超高層マンション・超高層ビルとは何か
超高層マンション(タワーマンション)の購入を検討する際、「何階以上が超高層なのか」「超高層ビルとの違いは何か」「メリットとデメリットは何か」と疑問に感じる方は少なくありません。眺望やセキュリティの高さが魅力の一方、管理費や地震リスクを十分に理解しないまま購入すると、想定外の負担が発生する可能性があります。
この記事では、超高層マンションと超高層ビルの定義と違い、居住のメリット・デメリット、耐震性、資産価値を、2024年最新のデータを元に解説します。
初めて超高層マンション購入を検討する方でも、基礎知識を理解し、自分に合った物件選びができるようになります。
この記事のポイント
- 超高層マンションは高さ60m以上・20階建て以上の居住用集合住宅
- メリット:優れた眺望、充実した共用施設、高いセキュリティ
- デメリット:管理費が高額、エレベーター待ち、長周期地震動リスク
- 新耐震基準で震度6-7でも倒壊しない構造だが、家具転倒リスクあり
- 2024年は契約率48.3%と低迷、タワマン増加で希少性が低下
1. 超高層マンションと超高層ビルの定義と違い
(1) 超高層建築の定義(高さ60m以上・20階建て以上)
超高層建築とは、一般的に高さ60m以上または20階建て以上の建築物を指します。法的な明確な定義はありませんが、業界ではこの基準が広く使われています。
(2) 超高層マンション(タワーマンション):居住用途
**超高層マンション(タワーマンション)**は、居住用途の超高層建築物です。住宅として設計され、共用施設(ラウンジ、ジム、コンシェルジュ等)が充実しているのが特徴です。
(3) 超高層ビル:業務用・複合用途
超高層ビルは、業務用(オフィス)や複合用途(オフィス+商業施設+ホテル等)の超高層建築物です。住宅部分を含む場合もありますが、主な用途は業務や商業です。
(4) 日本最高層の建築物(麻布台ヒルズ森JPタワー64階・325.49m)
日本最高層の建築物は麻布台ヒルズ森JPタワーで、64階・325.49mです(Wikipedia 2024年データ)。
2. 超高層マンションのメリット
(1) 優れた眺望(ランドマークが見える、夜景が美しい)
超高層マンションの最大のメリットは優れた眺望です。東京タワー、スカイツリー等のランドマークが見える物件は資産価値が高く、夜景も美しいため、居住満足度が向上します。
(2) 充実した共用施設(ラウンジ、ジム、コンシェルジュ等)
多くの超高層マンションには、以下の共用施設が設置されています。
- ラウンジ: 来客対応や読書スペース
- ジム: フィットネス設備
- コンシェルジュ: 宅配・クリーニング・レストラン予約等のサービス
- ゲストルーム: 来客用の宿泊施設
(3) 高いセキュリティ(24時間有人管理、オートロック)
24時間有人管理とオートロックにより、セキュリティが高く、安心して生活できます。
(4) 虫が少ない(高層階は蚊・ハエ等の侵入が少ない)
高層階は蚊・ハエ等の侵入が少ないため、虫が苦手な方に適しています。
(5) 駅直結・複数路線利用可能な立地
超高層マンションは駅直結や複数路線利用可能な立地に建てられることが多く、通勤・通学に便利です。
3. 超高層マンションのデメリットと注意点
(1) 管理費・修繕積立金が高額(一般マンションより高い)
超高層マンションは、管理費・修繕積立金が一般マンションより高額です。高性能設備(高速エレベーター、共用施設等)の維持管理費用がかかるためです。将来的な値上がりリスクもあるため、長期修繕計画を確認してください。
(2) エレベーター待ち時間(朝の通勤時間帯に5-10分程度)
朝の通勤時間帯は、エレベーター待ち時間が5-10分程度かかる場合があります。階段での移動は現実的ではないため、時間に余裕を持った行動が必要です。
(3) 洗濯物の外干し禁止(高層階は風による落下リスク)
多くの超高層マンションでは、高層階での洗濯物の外干しが禁止されています。風による落下リスクがあるためです。浴室乾燥機や乾燥機の利用が前提となります。
(4) 管理組合運営の難しさ(低層階と高層階の価格差による格差問題)
超高層マンションでは、低層階と高層階で価格差が大きいため、管理組合運営で格差問題が発生する場合があります。修繕費用の負担割合等で意見が分かれやすいです。
(5) 将来的な眺望の変化リスク(周辺に新たな高層ビル建設の可能性)
周辺の空き地に将来的に高層ビルが建つと、眺望が遮られるリスクがあります。購入前に周辺の開発計画を確認してください。
4. 超高層マンションの耐震性と地震対策
(1) 新耐震基準(1981年以降、震度6-7でも倒壊しない構造)
1981年以降の新耐震基準で建てられた超高層マンションは、震度6-7でも倒壊しない構造です。倒壊リスクは非常に低いと言えます。
(2) 耐震・制震・免震の3種類の構造
超高層マンションには、以下の3種類の構造があります。
| 構造 | 特徴 |
|---|---|
| 耐震 | 建物自体を強固にする構造 |
| 制震 | ダンパー等で揺れを吸収する構造 |
| 免震 | 建物と地面の間にゴム層等を設けて揺れを伝えにくくする構造 |
免震構造が最も揺れを抑えられますが、コストが高いため、制震・耐震構造が一般的です。
(3) 長周期地震動のリスク(大きな揺れが長時間続く)
超高層マンションは、長周期地震動により大きな揺れが長時間続くリスクがあります。固有周期が長いため、地震の揺れと共振しやすいためです。
(4) 地震時のエレベーター停止と高層難民リスク
地震時にはエレベーターが停止し、「高層難民」となる可能性があります。非常用電源は約72時間ですが、復旧まで階段での移動が必要です。
(5) 家具転倒対策の重要性(高層階は揺れが大きい)
高層階は揺れが大きいため、家具転倒対策が重要です。突っ張り棒や転倒防止グッズを活用してください。
5. 超高層マンションの資産価値と市場動向
(1) 2024年の契約率48.3%(2023年の92.7%から大幅低下)
2024年4月のタワーマンション契約率は**48.3%**で、2023年4月の92.7%から大幅に低下しています(ダイヤモンド不動産研究所2024年データ)。タワマン増加により、「タワマン」という名前だけでは売れない時代になっています。
(2) 全国で321棟・約11.2万戸が竣工予定(首都圏が73.5%)
2024年以降に竣工予定の超高層マンションは、全国で321棟・約11.2万戸です。首都圏が194棟・8.2万戸で73.5%を占めています(不動産経済研究所2024年データ)。
(3) タワマン増加で希少性低下
超高層マンションの供給増加により、希少性が低下しています。資産価値を維持するには、立地と眺望が重要です。
(4) 資産価値を維持するポイント(駅直結、ランドマーク眺望、立地)
資産価値を維持するポイントは以下の通りです。
- 駅直結・複数路線利用可能な立地
- ランドマーク(東京タワー、スカイツリー等)が見える眺望
- 再開発エリアや商業施設が集積しているエリア
(5) 低層階戦略(価格を抑えつつ共用施設を享受)
低層階を選ぶことで、価格を抑えつつ共用施設を享受できます。眺望にこだわらない場合は、低層階戦略も選択肢です。
6. まとめ:超高層マンション購入時のチェックポイント
超高層マンション(タワーマンション)は、高さ60m以上・20階建て以上の居住用集合住宅で、優れた眺望、充実した共用施設、高いセキュリティがメリットです。一方、管理費が高額、エレベーター待ち、長周期地震動リスクがデメリットとして挙げられます。
新耐震基準で震度6-7でも倒壊しない構造ですが、地震時のエレベーター停止や家具転倒リスクには注意が必要です。2024年は契約率が48.3%と低迷しており、タワマン増加で希少性が低下しています。
購入時は、駅直結・ランドマーク眺望・立地を重視し、管理費・修繕積立金の将来的な値上がりリスク、長期修繕計画を必ず確認してください。専門家(不動産業者、建築士)に相談しながら、自分に合った物件を選びましょう。
