)は現在売出し中の物件データを基にしており、市場感を掴むのに有効です。
土地価格の種類と違い|公示地価・基準地価・路線価・実勢価格を理解する
土地価格には複数の指標があり、それぞれ目的と水準が異なります。
公示地価(国土交通省・1月1日基準)
公示地価は、国土交通省が毎年1月1日時点で調査し、3月に発表する1㎡あたりの標準的な土地価格です。土地取引の指標として使用されます。
基準地価(都道府県・7月1日基準)
基準地価は、都道府県が毎年7月1日時点で調査し、9月に発表する土地価格です。公示地価の補完的役割を担い、公示地価が調査されない地域も対象となります。
相続税路線価(国税庁・公示地価の約80%)
相続税路線価は、相続税・贈与税の算定基準となる路線価で、公示地価の約80%水準に設定されています。国税庁が毎年7月に発表します。
固定資産税路線価(市町村・公示地価の約70%)
固定資産税路線価は、固定資産税の算定基準となる路線価で、公示地価の約70%水準に設定されています。市町村が3年に1度評価替えを行います。
実勢価格(実際の売買価格・公示地価の1.1〜1.2倍)
実勢価格は、実際の不動産取引で成立した価格です。公示地価の1.1〜1.2倍が目安とされていますが、土地の形状・接道条件・周辺環境等で大きく変動します。
| 価格指標 | 基準日 | 発表時期 | 公示地価との比率 | 用途 |
|---|---|---|---|---|
| 公示地価 | 1月1日 | 3月下旬 | 100% | 土地取引の指標 |
| 基準地価 | 7月1日 | 9月下旬 | ほぼ同じ | 公示地価の補完 |
| 相続税路線価 | 1月1日 | 7月 | 約80% | 相続税・贈与税計算 |
| 固定資産税路線価 | 1月1日(3年に1度) | 4月 | 約70% | 固定資産税計算 |
| 実勢価格 | - | - | 110〜120% | 実際の売買価格 |
(出典: 国土交通省)
土地相場マップの使い方|全国地価マップと不動産情報ライブラリの活用法
土地相場を調べる際に便利な無料ツールを紹介します。
全国地価マップで4種類の公的評価を一括確認
全国地価マップ(資産評価システム研究センター)では、公示地価・基準地価・相続税路線価・固定資産税路線価の4種類を地図上で一括確認できます。
使い方:
- 全国地価マップにアクセス
- 調べたい地域を選択(都道府県→市町村)
- 地図上で調べたい土地をクリック
- 公示地価・路線価等のデータが表示される
不動産情報ライブラリで実取引データを確認
国土交通省の不動産情報ライブラリでは、過去の実取引データを地図上で確認できます。2024年4月に土地総合情報システムからリニューアルし、地図UI・検索機能が向上しました。
使い方:
- 不動産情報ライブラリにアクセス
- 「不動産取引価格情報検索」を選択
- 調べたい地域・期間を指定
- 実際の取引価格が表示される(実勢価格の参考になる)
国税庁の路線価図・評価倍率表の見方
国税庁の財産評価基準書では、相続税・贈与税計算に使用する路線価を確認できます。路線価が設定されていない地域(倍率地域)では、固定資産税評価額×倍率で計算します。
SUUMOやLIFULL HOME'Sの相場情報の活用
SUUMOの土地価格相場やLIFULL HOME'Sの相場情報は、現在売出し中の物件データを基にしており、市場感を掴むのに有効です。公的データと併用することで、より実態に近い相場を把握できます。
土地相場の調べ方と活用シーン|売買・税金計算・資産評価
土地相場の調べ方を活用シーン別に解説します。
土地売買時の価格目安として活用
土地を売買する際は、公示地価や実取引データを参考に価格目安を立てます。ただし、実際の取引価格は個別の条件で大きく変動するため、不動産会社に査定を依頼することを推奨します。
相続税・贈与税の計算に路線価を使用
相続税・贈与税の計算には、国税庁の路線価を使用します。路線価×土地面積で評価額を算出します。詳細は税理士への相談を推奨します。
固定資産税の評価額の確認
固定資産税の評価額は、固定資産税路線価を基に市町村が決定します。毎年4月に送付される固定資産税納税通知書で確認できます。
路線価から実勢価格を概算する方法(路線価÷0.8×1.1〜1.2)
路線価から実勢価格を概算する計算式は以下の通りです。
実勢価格の目安 = 路線価 ÷ 0.8 × 1.1〜1.2
例: 路線価が20万円/㎡の土地(100㎡)
- 公示地価水準: 20万円 ÷ 0.8 = 25万円/㎡
- 実勢価格の目安: 25万円 × 1.1〜1.2 = 27.5〜30万円/㎡
- 100㎡の場合: 2,750〜3,000万円
ただし、これはあくまで目安であり、実際の取引価格は土地の形状・接道条件・周辺環境で大きく変動します。
土地相場を調べる際の注意点|タイムラグ・個別性・倍率地域
土地相場を調べる際の注意点を理解し、適切に活用しましょう。
地価データは基準日から発表まで2〜3ヶ月のタイムラグがある
公示地価は1月1日時点のデータを3月に発表するため、発表時点で既に2〜3ヶ月のタイムラグがあります。急激な市況変動を反映していない可能性があるため、最新の市場動向も併せて確認しましょう。
実際の取引価格は形状・接道・周辺環境で大きく変動する
公示地価・路線価はあくまで基準値です。実際の取引価格は以下の条件で大きく変動します。
- 土地の形状(正方形・長方形・不整形)
- 接道条件(道路の幅員、角地・中間地)
- 周辺環境(駅距離、学区、嫌悪施設の有無)
- 地盤・液状化リスク
路線価が設定されていない倍率地域の計算方法
路線価が設定されていない「倍率地域」では、以下の計算式で相続税評価額を算出します。
相続税評価額 = 固定資産税評価額 × 倍率
倍率は国税庁の評価倍率表で確認できます。
専門家(不動産鑑定士等)への相談を推奨
本記事は土地価格の調べ方を解説するものであり、具体的な売買判断は不動産鑑定士や不動産会社への相談を推奨します。税金計算に使用する場合は、税理士への相談も必要です。
まとめ|状況別の土地相場マップ活用法と次のアクション
土地相場マップは、公的データ(公示地価、路線価)と実取引データを地図上で確認できる便利ツールです。「全国地価マップ」で4種類の公的評価を一括確認し、「不動産情報ライブラリ」で実取引データを確認することで、土地売買の価格目安や税金計算の基準を把握できます。
ただし、地価データはあくまで基準値であり、実際の取引価格は土地の形状・接道条件・周辺環境で大きく変動します。また、基準日から発表まで2〜3ヶ月のタイムラグがあるため、最新の市場動向も併せて確認しましょう。
具体的な売買判断は、不動産会社に査定を依頼し、税金計算は税理士に相談することを推奨します。
