不要な土地を国に返還する前に知っておきたいこと
管理できない土地を相続した場合の課題
相続した土地の管理ができない、売却も困難、維持費負担が重いといった理由で、「土地を手放したい」と考える方は少なくありません。2023年4月27日から「相続土地国庫帰属制度」が開始され、一定の要件を満たせば土地を国に引き取ってもらうことが可能になりました。
この記事で分かること
この記事では、相続土地国庫帰属制度の概要、申請要件、手続きの流れ、費用を、法務省の公式情報を元に解説します。
この記事のポイント
- 相続土地国庫帰属制度は2023年4月27日から開始、相続人または受遺者が申請可能
- 審査手数料は土地一筆当たり14,000円、負担金は原則20万円(10年分の土地管理費相当額)
- 審査期間は約半年から1年程度、2024年10月時点で約30%が承認(約70%が不承認)
- 建物付き土地、境界不明瞭な土地、崖地、所有権に争いがある土地は申請却下
- 相続登記義務化(2024年4月1日施行)により3年以内に登記しないと10万円以下の過料
相続土地国庫帰属制度とは
制度の概要と開始時期(2023年4月27日施行)
相続土地国庫帰属制度は、相続又は遺贈によって土地を取得した相続人が、法務大臣の承認を得て土地を国に引き取ってもらう制度です。2023年4月27日に施行されました。
制度が創設された背景(所有者不明土地問題)
相続登記がされないことで所有者が不明になった土地が増加し、2017年度の国土交通省調査で20.1%にのぼることが判明しました。この問題を解決するために制度が創設されました。
相続登記義務化との関連
2024年4月1日から相続登記が義務化されました。不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記しないと10万円以下の過料が科されます。
制度の申請要件と対象となる土地
申請できる人(相続人または受遺者)
相続又は遺贈によって土地を取得した相続人が申請できます。売買で取得した土地は対象外です。
却下される土地の要件(建物付き・境界不明瞭・崖地等)
以下の土地は申請が却下されます。
- 建物が建っている土地(事前に解体して更地にする必要あり)
- 境界が不明瞭な土地
- 崖地(勾配30度以上、高さ5m以上)
- 所有権に争いがある土地
- 担保権や使用収益権が設定されている土地
- 通路として使われている土地
- 土壌汚染や地中埋設物がある土地
承認されやすい土地の特徴
宅地や農地は比較的帰属されやすい傾向があります。更地で境界が明確、所有権に争いがない土地が理想です。
2024年10月時点の承認率と傾向
2024年10月時点で申請件数2,850件、帰属件数973件(約30%が承認)です。約70%が不承認のため、審査は厳格です。
申請手続きの流れと必要書類
法務局への相談予約
全国の法務局・地方法務局で相談受付しています。事前に電話で相談予約を行いましょう。
申請書類の準備
申請書、土地の位置図、土地の形状を明らかにする図面、土地の権利関係を証する書類(登記事項証明書等)を準備します。
審査の流れと期間
審査期間は約半年から1年程度を想定しています。法務局が現地調査を行い、要件を満たしているか審査します。
承認後の手続き
承認されたら負担金(原則20万円)を納付し、国庫帰属が完了します。
費用と審査期間
審査手数料(1筆14,000円)
土地一筆当たり14,000円の審査手数料が必要です。収入印紙で納付します。
負担金(原則20万円、森林は面積に応じて算定)
負担金は原則20万円(10年分の土地管理費相当額)です。森林の場合は面積に応じて算定されます。
審査期間(約半年〜1年)
審査期間は約半年から1年程度を想定しています。急ぎの処分には不向きです。
審査不合格でも手数料は返還されないリスク
審査不合格でも審査手数料14,000円は返還されません。事前に法務局で相談し、要件を満たしているか確認しましょう。
まとめ:相続土地国庫帰属制度の活用と注意点
制度利用のメリット・デメリット
メリット:
- 管理できない土地を国に引き取ってもらえる
- 維持費負担から解放される
デメリット:
- 審査が厳格で約70%が不承認
- 費用が高額(審査手数料+負担金で約22万円以上)
- 審査期間が長い(約半年〜1年)
国庫帰属制度以外の選択肢(自治体寄付・隣家売却・空き家バンク等)
- 自治体への寄付
- 隣家への売却
- 空き家バンクへの登録
- 公益法人への寄付(相続税非課税特例あり)
専門家への相談の重要性
相続土地国庫帰属制度の利用は、司法書士等の専門家への相談を推奨します。要件が厳格で却下率が高いため、事前に法務局で相談し、適切な方法を選択しましょう。


