土地の境界線は市役所で確認できる?調査方法と必要書類を解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/12

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土地の境界線を確認する必要がある場面とは

土地の境界線を調べたい際、「市役所で確認できるのか」「どこに行けばいいのか」と悩む方は少なくありません。

この記事では、市役所・法務局での境界線確認方法、筆界特定制度、土地家屋調査士への依頼方法を、法務省の筆界特定制度国土交通省の地籍整備の公式情報を元に解説します。

境界線の確認方法を理解することで、売却前の準備、相続手続き、隣地とのトラブル防止に備えられるようになります。

この記事のポイント

  • 市道との境界(官民境界)は市役所の道路管理課等で確認可能、民民境界(隣地との境界)は法務局や土地家屋調査士に依頼
  • 法務局で登記事項証明書や地積測量図を取得することで、土地の境界や面積の基本情報を確認できる
  • 地籍調査が実施済みの土地は、市区町村役所で地籍調査の成果図面を入手でき、境界線を正確に確認できる
  • 境界トラブルが発生した場合、法務局の「筆界特定制度」を利用すれば裁判なしで境界を特定できる
  • 土地家屋調査士は境界確定の専門家で、測量から隣接地主との立会い調整まで一貫して依頼できる

(1) 売却前の境界確認(トラブル防止)

土地を売却する際、境界が不明確だと買主とのトラブルに発展する可能性があります。売却前に境界を明確にしておくことで、スムーズな取引が可能になります。

(2) 相続手続き(分筆・境界明示)

相続した土地を分筆(1つの土地を複数に分ける)する際や、相続人間で土地を分ける際には、境界の確認が必須です。

(3) 隣地とのトラブル発生時

隣地とのフェンス設置や建物の建築時に境界が問題になる場合があります。早期に境界を確認することで、トラブルの拡大を防げます。

市役所で確認できる境界線:市道との境界(官民境界)

市役所では、**市道との境界線(官民境界)**を確認できます。民民境界(隣地との境界)は確認できないため注意が必要です。

(1) 道路管理課・建築指導課での境界確認

市役所の道路管理課や建築指導課では、市道との境界線を確認できます。境界確認申請を提出すると、市役所の職員が現地で境界を明示してくれます。

尾張旭市の例では、毎週木曜日に原則として境界確認を実施しています(自治体により異なる)。

(2) 境界確認申請の手続きと必要書類

市役所での境界確認申請には、一般的に以下の書類が必要です。

  • 境界確認申請書(市役所で入手)
  • 公図の写し(法務局で取得)
  • 地積測量図(ある場合)
  • 土地の登記事項証明書

必要書類は自治体により異なるため、事前に市役所に問い合わせて確認しましょう。

(3) 国道・県道との境界は国・県に問い合わせ

国道との境界は国道事務所、県道との境界は都道府県庁の道路管理課に問い合わせて確認します。市役所では対応できないため、注意が必要です。

法務局で確認できる境界線:登記事項証明書と地積測量図

法務局では、土地の登記情報や地積測量図を取得することで、境界の基本情報を確認できます。

(1) 登記事項証明書の取得方法

登記事項証明書は、土地の所有者、地目(宅地・農地等)、地積(面積)などが記載された公的書類です。法務局の窓口またはオンライン(登記情報提供サービス)で取得できます。

登記事項証明書には境界の詳細は記載されていませんが、隣接する土地の地番を確認でき、隣地の所有者を調べる際に役立ちます。

(2) 地積測量図とは(土地の面積・境界を示す図面)

地積測量図は、土地の面積を測量した結果を示す図面です。境界点の座標や距離が記載されており、境界の位置を確認する際の重要な資料となります。

ただし、古い土地の場合、地積測量図が存在しない場合があります。また、測量図が古い場合、現実の境界と異なる可能性があるため、必ず現地確認と最新情報の照合が必要です。

法務局で地積測量図の有無を確認し、ある場合は取得しましょう(手数料:450円程度)。

(3) 地籍調査が実施済みの土地は市区町村で成果図面入手可能

地籍調査とは、国土調査法に基づき、市町村が主体となって実施する土地の境界・面積の測量調査です。国土交通省の地籍整備によると、2023年度末時点で全国進捗率は53%に到達しています。

地籍調査が実施済みの土地は、市区町村役所で地籍調査の成果図面を入手でき、境界線を正確に確認できます。自分の土地が地籍調査済みかどうかは、市区町村の担当課(都市計画課等)に問い合わせて確認できます。

境界トラブルを解決する「筆界特定制度」とは

隣地との境界でトラブルが発生した場合、法務局の「筆界特定制度」を利用することで、裁判なしで境界を特定できます。

(1) 筆界特定制度の仕組み(法務局による公的判断)

筆界特定制度は、法務局が筆界調査委員(土地家屋調査士、弁護士等の専門家)の意見を踏まえて、土地の境界(筆界)を公的に特定する制度です。

筆界とは、登記された土地の境界線で、隣接する土地の所有者同士の合意では変更できない公的な境界です(所有権界とは異なる)。

(2) 利用のメリット(裁判より費用・時間を抑える)

筆界特定制度のメリットは以下の通りです。

項目 筆界特定制度 訴訟
費用 数万円〜20万円程度 数十万円〜数百万円
期間 半年〜1年程度 1年〜数年
専門性 土地家屋調査士等の専門家が関与 裁判所の判断

筆界特定制度は、裁判より費用・時間を抑えて境界トラブルを解決できる点が魅力です。

(3) 筆界と所有権界の違い

筆界は登記上の境界で、隣接地主の合意では変更できません。一方、所有権界は土地の所有権の及ぶ範囲の境界で、隣接地主の合意で変更可能です。

筆界特定制度は筆界のみを対象とし、所有権界の紛争には対応していません。所有権界の紛争は、ADR境界問題相談センターや訴訟で解決する必要があります。

土地家屋調査士への依頼:境界確定測量の流れと費用

境界を正式に確定させたい場合は、土地家屋調査士に境界確定測量を依頼します。

(1) 土地家屋調査士とは(境界確定の専門家)

土地家屋調査士は、土地の境界を明らかにする業務の専門家です。測量、境界立会いの調整、境界杭の設置、登記申請などを一貫して行います。

境界確定は専門知識と隣接地主との調整が必要なため、土地家屋調査士への依頼が推奨されます。

(2) 境界確定測量の流れ(測量→隣接地主立会い→境界杭設置)

境界確定測量の一般的な流れは以下の通りです。

  1. 資料調査: 法務局で公図・地積測量図、市役所で地籍調査資料を取得
  2. 測量: 土地家屋調査士が現地で測量を実施
  3. 隣接地主への連絡: 境界立会いの日程調整
  4. 境界立会い: 隣接地主全員の立会いのもと、境界を確認
  5. 境界杭設置: 合意した境界点に境界杭を設置
  6. 境界確認書作成: 隣接地主全員の署名・捺印を取得
  7. 登記申請: 地積測量図を作成し、法務局に登記申請

(3) 費用相場(土地の形状・面積により変動)

境界確定測量の費用相場は、土地の形状・面積・隣接地の数により大きく異なります。

土地の条件 費用相場
小規模住宅地(100㎡程度、隣接地2〜3筆) 30万円〜50万円
中規模住宅地(200㎡程度、隣接地4〜6筆) 50万円〜80万円
大規模・複雑な土地 100万円以上

費用は土地家屋調査士により異なるため、複数の土地家屋調査士から見積もりを取ることを推奨します。

まとめ:境界線確認の方法を状況に応じて使い分ける

土地の境界線の確認方法は、状況に応じて使い分けることが重要です。市道との境界(官民境界)は市役所の道路管理課等で確認でき、民民境界(隣地との境界)は法務局や土地家屋調査士に依頼する必要があります。

法務局で登記事項証明書や地積測量図を取得することで、土地の境界や面積の基本情報を確認できます。地籍調査が実施済みの土地は、市区町村役所で成果図面を入手できます。

境界トラブルが発生した場合は、法務局の「筆界特定制度」を利用すれば、裁判より費用・時間を抑えて解決できます。境界を正式に確定させたい場合は、土地家屋調査士に境界確定測量を依頼しましょう。

境界確認は早期対応が重要です。売却時や相続時に問題が顕在化する前に、専門家(土地家屋調査士、弁護士等)への相談を推奨します。

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よくある質問

Q1土地の境界線は市役所で調べられる?

A1市道との境界(官民境界)は市役所の道路管理課や建築指導課で確認できます。境界確認申請を提出すると、市役所の職員が現地で境界を明示してくれます。ただし、民民境界(隣地との境界)は市役所では確認できません。法務局で地積測量図を取得するか、土地家屋調査士に測量を依頼する必要があります。国道・県道との境界は、国道事務所や都道府県庁に問い合わせてください。

Q2境界杭がない場合はどうする?

A2まず法務局で地積測量図を取得し、境界の基本情報を確認しましょう。地籍調査が実施済みの土地であれば、市区町村役所で地籍調査の成果図面を入手できます。地積測量図がない、または古い場合は、土地家屋調査士に測量を依頼して、境界を確定し、境界杭を設置することを推奨します。境界杭の設置には隣接地主全員の立会いと合意が必要です。

Q3筆界特定制度とは何?

A3筆界特定制度は、法務局が筆界調査委員(土地家屋調査士、弁護士等の専門家)の意見を踏まえて、土地の境界(筆界)を公的に特定する制度です。境界トラブルが発生した際、裁判より費用・時間を抑えて解決できる点がメリットです。費用は数万円〜20万円程度、期間は半年〜1年程度が目安です。法務局に筆界特定申請書を提出することで利用できます。

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Room Match編集部

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