土地の無償譲渡とは|贈与との違いと法的位置づけ
この記事で分かること
土地を無償で譲り渡したい、または無償でもらいたいと考える方に向けて、無償譲渡の仕組み・税金・手続き・リスクを網羅的に解説します。国税庁の贈与税情報や総務省の不動産取得税情報を元に、正確な情報を提供します。
この記事のポイント
- 土地の無償譲渡は法律上「贈与」に該当し、受贈者に贈与税・不動産取得税が課税される可能性がある
- 贈与税の基礎控除は年間110万円、評価額110万円超で課税対象
- 無償譲渡物件は「みんなの0円物件」「全国0円不動産」等のマッチングサイトで探せる
- 訳あり物件の可能性(立地悪い・形状いびつ・環境問題)があり、現地確認が重要
無償譲渡と贈与の関係(法律上は同じ)
無償譲渡とは、特定のモノや権利を無償(無料)で他に譲り渡すことです。法律上は「贈与」として扱われ、民法第549条に「贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」と定められています。
つまり、土地を無償で譲り渡す場合も「贈与」として扱われ、受贈者に贈与税が課税される可能性があります。
無償譲渡にかかる税金|贈与税・不動産取得税・固定資産税
贈与税の計算方法(基礎控除110万円)
国税庁の公式情報によると、贈与税には以下の課税方法があります。
暦年課税:
- 基礎控除: 年間110万円
- 評価額110万円超の土地を贈与された場合、超過分に贈与税が課税されます
- 税率: 10%~55%(累進課税、贈与額により異なる)
相続時精算課税:
- 60歳以上の父母・祖父母から20歳以上の子・孫への贈与に適用可能
- 累計2,500万円まで非課税、超過分は一律20%課税
- 相続時に精算される仕組み
土地の評価額は、路線価または固定資産税評価額で計算されます。具体的な計算は税理士への相談を推奨します。
不動産取得税(評価額の3%、軽減措置)
総務省の公式情報によると、土地や建物を取得した際に不動産取得税が課されます(相続は除く)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 税率 | 評価額の3%(標準税率) |
| 軽減措置 | 2024年3月31日まで評価額1/2、税率3%適用(要件あり) |
| 免税点 | 土地10万円未満、建物(新築・増改築)23万円未満は免税 |
(出典: 総務省)
登録免許税(評価額の2.0%)
土地の所有権移転登記の際に、登録免許税(評価額の2.0%)が必要です。贈与の場合、受贈者(土地をもらう側)が負担するのが一般的です。
固定資産税(毎年10~15万円)
土地を取得すると、毎年1月1日時点の所有者に固定資産税が課されます。標準税率は評価額×1.4%で、建物がない場合は最大6倍の課税となる可能性があります。
年間10~15万円が目安ですが、土地の評価額・地域により異なります。
無償譲渡の手続きと必要書類|契約書・登記・測量
契約書作成のポイント
無償譲渡でも契約書の作成が重要です。生和コーポレーションによると、以下の内容を明記しましょう。
- 贈与者・受贈者の氏名・住所
- 土地の所在地・地番・面積
- 贈与の意思表示と受諾
- 引渡し時期
- 負担の有無(固定資産税の清算等)
契約書を作成することで、贈与税対象の土地を明確化し、後々のトラブルを防げます。
重要事項説明書の作成
重要事項説明書を作成し、以下の内容を記載することを推奨します。
- 土地の境界確定状況
- 埋設物・土壌汚染の有無
- 法令上の制限(都市計画法・建築基準法等)
- 近隣とのトラブルの有無
測量による境界明確化
土地の境界を測量で明確にし、近隣住民とのトラブルを事前に防ぐことが重要です。測量費用は数十万円程度かかりますが、将来のトラブル回避のために必要な投資といえます。
登記手続き(所有権移転)
土地の所有権移転登記が必要です。以下の書類を法務局に提出します。
- 登記申請書
- 贈与契約書
- 印鑑証明書(贈与者・受贈者)
- 固定資産評価証明書
- 測量図(境界確定済みの場合)
手続きが複雑な場合は、司法書士・行政書士・土地家屋調査士への相談を推奨します。
無償譲渡物件の探し方とリスク|マッチングサイト・訳あり物件
マッチングサイトの活用(みんなの0円物件等)
無償譲渡物件は以下のマッチングサイトで探せます。
みんなの0円物件:
- 公式サイト
- 2019年7月開設以来1,136件掲載、9割がマッチング成功
- 山林・田畑・宅地等が0円で提供
全国0円不動産:
- 公式サイト
- 司法書士運営で安全・安心なサービス
- 全国の無償譲渡物件を掲載
ジモティー:
- 地域密着型のマッチングサイト
- 土地以外の不用品も掲載
訳あり物件の可能性(立地・形状・環境問題)
AlbaLinkの解説によると、無償譲渡の土地には以下のリスクがあります。
- 立地が悪い: 駅から遠い、交通不便、過疎地域
- 形状がいびつ: 狭小地、不整形地、接道義務を満たさない
- 環境問題: 騒音・悪臭・日照不良・近隣トラブル
- 法的制限: 市街化調整区域、建築制限、農地法の制限
無償譲渡の背景を理解し、現地確認を徹底することが重要です。
自治体への譲渡の難しさ
グリーン司法書士法人によると、自治体への土地寄附は活用予定がなければ受け入れ困難な場合が多いです。
理由:
- 税収減少: 固定資産税が入らなくなる
- 管理コスト増加: 草刈り・維持管理の費用負担
- 活用計画の不在: 公共施設や道路の予定がなければ受け入れない
一部の地方自治体は人口対策として移住者に町有地を無償譲渡していますが、一般の土地寄附は難しいのが現状です。
無償譲渡の注意点とトラブル防止策|瑕疵担保責任・境界確認
瑕疵担保責任(譲渡後も責任を問われる可能性)
瑕疵担保責任とは、譲渡した土地に問題があった場合、譲渡者が責任を問われる可能性がある制度です。
以下のケースで責任を問われる可能性があります。
- 土壌汚染: 有害物質が埋まっていた
- 埋設物: 地中に産業廃棄物・コンクリートガラ等が埋まっていた
- 境界未確定: 隣地との境界が不明確でトラブルが発生
契約書に「瑕疵担保責任を負わない」旨を明記することで、リスクを軽減できます。ただし、隠れた瑕疵(故意に隠した問題)には責任を負う可能性があるため、正直に情報開示することが重要です。
境界未確定のリスク
境界が未確定の土地は、以下のトラブルが発生する可能性があります。
- 隣地所有者とのトラブル: 境界線を巡る争い
- 建築不可: 境界が不明確なため建築確認が下りない
- 売却困難: 将来売却する際に測量費用が発生
測量による境界明確化(費用数十万円)を事前に実施することを推奨します。
土壌汚染等の隠れた負債
土壌汚染調査(Phase I調査:数十万円、Phase II調査:数百万円)を実施し、以下の問題がないか確認しましょう。
- 有害物質: 鉛・ヒ素・六価クロム等
- 産業廃棄物: 過去に工場があった土地は要注意
- 地盤沈下: 軟弱地盤・埋立地は注意
専門家への相談(司法書士・土地家屋調査士)
手続きが複雑な場合は、以下の専門家への相談を推奨します。
- 司法書士: 登記手続き・契約書作成
- 行政書士: 契約書作成・重要事項説明書
- 土地家屋調査士: 測量・境界確定
- 税理士: 贈与税・不動産取得税の計算
まとめ:状況別の選択肢と専門家相談の重要性
土地の無償譲渡は、贈与税・不動産取得税・登録免許税・固定資産税が発生する可能性があります。贈与税の基礎控除は年間110万円で、評価額110万円超の土地は課税対象です。
無償譲渡物件は「みんなの0円物件」「全国0円不動産」等のマッチングサイトで探せますが、訳あり物件の可能性(立地・形状・環境問題)があるため、現地確認を徹底してください。
契約書・重要事項説明書の作成、測量による境界明確化、登記手続きが必要です。手続きが複雑な場合は、司法書士・行政書士・土地家屋調査士への相談を推奨します。
瑕疵担保責任や境界未確定のリスクを理解し、専門家に相談しながら慎重に判断してください。


