中国の不動産市場の現状と日本への影響を徹底分析

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/4

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なぜ中国の不動産市場が世界的に注目されるのか

中国の不動産市場について、「恒大集団の破綻は何が原因か」「日本にどう影響するか」と疑問に思う方は少なくありません。

この記事では、中国不動産市場の現状、恒大集団等の破綻の背景、日本市場への影響を、日本銀行等の公式情報を元に解説します。

中国経済の動向が世界経済に及ぼす影響を理解し、自分の投資判断や事業戦略にどう活かすかを考えられるようになります。

この記事のポイント

  • 中国の不動産セクターはGDPの約25%を占め、不況が世界経済に波及するリスクがある
  • 住宅価格は2021年のピークから4年間で20%下落、販売床面積は3年連続前年割れ
  • 恒大集団は約3,000億ドル(約48兆円)の負債を抱え、2025年に上場廃止
  • 中国富裕層は不動産バブル崩壊により東京マンションへの投資を加速、円安で「半額セール」状態

(1) 世界第2位の経済大国の不動産不況

中国は世界第2位の経済大国であり、GDPの約25%を不動産セクターが占めています(建設、不動産売買、関連サービスを含む)。不動産市場の低迷は、中国経済全体の成長を大きく阻害します。

日本経済新聞によると、中国恒大集団をはじめとする不動産大手の経営危機が、世界的に注目されています。

(2) 中国GDPの約25%を占める不動産セクター

不動産は中国の主要産業の一つで、建設業、金融業、地方政府の財政(土地使用権売却収入)に深く関わっています。不動産市場の低迷により、これらの関連産業も連鎖的に悪化しています。

(3) 世界経済への波及リスク

中国経済の低迷は、日本を含む世界経済に波及します。中国への輸出が減少し、日本企業の業績にも影響を与える可能性があります。また、中国富裕層による海外不動産投資の動向も注目されています。

中国不動産市場の現状:価格下落と販売減少

中国の不動産市場は、2021年以降、価格下落と販売減少が続いています。

(1) 販売床面積:3年連続前年割れ(2025年9月▲10.5%)

ビジネス・ブレークスルー大学大学院によると、中国の不動産販売床面積は2022年から3年連続で前年割れとなっています。ニッセイ基礎研究所のデータでは、2025年9月は前年同月比▲10.5%と大幅な減少が続いています。

(2) 住宅価格:4年間で20%下落(2021年ピークから)

Business Insider Japanによると、ゴールドマン・サックスの分析では、中国の住宅価格は2021年のピークから4年間で20%下落しました。さらに2027年まで10%下落する可能性があると予測されています。

(3) 在庫過剰:34億人分の住宅在庫(人口14億人に対し)

中国の住宅在庫は34億人分に達しており、人口14億人に対して20億人分の過剰在庫があると言われています。この在庫過剰が価格下落の主要因の一つです。

(4) 市場規模の縮小と回復の遅れ

横浜総合研究所は、2025年に住宅価格の底入れが期待されるとしていますが、みずほリサーチ&テクノロジーズは不動産不況の長期化を指摘しています。

中国恒大集団の破綻と構造的課題

中国恒大集団は、世界最大級の不動産企業破綻となりました。

(1) 恒大集団の債務規模:約3,000億ドル(約48兆円)

日本経済新聞によると、中国恒大集団は約3,000億ドル(約48兆円)の負債を抱えていました。これは世界最大級の企業債務です。

(2) 破綻の経緯:2023年8月破産申請→2024年1月清算命令→2025年8月上場廃止

恒大集団は2023年8月に米国で連邦破産法第15条(外国企業が米国で破産手続きを行う際に適用される条項)の適用を申請し、2024年1月に香港裁判所から清算命令を受け、2025年8月に上場廃止となりました。

(3) 万科企業等の大手企業も業績悪化(2025年上半期2,000億円超の純損失)

恒大集団だけでなく、中国不動産業界のリーディングカンパニーである万科企業も、2025年上半期に2,000億円超の純損失を計上する見込みです。業界全体で業績悪化が続いています。

(4) 住宅価格対所得比:6.8倍の割高感

中国の住宅価格対所得比(住宅価格が年収の何倍か)は2023年に6.8倍で、依然として割高感が残っています。この割高感が需要低迷の一因となっています。

不動産バブル崩壊の背景:3つの要因

中国の不動産バブル崩壊には、3つの主要因があります。

(1) 習近平主席の「住宅は投機対象ではない」発言と融資規制強化(三道紅線)

三菱UFJ銀行 Money Canvasによると、習近平主席が「住宅は投機対象ではない」と発言し、2020年に「三道紅線(3つのレッドライン)」と呼ばれる融資規制を導入しました。

この規制は、不動産大手の借入額を負債比率により3つの基準で制限するもので、恒大集団等の高債務企業が資金調達できなくなり、破綻の引き金となりました。

(2) ゼロコロナ政策による中小企業倒産と若年失業率上昇

新型コロナウイルスの感染者を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ政策」が、中小企業の倒産や若年失業率の上昇を招きました。これにより、住宅需要が大幅に減少しました。

(3) 過剰債務とバブル抑制政策の失敗

不動産業界全体で過剰債務が蓄積していたところに、政府のバブル抑制政策が急速に実施されたため、市場が急激に冷え込みました。政策のタイミングと強度が市場にショックを与えた形です。

日本への影響:中国富裕層の投資と経済への波及

中国の不動産不況は、日本にも影響を及ぼしています。

(1) 中国富裕層による東京マンション購入の増加

ICHIWA不動産投資メディアによると、中国の不動産バブル崩壊と資産規制強化により、中国富裕層が海外(特に東京)に資産を移す動きが加速しています。

(2) 円安(2025年150円近く)による「半額セール」効果

2025年の円安進行(150円近く)により、中国投資家にとって東京マンションが「半額セール」状態となり、購入が増加しています。これは日本の不動産市場の価格を下支えする一方、日本人購入者にとっては価格上昇要因となっています。

(3) 中国経済低迷による日本輸出への影響

中国経済の低迷は、日本企業の対中輸出を減少させます。自動車、電子部品、機械等の輸出が影響を受け、日本の製造業の業績に波及する可能性があります。

(4) 日本の金融機関のエクスポージャー

日本銀行の調査によると、日本の金融機関の中国不動産市場への直接的なエクスポージャー(リスク資産)は限定的です。ただし、中国経済全体の低迷が間接的に影響する可能性があります。

まとめ:今後の見通しと投資戦略

中国の不動産市場は、2021年のピークから4年間で20%下落し、販売床面積は3年連続前年割れとなっています。恒大集団は約3,000億ドルの負債を抱えて破綻し、万科企業等の大手企業も業績悪化が続いています。

(1) 回復見通し:2026年以降に持ち直し予測も緩慢(在庫調整に3年以上)

横浜総合研究所は2026年以降に持ち直しに転じる見込みとしていますが、在庫調整完了まで3年以上かかる見込みです。

(2) ゴールドマン・サックス予測:2027年まで10%下落の可能性

Business Insider Japanによると、ゴールドマン・サックスは2027年まで住宅価格がさらに10%下落する可能性を指摘しています。

(3) 長期化リスク:10年以上続く可能性も指摘

ビジネス・ブレークスルー大学大学院は、中国の不動産不況が10年以上続く可能性を指摘しています。

(4) 投資家の対応:リスク分散と専門家への相談

中国の不動産市場は政府の政策により大きく左右されるため、投資判断は慎重に行う必要があります。リスク分散を図り、不動産コンサルタントやファイナンシャルプランナー等の専門家への相談をおすすめします。

最新の中国不動産市場動向は、日本銀行日本経済新聞等の公式情報源で確認できます。

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よくある質問

Q1中国恒大集団の破綻の経緯は?

A1中国恒大集団は約3,000億ドル(約48兆円)の負債を抱え、2023年8月に米国で連邦破産法第15条の適用を申請しました。2024年1月に香港裁判所から清算命令を受け、2025年8月に上場廃止となりました。世界最大級の不動産企業破綻です。破綻の主因は、習近平主席の融資規制強化(三道紅線)により資金調達ができなくなったことです。

Q2日本の金融機関への影響は?

A2日本銀行の調査によると、日本の金融機関の中国不動産市場への直接的なエクスポージャー(リスク資産)は限定的です。ただし、中国経済全体の低迷が日本企業の輸出や投資に影響を与える可能性があります。自動車、電子部品、機械等の対中輸出が減少するリスクがあり、日本の製造業の業績に間接的に波及する可能性があります。

Q3中国富裕層による日本への不動産投資はどうなっているのか?

A3中国の不動産バブル崩壊と資産規制強化により、中国富裕層が東京マンションへの投資を加速しています。2025年の円安進行(150円近く)により、中国投資家にとって東京マンションが「半額セール」状態となり、購入が増加しています。これは日本の不動産市場の価格を下支えする一方、日本人購入者にとっては価格上昇要因となっています。

Q4中国の不動産不況はいつまで続くのか?

A4横浜総合研究所は2026年以降に持ち直しに転じる見込みとしていますが、在庫調整完了まで3年以上かかる見込みです。ゴールドマン・サックスは2027年まで住宅価格がさらに10%下落する可能性を指摘しています。ビジネス・ブレークスルー大学大学院は10年以上続く可能性も指摘しており、長期化リスクが存在します。中国政府の政策変更により状況が変わる可能性があるため、最新情報の確認が必要です。

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Room Match編集部

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