永住権なしでも住宅ローンは組めるのか?
永住権を持たない外国人の方が日本で住宅購入を検討する際、「住宅ローンが組めるのか」という不安を感じることは少なくありません。
この記事では、永住権なしでも住宅ローンが組める条件、融資可能な金融機関、必要書類、審査通過のポイントを、法務省や金融機関の公式情報を元に解説します。
結論から言うと、多くの金融機関は永住権を融資条件としていますが、一部の金融機関(ARUHI、イオン銀行、東京スター銀行、SBI新生銀行等)では永住権なしでも融資可能です。ただし、審査基準は厳しく、金利も永住権ありより高めになることを理解しておく必要があります。
この記事のポイント
- 永住権なしでも一部の金融機関(ARUHI、イオン銀行、東京スター銀行、SBI新生銀行等)で住宅ローンを組める
- 融資条件は、在留資格(就労ビザ・配偶者ビザ等)、在留期間2-3年以上、居住年数・勤続年数2-3年以上、年収200万円以上が目安
- 永住権ありと比べ、金利優遇が受けられないか優遇幅が小さく、頭金2-3割以上の用意が推奨される
- 必要書類は在留カード・パスポート・本国の所得証明・印鑑証明の代替(宣誓供述書)等
- 審査通過のポイントは、頭金を多く用意、日本人配偶者・永住権保有者を連帯保証人にする、複数の金融機関に事前審査を申し込む等
永住権なしで融資を受けられる条件
在留資格と在留期間(2-3年以上)
融資を受けるためには、適切な在留資格と一定期間以上の在留期間が必要です。
法務省の在留資格一覧によると、就労ビザ(技術・人文知識・国際業務、企業内転勤等)、配偶者ビザ(日本人の配偶者等、永住者の配偶者等)、定住者ビザ等が対象となります。
多くの金融機関では、在留期間が2-3年以上残っていることを条件としています。短期滞在ビザや留学ビザは融資対象外とする金融機関がほとんどです。
居住年数・勤続年数(2-3年以上)
はじめての住宅ローン(リクルート系メディア)によると、日本に2-3年以上居住し、同一企業に2-3年以上勤務していることが目安とされます。
居住年数・勤続年数が短い場合、返済能力の判断が難しいため、審査で不利になります。転職を繰り返している場合も同様です。
年収要件(200万円以上が目安)
年収200万円以上が最低ラインとする金融機関が多い傾向にあります。ただし、年収だけでなく、返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)も重要です。
一般的に、返済負担率は30-35%以内が推奨されます。例えば年収400万円の場合、年間返済額は120-140万円(月10-12万円)以内が目安です。
日本語能力(契約内容の理解)
住宅ローンは長期契約であり、契約内容を正確に理解できる日本語能力が必要です。金融機関によっては、面談で日本語能力を確認する場合があります。
契約内容の理解が困難な場合、通訳を同席させることも検討してください。
融資可能な金融機関
永住権なし対応の銀行リスト
ダイヤモンド不動産研究所の調査によると、以下の金融機関が永住権なしでも融資可能です(2025年時点)。
| 金融機関 | 特徴 | 
|---|---|
| ARUHI(フラット35) | 日本人または永住権保有者が連帯債務者になれば利用可能 | 
| イオン銀行 | 永住権なし専用商品あり | 
| 東京スター銀行 | 外国人向け住宅ローンあり | 
| SBI新生銀行 | 永住権なし対応 | 
| ソニー銀行 | 永住権なし対応 | 
| 楽天銀行 | 永住権なし対応 | 
ただし、各金融機関で条件が異なるため、公式サイトで最新情報を確認してください。
イオン銀行の事例(2025年最新)
イオン銀行の永住権なし住宅ローン商品概要説明書(2025年4月版)によると、以下の条件で申込可能です。
- 給与所得者: 勤続6ヶ月以上、年収100万円以上
- 金利: 店頭表示金利 + 1.00%
- 在留資格: 就労ビザ、配偶者ビザ等(在留期間の制限あり)
イオン銀行は永住権なし専用商品を用意しており、申込ハードルが比較的低いことが特徴です。
永住権ありとの違い
金利優遇の差
永住権ありの場合、最大-2.0%の金利優遇を受けられる金融機関もありますが、永住権なしの場合、店頭表示金利そのままか+1.0%程度の上乗せとなります。
金利差の例(借入額3,000万円、35年返済)
| 金利 | 月々返済額 | 総返済額 | 
|---|---|---|
| 0.5%(永住権あり優遇後) | 約77,875円 | 約3,271万円 | 
| 1.5%(永住権なし) | 約91,855円 | 約3,858万円 | 
| 差額 | 約13,980円 | 約587万円 | 
金利差により、総返済額が数百万円変わる可能性があるため、永住権取得を待つことも選択肢の一つです。
頭金の重要性(2-3割推奨)
S Legal Estateの解説によると、永住権なしの場合、物件価格の2-3割以上の頭金を用意することで審査通過率が向上します。
永住権ありの場合は頭金10%で可の金融機関も多いですが、永住権なしの場合は20-30%が目安です。頭金を多く用意することで、金融機関に返済能力と本気度を示すことができます。
必要書類
在留カード・パスポート
本人確認と在留資格・在留期間の確認のため、在留カードとパスポートは必須です。在留期間の更新予定がある場合、更新後に申込することで審査が有利になります。
本国の所得証明
日本での勤続年数が短い場合(1-2年未満)、本国の所得証明(英訳・日本語訳付き)が必要な場合があります。本国での安定収入を示すことで、返済能力を補完できます。
印鑑証明の代替(宣誓供述書)
外国人は印鑑登録ができないため、印鑑証明の代わりに宣誓供述書(サイン証明)で代替可能です。住宅ローン比較.jpによると、宣誓供述書は在外公館(大使館・領事館)または公証役場で作成できます。
各金融機関で必要書類が異なるため、事前に確認してください。
審査通過のポイントと次のステップ
永住権なしでも住宅ローンを組める金融機関は複数ありますが、審査は厳しくなります。以下のポイントを押さえることで、審査通過率を高めることができます。
審査通過のポイント:
- 頭金を2-3割以上用意する: 自己資金の多さが返済能力の証明になる
- 日本人配偶者・永住権保有者を連帯保証人にする: 保証人がいると審査が有利になる
- 在留期間を更新して残期間を確保する: 在留期間が長いほど返済期間を確保できる
- 複数の金融機関に事前審査を申し込む: 各金融機関で条件が異なるため、比較検討する
- 勤続年数を伸ばす: 可能であれば3年以上の勤続を目指す
次のステップ:
- 各金融機関の公式サイトで最新の融資条件を確認
- 頭金・必要書類を準備
- 複数の金融機関に事前審査を申し込み(比較検討)
- 事前審査通過後、本審査へ進む
永住権なしでも融資可能な金融機関が複数あることを理解し、十分な準備を整えた上で申込を行いましょう。個別の相談は各金融機関の窓口または住宅ローンアドバイザーに問い合わせることをおすすめします。
