「土地あげます」の実態と無償譲渡・格安土地取得のリスクと注意点

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/21

「土地あげます」の実態と背景

「八王子 土地 あげます」「千葉 土地 あげます」といった検索をする方は、無償で土地を取得できる可能性に関心を持っている方が多いと思います。

この記事では、「土地あげます」の実態、無償譲渡で発生する税金・費用、法的リスクと注意点を解説します。初めて土地取得を検討する方でも、無償譲渡の仕組みとリスクを正確に理解できるようになります。

この記事のポイント

  • 「土地あげます」は無償譲渡の意味だが、贈与税・登録免許税・固定資産税が発生する
  • 測量費・造成費・管理費用など隠れたコストが数十万~数百万円かかる場合がある
  • 境界不明確・土壌汚染・接道義務違反などのリスクがあるため事前調査が必須
  • 契約書を作成せずに口約束で譲渡すると、後に所有権を巡るトラブルが発生する可能性
  • 専門家(司法書士・土地家屋調査士)への相談を推奨

なぜ無償譲渡が行われるのか(相続放棄・固定資産税負担・管理困難)

「土地あげます」と表示される背景には、以下の理由があります。

  • 相続放棄したい: 遠方の土地を相続したが、活用方法がなく手放したい
  • 固定資産税負担: 毎年の固定資産税(年1.4%)や都市計画税を払い続けたくない
  • 管理困難: 高齢化・遠方居住により、土地の管理ができなくなった
  • 空き家問題: 建物が老朽化し、特定空家に指定されると固定資産税が最大6倍に増加するリスク

2025年現在、人口減少・高齢化により、管理できない土地を無償譲渡したい所有者が増加しています。

無償譲渡が多いエリアの特徴(八王子・千葉・相模原など郊外地域)

「八王子 土地 あげます」「千葉 土地 あげます」「相模原市 土地 あげます」といった検索は、郊外エリアで無償譲渡が多いことを示しています。

郊外エリアで無償譲渡が多い理由:

  • 市街化調整区域が多く、建築制限により活用が困難
  • 接道義務を満たさない土地(建築不可)が存在
  • 駅から遠く、売却が困難
  • 相続により遠方の親族が取得したが、活用方法がない

ただし、「無償だから価値がない」とは限りません。用途地域・接道義務・インフラ整備状況により、活用可能な土地もあります。

マッチング支援サイトの増加と司法書士仲介の動き

2025年現在、全国で空き家・土地の無償譲渡マッチング支援サイトが運営され、司法書士が仲介するケースが増加しています。

マッチング支援サイトの特徴:

  • 無償譲渡を希望する所有者と、受け取りたい人をマッチング
  • 司法書士が登記手続き・契約書作成を仲介
  • 手続き費用(登録免許税・司法書士報酬)は受け取る側が負担

無償譲渡では不動産業者を介さないため、手続き全般を自分で行う必要がありますが、マッチング支援サイトを利用することで、専門家のサポートを受けられる場合があります。

無償譲渡の基礎知識(定義と法的意味)

無償譲渡と贈与の関係

無償譲渡とは、対価を受け取らずに土地・建物などの財産を譲渡することで、法的には贈与に該当します。

  • 贈与: 民法第549条により、「当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」
  • 贈与税: 個人から財産をもらった際に課される税金(基礎控除110万円/年)

無償であっても、贈与税・登録免許税・固定資産税が発生するため、「タダで土地がもらえる」わけではありません。

所有権移転登記の必要性

土地の所有権を正式に変更するには、所有権移転登記が必要です。

登記手続きの流れ:

  1. 贈与契約書の作成(書面で契約を証明)
  2. 法務局で所有権移転登記の申請
  3. 登録免許税の納付(固定資産税の2%)
  4. 登記完了(所有権が受け取る側に移転)

登記手続きが複雑な場合は、司法書士に依頼することを推奨します(報酬は5万~10万円程度)。

契約書作成の重要性(口約束のリスク)

無償譲渡であっても、必ず書面で贈与契約書を作成してください。口約束で譲渡すると、以下のトラブルが発生する可能性があります。

口約束のリスク:

  • 後に「無償で貸していただけなので返せ」と主張される
  • 所有権移転を証明できず、登記手続きができない
  • 譲渡後に欠陥が発覚した場合、補償を求められる

契約書には、以下の事項を明記することが重要です。

  • 贈与する土地の所在地・地番・面積
  • 贈与する側・受け取る側の氏名・住所
  • 「保証や補償を負わない」旨を明記(欠陥発覚時のトラブル予防)
  • 契約日・署名・押印

無償譲渡で発生する税金と費用

贈与税の計算方法と基礎控除(110万円)

贈与税は、1年間に110万円を超える財産をもらった場合に課税されます。

贈与税の計算式:

贈与税 = (贈与財産の評価額 - 基礎控除110万円)× 税率 - 控除額

贈与税の税率(一般贈与財産):

課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% -
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

例:5,000万円の土地の贈与税:

(5,000万円 - 110万円)× 55% - 400万円 = 約2,289万円

土地の評価額により贈与税は大きく変動するため、事前に税理士に試算を依頼することを推奨します。

登録免許税・不動産取得税・固定資産税

贈与税以外にも、以下の税金が発生します。

税金 内容 税率・目安額
登録免許税 所有権移転登記の際に課される 固定資産税評価額の2%
不動産取得税 不動産を取得した際に課される 住宅用地は3%(軽減措置あり)
固定資産税 土地・建物の所有者に毎年課される 年1.4%(標準税率)
都市計画税 都市計画区域内の土地・建物に課される 地域により異なる(0.1~0.3%程度)

例:固定資産税評価額1,000万円の土地の場合:

  • 登録免許税: 1,000万円 × 2% = 20万円
  • 固定資産税: 1,000万円 × 1.4% = 年14万円

これらの税金は、受け取る側が負担します。

測量費・造成費・管理費用などの隠れたコスト

税金以外にも、以下の費用が発生する場合があります。

隠れたコスト:

  • 測量費: 境界を明確にするための測量(30万~50万円)
  • 造成費: 傾斜地・がけ地の造成工事(数百万円)
  • 解体費: 建物が残っている場合の解体工事(木造100万~200万円)
  • インフラ整備費: 上下水道・ガスの引き込み工事(100万~300万円)
  • 管理費用: 草刈り・清掃など(年数万円)

特に、境界が不明確な場合や、建物が残っている場合は、追加費用が大きくなる可能性があります。

特定空家指定による固定資産税の増加リスク

建物が残っている土地を受け取る場合、特定空家に指定されると、固定資産税が最大6倍に増加するリスクがあります。

特定空家の指定基準:

  • 倒壊の危険がある
  • 衛生上有害である
  • 景観を著しく損なう
  • 周辺の生活環境に悪影響を及ぼす

特定空家に指定されると、固定資産税の優遇措置(住宅用地の特例)が撤廃され、固定資産税が大幅に増加します。

無償譲渡のリスクと注意点

境界不明確・土壌汚染・地中埋設物のリスク

無償譲渡の土地には、以下のリスクがある場合があります。

主なリスク:

  • 境界不明確: 境界線が不明で、隣地所有者とトラブルになる
  • 土壌汚染: 土壌に有害物質が含まれている(調査・浄化費用が高額)
  • 地中埋設物: 地中に廃棄物・構造物が埋まっている(撤去費用が発生)
  • 地盤の問題: 軟弱地盤・盛土・がけ地など(建築に追加費用)

これらのリスクは、事前調査で発見できる場合もありますが、譲渡後に発覚することもあります。

用途地域・接道義務・都市計画制限の確認

土地を受け取る前に、以下の法的制限を確認してください。

確認すべき法的制限:

  • 用途地域: 都市計画法で定められた土地の用途制限(住居系・商業系・工業系など)
  • 接道義務: 建築基準法により、幅員4m以上の道路に2m以上接している必要(満たさない場合は建築不可)
  • 市街化調整区域: 原則として建築が制限される区域
  • 都市計画制限: 高度地区・防火地域などの制限

これらの制限により、「土地は取得できたが建築できない」という事態が発生する可能性があります。

契約書に「保証や補償を負わない」旨を明記する重要性

無償譲渡では、贈与する側が土地の欠陥について責任を負わないことを、契約書に明記することが重要です。

契約書に明記すべき事項:

  • 「贈与者は、本件土地について、瑕疵担保責任を負わない」
  • 「贈与者は、境界・土壌汚染・地中埋設物等について、保証や補償を負わない」
  • 「受贈者は、本件土地の状態を確認の上、受け取ることに同意する」

この条項を明記することで、譲渡後に欠陥が発覚した場合でも、贈与する側に補償を求められない仕組みにします。

譲渡後の欠陥発覚によるトラブル事例

無償譲渡後に、以下のトラブルが発生する事例があります。

トラブル事例:

  • 建物の給排水管が故障し、修繕費を請求された
  • 境界が不明確で、隣地所有者から測量を求められた
  • 地中に廃棄物が埋まっており、撤去費用が数百万円かかった
  • 接道義務を満たさず、建築確認が下りなかった

これらのトラブルを避けるため、契約書に「保証や補償を負わない」旨を明記し、事前調査を徹底してください。

安全な土地取得方法と専門家の活用

事前調査のチェックリスト(用途地域・境界・土壌汚染等)

土地を受け取る前に、以下の事前調査を実施してください。

事前調査のチェックリスト:

  • 用途地域・市街化調整区域の確認(市区町村役場の都市計画課)
  • 接道義務の確認(建築基準法の要件を満たすか)
  • 境界の明確化(境界標の有無、測量図の確認)
  • 土壌汚染の有無(過去の用途、周辺環境)
  • 地中埋設物の有無(過去の建築物、廃棄物の履歴)
  • インフラ整備状況(上下水道・ガス・電気の引き込み)
  • 固定資産税評価額の確認(贈与税の試算)
  • 建物の状態(特定空家に指定されるリスク)

これらの調査を怠ると、譲渡後に追加費用が発生するリスクがあります。

司法書士・行政書士・土地家屋調査士への相談

無償譲渡では不動産業者を介さないため、専門知識がない場合は専門家への相談を推奨します。

専門家の役割:

  • 司法書士: 所有権移転登記の手続き(報酬5万~10万円)
  • 行政書士: 贈与契約書の作成、官公署への申請手続き
  • 土地家屋調査士: 土地の測量、境界確定(報酬30万~50万円)
  • 税理士: 贈与税の試算、申告手続き

手続きが複雑な場合や、法的リスクが高い場合は、これらの専門家に相談することで、トラブルを予防できます。

自治体への無償譲渡の可能性と条件

「土地を処分したい」場合、自治体に無償譲渡することも検討できます。

自治体への無償譲渡の流れ:

  1. 市区町村役場の資産管理課に相談
  2. 土地の活用可能性・公益性を審査
  3. 受け入れが認められた場合、所有権移転登記の手続き
  4. 法務局で登記完了

ただし、活用可能性が高く公益性がある土地に限定されるため、必ずしも受け入れられるとは限りません。

自治体が受け入れる条件:

  • 公共施設・道路・公園等に活用できる土地
  • 面積・形状・接道義務を満たす土地
  • 境界が明確で、測量図がある土地

自治体への無償譲渡を検討する場合は、事前に自治体に相談してください。

マッチング支援サイトの活用方法

無償譲渡を希望する場合、マッチング支援サイトを活用することもできます。

マッチング支援サイトの特徴:

  • 全国の無償譲渡希望者と受け取り希望者をマッチング
  • 司法書士が登記手続き・契約書作成を仲介
  • 手続き費用(登録免許税・司法書士報酬)は受け取る側が負担

2025年現在、複数のマッチング支援サイトが運営されていますが、利用前に以下の点を確認してください。

  • 運営主体(司法書士・行政書士が運営しているか)
  • 手続き費用の内訳
  • 契約書に「保証や補償を負わない」旨が明記されているか

まとめ:無償譲渡を検討する際のチェックリスト

「土地あげます」は無償譲渡の意味ですが、贈与税・登録免許税・固定資産税が発生し、測量費・造成費などの隠れたコストも数十万~数百万円かかる場合があります。

境界不明確・土壌汚染・接道義務違反などのリスクがあるため、事前調査を徹底し、契約書に「保証や補償を負わない」旨を明記してください。

手続きが複雑な場合は、司法書士・行政書士・土地家屋調査士などの専門家に相談することを推奨します。安易な取得を避け、リスクを十分に理解した上で判断しましょう。

よくある質問

Q1「土地あげます」は本当に無料で土地がもらえるのか?

A1土地自体は無償で譲渡されますが、贈与税(基礎控除110万円を超える部分)、登録免許税(固定資産税評価額の2%)、固定資産税(年1.4%)が発生します。また、境界を明確にするための測量費(30万~50万円)、造成費、インフラ整備費など、隠れたコストが数十万~数百万円かかる場合があります。「タダで土地がもらえる」わけではなく、総額で見ると相応の費用負担が発生します。

Q2無償譲渡で土地を受け取った場合、贈与税はいくらかかる?

A2贈与税の基礎控除は年110万円までで、超過分に課税されます。例えば、5,000万円の土地の場合、贈与税は約2,289万円になります。土地の評価額により税額が大きく変動するため、事前に税理士に試算を依頼することを推奨します。市場価値1,350~1,400万円以下の土地であれば、基礎控除内に収まり贈与税はかかりません。

Q3契約書を作成せずに口約束で土地をもらうとどうなる?

A3後に「無償で貸していただけなので返せ」と主張される可能性があります。所有権移転を証明するため、必ず書面で贈与契約書を作成してください。契約書には、贈与する土地の所在地・地番・面積、贈与する側・受け取る側の氏名・住所を明記し、「保証や補償を負わない」旨も明記することが重要です。これにより、譲渡後に欠陥が発覚した場合でも、補償を求められないようにします。

Q4無償譲渡で受け取った土地にリスクはある?

A4境界不明確、土壌汚染、地中埋設物、接道義務違反などのリスクがあります。境界が不明な場合は隣地所有者とトラブルになり、土壌汚染や地中埋設物があると浄化・撤去費用が高額になる可能性があります。また、接道義務を満たさない場合は建築ができません。事前に用途地域・土壌汚染・境界を調査し、専門家(司法書士・土地家屋調査士)に相談することを推奨します。

Q5自治体に土地を無償譲渡することはできる?

A5市区町村役場の資産管理課が申請を受け付け・審査します。ただし、活用可能性が高く公益性がある土地(公共施設・道路・公園等に活用できる土地)に限定されるため、必ずしも受け入れられるとは限りません。自治体が受け入れる条件として、面積・形状・接道義務を満たし、境界が明確で測量図がある土地が求められます。事前に自治体に相談してください。

R

Room Match編集部

Room Matchは、不動産の購入・売却・賃貸に関する実践的な情報を提供するメディアです。住宅ローン、物件選び、不動産会社の選び方など、実務担当者に役立つ情報を分かりやすく解説しています。

関連記事