新築マンション売却の流れとスケジュール完全ガイド|4〜7ヶ月

公開日: 2025/10/19

新築マンション売却の全体スケジュール

新築マンションを購入後に予期せぬ事情で売却を検討する場合、売却の流れとスケジュールを理解しておくことが重要です。新築マンションは築浅であるため、中古市場では設備の新しさや保証期間の残存が訴求ポイントとなります。

この記事でわかること:

  • 新築マンション売却の全体スケジュール(4-7ヶ月程度)
  • 新築プレミアムの扱いと適正な査定価格の見極め方
  • 売却の基本的な流れと各ステップの詳細
  • 媒介契約の種類と売却活動のポイント
  • 築浅マンション特有の税金(短期譲渡税率)と諸費用

(1) 査定から引渡しまでの期間(4-7ヶ月)

国土交通省によれば、マンション売却は査定から引渡しまで平均で4〜7ヶ月程度かかります。売却活動期間が3〜6ヶ月、契約後の決済・引渡しまでが1〜2ヶ月が一般的です。

スケジュールの目安:

  • 査定依頼・価格設定: 1〜2週間
  • 媒介契約締結: 数日
  • 売却活動: 3〜6ヶ月
  • 売買契約: 1日
  • 決済・引渡し: 契約後1〜2ヶ月

(2) 築浅マンションの売却期間

新築マンションを購入後すぐに売却する場合、「築浅物件」として中古市場では人気が高い傾向があります。設備が新しく、メーカー保証期間も残っているため、比較的早く買主が見つかることが期待できます。

ただし、新築プレミアム(新築時のブランド価値)は失われるため、購入価格より低い価格での売却となることが一般的です。

(3) 各工程の所要期間

売却の各工程には以下の期間が必要です。

工程 所要期間 主な作業内容
査定依頼 1週間 複数社への査定依頼・査定書確認
媒介契約 数日 不動産会社との契約締結
売却活動 3-6ヶ月 広告掲載・内覧対応・価格交渉
売買契約 1日 契約書締結・手付金受領
決済・引渡し 1-2ヶ月後 残代金受領・登記・鍵引渡し

査定と価格設定のポイント

新築マンション売却における査定と価格設定は、中古マンションとは異なる特徴があります。

(1) 新築プレミアムの扱い

新築マンションは、購入時に「新築プレミアム」として10〜20%程度のブランド価値が価格に上乗せされています。しかし、購入直後でも一度居住すれば法的には「中古」扱いとなり、新築プレミアムは失われます。

価格下落の目安:

購入価格: 4,000万円(新築プレミアム込み)
売却査定: 3,400万円〜3,800万円(購入価格の85-95%)
下落幅: 200万円〜600万円

購入価格の85〜95%程度が査定の目安となることが多いですが、立地・設備・管理状態により変動します。

(2) 適正な査定価格の見極め方

不動産公正取引協議会連合会によれば、査定価格は以下の要素で決定されます。

査定の主な要素:

  • 立地・交通アクセス
  • 築年数・設備の状態
  • 周辺の売却事例(成約価格)
  • 市場の需給バランス
  • マンション全体の管理状態

複数の不動産会社(3社程度)に査定を依頼し、査定根拠を詳しく聞くことで、適正価格を見極めることができます。極端に高い査定額を提示する業者には注意が必要です。

(3) 築浅物件の訴求ポイント

新築マンションの売却では、以下のポイントを買主に訴求できます。

  • 設備の新しさ: キッチン・バス・トイレなど最新設備
  • 保証期間の残存: メーカー保証・施工保証が残っている
  • 住宅ローン控除の引き継ぎ可能性: 買主が控除を受けられる可能性
  • 管理費・修繕積立金の滞納なし: 購入後すぐなので滞納リスクが低い
  • 未入居または短期居住: 内装の状態が良好

新築マンション売却の基本的な流れ

国土交通省の資料に基づき、新築マンション売却の基本的な流れを解説します。

(1) 査定依頼と査定書の確認

売却を決めたら、まず不動産会社に査定を依頼します。

査定依頼の手順:

  1. 複数社(3社程度)に査定依頼
  2. 訪問査定の日程調整
  3. 物件の内覧・周辺環境の確認
  4. 査定書の受領(1週間程度)
  5. 査定根拠の確認・比較

査定書には、査定価格の根拠、周辺の売却事例、売却活動の提案などが記載されています。査定価格だけでなく、売却活動の具体性や担当者の対応も確認しましょう。

(2) 売却手続きの各ステップ

査定後の売却手続きは以下のステップで進みます。

売却の流れ:

  1. 媒介契約の締結: 売却を依頼する不動産会社と契約
  2. 売却活動の開始: 広告掲載・レインズ登録・内覧対応
  3. 購入申込の受領: 買主候補からの申込書確認
  4. 価格交渉: 売却価格・引渡し時期の調整
  5. 売買契約の締結: 契約書作成・手付金受領
  6. 決済・引渡し: 残代金受領・所有権移転登記・鍵引渡し

(3) 必要書類の準備

売却手続きには以下の書類が必要です。

売主が準備する主な書類:

  • 登記識別情報(権利証)または登記済証
  • 印鑑証明書(3ヶ月以内)
  • 実印
  • 固定資産税納税通知書
  • マンション管理規約・使用細則
  • 管理費・修繕積立金の領収書
  • 購入時の売買契約書・重要事項説明書
  • 設備の保証書・取扱説明書

新築マンションの場合、設備の保証書が揃っていることが買主にとって大きなメリットとなります。

媒介契約と売却活動

売却を依頼する際の媒介契約について解説します。

(1) 媒介契約の種類と選び方

宅地建物取引業法により、媒介契約には3種類あります。

媒介契約 複数社への依頼 レインズ登録 自己発見取引 契約期間
専属専任媒介 不可 義務(5日以内) 不可 3ヶ月
専任媒介 不可 義務(7日以内) 3ヶ月
一般媒介 任意 制限なし

新築マンションは人気が高いため、専任媒介または専属専任媒介で1社に絞り、積極的な売却活動を依頼することが一般的です。

(2) レインズへの登録

レインズ(Real Estate Information Network System)は、不動産会社が物件情報を共有する業界データベースです。専任媒介契約では、契約後7日以内に登録することが義務付けられています。

レインズに登録されることで、多くの不動産会社が物件情報を閲覧でき、買主候補を広く探すことができます。

(3) 内覧対応のポイント

売却活動中は、買主候補の内覧対応が重要です。

内覧時のポイント:

  • 清掃・整理整頓を徹底
  • 照明を明るくして開放的な印象を演出
  • 設備の取扱説明書・保証書を提示
  • 管理費・修繕積立金の金額を明示
  • マンション全体の管理状態を説明
  • 周辺環境(学校・商業施設・交通)の情報提供

新築マンションの場合、設備が新しく清潔感があることが大きな訴求ポイントです。内覧前の清掃を丁寧に行いましょう。

税金と諸費用の計算

新築マンション売却時の税金と諸費用について解説します。

(1) 譲渡所得税の仕組み

国税庁によれば、不動産売却益には譲渡所得税が課税されます。

譲渡所得の計算式:

譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)

取得費: 購入価格 + 購入時の諸費用(登記費用・仲介手数料等)
譲渡費用: 売却時の諸費用(仲介手数料・印紙代等)

(2) 短期譲渡税率の注意点

所有期間によって税率が大きく異なります。

所有期間 税率 内訳
5年以下(短期) 39.63% 所得税30.63% + 住民税9%
5年超(長期) 20.315% 所得税15.315% + 住民税5%

※所有期間は売却年の1月1日時点で判定

新築マンションを購入後すぐに売却する場合、所有期間5年以下となるため、短期譲渡税率(39.63%)が適用されます。これは高い税率であるため、売却益が大きい場合は税負担が重くなります。

(3) 3000万円特別控除の適用要件

国税庁によれば、居住用財産を売却した場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から3,000万円を控除できます。

主な適用要件:

  • 自己の居住用財産であること
  • 居住しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却
  • 配偶者や直系血族など特別な関係者への譲渡でないこと
  • 前年・前々年に同様の特例を受けていないこと

この特例を適用すれば、多くのケースで譲渡所得税は非課税となります。ただし、購入後すぐに売却する場合、居住期間が短いと適用要件を満たさない可能性があるため、税理士への相談を推奨します。

売買契約から引渡しまでの手続き

買主が決まった後の手続きについて解説します。

(1) 売買契約と手付金

売買契約では、以下の内容を契約書に明記します。

  • 売却価格
  • 手付金の額(売却価格の5〜10%程度)
  • 決済・引渡し日
  • 契約解除条項(手付解除・ローン特約等)
  • 瑕疵担保責任(契約不適合責任)

契約時に手付金を受領し、決済時に残代金を受領します。

(2) 管理費・修繕積立金の確認

国土交通省によれば、マンション売却時には管理費・修繕積立金の滞納がないことを買主に証明する必要があります。

管理組合から「滞納なし証明書」を取得し、決済時に買主へ提示します。新築マンションの場合、購入後すぐなので滞納リスクは低いですが、念のため確認しましょう。

(3) 決済・引渡しの当日手続き

決済・引渡し日には、以下の手続きを行います。

決済当日の流れ:

  1. 本人確認・書類確認
  2. 残代金の受領(銀行振込)
  3. 所有権移転登記の申請(司法書士が代行)
  4. 固定資産税・管理費等の日割り清算
  5. 鍵・設備の取扱説明書等の引渡し
  6. 管理組合への所有者変更届提出

決済は通常、平日の午前中に金融機関で行われます。司法書士が同席し、登記手続きを代行します。

まとめ

新築マンション売却の流れとスケジュールについて、重要なポイントをまとめます。

  • 売却期間は査定から引渡しまで4-7ヶ月程度
  • 新築プレミアムは失われるため、購入価格の85-95%程度が査定の目安
  • 築浅物件は設備新しく保証期間残り、中古市場で人気が高い
  • 所有期間5年以下は**短期譲渡税率39.63%**が適用(3,000万円控除で多くは非課税)
  • 媒介契約は専任媒介がおすすめ。レインズ登録で広く買主を探せる
  • 内覧時は清潔感と設備の新しさを訴求

新築マンションの売却は、設備の新しさや保証期間の残存など、築浅ならではの訴求ポイントがあります。適正価格での早期売却を目指し、複数社への査定依頼と丁寧な内覧対応を心がけましょう。

税金や諸費用について不明点がある場合は、税理士や不動産の専門家への相談も検討してください。

よくある質問

Q1新築マンションの売却にかかる期間は?

A1査定から引渡しまで平均4〜7ヶ月です。売却活動期間が3〜6ヶ月、契約後の決済・引渡しまでが1〜2ヶ月が一般的です。築浅で設備が新しく、中古市場で人気が高いため、比較的早く売却できる傾向があります。ただし、立地や価格設定により変動します。

Q2新築で買ったマンション、売却するといくら下がる?

A2新築プレミアムは購入時に10〜20%程度上乗せされています。購入直後でも「中古」扱いとなり新築プレミアムは失われるため、購入価格の85〜95%程度が査定の目安となります。ただし、築浅は設備が新しく保証期間も残っているため、中古市場では人気があります。

Q3築浅マンション売却時の税金は?

A3所有期間5年以下は短期譲渡税率39.63%が適用されます。5年超は長期税率20.315%です。ただし、居住用財産の3,000万円特別控除を適用すれば、多くのケースで譲渡所得税は非課税となります。居住期間が短い場合は適用要件を確認する必要があります。

Q4新築マンション売却の訴求ポイントは?

A4設備の新しさ、保証期間の残存、住宅ローン控除の引き継ぎ可能性が主な訴求ポイントです。また、管理費・修繕積立金の滞納がないこと、内覧時の清潔感も重要です。未入居または短期居住の場合、内装の状態が良好であることは特に有利です。

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