戸建て住宅の防犯対策:なぜ今重要なのか
戸建て住宅に住む方や購入を検討している方にとって、防犯対策は見過ごせない重要なテーマです。空き巣や不審者のリスクに備えて、効果的な対策を講じておきたいと考える方は少なくありません。
この記事では、戸建て住宅の防犯リスクと侵入手口のデータ、効果的な防犯設備、場所別の具体的な対策、日常でできる防犯習慣について解説します。警察庁の侵入犯罪統計や政府広報オンラインの情報を参考に、実践的な防犯対策をお伝えします。
この記事のポイント
- 2023年の統計では、戸建ては侵入窃盗の30.5%を占め住宅種別で最多
- 窓からの侵入が7,448件で最も多く、窓の防犯対策が最優先
- 侵入に5分以上かかると約70%の侵入者が諦める
- CP認定製品(防犯建物部品)を複数組み合わせることで効果が高まる
- 日常の施錠習慣や在宅を装う工夫も防犯には重要
戸建てが狙われやすい理由と侵入手口のデータ
戸建て住宅が侵入窃盗のターゲットになりやすい理由と、最新の統計データを確認しましょう。
戸建ては侵入窃盗の30.5%を占める(2023年統計)
2023年の統計によると、侵入窃盗(空き巣等)の発生件数のうち、戸建て住宅は30.5%を占めています。これはマンションや共同住宅よりも高い割合であり、戸建て住宅は侵入者に狙われやすい傾向があります。
戸建てが狙われやすい主な理由は以下のとおりです。
- 侵入経路(窓、勝手口等)が多い
- 周囲から死角になりやすい
- 逃走経路を確保しやすい
窓からの侵入が最多(7,448件)
侵入経路別のデータでは、窓からの侵入が7,448件で最も多く、全体の半数以上を占めています。次いで玄関からの侵入が2,728件となっています。
| 侵入経路 | 件数(2023年) |
|---|---|
| 窓 | 7,448件 |
| 玄関 | 2,728件 |
このデータから、窓の防犯対策を最優先で行うべきであることがわかります。
ガラス破り・無施錠が主な侵入方法
侵入手口としては、ガラス破りが約40%を占めています。また、無施錠(鍵をかけていない状態)からの侵入も多く発生しています。
- ガラス破り:窓ガラスを破って侵入する手口。ドライバーや工具を使用
- 無施錠:ドアや窓の鍵がかかっていない状態を狙う。最も簡単な侵入方法
短時間の外出(ゴミ出し、買い物等)でも必ず施錠する習慣をつけることが重要です。
効果的な防犯設備と対策方法
侵入に5分以上かかると、約70%の侵入者が諦めるというデータがあります。複数の防犯対策を組み合わせて、侵入に時間をかけさせることが効果的です。
CP認定製品(防犯建物部品)の活用
CP認定製品とは、警察庁・国土交通省・経済産業省が認定する、侵入に5分以上耐える性能を持つ建材・部品のことです。2025年10月時点で17種類、3,523製品が認定されています。
新築やリフォーム時には、CP認定製品を採用することで高い防犯性能を確保できます。
防犯ガラス・防犯フィルムで窓を守る
窓からの侵入が最も多いため、窓の防犯対策を優先すべきです。
| 対策 | 特徴 | 費用目安 |
|---|---|---|
| 防犯ガラス | 2枚のガラスに特殊な中間膜を挟んだ構造。破壊に時間がかかる | 数万円〜 |
| 防犯フィルム | 既存ガラスに貼り付け。防犯ガラスより安価 | 数千円〜 |
防犯ガラスはCP認定製品に含まれ、新築時に採用するのが効果的です。既存住宅の場合は、防犯フィルムで後付け対策が可能です。
ディンプルキーと補助錠で玄関を強化
玄関ドアの防犯対策として、以下の方法が効果的です。
- ディンプルキー:表面に複数のくぼみがあり、複製が困難で防犯性が高い
- 補助錠:ドアに追加で設置する鍵。「1ドア2ロック」で侵入に時間をかけさせる
鍵の交換やスマートロックの導入も検討してみましょう。
防犯カメラ・センサーライトの設置
侵入者を威嚇する効果のある設備として、以下があります。
- 防犯カメラ:目立つ場所に設置し、ダミーではなく実際に機能するものを複数台設置。死角をなくすことが重要
- センサーライト:人の動きを感知して自動点灯。夜間の侵入者を光で威嚇する
電子機器は停電時に機能しない可能性があるため、補助錠などのアナログな対策も併用することを推奨します。
場所別の具体的な防犯対策
住宅の場所ごとに、具体的な防犯対策を見ていきましょう。
窓の防犯対策(補助錠、防犯フィルム)
窓は最も侵入されやすい場所です。以下の対策を組み合わせて実施しましょう。
- 窓用補助錠の設置(上下に2つ設置が効果的)
- 防犯フィルムの貼り付け
- 窓用センサーアラームの設置
- クレセント錠の交換(ダイヤル式やキー付きタイプ)
特に1階や2階のバルコニーに面した窓は重点的に対策を行いましょう。
玄関の防犯対策(スマートロック、1ドア2ロック)
玄関ドアの防犯対策としては、以下が効果的です。
- スマートロック:スマートフォンで施錠・解錠。オートロック機能で施錠忘れを防止
- 1ドア2ロック:補助錠を追加し、2つの鍵で侵入に時間をかけさせる
- ドアスコープカバー:外から室内を覗かれることを防止
外構・庭の防犯対策(防犯砂利、見通しの良い設計)
外構や庭の設計も防犯に影響します。
- 防犯砂利:踏むと70〜75db以上の大きな音が出る。侵入者を音で威嚇
- 見通しの良い設計:高い塀や垣根で囲むと侵入者が外から見えなくなり、かえって狙われやすい
- 死角を作らない:植栽は適度に剪定し、見通しを確保
防犯と景観のバランスを考えた外構設計が重要です。
日常生活でできる防犯習慣
防犯設備だけでなく、日常生活での習慣も防犯力を高めます。
短時間の外出でも必ず施錠する
無施錠からの侵入が多発しています。ゴミ出し、買い物、庭仕事など、短時間の外出でも必ず施錠する習慣をつけましょう。
在宅中でも、使っていない部屋の窓は施錠しておくことを推奨します。
在宅を装う工夫(タイマーライト、留守番電話)
長期外出時は、留守だと悟られないための工夫が有効です。
- タイマーライト:時間になると自動で照明が点灯
- 新聞・郵便物の対応:新聞の停止依頼、郵便物の転送手続き
- カーテンの工夫:完全に閉め切ると留守だと思われやすい
地域の防犯活動への参加
地域の防犯パトロールや見守り活動に参加することで、地域全体の防犯意識が高まります。近隣住民との良好な関係は、不審者の発見にもつながります。
まとめ:複数の対策を組み合わせて防犯力を高める
戸建て住宅の防犯対策は、単一の対策に頼るのではなく、複数の対策を組み合わせることで効果が高まります。
特に窓からの侵入が最も多いため、窓の防犯対策を最優先で行うことを推奨します。防犯フィルム、補助錠、センサーアラームなど、予算に応じて段階的に対策を強化していきましょう。
侵入に5分以上かかると約70%の侵入者が諦めるというデータがあります。CP認定製品を活用し、玄関・窓・外構と場所ごとに対策を講じることで、侵入に時間をかけさせる住宅を目指しましょう。
日常の施錠習慣や在宅を装う工夫も、防犯には重要な要素です。防犯設備と生活習慣の両面から、安心して暮らせる住環境を整えていきましょう。


