御殿山・島津山エリアとは?城南五山の高級住宅街の魅力
「御殿山や島津山のマンションに興味があるけれど、価格相場やエリアの特徴がよくわからない」とお悩みではないでしょうか。
この記事では、御殿山・島津山エリアの歴史、マンション価格相場、住環境のメリット・デメリット、物件選びのチェックポイントを詳しく解説します。記事は不動産情報サイトやメディアの最新データ(2024年12月時点)を元に作成しています。
高級住宅街としての魅力と、実際の暮らしやすさを正しく理解した上で、ご自身に合った物件を選べるようになります。
この記事のポイント
- 御殿山・島津山は城南五山の一つで、江戸時代から由緒ある高級住宅街
- マンション価格相場は2,560万円~7億円以上と幅広く、2021-2024年は坪単価+17.56%上昇
- 静か・緑豊か・治安良好が魅力だが、駅から遠く坂道が多い・買い物不便というデメリットもある
- 駅距離・坂道・買い物施設・夜間の防犯を事前に現地確認することが重要
(1) 城南五山の定義と5つの山の位置関係
城南五山(じょうなんござん)とは、東京都品川区・目黒区にある5つの高台の総称です。具体的には以下の5つを指します。
| 山の名称 | 所在地 | 特徴 |
|---|---|---|
| 池田山 | 品川区東五反田5丁目 | 岡山藩主・池田家の下屋敷があった |
| 御殿山 | 品川区北品川3-5丁目 | 徳川家康の品川御殿があった |
| 島津山 | 品川区東五反田1丁目 | 薩摩藩主・島津家の下屋敷があった |
| 花房山 | 品川区上大崎3丁目 | 旗本・花房家の屋敷があった |
| 八つ山 | 品川区北品川1丁目 | 8つの谷があったことが由来 |
目黒駅と品川駅の間に位置し、江戸時代から大名屋敷や華族の邸宅が建ち並ぶ由緒あるエリアとして知られています。
(2) 御殿山の由来(徳川家康の品川御殿)と島津山の由来(薩摩藩主・島津家)
御殿山の名前は、徳川家康が品川に建てた「品川御殿」があったことに由来します。江戸時代には花見の名所として知られ、徳川吉宗の時代に桜の植林が進められました。第二次世界大戦後はソニー本社が進出し、2007年まで「ソニー村」と呼ばれていましたが、現在は再開発により高級マンションが建ち並んでいます。
島津山の名前は、薩摩藩主・島津家の下屋敷があったことに由来します。御殿山と隣接しており、同じく城南五山の一角として閑静な住環境を保っています。
どちらも歴史的背景があり、現在も第一種住宅専用地域として住環境が厳格に保護されています。
御殿山・島津山の基礎知識:歴史と立地の特徴
(1) 江戸時代からの歴史(花見の名所・大名屋敷・華族の邸宅)
御殿山は江戸時代、花見の名所として多くの人々に親しまれました。徳川吉宗の享保年間(1716-1736年)には桜の植林が進められ、庶民の行楽地として賑わいました。
明治時代以降、大名屋敷や華族の邸宅が建ち並び、高級住宅街としての地位を確立しました。戦後はソニー本社が進出し、2007年まで「ソニー村」と呼ばれていましたが、ソニー移転後は高級マンションが建設され、再び高級住宅街としての性格を強めています。
(2) 第一種住宅専用地域と住環境保護
御殿山・島津山エリアは、都市計画法に基づく第一種住宅専用地域に指定されています。これは低層住宅のための地域で、住環境保護のため以下のような厳しい建築制限があります。
- 建物の高さ制限:10mまたは12m以下(2-3階建て程度)
- 建築可能な建物:住宅、小規模な店舗・事務所のみ
- 商業施設・娯楽施設の制限:大型店舗・パチンコ店等は建築不可
このため、城南五山の中でも断トツに緑が多く、区画の大きい一戸建てが中心で日当たりも良好です。静かな住環境を重視する方にとって理想的な立地と言えます。
(3) ソニー村から高級住宅街への変遷(2007年まで)
第二次世界大戦後、御殿山にはソニー(当時:東京通信工業)の本社が進出しました。2007年にソニーが品川シーサイドに移転するまで、御殿山一帯は「ソニー村」と呼ばれ、ソニーの研究所や関連施設が集積していました。
ソニー移転後、広大な敷地は再開発され、高級マンションが次々と建設されています。歴史的な高級住宅街の性格を保ちながら、新築のプレミアムマンションが供給されるという、他のエリアにはない特徴があります。
マンション価格相場と資産価値の動向
(1) 価格帯の幅(2,560万円~7億円以上)とプレミアム物件
御殿山・島津山エリアのマンション価格は、物件により大きく異なります。
| 価格帯 | 物件の特徴 |
|---|---|
| 2,560万円~7,118万円 | 築年数が経過した物件、コンパクトな間取り |
| 2億3,800万円~3億4,500万円 | プレミアムマンション(新築・築浅・広い間取り) |
| 7億円以上 | 最高級マンション(眺望・設備・サービスが優れた物件) |
(出典: ノムコム「御殿山の高級マンション・プレミアムマンション一覧」、イエシル「御殿山マンション(7,118万円~:相場価格)の中古マンション購入・売却」)
プレミアムマンションは、ソニー移転後の再開発で建設された新築物件が中心です。立地・設備・サービスが優れており、資産価値の高さが特徴です。
(2) 2021-2024年の価格推移(坪単価300.6万円・前期比+17.56%)
御殿山エリアのマンション価格は、2021-2024年にかけて上昇傾向が続いています。
- 2021-2024年の平均販売価格:坪単価300.6万円
- 前期比:+17.56%上昇
- 51-60㎡の物件:平均4,304.4万円(㎡単価84.8万円)
(出典: イエシル「御殿山マンション(7,118万円~:相場価格)の中古マンション購入・売却」)
資産価値の上昇傾向が続いており、高級住宅街としてのブランド力が価格に反映されています。ただし、個別の物件により価格は大きく異なるため、査定や市場調査が必要です。
(3) 2024年12月時点の平均価格(武蔵野市御殿山8,314万円・㎡単価122万円)
2024年12月時点の武蔵野市御殿山の平均価格は以下の通りです。
- 平均価格:8,314万円
- ㎡単価:122万円
(出典: 東急リバブル「マンション御殿山の購入・売却・賃貸 物件情報」)
この価格は新築・築浅物件を含む平均値です。築年数が経過した物件や、コンパクトな間取りの物件であれば、これより低い価格で購入できる可能性があります。
住環境のメリットとデメリット:実際の暮らしやすさ
(1) メリット(静か・緑豊か・日当たり良好・治安良好・意識の高い住民)
御殿山・島津山エリアの住環境には、以下のようなメリットがあります。
| メリット | 詳細 |
|---|---|
| 静かな環境 | 第一種住宅専用地域で商業施設・娯楽施設が少なく、騒音が少ない |
| 緑豊か | 五山の中でも断トツに緑が多く、公園・街路樹が充実 |
| 日当たり良好 | 高台に位置し、区画の大きい一戸建てが中心で建物が密集していない |
| 治安良好 | 高級住宅街として意識の高い住民が多く、犯罪率が低い |
| 意識の高い住民 | 江戸時代からの由緒あるエリアで、教育水準・マナー意識が高い |
(出典: TOKYO RENT「【御殿山】住んでみたい街 #01」、Precious「品川区の高級住宅街『御殿山』を歩いたら、家族で住みたくなる理由がわかりました」)
都心でありながら、自然に囲まれた静かな環境を重視する方にとって理想的な立地です。
(2) デメリット(駅から遠く坂が多い・夜間の街灯少ない・買い物不便)
一方で、以下のようなデメリットもあります。
| デメリット | 詳細 |
|---|---|
| 駅から遠く坂が多い | 品川・大崎・五反田の3駅徒歩圏内だが、いずれも崖で阻まれており実際は10分以上 |
| 夜間の街灯が少ない | 20時以降は人通りがほとんどなく、暗くて不安に感じる可能性がある |
| 買い物が不便 | 近隣にスーパーが少なく、買い物には坂を上り下りする必要がある |
| 静かすぎる | 人によっては寂しく感じる可能性がある |
(出典: TOKYO RENT「【御殿山】住んでみたい街 #01」)
特に、高齢者や子育て世帯にとっては、駅からの距離と坂道が大きな負担になる可能性があります。車を所有しない場合は、日常生活の不便さを覚悟する必要があります。
(3) 品川・大崎・五反田の3駅徒歩圏内だが崖で阻まれている
御殿山・島津山エリアは、品川駅・大崎駅・五反田駅の3駅が徒歩圏内に見えますが、実際には崖で阻まれており、直線距離は近くても実際の徒歩時間は10分以上かかることが多いです。
特に、品川駅へは坂道を下る必要があり、帰宅時には坂道を登る必要があります。高齢者や子育て世帯は、物件を検討する際に必ず現地を歩いて確認することを推奨します。
物件選びのチェックポイント:駅距離・坂道・生活利便性
(1) 駅からの距離と坂道の確認(高齢者・子育て世帯は要注意)
物件を選ぶ際は、以下のポイントを確認しましょう。
- 駅からの実際の徒歩時間:地図上の直線距離ではなく、実際に歩いてみる
- 坂道の勾配:荷物を持った状態で歩けるか確認
- 雨天時の歩きやすさ:傘をさして歩けるか、滑りやすい箇所はないか
- 夜間の安全性:街灯の有無、人通りの多さ
高齢者や子育て世帯は、日常的な移動が大きな負担になる可能性があるため、慎重に検討する必要があります。
(2) 日常の買い物施設とスーパーへのアクセス
御殿山・島津山エリアは、近隣にスーパーが少ないため、買い物には坂を上り下りする必要があります。
- 最寄りのスーパー:品川駅・大崎駅・五反田駅周辺まで徒歩10分以上
- 坂道の負担:重い荷物を持って坂道を登るのは大変
- ネットスーパー:日常的に利用する必要があるか検討
車を所有しない場合は、ネットスーパーやデリバリーサービスの利用を前提に検討した方が良いでしょう。
(3) 夜間の防犯対策(街灯・人通り)
夜間の防犯面も重要なポイントです。
- 街灯の有無:20時以降は街灯が少なく暗い箇所がある
- 人通りの多さ:20時以降は人通りがほとんどない
- マンションのセキュリティ:オートロック・防犯カメラ・管理人常駐等の確認
特に女性や子育て世帯は、夜間に実際に歩いてみて、安全性を確認することを推奨します。
まとめ:御殿山・島津山エリアのマンション購入の判断基準
御殿山・島津山エリアは、江戸時代から由緒ある高級住宅街で、静かで緑豊か、治安良好という魅力があります。マンション価格は2,560万円~7億円以上と幅広く、2021-2024年は坪単価+17.56%上昇しており、資産価値の高さも特徴です。
一方で、駅から遠く坂道が多い、夜間の街灯が少ない、買い物が不便というデメリットもあります。高齢者や子育て世帯は、駅距離・坂道・買い物施設・夜間の防犯を事前に現地確認することが重要です。
静かな環境と高級住宅街のブランド力を重視する方にとっては理想的な立地ですが、日常生活の利便性を重視する方は、他のエリアも含めて比較検討することを推奨します。信頼できる不動産会社に相談しながら、ご自身のライフスタイルに合った物件を選びましょう。
