戸建てフルリフォーム費用の相場と内訳・浴室など部位別の費用を解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/17

戸建てフルリフォームとは?建て替えとの違いと検討すべき状況

戸建てのフルリフォームとは、住宅全体を大規模に改修する工事のことです。築20-30年の戸建てに住んでおり、老朽化や家族構成の変化に対応したい場合、フルリフォームは建て替えに比べて費用を抑えながら、思い入れのある家を残せるメリットがあります。

この記事では、フルリフォーム費用の総額・内訳、部位別の相場(浴室、キッチン、外壁等)、補助金制度、費用を抑えるポイントを、国土交通省の住宅リフォーム支援制度や各種メディアのデータを元に解説します。

40-60代の戸建て所有者で、費用の総額・内訳、部位別の相場、補助金の有無を知りたい方に向けて、コスト分析と部位別比較の情報を網羅しています。

この記事のポイント

  • 戸建てフルリフォームの費用相場は500-1,000万円が一般的。内装のみで約500万円、外装含む全面改修で約1,000万円が目安
  • 浴室リフォーム単体の費用は80-200万円が相場。ユニットバス交換は70-110万円、在来工法から半ユニットバスへの変更は50-150万円
  • 2025年は住宅省エネ2025キャンペーンで最大280万円の補助金が利用可能。省エネ・耐震・バリアフリー改修が対象
  • フルリフォームは建て替えの約60-70%の費用で済み、思い入れのある家を残せるメリットがある
  • 解体後に床下腐食・シロアリ被害等が判明し追加費用が発生するケースが多い。予算は見積もりの10-20%の余裕を持つことが重要

(1) フルリフォームの定義(全面リフォーム・スケルトンリフォーム)

**フルリフォーム(全面リフォーム)**とは、住宅全体を大規模に改修する工事のことです。内装・外装・設備・構造補強を含む総合的な改修を指します。

フルリフォームの中でも、スケルトンリフォームは最も大規模な工事です。建物を躯体(骨組み)まで解体し、間取りから全面的に作り直すリフォームで、最も自由度が高い反面、費用も高額になります。

種類 内容 費用相場
全面リフォーム 内装・外装・設備を全体的に改修 500-1,000万円
スケルトンリフォーム 躯体まで解体し、間取りから作り直し 500万円以上

(2) 建て替えとの違い(費用は60-70%、思い入れを残せるメリット)

フルリフォームと建て替えの主な違いは以下の通りです。

項目 フルリフォーム 建て替え
費用 建て替えの約60-70% 全額
工期 3-6ヶ月程度 6-12ヶ月程度
思い入れ 既存の家を残せる 完全に新しい家
間取り変更 構造により制約あり 自由度が高い
固定資産税 大幅に上がらない 新築評価で上がる

フルリフォームは、建て替えに比べて費用を抑えながら、思い入れのある家を残せるメリットがあります。ただし、構造上の制約で間取り変更に限界がある場合もあります。

(3) フルリフォームを検討すべき状況(築20-30年、構造は健全)

以下のような状況では、フルリフォームを検討することをおすすめします。

  • 築20-30年で老朽化が進んでいる: 設備の老朽化、内装の劣化が目立つ
  • 構造は健全: 躯体(柱・梁・基礎)に大きな損傷がない
  • 思い入れのある家を残したい: 建て替えではなく、既存の家を活かしたい
  • 家族構成の変化: 子どもの独立、親との同居など
  • 省エネ・バリアフリー化: 断熱性能の向上、段差解消など

リショップナビによると、築30年以上の戸建てでは、スケルトンリフォーム(躯体まで解体)が推奨されています。耐震補強・断熱改修を含めることで、長期的な安全性を確保できます。

フルリフォーム費用の相場と内訳:内装・外装・スケルトン別

(1) 費用相場の全体像(500-1,000万円が一般的)

リショップナビによると、戸建てフルリフォームの費用相場は以下の通りです。

工事内容 費用相場
内装のみ改修 約500万円
外装含む全面改修 約1,000万円
スケルトンリフォーム 500万円以上

ホームプロによると、最も多い価格帯は「1,001-1,500万円」、次いで「501-1,000万円」「-500万円」となっています。

(2) 内装リフォームの費用(約500万円)

内装リフォームには、以下の工事が含まれます。

項目 費用相場
壁紙張り替え 50-100万円
床材張り替え 80-150万円
建具交換(ドア・窓等) 50-100万円
照明・電気配線更新 30-50万円
給排水管更新 50-100万円

合計で約500万円が目安です。

(3) 外装含む全面改修の費用(約1,000万円)

外装工事を含む全面改修では、以下の費用が追加されます。

項目 費用相場
外壁塗装 80-150万円
屋根塗装・葺き替え 100-200万円
断熱改修 100-200万円
耐震補強 100-200万円

内装リフォーム(約500万円)+ 外装工事(約500万円)で、合計約1,000万円が目安です。

(4) スケルトンリフォームの費用(500万円以上)

スケルトンリフォームは、建物を躯体まで解体し、間取りから全面的に作り直す工事です。最も自由度が高い反面、費用も高額になります。

費用相場: 500万円以上(規模・素材により変動)

含まれる工事:

  • 躯体までの解体
  • 間取り変更
  • 耐震補強
  • 断熱改修
  • 給排水管・電気配線の全面更新
  • 内装・設備の新設

(5) 築年数・面積による費用差

フルリフォーム費用は、築年数・面積により大きく変動します。

築年数 必要工事 費用への影響
築20-30年 設備更新・内装改修 標準
築30-40年 耐震補強・給排水管更新 +100-200万円
築40年以上(旧耐震基準) 大規模な耐震補強 +200-300万円

旧耐震基準(1981年5月以前)の物件は、新耐震基準(1981年6月以降)に適合させるため、大規模な耐震補強が必要になります。

部位別リフォーム費用:浴室・キッチン・外壁など

(1) 浴室リフォームの費用(80-200万円、ユニットバス交換70-110万円)

TOTOによると、戸建て浴室リフォームの費用相場は以下の通りです。

工事内容 費用相場
ユニットバス交換 70-110万円
在来工法から半ユニットバスへの変更 50-150万円
壁・天井交換、扉交換 50万円以下
給湯器交換 20-40万円

中心価格帯: 100-120万円

ユニットバスは、工場で製造したパーツを現場で組み立てる浴室です。防水性が高く、施工期間が短いというメリットがあります。

在来工法は、現場で一から浴室を作る工法です。タイル張り等で自由度が高いですが、施工期間が長く、防水リスクがあります。

半ユニットバスは、浴槽・床・壁下部がユニット、壁上部・天井が在来工法のハイブリッド型です。戸建てで採用されることが多いです。

(2) キッチンリフォームの費用

キッチンリフォームの費用相場は以下の通りです。

工事内容 費用相場
システムキッチン交換(スタンダード) 80-120万円
システムキッチン交換(ハイグレード) 150-300万円
対面キッチンへの変更(間取り変更含む) 200-400万円

(3) 外壁リフォームの費用(100-200万円)

外壁リフォームの費用相場は以下の通りです。

工事内容 費用相場
外壁塗装(30坪) 80-150万円
サイディング張り替え(30坪) 150-250万円
屋根塗装(30坪) 50-100万円
屋根葺き替え(30坪) 100-200万円

(4) 給排水管更新・耐震補強の費用

工事内容 費用相場
給排水管更新(全体) 50-150万円
耐震補強(壁補強・基礎補強) 100-200万円
断熱改修(全体) 100-200万円

(5) メーカー別の価格差(LIXIL、TOTO等を公平に比較)

浴室・キッチン等の設備は、メーカー・グレードにより価格が変動します。

浴室(ユニットバス)の例:

メーカー グレード 価格帯(工事費込み)
LIXIL スタンダード 70-100万円
LIXIL ハイグレード 120-180万円
TOTO スタンダード 80-110万円
TOTO ハイグレード 130-200万円
パナソニック スタンダード 75-105万円
パナソニック ハイグレード 125-190万円

: 上記は目安です。実際の価格は施工業者・工事内容により変動します。複数社から見積もりを取得し、比較検討することを推奨します。

フルリフォームの費用を抑える方法と補助金制度

(1) 費用削減のコツ(優先順位明確化、複数社見積もり、既存設備再利用)

フルリフォームの費用を抑える方法は以下の通りです。

  • 優先順位を明確化: 必須工事(耐震・防水等)と希望工事(デザイン変更等)を分け、予算に応じて調整
  • 複数社見積もり比較: 3社以上から見積もりを取得し、詳細な内訳を比較
  • 既存設備の再利用: 使用可能な設備(建具、照明等)は再利用する
  • 補助金活用: 国・自治体の補助金制度を活用し、実質負担を下げる

(2) 住宅省エネ2025キャンペーン(最大280万円補助)

国土交通省によると、2025年は住宅省エネ2025キャンペーンで最大280万円の補助金が利用可能です。

対象工事:

  • 断熱改修(窓・壁・床・天井)
  • 高効率給湯器の設置
  • 太陽光発電設備の設置

補助額:

  • 最大280万円(工事内容により変動)

申請方法:

  • リフォーム業者が代理申請(個人は直接申請不可)
  • 着工前に申請が必要

(3) 長期優良住宅化リフォーム推進事業

長期優良住宅化リフォーム推進事業は、既存住宅の性能向上(耐震・省エネ・劣化対策等)を行い、長期使用を可能にするリフォームを支援する制度です。

対象工事:

  • 耐震改修
  • 劣化対策(外壁・屋根・給排水管更新等)
  • 省エネ改修

補助額:

  • 上限100-250万円(工事内容により変動)

(4) 子育てグリーン住宅支援事業

子育て世帯向けの補助金制度です。安全対策(事故防止・防犯)リフォームも対象です。

対象世帯:

  • 18歳未満の子どもがいる世帯

対象工事:

  • 省エネ改修
  • 安全対策(手すり設置、防犯ガラス設置等)
  • バリアフリー改修

補助額:

  • 上限30-60万円

(5) 自治体独自の補助金制度

各自治体独自の補助金制度も多数あります。国の補助金と併用できる場合もあり、支援額を拡大できる可能性があります。

確認方法:

  • 各自治体の公式サイトで「住宅リフォーム補助金」を検索
  • リフォーム業者に相談

フルリフォームの注意点と失敗しないためのポイント

(1) 工期・仮住まいの確保(戸建てで4ヶ月以上)

クラフトによると、フルリフォームの工期は以下の通りです。

物件種別 工期
マンション 3ヶ月以上
戸建て 4ヶ月以上

フルリフォームでは、工事中の仮住まいが必須です。仮住まい費用(賃貸住宅の家賃、引っ越し費用等)も予算に含める必要があります。

仮住まい費用の目安:

  • 家賃: 月10-20万円 × 4-6ヶ月 = 40-120万円
  • 引っ越し費用: 往復20-40万円

(2) 解体後の追加費用リスク(床下腐食・シロアリ被害)

フルリフォームでは、解体後に床下の腐食・シロアリ被害等が判明し、追加費用が発生するケースが多いです。

対策:

  • 予算は見積もりの10-20%の余裕を持つ
  • 事前に床下点検を実施し、リスクを把握する

(3) 業者選びのポイント(実績・保証内容・見積もり内訳)

解体窓によると、2020年調査では66%がリフォーム施工品質に不満を感じたとの結果があります。

業者選びのポイント:

  • フルリフォーム実績が豊富(年間10件以上)
  • 詳細な見積もり内訳を提示(材料費・工事費・諸経費を明確に)
  • 保証内容が明確(工事後の保証期間・範囲)
  • 大幅値引きを提示する業者は要注意(手抜き工事のリスク)

(4) デザインと住みやすさのバランス(廊下・収納・生活動線)

デザイン重視で住みやすさを犠牲にする失敗事例が多いです。

よくある失敗例:

  • 廊下を狭くしすぎて、家具搬入が困難
  • 収納不足で、リビングに物が溢れる
  • 生活動線を考慮せず、日常生活が不便

対策:

  • 設計段階で生活動線を十分検討
  • 収納スペースを確保(延床面積の10%以上が目安)
  • 家族全員の意見を反映

(5) よくある失敗事例と対策

失敗事例 対策
見積もりより費用が大幅に増加 複数社見積もり比較、詳細な内訳確認、予算に10-20%の余裕を持つ
施工品質に不満 実績豊富な業者選び、工事中の定期確認、保証内容を明確化
デザイン重視で住みにくい 生活動線・収納を優先、家族全員の意見を反映
工期が大幅に延びた 余裕を持った工期設定、仮住まい期間を長めに確保

まとめ:フルリフォームを成功させるための判断基準

戸建てフルリフォームの費用相場は500-1,000万円が一般的です。内装のみで約500万円、外装含む全面改修で約1,000万円が目安です。浴室リフォーム単体の費用は80-200万円、ユニットバス交換は70-110万円が相場です。

フルリフォームを成功させるためのポイント:

  • 複数社見積もり比較、詳細な内訳を確認
  • 補助金活用で実質負担を下げる(住宅省エネ2025キャンペーン等)
  • 予算は見積もりの10-20%の余裕を持つ(追加費用リスクに備える)
  • 実績豊富な業者を選ぶ(フルリフォーム年間10件以上)
  • デザインと住みやすさのバランスを重視

フルリフォームの判断は、築年数、構造の健全性、予算、家族のライフスタイルなど、複数の要素を総合的に考慮する必要があります。個別の判断は、建築士やリフォーム専門家への相談を推奨します。また、国土交通省の住宅リフォーム支援制度で最新の補助金情報を確認し、申請期限を厳守することが重要です。

よくある質問

Q1戸建てフルリフォームの総額はいくら?

A1500-1,000万円が一般的な相場です。内装のみで約500万円、外装含む全面改修で約1,000万円が目安です。スケルトンリフォームは500万円以上かかります。築年数・劣化状況により変動するため、複数社から見積もりを取得し、比較検討することを推奨します。

Q2浴室リフォームの費用相場は?

A2戸建て浴室リフォームは80-200万円が相場、中心価格帯は100-120万円です。ユニットバス交換は70-110万円、在来工法から半ユニットバスへの変更は50-150万円が目安です。メーカー・グレードにより変動するため、複数社見積もり比較を推奨します。

Q3フルリフォームで使える補助金はある?

A32025年は住宅省エネ2025キャンペーン(最大280万円)、長期優良住宅化リフォーム推進事業、子育てグリーン住宅支援事業等が利用可能です。省エネ・耐震・バリアフリー改修が対象です。各自治体独自の補助金制度も併用できる場合があるため、確認を推奨します。

Q4フルリフォームと建て替えはどちらが得?

A4フルリフォームは建て替えの約60-70%の費用で済み、思い入れのある家を残せるメリットがあります。ただし構造上の制約で間取り変更に限界がある場合もあります。築30年以上で構造が健全なら、耐震補強・断熱改修で20-30年以上住み続けることが可能です。

Q5フルリフォーム費用を抑えるコツは?

A5優先順位を明確化(必須工事・希望工事を分ける)、複数社見積もり比較、既存設備の再利用、補助金活用が有効です。予算は見積もりの10-20%の余裕を持つこと(解体後の追加費用発生リスクに備える)が重要です。詳細な見積もり内訳を確認し、相場と比較してください。

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Room Match編集部

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