マンション売却スケジュール|全体の流れ
初めてマンションを売却する際、「どのくらいの期間がかかるのか」「どんな手続きが必要なのか」と不安に感じる方は多いでしょう。マンション売却は、査定から引き渡しまで複数のステップがあり、一般的に4〜7ヶ月程度の期間が必要です。
本記事では、マンション売却の流れとスケジュールについて、各ステップの所要期間、必要書類、マンション特有の手続きまで、初心者向けに詳しく解説します。
この記事のポイント
- 売却完了まで4〜7ヶ月程度が一般的な目安
- 準備期間→売却活動→契約手続き→決済・引渡しの4つのフェーズ
- 売却活動期間(2〜3ヶ月)が最も時間がかかる
- 適正価格での売り出しと内覧対応がスケジュール短縮のカギ
- マンション特有の管理組合への手続きが必要
売却完了までの期間(4〜7ヶ月)
全体スケジュールの目安
マンション売却の全体スケジュールは、以下の4つのフェーズに分けられます。
フェーズ | 期間 | 主な内容 |
---|---|---|
1. 売却準備期間 | 1〜2ヶ月 | 査定依頼、価格設定、媒介契約 |
2. 売却活動期間 | 2〜3ヶ月 | 広告・宣伝、内覧対応、価格交渉 |
3. 契約手続き | 1〜2週間 | 重要事項説明、売買契約締結 |
4. 決済・引渡し | 1〜2ヶ月 | ローン審査、残金決済、引越し |
合計:4〜7ヶ月程度
この期間はあくまで目安であり、市場状況や価格設定、物件の条件により変動します。
各フェーズの所要期間
準備期間が短い場合(1ヶ月)
- 査定依頼から媒介契約まで迅速に進める
- 必要書類を事前に準備している
- 売却価格をスムーズに決定できる
売却活動が長引く場合(4〜6ヶ月以上)
- 価格設定が相場より高い
- 物件の条件が厳しい(築年数が古い、立地が悪いなど)
- 市場が買い手市場(需要が少ない時期)
売却活動期間は最も変動しやすく、適正価格での売り出しが期間短縮のカギとなります。
戸建てとの違い
マンションと戸建ての売却スケジュールには、以下のような違いがあります。
マンション特有のポイント
- 管理組合への届出が必要
- 管理費・修繕積立金の精算
- 管理規約・使用細則の引き継ぎ
- 修繕積立金の滞納がないか確認
戸建てより短くなる傾向
- 内覧の準備が比較的容易(室内のみ)
- 境界確定や測量が不要
- 購入希望者が多い(マンション需要は一般的に高い)
一方、戸建ては土地の境界確定や測量が必要なため、準備期間が長くなることがあります。
売却準備期間(1〜2ヶ月)
査定依頼と価格設定(2〜3週間)
売却の第一歩は、不動産会社に査定を依頼することです。
査定の流れ
- 複数社に査定依頼:3〜5社程度に依頼し、相場を把握
- 訪問査定:不動産会社が実際にマンションを訪問し、詳細な査定
- 査定結果の比較:各社の査定額と根拠を比較検討
- 売却価格の決定:査定額を参考に、売り出し価格を決定
査定には、簡易査定(机上査定)と訪問査定の2種類があります。訪問査定の方が正確な価格がわかるため、売却を本格的に検討する場合は訪問査定を依頼しましょう。
価格設定のポイント
- 相場より高すぎる価格設定は売却期間を長期化させる
- 急ぎの売却なら相場より5〜10%低めに設定
- 売却期間に余裕があれば相場通りで様子を見る
国土交通省の不動産取引の基礎知識によれば、適正価格での売り出しが円滑な取引につながります。
媒介契約の締結
不動産会社を選んだら、媒介契約を締結します。媒介契約には3種類あります。
契約種類 | 複数社との契約 | レインズ登録 | 報告義務 | 有効期間 |
---|---|---|---|---|
専属専任媒介 | 不可 | 5日以内 | 週1回以上 | 3ヶ月 |
専任媒介 | 不可 | 7日以内 | 週2回以上 | 3ヶ月 |
一般媒介 | 可 | 任意 | なし | 制限なし |
専属専任媒介・専任媒介のメリット
- 不動産会社が積極的に販売活動を行う
- レインズ(不動産流通標準情報システム)への登録義務があり、広く買主を探せる
- 定期的な報告により進捗状況が把握できる
一般媒介のメリット
- 複数社に依頼できるため、幅広いネットワークを活用できる
- 契約期間の制限がない
初めての売却では、専任媒介または専属専任媒介を選ぶ方が、不動産会社のサポートを受けやすくおすすめです。
室内整理と修繕の検討
売却活動を始める前に、室内の整理と必要に応じた修繕を検討しましょう。
準備すべき内容
- 整理整頓: 不要な荷物を片付け、収納スペースを確保
- 清掃: 水回り(キッチン、バス、トイレ)は特に念入りに
- 簡易修繕: 壁紙の汚れ、ドアの建付け不良など、低コストで対応できる箇所
大規模なリフォームは通常不要です。購入者が自分好みにリフォームすることが多いため、最低限の清掃と整理で十分です。
売却活動期間(2〜3ヶ月)
広告・宣伝活動の開始
媒介契約を締結すると、不動産会社が広告・宣伝活動を開始します。
主な宣伝方法
- 不動産ポータルサイトへの掲載(SUUMO、HOME'Sなど)
- レインズへの登録(専任媒介・専属専任媒介の場合)
- 新聞折込チラシ
- 不動産会社の店頭掲示
- 自社サイトやSNSでの告知
掲載する写真や物件情報は、不動産会社と相談しながら魅力的に見せる工夫が重要です。
内覧対応(週1〜2回)
購入希望者が現れると、内覧(物件見学)の対応が必要になります。
内覧対応のポイント
- 柔軟なスケジュール対応: 土日や平日夜間の内覧にも対応
- 清潔な環境を保つ: 内覧前には必ず清掃・換気
- 明るい印象: カーテンを開け、照明をつけて明るく
- 生活感を抑える: 私物は最小限に、整理整頓を心がける
内覧時には、マンションの管理状況や周辺環境についても説明できるよう準備しておきましょう。
内覧から購入申込みまでの流れ
- 内覧(1回目)
- 再内覧(希望者の家族同伴など)
- 購入申込み(買付証明書の提出)
内覧は平均2〜3回行われることが多く、購入申込みまで2〜4週間程度かかることが一般的です。
価格交渉と条件調整
購入申込みがあると、価格交渉や引渡し時期などの条件調整が始まります。
交渉のポイント
- 値下げ交渉: 通常、売り出し価格から3〜5%程度の値下げ交渉がある
- 引渡し時期: 買主の住宅ローン審査や引越し都合を考慮
- 残置物の扱い: エアコンや照明器具など、残すか撤去するか
不動産会社が仲介に入り、双方にとって納得のいく条件を調整します。
契約手続き(1〜2週間)
購入申込みと重要事項説明
条件が合意に達すると、以下の流れで契約手続きを進めます。
重要事項説明
- 実施者: 宅地建物取引士
- 内容: 物件の詳細、契約条件、法令上の制限など
- 時間: 1〜2時間程度
国土交通省の規定により、重要事項説明は売買契約前に必ず行われます。買主がマンションについて正確に理解した上で契約するための重要な手続きです。
売買契約(手付金受領)
重要事項説明の後、売買契約を締結します。
契約時の流れ
- 売買契約書への署名・押印
- 手付金の受領(売買代金の5〜10%程度)
- 仲介手数料の半額を不動産会社に支払い(残りは決済時)
必要書類(売主)
- 実印、印鑑証明書
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 登記済証または登記識別情報通知(権利証)
- 管理規約、使用細則
- 固定資産税納税通知書
住宅ローン審査期間
買主が住宅ローンを利用する場合、ローン審査に2〜3週間程度かかります。
ローン特約
- 買主がローン審査に通らなかった場合、契約を白紙解除できる特約
- 審査結果が出るまで売主は待つ必要がある
ローン特約期間は契約書に明記され、通常1ヶ月程度に設定されます。
決済・引渡しと引越し(1〜2ヶ月)
残金決済と所有権移転登記
買主の住宅ローン審査が通ると、決済日(引渡し日)を設定します。
決済日の流れ
- 残代金の受領(売買代金から手付金を引いた金額)
- 住宅ローンの一括返済(残債がある場合)
- 抵当権抹消登記
- 所有権移転登記
- 鍵の引渡し
- マンション管理組合への届出
決済は通常、買主の融資銀行で行われます。司法書士が立ち会い、登記手続きを代行します。
決済時の必要書類
- 実印、印鑑証明書
- 登記済証または登記識別情報通知
- 本人確認書類
- 固定資産税納税通知書
- 管理費等の精算書
- マンションの鍵
引渡し前の最終確認
決済前に、物件の最終確認を行います。
確認項目
- 残置物がすべて撤去されているか
- 設備の動作確認(エアコン、給湯器など)
- 傷や汚れの有無
- 管理費・修繕積立金の精算内容
売買契約時と同じ状態で引き渡すことが原則です。
引越しと明け渡し
決済日までに引越しを完了させる必要があります。
引越しスケジュール
- 決済日の1〜2週間前:引越し業者の手配
- 決済日の数日前:引越し実施
- 決済日当日:最終清掃、鍵の引渡し
引越しが間に合わない場合、買主と相談して引渡し日を調整することも可能です。
マンション特有の手続き
マンション売却では、管理組合への手続きが必要です。
管理組合への届出
- 所有者変更届の提出
- 管理費・修繕積立金の精算
- 管理規約、使用細則の引き継ぎ
- 駐車場・駐輪場契約の解約
管理費・修繕積立金は、引渡し日を基準に日割り計算で精算されます。
スケジュール短縮のポイント
適正価格での売り出し
売却期間を短縮する最も重要なポイントは、適正価格での売り出しです。
価格設定のコツ
- 複数社の査定額を比較し、相場を把握
- 相場より高すぎる設定は避ける(売却が長期化)
- 急ぎの場合は相場より5〜10%低めに設定
相場より高い価格設定は、売却活動期間を大幅に長期化させる主な原因です。
内覧しやすい環境づくり
内覧対応を柔軟に行うことで、購入希望者の機会損失を防げます。
環境づくりのポイント
- 常に清潔な状態を保つ
- 土日・平日夜間の内覧にも対応
- 空室の場合はハウスクリーニングを検討
- ホームステージング(家具配置で魅力的に見せる手法)の活用
内覧者の印象が良ければ、購入申込みまでの期間が短縮されます。
書類の事前準備
必要書類を事前に準備しておくと、契約手続きがスムーズに進みます。
準備すべき書類
- 登記済証または登記識別情報通知
- 固定資産税納税通知書
- マンションの管理規約、使用細則
- 修繕履歴、設備の保証書
- 建築確認済証(新築時の書類)
特に、登記済証や管理規約は紛失していると再発行に時間がかかるため、早めに確認しておきましょう。
まとめ
マンション売却は、準備期間から決済・引渡しまで4〜7ヶ月程度の期間が必要です。各フェーズの流れを理解し、計画的に進めることが重要です。
重要ポイント
- 全体期間: 4〜7ヶ月が一般的(準備1〜2ヶ月、売却活動2〜3ヶ月、契約1〜2週間、決済1〜2ヶ月)
- 最も時間がかかるフェーズ: 売却活動期間(2〜3ヶ月)
- 期間短縮のカギ: 適正価格での売り出しと柔軟な内覧対応
- マンション特有の手続き: 管理組合への届出、管理費等の精算
- 準備の重要性: 必要書類の事前準備でスムーズな取引が可能
初めての売却で不安がある場合も、信頼できる不動産会社に相談すれば、各ステップをサポートしてもらえます。まずは複数社に査定を依頼し、売却計画を立てることから始めましょう。
よくある質問
マンション売却にはどのくらいの期間がかかりますか?
売却完了まで4〜7ヶ月程度が目安です。内訳は、準備期間1〜2ヶ月、売却活動2〜3ヶ月、契約手続き1〜2週間、決済・引渡し1〜2ヶ月となります。市場状況や価格設定により期間は変動し、適正価格で売り出せば短縮できる可能性があります。
売却活動期間を短縮するにはどうすればよいですか?
適正価格での売り出し、内覧しやすい環境づくり(整理整頓・清掃)、柔軟な内覧対応が重要です。相場より高い価格設定は売却期間を長期化させる主な原因となります。複数社の査定額を比較し、相場を把握した上で現実的な価格を設定しましょう。
売買契約から引渡しまでどのくらいかかりますか?
通常1〜2ヶ月程度かかります。買主の住宅ローン審査に2〜3週間、引越し準備や引渡し条件の調整に時間が必要です。急ぎの場合は契約時に引渡し時期を明確に交渉し、双方の都合を調整することで短縮できる場合もあります。
マンション売却で最も時間がかかる工程は何ですか?
売却活動期間(2〜3ヶ月)が最も時間がかかります。内覧対応を週1〜2回行い、購入希望者が現れるまで待つ必要があるためです。価格設定が適正であれば短縮可能ですが、相場より高い場合は4〜6ヶ月以上かかることもあります。
マンション売却で必要な書類は何ですか?
主な必要書類は、登記済証または登記識別情報通知(権利証)、印鑑証明書、固定資産税納税通知書、管理規約・使用細則です。住宅ローンが残っている場合は、金銭消費貸借契約書や返済予定表も必要です。決済前に早めに準備しておくことをおすすめします。