auじぶん銀行の変動金利を検討する理由
住宅ローンを検討する際、「変動金利は金利が低いけれど、今後上昇するリスクが心配」と感じる方は少なくありません。特に2024年3月に日銀がマイナス金利を解除してから、変動金利の行方に注目が集まっています。
この記事では、auじぶん銀行の変動金利の仕組み、特徴、金利上昇リスクへの対策を、住宅金融支援機構やauじぶん銀行公式サイトの最新情報を元に解説します。
変動金利の仕組みを正確に理解し、自分に合った住宅ローンを選択できるようになります。
この記事のポイント
- auじぶん銀行の変動金利は2025年11月時点で0.684%と低水準で、au金利優遇割で最大0.15%の引き下げが可能
- 変動金利は年2回見直され、5年ルールと125%ルールにより急激な返済額増加を防げる
- 金利上昇時は未払利息が蓄積されるリスクがあり、元金返済が進まない可能性がある
- 団信はがん50%保障と全疾病保障が無料付帯し、他行と比較しても充実した内容
- 借り換えは金利差1%以上、残高1,000万円以上、期間10年以上が目安で、5年ルール見直し時が検討の好機
変動金利の仕組みと金利見直しのルール
変動金利型住宅ローンは、借入期間中に金利が変動するタイプの住宅ローンです。金利が低い時期には返済負担を抑えられる一方、金利上昇リスクに備える必要があります。
(1) 変動金利の見直しタイミング(年2回・適用開始時期)
三井住友信託銀行の解説によると、変動金利は年2回(4月1日と10月1日)に見直されます。新金利は見直しの2カ月後(6月と12月)の返済分から適用される仕組みです。
基準金利は短期プライムレート(銀行が優良企業向け短期貸出に適用する最優遇金利)を指標に決定されます。
(2) 5年ルールとは(返済額据え置き期間)
SBI新生銀行によれば、5年ルールは「金利が変動しても月々の返済額は5年間変わらない」というルールです。元利均等返済の場合に適用されます。
これにより、金利が上昇しても急に返済額が増えることはなく、家計への影響を抑えられます。
(3) 125%ルールとは(返済額上限の保護措置)
5年後の返済額見直し時には、直前返済額の1.25倍が上限となるルール(125%ルール)が適用されます。
例えば、直前の返済額が月10万円の場合、見直し後の返済額は最大12.5万円までに制限されます。
ただし、5年ルールと125%ルールは全ての金融機関で適用されるわけではありません。契約前に必ず確認してください。
(4) 短期プライムレートと変動金利の関係
短期プライムレートは日銀の政策金利に連動します。日銀は2024年3月にマイナス金利を解除し、2024年7月と2025年1月に追加利上げを実施、政策金利は0.5%まで上昇しています。
今後も日銀の金融政策の動向が変動金利に影響を与えるため、定期的な情報収集が重要です。
auじぶん銀行の変動金利の特徴(金利水準・団信・優遇制度)
auじぶん銀行は変動金利の低さと団信の充実度で注目されています。
(1) 最新の金利水準(2025年11月:0.684%)
auじぶん銀行公式サイトによると、2025年11月時点の変動金利は0.684%です。主要銀行の中でも低水準を維持しています。
(2) au金利優遇割の仕組み(最大0.15%引き下げ)
au通信サービス(auモバイル、auひかり等)やじぶんでんきを利用すると、最大0.15%の金利引き下げが受けられます。
| 優遇内容 | 金利引き下げ幅 |
|---|---|
| au通信サービス利用 | 年-0.07% |
| じぶんでんき利用 | 年-0.03% |
| モバイル+でんき併用 | 最大年-0.15% |
(出典: auじぶん銀行)
(3) 団信の保障内容(がん50%保障・全疾病保障が無料)
auじぶん銀行の団信は、以下の保障が無料で付帯します。
- がん50%保障: がんと診断された場合、住宅ローン残高の50%が保険金で返済
- 全疾病保障: 病気・けがで180日以上入院した場合、住宅ローン残高が保険金で完済
- 50歳以下の追加保障: 全疾病保障の保障内容がさらに拡充
他行では有料オプションとなる場合が多く、団信の充実度は大きなメリットです。
(4) 追加保障オプション(がん100%保障)
がん100%保障(がん診断時に残高の100%が返済される)は、年+0.1%の金利上乗せで利用できます。
がんのリスクが気になる方は、追加保障も検討候補の一つとして考えられます。
金利上昇リスクと未払利息の注意点
変動金利を選ぶ際に最も注意すべきは、金利上昇リスクです。
(1) 日銀の金融政策と今後の金利見通し(2025年以降)
SBI新生銀行の分析によると、日銀は2025年中に1~2回の追加利上げの可能性があります。2026年4月には各銀行が基準金利を0.25%引き上げる見込みです。
ただし、2025年11月時点では主要銀行で据え置き傾向が続いており、急激な金利上昇の可能性は低いとされています。
(2) 未払利息が発生する仕組みとリスク
5年ルールと125%ルールにより返済額は抑えられますが、金利上昇分は未払利息として蓄積されます。この未払利息は後日一括返済が必要になる場合があります。
住宅金融支援機構は、未払利息のリスクを理解したうえで変動金利を選ぶよう呼びかけています。
(3) 金利上昇時の返済シミュレーション例
例えば、借入額3,000万円、返済期間35年、当初金利0.684%の場合、月々の返済額は約79,000円です。
仮に5年後に金利が1.5%に上昇した場合、125%ルールにより返済額は約99,000円(直前返済額の1.25倍)までに制限されます。しかし、本来の返済額は約103,000円となり、差額の約4,000円が未払利息として蓄積されます。
(4) 元金返済が進まないリスク
金利上昇が続くと、返済額に占める利息の割合が増え、元金返済が進まなくなります。結果として総返済額が増加するリスクがあります。
金利上昇リスクに備えて、繰上返済や固定金利への借り換えを検討することも重要です。
他行との比較と借り換えのタイミング
auじぶん銀行以外の選択肢も比較し、借り換えのタイミングを見極めることが大切です。
(1) 主要銀行との金利比較(住信SBI・りそな・横浜銀行等)
2025年11月時点の主要銀行の変動金利は以下の通りです(各銀行公式サイトより)。
| 銀行名 | 変動金利(年率) | 備考 |
|---|---|---|
| auじぶん銀行 | 0.684% | au優遇割適用後 |
| 住信SBIネット銀行 | 0.298%~ | 物件価格の80%以内等条件あり |
| りそな銀行 | 0.340%~ | 保証料別途 |
| 横浜銀行 | 0.450%~ | 地域限定 |
※金利は時期・条件により変動します。最新情報は各銀行の公式サイトでご確認ください。
(2) 借り換えの目安(金利差1%・残高1,000万円・期間10年)
三井住友銀行によれば、借り換えのメリットが出やすい目安は以下の通りです。
- 金利差: 1%以上
- ローン残高: 1,000万円以上
- 返済期間: 10年以上
これらの条件を満たす場合、借り換えによる総返済額の削減効果が期待できます。
(3) 借り換えのタイミング(5年ルール見直し時が好機)
5年ルールの見直しタイミングは、借り換え検討の好機です。返済額が増額されるタイミングで、他行の条件と比較することで、有利な条件を引き出せる可能性があります。
(4) 借り換え時の諸費用と注意点
借り換えには以下の諸費用がかかります。
- 事務手数料(融資額の2.2%程度)
- 登記費用(10~20万円程度)
- 印紙税(2万円程度)
総額で数十万円になるため、事前にシミュレーションを行い、借り換えメリットと諸費用を比較することが重要です。
また、団信加入には健康状態の審査が必要なため、健康なうちに借り換えを検討する必要があります。
まとめ:変動金利を選ぶ際の判断ポイント
auじぶん銀行の変動金利は、低金利と充実した団信により、住宅ローンの選択肢として魅力的です。2025年11月時点で0.684%の金利水準は、主要銀行の中でも競争力があります。
ただし、変動金利には金利上昇リスクがあり、5年ルールと125%ルールによる保護措置があっても、未払利息の蓄積や元金返済の遅れといったリスクを理解しておく必要があります。
借り換えを検討する際は、金利差・残高・期間の目安を参考に、諸費用と合わせて総合的に判断しましょう。複数の金融機関でシミュレーションを行い、ファイナンシャルプランナーや銀行担当者に相談しながら、自分に合った住宅ローンを選択してください。
