戸建て向け火災保険の重要性と2024年10月の制度変更
戸建てを購入する際、「火災保険はどう選べばいいのか」「保険料はいくらかかるのか」と不安に感じる方は少なくありません。特に、住宅ローンを利用する場合は火災保険への加入が必須となります。
この記事では、戸建て向け火災保険の選び方、補償内容、保険料の相場、主要保険会社の比較を、損害保険料率算出機構や金融庁の公式情報を元に解説します。
初めて火災保険を検討する方でも、自分に合った保険を選べるようになります。
この記事のポイント
- 戸建て火災保険は地震・風災・水災など戸建て特有のリスクに対応
- 保険料相場は年間5~9万円(地震保険含む)、構造・所在地・築年数で変動
- 2024年10月より保険料が値上げされ、水災補償が細分化された
- 複数社で見積もりを取り、長期契約(5年契約)で保険料を抑えられる可能性がある
戸建て向け火災保険の重要性と2024年10月の制度変更
住宅ローン利用時の必須加入と戸建て特有のリスク
戸建て住宅を購入する際、住宅ローンを利用する場合は火災保険への加入が必須となります。これは、火災等で建物が損害を受けた場合、ローン返済が困難になるリスクを回避するためです。
戸建ては風雨の影響を直接受けやすく、以下のような特有のリスクがあります。
- 風災: 台風、竜巻、突風等による屋根・外壁の損傷
- 水災: 豪雨、洪水、土砂災害等による浸水被害
- 老朽化: 経年劣化による雨漏り、外壁のひび割れ
マンションに比べ、戸建ては建物全体を自己管理する必要があるため、火災保険の補償内容を慎重に選ぶことが重要です。
2024年10月の保険料値上げと水災補償細分化
ダイヤモンド不動産研究所によると、2024年10月より火災保険料が値上げされ、水災補償が細分化されました。
主な変更点:
- 保険料の値上げ(自然災害の増加により保険金支払いが増えたため)
- 水災補償の細分化(浸水リスクに応じた保険料設定が可能に)
- 2024年10月時点では火災保険料の税金控除はない
また、2022年10月以降、戸建て向け火災保険の保険期間は最長5年に短縮されました(以前は10年契約が可能)。
戸建て火災保険の基礎知識:補償範囲・地震保険・保険金額の設定
補償範囲(火災、風災、水災、水濡れ、盗難等)
火災保険は「火災」だけでなく、幅広いリスクを補償します。
| 補償項目 | 内容 |
|---|---|
| 火災 | 火災、落雷、破裂・爆発による損害 |
| 風災 | 台風、竜巻、突風等による損害 |
| 水災 | 豪雨、洪水、土砂災害等による損害 |
| 水濡れ | 給排水設備の故障による損害 |
| 盗難 | 盗難による損害 |
| 破損・汚損 | 不測かつ突発的な事故による損害 |
補償内容は契約時に選択できます。所在地により必要性が異なるため(河川近くなら水災補償が重要)、ハザードマップで浸水リスクを確認することを推奨します。
地震保険の別途加入が必須(地震・噴火・津波は火災保険対象外)
重要: 地震・噴火・津波による被害は火災保険では補償されません。地震保険への別途加入が必要です。
地震が原因で起こった火災も、火災保険ではなく地震保険の範囲となります。日本は地震多発国のため、地震保険への加入を強く推奨します。
地震保険の設定方法:
- 火災保険金額の30~50%で設定
- 建物上限5,000万円、家財上限1,000万円
保険金額は新価(再調達価額)で設定(時価設定では建て直し不足の可能性)
保険金額の設定方法には「新価(再調達価額)」と「時価」があります。
| 設定方法 | 内容 | 推奨度 |
|---|---|---|
| 新価(再調達価額) | 同等の建物を新たに建築・購入するために必要な金額 | ✅ 推奨 |
| 時価 | 新価から経年劣化(減価償却)を差し引いた価額 | ❌ 非推奨 |
SOMPOダイレクトによると、時価で設定すると、損害保険金だけでは建て直しや再購入ができない可能性があります。新価での設定を推奨します。
注意: 土地の価格を建物の購入費用に含めないこと。土地は火災で滅失しないため、保険料が不必要に高くなります。
選び方のポイント:保険の対象・補償内容・構造・所在地による最適化
保険の対象(建物と家財の両方がおすすめ)
火災保険の対象は「建物」「家財」の2種類です。
- 建物: 建物本体、門、塀、物置等の付属建物
- 家財: 家具、家電、衣類等の動産
SUUMOによると、建物と家財の両方に保険をかけることを推奨します。建物だけに保険をかけると、火災で家財が焼失した場合に補償されません。
家財の保険金額の目安:
- 夫婦と子ども1人の3人家族:1,000万円程度
補償内容の選択(所在地によって必要性が異なる:河川近くなら水災補償必須)
補償内容は所在地により最適化することが重要です。
| 所在地の特徴 | 推奨補償 |
|---|---|
| 河川近く、低地 | 水災補償(必須) |
| 海沿い | 風災補償(台風リスク) |
| 山間部 | 土砂災害補償 |
| 住宅密集地 | 火災、破損・汚損 |
国土交通省のハザードマップポータルサイトで、浸水リスクや土砂災害リスクを確認できます。
構造別の保険料差(M構造・T構造・H構造)
保険料は建物の構造により大きく異なります。
| 構造 | 内容 | 火災リスク | 保険料 |
|---|---|---|---|
| M構造 | マンション等の共同住宅 | 低 | 安い |
| T構造 | 耐火構造の戸建て(鉄骨造、コンクリート造等) | 中 | 中間 |
| H構造 | 非耐火構造の戸建て(木造等) | 高 | 高い |
木造の戸建て(H構造)は火災リスクが高いため、保険料が高くなります。
土地の価格を建物の購入費用に含めない(保険料が不必要に高くなる)
保険金額を設定する際、土地の価格を含めないよう注意してください。土地は火災で滅失しないため、土地の価格を含めると保険料が不必要に高くなります。
例:
- 土地+建物の購入費用:6,000万円(土地2,000万円、建物4,000万円)
- 火災保険の保険金額:4,000万円(建物のみ)
主要保険会社の比較:価格.com・オリコン・マイベストの評価
オリコン顧客満足度ランキング(利用者9,016人、21社対象)
オリコン顧客満足度ランキングは、実際の利用者9,016人を対象にした満足度調査です。21社の保険会社を対象に、以下の評価項目で調査されました。
- 契約手続き
- 補償内容
- 保険料
- 事故対応
複数社を比較する際の参考になります。
マイベストの2025年人気ランキング(9商品比較、補償・保険料・顧客対応評価)
マイベストの2025年人気ランキングでは、9商品を補償内容・保険料・顧客対応の観点で多角的に評価しています。
主要保険会社:
- 三井住友海上
- 損保ジャパン
- ソニー損保
各社の特徴を理解し、自分に合った保険を選びましょう。
複数社見積もりの重要性(保険料は会社によって大きく異なる)
保険料は会社によって大きく異なります。複数社で見積もりを取り、以下の点を比較することを推奨します。
- 保険料(同じ補償内容でも会社により差がある)
- 補償内容(必要な補償が含まれているか)
- 事故対応(24時間対応、現場駆けつけサービス等)
価格.comなどの一括見積もりサイトを活用すると、複数社の保険を簡単に比較できます。
保険料の相場と抑え方:年間5~9万円の内訳と長期契約のメリット
保険料相場(地震保険含むと年間5~9万円、地震保険なしは年間1.5~3万円)
ソニー損保によると、戸建ての火災保険料は以下が目安です。
| 契約内容 | 年間保険料 |
|---|---|
| 地震保険含む | 5~9万円程度 |
| 地震保険なし | 1.5~3万円程度 |
i保険によると、5年間一括払いでは98,000円~170,000円が目安(地震保険なし)です。
保険料を決める要素(構造、所在地、築年数、補償内容)
保険料は以下の要素で決まります。
| 要素 | 影響 |
|---|---|
| 構造 | M構造 < T構造 < H構造の順で高くなる |
| 所在地 | 自然災害リスクが高い地域ほど高くなる |
| 築年数 | 古いほど高くなる |
| 補償内容 | 補償範囲が広いほど高くなる |
長期契約(5年契約)の方が1年あたりの保険料が安い(2022年10月以降は最長5年)
長期契約(5年契約)の方が、1年あたりの保険料が安くなります。ただし、2022年10月以降、戸建て向け火災保険の保険期間は最長5年に短縮されました(以前は10年契約が可能)。
保険料を抑える方法:
- 複数の保険会社で見積もりを取る
- 長期契約(5年契約)を選ぶ
- 土地の価格を建物の購入費用に含めない
- 家財の保険金額を適正額に設定
- 必要な補償内容を絞り込む
まとめ:戸建て火災保険選びのチェックリスト
戸建て火災保険を選ぶ際は、以下のチェックリストを参考にしてください。
補償内容
- 火災、風災、水災、水濡れ、盗難等の必要な補償を選択
- 地震保険への別途加入(地震・噴火・津波は火災保険対象外)
- 所在地のハザードマップでリスクを確認
保険金額
- 新価(再調達価額)で設定
- 土地の価格を含めない
- 家財の保険金額を適正額に設定(3人家族で1,000万円程度)
保険料
- 複数社で見積もりを取る
- 長期契約(5年契約)で保険料を抑える
- 構造・所在地・築年数を正確に申告
契約前の確認
- 契約内容を十分に理解
- 保険会社の事故対応体制を確認
- 更新時期・保険料の見直しタイミングを把握
火災保険選びは、複数社を比較し、自分に合った補償内容・保険料の保険を選ぶことが重要です。保険代理店や専門家(ファイナンシャルプランナー等)への相談も検討しましょう。
