日本郵政の不動産事業とは?所有物件・売却実績・市場影響を解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/24

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日本郵政の不動産事業とは?

日本郵政グループが保有する不動産資産や、都心の大規模再開発プロジェクトに興味を持つビジネスパーソンや投資家は少なくありません。

この記事では、日本郵政の不動産事業の全体像、主要プロジェクト(JPタワー・KITTE等)、投資計画、市場への影響を、公式資料を元に解説します。

日本郵政グループの不動産戦略を理解し、今後の市場動向を把握できるようになります。

この記事のポイント

  • 日本郵政グループは土地1.5兆円、建物1.2兆円、合計2.7兆円の不動産を保有
  • JPタワー・KITTE・JP noie等のブランドで大型複合ビル・商業施設・賃貸住宅を展開
  • 中期経営計画で2025年度までに5,000億円を不動産に投資予定
  • 2024年度に不動産事業セグメントを新設し、事業柱として明確化
  • 不動産プラットフォーム構築でDXを推進

日本郵政の不動産事業とは?

(1) 日本郵政不動産の設立背景と役割

日本郵政不動産は、2018年に設立された日本郵政グループの不動産事業を担う会社です(従業員数155名、2024年時点)。

本社所在地:東京都千代田区大手町2-3-1 大手町プレイス ウエストタワー24F

日本郵政グループは、郵政民営化(2007年)後、全国に保有する郵便局舎・社宅等の不動産資産を有効活用するため、不動産事業を本格化しました。日本郵政不動産は、この不動産事業の中核を担う会社として設立されました。

(2) 民営化後の不動産戦略の変遷

民営化前(2007年以前)

  • 郵便局舎・社宅は郵政事業の業務用資産
  • 不動産の収益化は限定的

民営化後(2007年〜)

  • 都市部のターミナル駅前の一等地を再開発
  • JPタワー(東京丸の内、2012年)を皮切りに大型複合ビルを建設
  • 商業施設「KITTE」ブランドを展開

現在(2018年〜)

  • 日本郵政不動産を設立し、不動産事業を専門化
  • グループ外不動産への投資を開始(2019年〜)
  • 2024年度に不動産事業セグメントを新設

日本郵政グループが保有する不動産の規模と種類

(1) 2.7兆円の保有不動産の内訳

日本郵政グループは、土地1.5兆円、建物1.2兆円、合計2.7兆円の不動産を保有しています(2024年時点)。

これは国内有数の規模であり、以下のような資産を含みます。

主要資産

  • 都市部のターミナル駅前の一等地(郵便局舎跡地)
  • 全国の郵便局舎・社宅
  • 大型複合ビル(JPタワー、JPビルディング)
  • 商業施設(KITTE)
  • 物流施設、住宅、介護施設、保育施設、ホテル等

(2) 扱う物件種別(オフィス・商業・物流・住宅等)

日本郵政不動産が扱う物件種別は、以下の通りです。

物件種別

種別
オフィス JPタワー、JPビルディング
商業施設 KITTE(東京・博多・大阪)
物流施設 全国の郵便物流施設
住宅 JP noie(賃貸住宅ブランド)
介護施設・保育施設 グループ保有施設
ホテル 再開発プロジェクトに含まれる

(3) 一等地の郵便局跡地・社宅の活用状況

日本郵政グループは、都市部のターミナル駅前に郵便局舎跡地を保有しており、これらを再開発しています。

主要再開発事例

  • 東京丸の内(旧東京中央郵便局)→ JPタワー(2012年竣工)
  • 大阪駅西口(旧梅田三丁目郵便局)→ JPタワー大阪(2024年竣工)
  • 広島駅南口 → 広島JPビルディング
  • 五反田 → 五反田JPビルディング
  • 蔵前 → 蔵前JPテラス

これらの一等地は、オフィス、商業施設、ホテル、住宅を組み合わせた大型複合ビルとして再開発されています。

主要プロジェクト:JPタワー・KITTE・JP noie

(1) JPタワー(東京・名古屋・大阪)の概要

JPタワーは、日本郵政グループが開発する大型複合ビルのブランドです。

主要物件

物件名 所在地 竣工年 特徴
JPタワー 東京都千代田区丸の内 2012年 東京駅直結、38階建て
JPタワー名古屋 愛知県名古屋市中村区 2015年 名古屋駅直結、40階建て
JPタワー大阪 大阪府大阪市北区 2024年 JR大阪駅直結、38階建て

JPタワーは、オフィス・商業施設・文化施設を組み合わせた複合ビルで、地域のランドマークとして機能しています。

(2) KITTE商業施設(東京・博多・名古屋・大阪)の特徴

KITTEは、日本郵政グループが運営する商業施設のブランドです。「切手」と「来て」をかけた名称で、日本の魅力を発信するコンセプトです。

主要施設

施設名 所在地 開業年 特徴
KITTE 東京都千代田区丸の内 2013年 JPタワー内、98店舗
KITTE博多 福岡県福岡市博多区 2016年 JR博多駅直結、76店舗
KITTE名古屋 愛知県名古屋市中村区 2023年 JPタワー名古屋内、約90店舗
KITTE大阪 大阪府大阪市北区 2024年 JPタワー大阪内、114店舗

KITTEは、ファッション、雑貨、飲食店、アンテナショップ等を展開し、地域の魅力を発信しています。

(3) KITTE大阪の最新情報(2024年7月オープン)

KITTE大阪は、2024年7月31日にグランドオープンした最新の商業施設です。

施設概要

  • 所在地:大阪府大阪市北区梅田三丁目2番4号 JPタワー大阪内
  • フロア:地下1階~6階
  • 店舗数:114店舗
  • アクセス:JR大阪駅直結
  • コンセプト:日本各地の魅力が集まる商業施設

特徴

  • 2階に全国のアンテナショップが集結
  • ファッション、雑貨、飲食店、書店等が入居
  • 大阪駅西口の新たなランドマーク

KITTE大阪は、JPタワー大阪の竣工に伴い開業し、大阪駅周辺の商業エリアを活性化しています。

(4) JP noie賃貸住宅とその他の事業

JP noieは、日本郵政グループの賃貸住宅ブランドです。全国の主要都市に展開しており、単身者・ファミリー層向けの住宅を提供しています。

その他、介護施設、保育施設、ホテル等の事業も展開しており、不動産ポートフォリオの多様化を進めています。

不動産事業の戦略と投資計画

(1) 中期経営計画:5,000億円の投資方針

日本郵政グループは、中期経営計画(2025年度まで)で5,000億円を不動産に投資する方針を掲げています。

この投資は、以下の目的で行われます。

投資目的

  • 都市部の大規模再開発プロジェクト
  • グループ外不動産への投資
  • 既存物件のリニューアル・改修
  • 新規事業(物流施設、ホテル等)の開発

(2) グループ外不動産への投資(錦三丁目・中野駅北口等)

日本郵政グループは、2019年からグループ外不動産への投資を開始しました。

主要投資案件

  • 錦三丁目25番街区計画(名古屋):大規模複合ビル開発
  • 中野駅北口計画(東京):駅前再開発プロジェクト

これらは他社主導の大規模開発計画に投資する形で、リスク分散と収益機会の拡大を図っています。

(3) 全国20カ所超の再開発計画

日本郵政グループは、全国20カ所超で再開発計画を進めています。

主要再開発エリア

  • 広島駅南口:広島JPビルディング
  • 蔵前:蔵前JPテラス
  • 虎ノ門・麻布台:大規模複合開発
  • 五反田:五反田JPビルディング
  • 梅田三丁目:JPタワー大阪(2024年竣工)

これらの再開発は、都市部のターミナル駅前を中心に進められており、地域の活性化と収益性の向上を目指しています。

(4) 2024年度の事業セグメント新設の意味

日本郵政グループは、2024年度に不動産事業セグメントを新設しました。

従来の事業セグメント(郵便・物流、郵便局、国際物流、銀行、生命保険)に加え、不動産が6番目の事業柱として明確化されました。

これにより、不動産事業の重要性が高まり、投資家への情報開示も強化されています。

不動産事業のDXと今後の展開

(1) 不動産プラットフォームの構築

日本郵政不動産は、**統合データベース「不動産プラットフォーム」**を構築しています。

このプラットフォームは、全国の不動産情報を一元管理し、スマホと連動して新しい体験価値を提供するシステムです。

(2) スマホ連動の体験価値提供

不動産プラットフォームを活用し、以下のビルでデジタル技術を活用した体験価値を提供しています。

実施ビル

  • 広島JPビルディング
  • 蔵前JPテラス
  • 五反田JPビルディング
  • JPタワー大阪

提供サービス例

  • スマホでのビル内ナビゲーション
  • テナント情報のリアルタイム表示
  • イベント・キャンペーン情報の配信
  • ビジネス情報の提供

(3) 重点課題(地球環境・ウェルネス・地域社会・レジリエンス)

日本郵政不動産は、以下の4つをマテリアリティ(重点課題)として選定しています。

マテリアリティ

課題 取組例
地球環境 省エネ・再エネ導入、CO2削減
ウェルネス 健康増進施設、介護・保育施設
地域社会 地域活性化、文化発信
レジリエンス 災害対策、BCP(事業継続計画)

これらの取組により、持続可能な不動産事業を目指しています。

まとめ:日本郵政不動産の市場影響と展望

日本郵政グループは、2.7兆円の不動産を保有し、国内有数の不動産企業として存在感を高めています。

JPタワー、KITTE、JP noie等のブランドで大型複合ビル・商業施設・賃貸住宅を展開し、都市部のターミナル駅前を中心に再開発を進めています。

中期経営計画で5,000億円を不動産に投資し、グループ外不動産への投資も拡大中です。2024年度には不動産事業セグメントを新設し、事業柱として明確化しました。

不動産プラットフォーム構築によるDX推進、マテリアリティ(地球環境・ウェルネス・地域社会・レジリエンス)への取組により、持続可能な不動産事業を目指しています。

日本郵政グループの不動産戦略は、今後の不動産市場に大きな影響を与える可能性があります。

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よくある質問

Q1日本郵政はどれくらいの不動産を保有している?

A1日本郵政グループは、土地1.5兆円、建物1.2兆円、合計2.7兆円の不動産を保有しています(2024年時点)。都市部のターミナル駅前の一等地(郵便局舎跡地)、全国の郵便局舎・社宅、大型複合ビル(JPタワー、JPビルディング)、商業施設(KITTE)、物流施設、住宅、介護施設、保育施設、ホテル等を含みます。これは国内有数の規模です。

Q2JPタワーとKITTEの違いは?

A2JPタワーは日本郵政グループが開発する大型複合ビルの建物名(ブランド)で、KITTEはその中に入る商業施設のブランドです。例えば、JPタワー大阪(建物)内にKITTE大阪(商業施設)が入居しています。JPタワーはオフィス・商業施設・文化施設を組み合わせた複合ビルで、KITTEはファッション、雑貨、飲食店、アンテナショップ等を展開する商業エリアです。

Q3日本郵政不動産の投資計画は?

A3中期経営計画(2025年度まで)で5,000億円を不動産に投資する方針です。都市部の大規模再開発プロジェクト、グループ外不動産への投資(錦三丁目25番街区計画、中野駅北口計画等)、既存物件のリニューアル・改修、新規事業(物流施設、ホテル等)の開発を進めています。全国20カ所超で再開発計画を実施中です。

Q4KITTE大阪の特徴は?

A42024年7月31日にグランドオープンした最新の商業施設です。大阪府大阪市北区梅田三丁目のJPタワー大阪内にあり、JR大阪駅直結です。地下1階~6階、114店舗が入居しており、2階には全国のアンテナショップが集結しています。ファッション、雑貨、飲食店、書店等が入居し、日本各地の魅力を発信するコンセプトで運営されています。

Q5日本郵政不動産のDXとは?

A5統合データベース「不動産プラットフォーム」を構築し、スマホと連動した新しい体験価値やビジネス情報を提供しています。広島JPビルディング、蔵前JPテラス、五反田JPビルディング、JPタワー大阪等のビルで実施中です。スマホでのビル内ナビゲーション、テナント情報のリアルタイム表示、イベント・キャンペーン情報の配信などのサービスを提供し、デジタル技術を活用した事業変革を進めています。

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Room Match編集部

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