日本不動産研究所とは?不動産市場調査の権威機関
不動産投資や市場分析を行う際、「どこから信頼できるデータを入手すればいいのか」と悩む方は少なくありません。
この記事では、日本不動産研究所の概要、主な事業内容、公表される各種指数や調査レポートについて、公式サイトの情報を元に解説します。
不動産鑑定評価の信頼できる機関や市場データの活用方法を知ることで、客観的なデータに基づく投資判断が可能になります。
(1) 日本最大の不動産鑑定・調査機関
一般財団法人日本不動産研究所(JREI)は、1959年に設立された日本最大の不動産鑑定・調査機関です。全国各地に拠点を持ち、海外でも事業を展開しています。
主な業務は、不動産鑑定評価、市場調査、コンサルティングであり、各種指数や調査レポートを無料で公開しています。
(2) 本記事で分かること
この記事のポイント
- 日本不動産研究所は1959年設立の一般財団法人で、日本最大の不動産鑑定・調査機関
- 不動研住宅価格指数は首都圏の中古マンション価格動向を示す公的指標(毎月最終火曜日公表)
- 不動産投資家調査は年2回実施され、期待利回りや投資意欲の動向が分かる
- 市街地価格指数、国際不動産価格賃料指数など複数の指数を無料で公開
- 各種レポートは公式サイトから無料で閲覧可能
日本不動産研究所の組織概要と歴史
(1) 設立の経緯(1959年設立)
日本不動産研究所は、1959年(昭和34年)に設立されました。設立の目的は、不動産鑑定評価の専門機関として、客観的で公正な評価を提供することでした。
以来、60年以上にわたり日本の不動産市場の発展に貢献してきました。
(2) 組織の役割と位置づけ(一般財団法人)
日本不動産研究所は一般財団法人として運営されています。公益性の高い組織として、以下の役割を担っています。
- 不動産鑑定評価: 公的機関や民間企業からの依頼による鑑定評価
- 市場調査: 不動産市場の動向を定期的に調査・公表
- 研究・教育: 不動産に関する研究活動と人材育成
(3) 全国・海外の拠点展開
日本不動産研究所は、全国主要都市に拠点を持ち、地域の不動産市場に精通した専門家が在籍しています。また、海外でも事業を展開し、国際的な不動産市場の調査・分析も行っています。
(4) 不動産経済研究所との違い
日本不動産研究所と混同されやすい組織に「不動産経済研究所」があります。両者の違いは以下の通りです。
| 項目 | 日本不動産研究所 | 不動産経済研究所 |
|---|---|---|
| 設立年 | 1959年 | 1964年 |
| 組織形態 | 一般財団法人 | 民間企業 |
| 主な業務 | 不動産鑑定評価、市場調査、コンサルティング | マンション市場調査 |
| 代表的な公表データ | 不動研住宅価格指数、不動産投資家調査 | 新築マンション供給・契約率統計 |
| 業界紙 | なし | 週刊住宅 |
不動産経済研究所は新築マンションの供給・契約率の月次統計に特化しており、マンション市場の動向を把握する際に役立ちます。
日本不動産研究所の主な事業内容
(1) 不動産鑑定評価
不動産鑑定評価は、日本不動産研究所の中核業務です。公的機関や民間企業からの依頼を受け、土地・建物の適正な価格を算定します。
主な鑑定評価の対象は以下の通りです。
- 公共事業用地の取得価格算定
- 企業の資産評価(財務諸表への記載)
- 相続税・贈与税の評価
- 不動産投資の意思決定支援
(2) 市場調査と研究
日本不動産研究所は、不動産市場の動向を定期的に調査し、各種指数やレポートとして公表しています(詳細は後述)。
これらの調査データは、不動産投資家、金融機関、政策立案者など幅広い層に活用されています。
(3) コンサルティング業務
不動産の有効活用、開発計画、投資戦略など、幅広いコンサルティング業務を提供しています。
具体的なサービス内容は以下の通りです。
- 不動産開発プロジェクトの事業性評価
- 不動産ポートフォリオの最適化提案
- 海外不動産投資の市場調査・分析
(4) 教育・研修事業
不動産鑑定士の養成や、不動産業界の人材育成にも取り組んでいます。セミナーや研修プログラムを通じて、専門知識の普及に貢献しています。
日本不動産研究所が公表するデータと指数
日本不動産研究所は、複数の指数を定期的に公表しています。これらは不動産市場の動向を把握する上で非常に重要なデータです。
(1) 不動研住宅価格指数(首都圏の中古マンション価格)
概要: 不動研住宅価格指数は、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の中古マンション価格動向を示す指数です。
特徴:
- 基準: 2000年1月を100ポイント
- 公表頻度: 毎月最終火曜日
- 算出方法: リピートセールス法(同一物件の複数回の取引価格を比較して価格変動率を算出)
最新動向(2024-2025年): 2025年6月の不動研住宅価格指数は134.41(前月比+1.33%)で、18ヶ月連続の上昇を記録しました。首都圏の中古マンション価格は堅調に推移しています。
注意点:
- 対象は首都圏の中古マンションのみで、全国や戸建ては含まれません
- 地域別の詳細データは公式サイトで確認が必要です
(2) 市街地価格指数(六大都市の地価動向)
概要: 市街地価格指数は、日本の主要都市(東京・大阪・名古屋・京都・横浜・神戸の六大都市)の地価動向を示す長期統計です。
特徴:
- 商業地、住宅地、工業地の3用途別に算出
- 半年ごとに公表(3月末・9月末時点)
活用方法: 長期的な地価トレンドを把握できるため、不動産投資の中長期的な戦略立案に役立ちます。
(3) 国際不動産価格賃料指数(世界主要都市の比較)
概要: 世界主要都市のオフィス・住宅・店舗の価格・賃料を比較した指数です。
特徴:
- 東京、ニューヨーク、ロンドン、パリ、香港など主要都市を対象
- 年2回公表
活用方法: 国際的な不動産市場の動向を把握し、グローバルな投資判断に活用できます。
(4) 全国木造建築費指数
概要: 木造建築の建築費動向を示す指数です。
特徴:
- 全国の木造建築費の変動を追跡
- 半年ごとに公表
活用方法: 戸建て住宅の建築コスト推移を把握できるため、建築計画の参考になります。
(5) データの活用方法と注意点
これらの指数は、以下のような場面で活用できます。
- 不動産投資の意思決定: 市場動向を把握し、投資タイミングを判断
- 資産価値の評価: 保有不動産の価値変動を追跡
- 市場分析レポートの作成: 客観的なデータに基づく分析
注意点:
- 各指数は対象範囲・公表時期が異なるため、最新データは公式サイトで確認してください
- 指数はマクロトレンドを示すものであり、個別物件の価格とは異なります
- 投資判断は専門家(不動産鑑定士、ファイナンシャルプランナー等)への相談を推奨します
日本不動産研究所の代表的な調査レポート
(1) 不動産投資家調査(期待利回り・投資意欲)
概要: 不動産投資家調査は、機関投資家等の期待利回りや投資意欲を調査する年2回(4月・10月)の調査です。
調査内容:
- オフィス、住宅、商業施設、物流施設等の用途別期待利回り
- 投資意欲の動向
- 地域別の投資魅力度
最新動向(2024年): 2024年10月調査では、9割以上の機関投資家が引き続き積極的な不動産投資を実施する意向を示しました。期待利回り水準は横ばいまたは低下傾向で、不動産市場への投資需要は引き続き高水準です。
注意点:
- 調査対象は機関投資家であり、個人投資家の実態とは異なる場合があります
(2) オフィス市場研究会(東京・大阪・名古屋の賃料予測)
概要: オフィス市場研究会は、東京・大阪・名古屋の主要オフィスビルの賃料動向を予測するレポートです。
活用方法: オフィスビルへの投資や、企業のオフィス戦略立案に役立ちます。
(3) 2024年の最新調査結果
2024年時点の主な調査結果は以下の通りです。
- 不動産投資家調査: 9割以上が積極的な投資継続を表明
- 不動研住宅価格指数: 18ヶ月連続上昇(2025年6月時点)
- 期待利回り: 横ばいまたは低下傾向
これらのデータは、不動産市場が引き続き堅調であることを示しています。
(4) レポートの閲覧方法
日本不動産研究所の各種レポートは、公式サイトの「公表資料」ページから無料で閲覧できます。
最新データを定期的に確認することで、不動産市場のトレンドを把握できます。
まとめ:日本不動産研究所のデータ活用方法
日本不動産研究所は、1959年設立の一般財団法人で、日本最大の不動産鑑定・調査機関です。不動研住宅価格指数、市街地価格指数、不動産投資家調査など、複数の指数や調査レポートを無料で公開しており、不動産投資や市場分析に欠かせない情報源です。
各指数・レポートは対象範囲・公表時期が異なるため、最新データは公式サイトで確認してください。
(1) 不動産投資や市場分析での活用
日本不動産研究所のデータは、以下のような場面で活用できます。
- 投資タイミングの判断: 不動研住宅価格指数や期待利回りの動向から市場環境を把握
- 地域選定: 市街地価格指数や地域別の投資魅力度から有望エリアを特定
- 国際比較: 国際不動産価格賃料指数で世界市場との比較
(2) 最新データの確認方法
最新の指数・レポートは、日本不動産研究所公式サイトの「公表資料」ページから無料で閲覧できます。
定期的にチェックすることで、市場動向の変化をいち早く察知できます。
(3) 次のアクション(公式サイト・専門家への相談)
不動産投資や鑑定評価の詳細については、日本不動産研究所の公式サイトをご確認いただくか、不動産鑑定士やファイナンシャルプランナーにご相談ください。
客観的なデータに基づく投資判断を行い、リスクを抑えた不動産運用を目指しましょう。
