アパートとマンションの違いと賃貸選びのポイント

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/20

アパートとマンションの違いを正しく理解する

賃貸物件を探す際、「アパート」と「マンション」という言葉を目にしますが、この2つの明確な違いを理解している人は意外と少ないかもしれません。

この記事では、アパートとマンションの構造・設備・家賃の違い、メリット・デメリット、選び方のポイントを、法律や不動産業界の実態に基づいて解説します。

物件名や見た目だけで判断せず、構造を確認することで、自分に合った賃貸物件を見つけられるようになります。

この記事のポイント

  • 法律上は「アパート」と「マンション」の区別はなく、どちらも「共同住宅」として扱われる
  • 一般的に木造・軽量鉄骨造をアパート、RC造・SRC造をマンションと分類する
  • 同条件の場合、アパートの方が家賃が5,000〜20,000円安い
  • アパートは家賃重視、マンションは防音性・セキュリティ重視の人に向いている
  • 物件名(コーポ・ハイツ・メゾン等)に法的定義はなく、必ず建物の構造を確認すること

構造による分類と法律上の定義

(1) 一般的な分類(木造・軽量鉄骨造vs RC造・SRC造)

不動産業界では、建物の構造によってアパートとマンションを区別するのが一般的です。

分類 主な構造 特徴
アパート 木造・木造2×4・軽量鉄骨造 建築コストが低く、家賃が安い。防音性・耐震性は劣る
マンション 重量鉄骨造・RC造・SRC造 防音性・耐震性・耐火性に優れる。建築コストが高く、家賃が高い

専門用語の解説:

  • 木造: 柱や梁などの主要構造部が木材で造られた建物。アパートに多い構造で、建築コストが低いが防音性・耐震性は劣る
  • 軽量鉄骨造: 鉄骨の厚みが6mm未満の鉄骨を使った建物。木造より耐震性が高いが、マンションの重量鉄骨造・RC造には劣る
  • RC造(鉄筋コンクリート造): 鉄筋とコンクリートで造られた建物。マンションに多い構造で、防音性・耐震性・耐火性に優れる
  • SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造): 鉄骨の周りに鉄筋を配置し、コンクリートで固めた建物。RC造よりさらに強度が高い

(2) 法律上の定義(建築基準法・宅建業法)

実は、建築基準法や宅地建物取引業法(宅建業法)では、「アパート」と「マンション」を区別していません。どちらも「共同住宅」「集合住宅」として同じ分類になります。

つまり、法律上は「アパート」も「マンション」も同じ種類の建物であり、名称の使い分けは不動産会社や大家が慣習的に行っているものです。

(3) マンション建替え等円滑化法での定義

唯一、マンション建替え等円滑化法では「マンション」を「2以上の区分所有者が存する建物で、人の居住の用に供する専有部分のあるもの」と定義していますが、これは分譲マンションを対象とした法律であり、賃貸物件には適用されません。

したがって、賃貸物件を探す際は、物件名や不動産会社の分類ではなく、建物の構造(木造・RC造等)を必ず確認することが重要です。

設備・仕様の違いとメリット・デメリット

(1) 防音性の違い(構造による差)

構造の違いは防音性に大きく影響します。

  • 木造・軽量鉄骨造のアパート: 壁が薄く、隣室や上階の生活音(足音・話し声・テレビの音等)が聞こえやすい
  • RC造・SRC造のマンション: コンクリートで壁が厚いため、生活音が伝わりにくい

騒音が気になる方や、小さな子供がいる家庭は、RC造・SRC造のマンションを選ぶことをおすすめします。

(2) 耐震性・耐火性の違い

アパートとマンションでは、耐震性・耐火性にも差があります。

  • 木造アパート: 耐震性・耐火性が低く、地震や火災のリスクが高い
  • RC造・SRC造マンション: コンクリートの構造により、耐震性・耐火性に優れる

ただし、木造でも新築や耐震補強済みの物件であれば、一定の耐震性は確保されています。築年数と耐震基準(1981年以降の新耐震基準)を確認しましょう。

(3) 共用設備の違い(エレベーター・オートロック等)

マンションは共用設備が充実している傾向があります。

設備 アパート マンション
エレベーター ほとんどなし(2-3階建て) 3階建て以上では設置が多い
オートロック 少ない 多い
防犯カメラ 少ない 多い
宅配ボックス 少ない 増加傾向
管理人・清掃 週1回程度 毎日または週数回

ただし、共用設備が多いほど管理費が高くなるため、必要性を見極めることが大切です。

(4) セキュリティとプライバシーの違い

  • アパート: オートロックや防犯カメラがないことが多く、セキュリティは劣る。一方、住人同士の交流が多く、近隣関係が築きやすい
  • マンション: オートロック・防犯カメラが充実しており、セキュリティが高い。プライバシーが守られやすい一方、住人同士の交流は少なめ

家賃・初期費用・管理費の違い

(1) 家賃の差(同条件で5,000〜20,000円)

同条件(立地・築年数・広さ)で比較すると、一般的にアパートの方がマンションより家賃が5,000〜20,000円安くなります。

これは、建築コストの違いが家賃に反映されているためです。

(2) 駐車場代・管理費の違い

家賃以外でも、以下の費用に差が出ます。

費用項目 アパート マンション
管理費 3,000〜5,000円/月 5,000〜15,000円/月
駐車場代 安い(地方は無料も) 高い(都市部は2〜3万円)

管理費とは、共用部分(廊下・エレベーター・エントランス等)の清掃・メンテナンス費用です。マンションの方が共用設備が多いため、管理費が高額になる傾向があります。

(3) アパートが安い理由(建築コスト)

アパートは木造・軽量鉄骨造で建築コストが低いため、家賃・駐車場代・管理費が安く設定されます。

一方、マンションはRC造・SRC造で建築コストが高く、共用設備の維持費もかかるため、家賃・管理費が高くなります。

ライフスタイル別の選び方のポイント

(1) 家賃重視ならアパート

以下の条件に当てはまる方は、アパートがおすすめです。

  • 家賃を抑えたい
  • 防音性や設備はあまり気にしない
  • 近隣との交流を大切にしたい
  • 短期間(1〜2年)の居住予定

(2) 防音性・セキュリティ重視ならマンション

以下の条件に当てはまる方は、マンションがおすすめです。

  • 防音性を重視したい(騒音トラブルを避けたい)
  • セキュリティを重視したい(オートロック・防犯カメラ)
  • 小さな子供やペットがいる
  • 長期間(3年以上)の居住予定
  • 耐震性・耐火性を重視したい

(3) 物件名に惑わされず構造を確認する方法

物件名(コーポ・ハイツ・メゾン等)に法的定義はなく、大家が自由につけているため、名前だけで判断しないでください。

物件情報を確認する際は、以下のポイントをチェックしましょう。

  • 構造欄を確認: 「木造」「軽量鉄骨造」「RC造」「SRC造」のどれか
  • 築年数: 1981年以降(新耐震基準)かどうか
  • 共用設備: エレベーター・オートロックの有無
  • 管理費: 月額いくらか

不動産会社に「この物件の構造は何ですか?」と直接確認することも有効です。

まとめ:自分に合った賃貸物件を見つけるために

アパートとマンションの違いは、法律上の定義ではなく、構造(木造・RC造等)によって分類されるのが一般的です。家賃を抑えたいならアパート、防音性・セキュリティを重視するならマンションが向いています。

物件名だけで判断せず、必ず建物の構造を確認し、自分のライフスタイルと優先順位に合った物件を選びましょう。

信頼できる不動産会社に相談しながら、複数の物件を比較検討することをおすすめします。

よくある質問

Q1アパートとマンションの法律上の違いは何ですか?

A1建築基準法や宅地建物取引業法では、「アパート」と「マンション」を区別していません。どちらも「共同住宅」「集合住宅」として同じ分類です。唯一、マンション建替え等円滑化法で「マンション」が定義されていますが、これは分譲マンションを対象とした法律であり、賃貸物件には適用されません。一般的には、木造・軽量鉄骨造をアパート、RC造・SRC造をマンションと分類します。

Q2どちらを選ぶべきですか?

A2ライフスタイルと優先順位で判断してください。家賃を抑えたい、近隣との交流を大切にしたい方はアパートが向いています。一方、防音性・耐震性・セキュリティを重視したい、小さな子供やペットがいる、長期間居住予定の方はマンションがおすすめです。物件の構造(木造・RC造等)、築年数、共用設備、管理費を確認し、複数の物件を比較検討しましょう。

Q3同条件の場合、家賃はどれくらい違いますか?

A3同条件(立地・築年数・広さ)で比較すると、一般的にアパートの方がマンションより家賃が5,000〜20,000円安くなります。これは、アパートが木造・軽量鉄骨造で建築コストが低いためです。また、駐車場代や管理費もアパートの方が安く設定される傾向があります。ただし、防音性・耐震性・共用設備はマンションの方が優れているため、総合的に判断することが重要です。

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Room Match編集部

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