戸建ての火災保険が重要な理由
戸建て購入時や保険見直しを検討する際、「火災保険料の相場はいくらなのか」と気になる方は多いでしょう。保険料は構造級別・築年数・所在地・補償内容によって大きく異なります。
この記事では、戸建ての火災保険料の相場、保険料の決定要因、補償内容の選び方、コスト削減のポイントを損害保険料率算出機構や保険会社の公式情報を元に解説します。
この記事のポイント
- 戸建て火災保険料の目安は地震保険込みで年間約5万円(H構造)、地震保険なしなら1.5〜3万円
- 保険料は構造級別(M・T・H構造)、築年数、所在地、補償内容で決まる
- 2024年10月に過去最大の値上げ(平均13%)が実施された
- 5年契約一括払い、免責金額設定、水災補償見直しで保険料を抑えられる
- 複数社見積もり比較と専門家相談を推奨
(1) もらい火でも相手に賠償請求できない失火責任法
日本では失火責任法により、もらい火による火災でも相手に賠償請求できません(故意・重過失の場合を除く)。つまり、隣家の火災で自宅が焼失しても、自分で火災保険に加入していなければ補償を受けられません。
(2) 地震による火災は火災保険では補償されない
地震による火災は火災保険では補償されません。地震保険に別途加入する必要があります。地震リスクの高い地域では特に重要です。
戸建ての火災保険料の相場
(1) 木造戸建て(H構造)の保険料目安
木造戸建て(H構造)の火災保険料は、ソニー損保によると地震保険込みで年間約44,000円が目安です。地震保険なしの場合は年間1.5〜3万円程度です。
| 構造級別 | 地震保険込み | 地震保険なし |
|---|---|---|
| H構造(木造) | 約44,000円/年 | 約15,000〜30,000円/年 |
(2) 省令準耐火・ツーバイフォー(T構造)の保険料目安
省令準耐火建物やツーバイフォー(2×4)工法の戸建ては、T構造に分類され、H構造より保険料が安くなります。
| 構造級別 | 地震保険込み | 地震保険なし |
|---|---|---|
| T構造(耐火) | 約30,000円/年 | 約10,000〜20,000円/年 |
(3) 地震保険込みの総額イメージ
地震保険は火災保険金額の30〜50%の範囲で設定でき、保険料は所在地により異なります。地震リスクの高い地域(東京・神奈川・静岡等)では保険料が高くなります。
(4) 2024年10月の値上げの影響
SOMPOダイレクトによると、2024年10月に過去最大の値上げ(全国平均13%)が実施されました。地域・構造によっては20%以上の値上げケースもあります。
2015年に10年契約した人は2025年に一斉更新となり、2倍近い値上げになるケースも想定されます。
火災保険料の決定要因
(1) 構造級別(M・T・H構造)の違い
火災保険料は建物の耐火性能による構造級別で決まります。保険市場によると、M構造(マンション)→ T構造(耐火)→ H構造(非耐火)の順で保険料が高くなります。
| 構造級別 | 該当する建物 |
|---|---|
| M構造 | マンション(共同住宅) |
| T構造 | コンクリート造、鉄骨造、準耐火建築物、省令準耐火建物 |
| H構造 | 上記に該当しない木造住宅 |
木造でも省令準耐火建物やツーバイフォー工法ならT構造扱いになり、保険料を抑えられます。構造級別は建築確認申請書第四面で「耐火・準耐火」の記載を確認できます。
(2) 築年数(築20年超えで保険料上昇)
築年数も保険料に影響します。築20年を超えると大幅に上がる傾向があります(2019年以降の料率改定)。
(3) 所在地(水災リスクの細分化)
2024年10月改定で水災リスクの細分化が導入され、市区町村別に1〜5等地で保険料率が異なります(最大1.2倍差)。ハザードマップで水災リスクを確認することが重要です。
(4) 補償内容と保険金額
補償範囲(火災・風災・水災・盗難等)、保険金額(建物・家財)によって保険料が変わります。必要な補償を選択することで、適正な保険料に抑えられます。
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補償内容の選び方
(1) 補償対象(建物・家財の選択)
SOMPOダイレクトによると、補償対象は「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財」から選択できます。戸建ての場合は建物+家財を選択するのが一般的です。
(2) 補償範囲(火災・風災・水災・盗難等)
火災保険の基本補償は火災・落雷・破裂・爆発です。以下のオプション補償を追加できます。
| 補償 | 対象となる事故例 |
|---|---|
| 風災 | 台風・竜巻・雪災による損害 |
| 水災 | 洪水・土砂崩れによる損害 |
| 盗難 | 家財の盗難 |
| 破損・汚損 | 不測の事故による損害 |
ハザードマップで水災リスクを確認し、低リスク地域では水災補償を外すことで保険料を抑えられます。
(3) 地震保険の必要性
地震による火災は火災保険では補償されないため、地震保険に別途加入が必要です。地震保険は火災保険金額の30〜50%の範囲で設定できます。地震リスクの高い地域では特に重要です。
(4) 保険金額の設定方法
保険金額は建物の再調達価額(同等の建物を再建築するのに必要な金額)を基準に設定します。過不足なく設定することで、適正な補償と保険料を実現できます。
火災保険料を抑えるポイント
(1) 免責金額の設定
免責金額(自己負担額)を設定すると保険料が安くなります。免責金額は1万円・3万円・5万円・10万円等から選択できます。
| 免責金額 | 保険料への影響 |
|---|---|
| 0円 | 保険料が最も高い |
| 1万円 | 保険料が5〜10%削減 |
| 5万円 | 保険料が10〜20%削減 |
小さな損害は自己負担し、大きな損害のみ保険でカバーする方針なら、免責金額を設定することで保険料を抑えられます。
(2) 長期契約(5年一括払い)
5年契約一括払いにすると、1年契約を5回更新するより保険料総額が安くなります。2024年改定後は長期契約のメリットが大きくなっています。
(3) 水災補償の見直し(ハザードマップ確認)
国土交通省のハザードマップポータルサイトで水災リスクを確認し、低リスク地域では水災補償を外すことで保険料を抑えられます。
(4) 複数社の見積もり比較
保険会社によって保険料・補償内容が異なるため、複数社の見積もりを比較することが重要です。保険代理店やファイナンシャルプランナーに相談することで、最適なプランを見つけられます。
まとめ:ケース別の選び方チェックリスト
戸建ての火災保険料は、地震保険込みで年間約5万円(H構造)、地震保険なしなら1.5〜3万円が目安です。保険料は構造級別・築年数・所在地・補償内容で大きく異なります。
2024年10月に過去最大の値上げ(平均13%)が実施されたため、長期契約一括払い、免責金額設定、水災補償見直し、複数社見積もり比較でコストを抑えることが重要です。
保険選びは複雑なため、保険代理店やファイナンシャルプランナー等の専門家への相談を推奨します。ハザードマップで水災リスクを確認し、適切な補償内容を選択しましょう。
