一宮市で土地を購入する理由|エリアの魅力と特徴
愛知県一宮市で土地購入を検討する際、「どのエリアが良いのか」「価格相場はいくらか」「購入時の注意点は何か」と不安に感じる方は少なくありません。
この記事では、一宮市の土地価格相場、エリア別の特徴、購入の流れ、注意点を、一宮市の公式データや国土交通省の地価公示を元に解説します。
初めて土地を購入する方でも、エリアの選び方と購入手続きを正確に理解できるようになります。
この記事のポイント
- 一宮市の土地価格相場は2024年時点で25.1万円/坪(6.7万円/m²)で、駅近と郊外で3倍以上の価格差がある
- 市街化調整区域では建築制限があり、昭和45年11月24日以前の既存宅地と以降の新規宅地で建築可否が異なる
- 木曽川・日光川の氾濫リスクがあり、購入前に洪水ハザードマップで浸水想定区域を確認すべき
- 農地を宅地転用する場合は農地法の許可が必要で、無許可転用は罰則(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)の対象
- 2024年公示地価は前年比+3.71%と上昇傾向だが、実取引価格は前年比-8.62%と下落しており、公示地価と実勢価格に乖離がある
(1) 名古屋へのアクセスの良さ
一宮市は、名古屋市から電車で約10分という好立地にあります。JR東海道本線・名鉄名古屋本線が通り、尾張一宮駅・名鉄一宮駅から名古屋駅へ快速で約10分でアクセスできます。
このため、名古屋市内で働く方のベッドタウンとして人気があり、通勤時間を抑えながら広い土地を確保できるメリットがあります。
(2) 生活利便性と住環境
一宮市は、大型商業施設(イオンモール木曽川、アピタ等)、教育施設(小中学校、高校)、医療機関が充実しており、日常生活の利便性が高いエリアです。
人口は約38万人(2024年時点)で、愛知県内では名古屋市・豊田市・岡崎市・豊橋市に次ぐ5番目の規模です。
(3) 他都市との比較(宇都宮市など)
一宮市の土地価格は、同規模の地方都市と比較すると以下のような特徴があります。
- 一宮市: 25.1万円/坪(2024年、SUUMO調べ)
- 宇都宮市: 約30-40万円/坪(2024年、同規模都市として参考)
一宮市は、名古屋へのアクセスが良好なため、都市部に近い割に価格が抑えられている点が魅力です。ただし、駅からの距離やエリアにより価格差が大きいため、購入前に複数の物件を比較検討することが重要です。
一宮市の土地価格相場とエリア別の特徴
一宮市の土地価格は、駅からの距離や周辺環境により大きく変動します。ここでは、2024年時点の価格相場とエリア別の特徴を解説します。
(1) 2024年の土地価格相場(公示地価・実取引価格)
一宮市の土地価格は、以下のように公示地価と実取引価格に乖離があります。
| 価格指標 | 単価(/m²) | 単価(/坪) | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 公示地価(2024年) | 9.9万円 | 32.9万円 | +3.71% |
| 実取引価格(2024年Q1) | 6.7万円 | 22.3万円 | -8.62% |
| SUUMO相場(2024年) | 7.6万円 | 25.1万円 | - |
(出典: tochidai.info、SUUMO)
公示地価は国土交通省が毎年1月1日時点で調査・公表する標準地の価格で、税金の計算や公的評価の基準となります。一方、実取引価格は実際の売買で成立した価格で、市場の需給を反映します。
2024年は公示地価が上昇傾向にある一方、実取引価格は前年比-8.62%と下落しています。これは、公示地価が高めに設定される傾向があること、実取引では値引き交渉が行われることが影響している可能性があります。
(2) 駅別の価格差(尾張一宮駅・萩原駅など)
一宮市内の駅別土地価格は、以下のように大きな差があります。
| 駅名 | 単価(/m²) | 単価(/坪) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 尾張一宮駅・名鉄一宮駅周辺 | 15.9万円 | 52.5万円 | 駅近、商業施設充実、名古屋へのアクセス良好 |
| 萩原駅周辺 | 4.1万円 | 13.5万円 | 郊外、静かな住環境、価格が抑えられる |
(出典: tochidai.info)
駅近エリアは、通勤・通学の利便性が高く、商業施設や医療機関へのアクセスも良好です。一方、郊外エリアは価格が抑えられ、広い土地を確保しやすいメリットがあります。
(3) 価格動向と今後の予測
一宮市の公示地価は、2021年から2024年まで3年連続で上昇しています(ヤマカ木材調べ)。
| 年 | 公示地価(/m²) | 前年比 |
|---|---|---|
| 2021年 | 9.3万円 | - |
| 2022年 | 9.5万円 | +2.2% |
| 2023年 | 9.6万円 | +1.0% |
| 2024年 | 9.9万円 | +3.71% |
全国的に地価が上昇傾向にあり、地方圏でも上昇が見られるため、一宮市も2024年以降も上昇する可能性があります。ただし、実取引価格は前年比-8.62%と下落しているため、公示地価と実勢価格の乖離に注意が必要です。
一宮市の土地選びで確認すべき重要ポイント
一宮市で土地を購入する際、以下のポイントを必ず確認してください。確認漏れがあると、後でトラブルになるリスクが高まります。
(1) 市街化調整区域の確認(既存宅地・新規宅地)
一宮市は、市街化調整区域が多く、旧市街地以外の多くが該当します。市街化調整区域では、原則として建築物の建築が制限されます。
一宮市の公式サイトによると、以下のように建築可否が異なります。
| 土地の種類 | 建築資格 | 対象時期 |
|---|---|---|
| 既存宅地 | 誰でも建築可能 | 昭和45年11月24日以前から宅地として使用 |
| 新規宅地 | 分家要件等の資格が必要 | 昭和45年11月24日以降に宅地化 |
既存宅地の場合、誰でも住宅を建築できます。一方、新規宅地の場合、以下の建築資格が必要です。
- 分家要件: 親の土地を相続した子が住宅を建てる場合(本家との距離制限あり)
- 農家資格: 農業従事者が自己居住用の住宅を建てる場合
購入前に、一宮市役所建築指導課で建築資格を確認することが必須です。建築できないと判明した場合、土地を有効活用できず、大きな損失となります。
(2) 洪水ハザードマップで浸水リスクを確認
一宮市は、木曽川・日光川の氾濫リスクがあり、一宮市の洪水ハザードマップで浸水想定区域を確認すべきです。
ハザードマップでは、以下の情報が確認できます。
- 洪水ハザードマップ: 想定最大規模の降雨(1000年に1回程度)による河川氾濫時の浸水深・浸水区域
- 内水ハザードマップ: 過去の浸水実績に基づく、下水道や排水路の排水能力を超えた場合の浸水区域
浸水リスクが高いエリアでは、以下の対策が必要です。
- 盛土: 土地をかさ上げして浸水を防ぐ(費用: 50-100万円程度)
- 住宅の高床化: 1階部分を高くして浸水を防ぐ
- 洪水保険: 火災保険に水災補償を付帯
購入前にハザードマップを確認し、浸水リスクが高い場合は対策費用も含めて検討することが重要です。
(3) 用途地域と建築制限
用途地域は、都市計画法で定められた、土地の利用目的による区分です。一宮市では、住居系・商業系・工業系など13種類の用途地域があり、それぞれ建築制限が異なります。
一宮市役所建築指導課で、購入予定地の用途地域を確認できます。
用途地域による主な制限は以下の通りです。
| 用途地域 | 建築できる建物 | 建ぺい率 | 容積率 |
|---|---|---|---|
| 第一種低層住居専用地域 | 一戸建て住宅、小規模店舗 | 30-60% | 50-200% |
| 第二種住居地域 | 住宅、店舗、小規模工場 | 60% | 200-400% |
| 商業地域 | 住宅、店舗、事務所、ホテル等 | 80% | 200-1300% |
購入前に用途地域を確認し、希望する建物が建築可能か、建ぺい率・容積率が希望に合うかを確認してください。
(4) 農地転用の許可要件
農地を宅地転用する場合、農地法第4条・5条の許可が必要です。
農地転用の主な要件は以下の通りです。
- 建築面積が土地全体の22%以上: 建物の面積が土地全体の22%未満の場合、許可されない
- 農地区分による制限: 農用地区域内の農地(青地)は原則転用不可、その他の農地(白地)は転用可能
無許可転用は、以下の罰則の対象となります。
- 罰則: 3年以下の懲役または300万円以下の罰金
- 原状回復命令: 転用した農地を元の農地に戻すよう命令される
農地を購入する場合は、必ず農地転用の許可を取得してから購入手続きを進めてください。
(5) 地盤条件の確認
土地の地盤が軟弱な場合、建物を建てる前に地盤改良工事(30-100万円程度)が必要になる可能性があります。
地盤条件は、以下の方法で確認できます。
- 地盤調査報告書: 売主が過去に地盤調査を実施している場合、報告書を確認
- 地盤サポートマップ: ジャパンホームシールド等の地盤調査会社が提供する地盤マップで、周辺の地盤データを確認
- ハザードマップ: 液状化リスクが高いエリアを確認
地盤が軟弱な場合、以下の地盤改良工事が必要です。
| 工法 | 費用目安 | 適用条件 |
|---|---|---|
| 表層改良工法 | 30-50万円 | 軟弱地盤が深さ2m以内 |
| 柱状改良工法 | 50-80万円 | 軟弱地盤が深さ2-8m |
| 鋼管杭工法 | 80-150万円 | 軟弱地盤が深さ8m以上 |
購入前に地盤条件を確認し、地盤改良費用も含めて予算を立てることが重要です。
土地購入の流れと必要な費用・諸経費
土地購入の流れと、初期費用の内訳を解説します。
(1) 土地探しから契約までの流れ
土地購入の一般的な流れは以下の通りです。
- 予算・希望条件の整理: エリア、広さ、予算を決める
- 土地探し: 不動産会社、SUUMO・At Home等のポータルサイトで物件を検索
- 現地見学: 気になる物件の現地を見学し、周辺環境を確認
- 重要事項の確認: 市街化調整区域、用途地域、ハザードマップ等を確認
- 購入申込: 購入意思を示し、価格交渉
- 住宅ローン事前審査: 金融機関で事前審査を受ける(住宅ローン利用の場合)
- 売買契約: 契約書に署名・押印し、手付金を支払う
- 住宅ローン本審査: 金融機関で本審査を受ける
- 残代金決済・引渡し: 残代金を支払い、土地の所有権を取得
(2) 土地購入にかかる初期費用の内訳
土地購入には、土地代金以外に以下の諸費用がかかります。
| 費用項目 | 金額目安 | 支払時期 |
|---|---|---|
| 手付金 | 土地代金の5-10% | 契約時 |
| 仲介手数料 | (土地代金×3%+6万円)×消費税 | 契約時・決済時 |
| 印紙税 | 1-3万円(土地代金により異なる) | 契約時 |
| 登記費用 | 5-15万円(司法書士報酬含む) | 決済時 |
| 不動産取得税 | 固定資産税評価額×3%(軽減あり) | 取得後6か月-1年 |
| 固定資産税・都市計画税 | 日割り計算 | 決済時 |
(3) 諸費用の目安(仲介手数料・登記費用等)
例えば、土地代金2,000万円の場合、諸費用は以下のようになります。
- 仲介手数料: (2,000万円×3%+6万円)×1.1 = 72.6万円
- 印紙税: 1万円
- 登記費用: 10万円
- 不動産取得税: 約30-50万円(軽減措置による)
- 合計: 約113-133万円
諸費用は土地代金の5-10%程度が目安です。住宅ローンを利用する場合、融資手数料・保証料も加算されます。
一宮市の土地購入で注意すべきこと
一宮市で土地を購入する際、以下のリスクに注意してください。
(1) 市街化調整区域の建築制限
市街化調整区域で建築資格がない土地を購入すると、住宅を建てられず、土地を有効活用できません。購入前に必ず建築資格を確認し、不明点は一宮市役所建築指導課に相談してください。
(2) 木曽川・日光川の氾濫リスク
洪水ハザードマップで浸水想定区域を確認し、浸水リスクが高い場合は盛土・高床化・洪水保険等の対策を検討してください。対策費用も含めて予算を立てることが重要です。
(3) 農地転用の罰則リスク
農地を無許可で転用すると、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、原状回復命令の対象となります。必ず農地転用の許可を取得してから購入してください。
(4) 公示地価と実勢価格の乖離
2024年は公示地価が前年比+3.71%と上昇傾向にある一方、実取引価格は前年比-8.62%と下落しています。購入時は、公示地価ではなく実勢価格(実際の売買価格)を基準にし、複数の不動産会社で査定を比較してください。
まとめ|状況別の土地選びアドバイス
一宮市の土地価格は、駅近エリアと郊外エリアで3倍以上の差があります。購入前に市街化調整区域の建築制限、洪水ハザードマップの浸水リスク、用途地域の建築制限を確認し、不明点は専門家に相談することが重要です。
以下、状況別のアドバイスです。
- 通勤・通学を重視: 尾張一宮駅・名鉄一宮駅周辺の駅近エリア(価格高め、利便性良好)
- 広い土地を確保: 郊外エリア(価格抑えられる、静かな住環境)
- 浸水リスクを避ける: ハザードマップで浸水想定区域を確認し、リスクが低いエリアを選ぶ
信頼できる不動産会社や専門家に相談しながら、希望に合った土地を見つけましょう。
