投資用マンションとは?なぜ注目されているのか
給与所得以外の収入源を作りたい、資産形成や節税対策を考えているとき、「投資用マンションは本当に儲かるのか」「リスクはどれくらいあるのか」と悩む方は少なくありません。
この記事では、投資用マンションの基礎知識、利回りの計算方法、エリア・物件選びのポイント、主要リスクと失敗事例を解説します。
初心者の方でも、投資用マンション購入の判断基準を理解し、リスクを踏まえた上で検討できるようになります。
この記事のポイント
- 投資用マンションは家賃収入(インカムゲイン)または売却益(キャピタルゲイン)を目的に購入する物件
- 都心の区分マンションの表面利回りは3-5%、一棟マンションは約8%が相場
- 大都市圏かつ駅から10分以内、新耐震基準(1981年6月以降)を満たす物件を選ぶことが重要
- 最大のリスクは空室リスクで、特に区分マンションは入居者がいないと家賃収入がゼロになる
- 投資にはリスクが伴うため、専門家(ファイナンシャルプランナー、税理士等)への相談を推奨
投資用マンションの基礎知識:居住用との違い・種類・仕組み
(1) 投資用マンションの定義:インカムゲイン・キャピタルゲイン
大和財託の解説によると、投資用マンションは、第三者に賃貸して家賃収入(インカムゲイン)を得る、または売却益(キャピタルゲイン)を得る目的で購入する物件です。
- インカムゲイン:不動産を保有し続けて得られる家賃収入による利益
- キャピタルゲイン:不動産を購入価格より高く売却することで得られる利益
(2) 居住用マンションとの違い:住宅ローン vs 投資用ローン
野村不動産ソリューションズの解説によると、投資用マンションと居住用マンションの主な違いは以下の通りです。
| 項目 | 投資用マンション | 居住用マンション |
|---|---|---|
| 目的 | 第三者に賃貸して家賃収入を得る | 自分が住む |
| ローン | 投資用ローン(金利が高い) | 住宅ローン(金利が低い) |
| 税制優遇 | 減価償却等の経費計上が可能 | 住宅ローン控除等 |
(3) 区分マンションと一棟マンションの違い
投資用マンションには、区分マンション(1戸のみ所有)と一棟マンション(1棟全体を所有)があります。
| 項目 | 区分マンション | 一棟マンション |
|---|---|---|
| 初期費用 | 抑えられる | 大きい |
| 表面利回り | 3-5% | 約8% |
| 空室リスク | 高い(入居者がいないと収入ゼロ) | 低い(複数戸あるため) |
| 管理の手間 | 少ない | 多い |
(4) 2024年の投資用マンション市場動向:首都圏の供給戸数・平均価格
不動産経済研究所の調査によると、2024年上期の首都圏投資用マンション市場は以下の通りです。
- 供給戸数:2,167戸(前年同期比23.2%減)
- 平均価格:3,595万円(前年比13.0%上昇)
- 1㎡単価:135.2万円
価格上昇により供給が絞られており、慎重な購入判断が求められます。
利回りの計算方法と相場:表面利回り・実質利回りの違い
(1) 表面利回りと実質利回りの計算式
利回りには表面利回りと実質利回りがあります。
表面利回り:
表面利回り(%)= 年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100
実質利回り:
実質利回り(%)= (年間家賃収入 - 諸経費)÷ 物件価格 × 100
諸経費には、管理費、修繕積立金、固定資産税、都市計画税、火災保険料等が含まれます。
(2) 区分マンションの利回り相場:都心3-5%
東進の解説によると、都心の区分マンションの表面利回りは3-5%、最低ラインは約**3%**とされています。
(3) 一棟マンションの利回り相場:約8%
同じく東進の解説によると、一棟マンション・一棟アパートの表面利回りは約**8-8.5%**です。
(4) 利回りだけで判断する危険性
不動産投資TIMESの解説によると、利回りの高さだけで物件を選ぶのは危険です。
立地・築年数・管理状態等を総合的に判断する必要があります。
エリア・物件選びのポイント:立地・築年数・新耐震基準の重要性
(1) 大都市圏かつ駅から10分以内を選ぶ理由
不動産投資TIMESの解説によると、大都市圏かつ駅から10分以内のマンションを選ぶことで空室リスクを最小化できます。
賃貸需要が高いエリアを選ぶことが、安定した家賃収入につながります。
(2) 新耐震基準(1981年6月以降)の重要性
新耐震基準(1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物)を満たす物件を選ぶことで、災害リスクを軽減し、長期的な資産価値を維持できます。
(3) ターゲット層(単身者・ファミリー)に応じた選定
物件選びでは、ターゲット層のニーズを確認することが重要です。
- 単身者向け:駅近、コンパクトな間取り(1K、1DK)
- ファミリー向け:広めの間取り(2LDK、3LDK)、教育環境、公園等の周辺施設
(4) 管理状態・修繕計画の確認ポイント
区分マンションの場合、管理状態と長期修繕計画を確認してください。
修繕積立金が不足していると、将来的に大規模修繕ができず、資産価値が下落する可能性があります。
投資用マンションのリスクと失敗事例:空室・金利・修繕・流動性
(1) 最大のリスク:空室リスク(区分は収入ゼロ)
日本財託の解説によると、最重要リスクは空室リスクで、特に区分マンションは入居者がいないと家賃収入がゼロになります。
空室リスクを抑えるには、賃貸需要の高いエリア(駅近、大都市圏)を選ぶことが重要です。
(2) 金利変動リスク:変動金利の返済額増加
変動金利で投資用ローンを組んだ場合、将来の金利上昇により返済額が増加するリスクがあります。
金利上昇を見越した資金計画を立てることが必要です。
(3) 資産劣化リスク:家賃下落・修繕費用
建物や設備は経年劣化するため、家賃下落や入居者募集が困難になる可能性があります。
定期的な修繕費用を考慮した資金計画が不可欠です。
(4) 流動性リスク:売却の難しさ
不動産は株式と異なり流動性が低く、数日で売却することは困難です。
売却タイミングが限られるため、長期保有を前提とした投資が基本です。
(5) 災害リスク:地震・火災への対策
地震・火災等の災害リスクに備えるため、火災保険・地震保険への加入を検討してください。
新耐震基準を満たす物件を選ぶことも重要です。
(6) 2024年税制改正:タワーマンション節税の見直し
野村不動産ソリューションズの解説によると、2024年の税制改正で**「タワーマンション節税」が見直され**、相続税・贈与税の評価額が変更される可能性があります。
最新の税制情報を確認し、税理士への相談を推奨します。
まとめ:投資用マンションで失敗しないための判断基準と専門家への相談
投資用マンションは、家賃収入(インカムゲイン)または売却益(キャピタルゲイン)を目的に購入する物件です。都心の区分マンションの表面利回りは3-5%、一棟マンションは約8%が相場です。
大都市圏かつ駅から10分以内、新耐震基準(1981年6月以降)を満たす物件を選ぶことで、空室リスクを最小化できます。
最大のリスクは空室リスクで、特に区分マンションは入居者がいないと家賃収入がゼロになります。その他、金利変動リスク、資産劣化リスク、流動性リスク、災害リスク等があり、リスク管理が不可欠です。
投資にはリスクが伴います。投資用マンション購入を検討する際は、ファイナンシャルプランナーや税理士等の専門家に相談し、ご自身の資産状況と投資戦略に応じた判断をしてください。
