土地購入の流れとスケジュール完全ガイド|手付金から決済まで徹底解説

公開日: 2025/10/14

土地購入の基本的な流れとスケジュール

土地購入は建物付き不動産の購入とは異なり、境界確認、地盤調査、インフラ整備状況の確認など、土地特有の手続きが必要です。また、購入後すぐに建築を始められるわけではなく、建築確認申請などの準備期間も考慮する必要があります。

この記事の要点

  • 土地探しから引渡しまで通常3~6ヶ月、建築開始まではさらに2~3ヶ月必要
  • 手付金は売買代金の5~10%が一般的(2,000万円の土地なら100~200万円)
  • 住宅ローン審査は事前審査3~7日、本審査1~2週間が目安
  • ローン特約があれば、審査不承認時に契約を白紙解除でき手付金も返還される
  • 購入後は境界確定・測量・地盤調査・建築確認申請などの準備が必要

(1) 土地購入完了までの全体スケジュール

土地購入の全体スケジュールは以下の通りです。

ステップ 主な作業内容 所要期間
土地探し・現地確認 希望条件整理、物件紹介、現地確認 1~3ヶ月
購入申込・重要事項説明 購入申込書提出、重要事項説明 1~2週間
売買契約 契約締結、手付金支払い 1日
住宅ローン審査 事前審査・本審査、金銭消費貸借契約 2~3週間
決済・引き渡し 残代金決済、所有権移転登記 契約から1~2ヶ月後
購入後手続き 不動産取得税申告、境界確定、建築準備 2~3ヶ月

出典:国土交通省「不動産売買の流れ」

(2) 各ステップの所要期間の目安

土地探し期間の変動要因

  • 希望条件の厳しさ(立地、広さ、予算)
  • 物件の流通量(都市部は多い、郊外・地方は少ない)
  • 競合の有無(人気エリアは早期に売れる)

契約から決済までの期間

  • 通常:1~2ヶ月
  • 住宅ローン審査が長引く場合:2~3ヶ月
  • 地目変更・造成工事が必要な場合:3~6ヶ月以上

(3) 建物購入との違いと土地特有の注意点

土地購入には、建物購入とは異なる以下の特徴があります。

土地特有の確認事項

  • 境界確定:隣地との境界が明確か(測量図・境界標の確認)
  • 地盤調査:地盤の強度、液状化リスク、地歴の確認
  • インフラ整備:上下水道、ガス、電気の引込状況
  • 法的制限:用途地域、建ぺい率、容積率、高さ制限
  • 地目:登記簿上の地目(宅地以外は地目変更が必要)

土地探しから現地確認まで

(1) 希望条件の整理と予算設定

土地探しを始める前に、希望条件と予算を整理します。

希望条件の例

  • 立地:通勤・通学の利便性、生活環境(学区、商業施設)
  • 広さ:建築予定の建物に必要な敷地面積
  • 形状:整形地(四角形)か不整形地か
  • インフラ:上下水道・ガスの引込状況
  • 法的制限:用途地域、建ぺい率、容積率

予算設定のポイント

総予算 = 土地代 + 建築費 + 諸費用
諸費用 = 仲介手数料 + 登記費用 + 不動産取得税 + その他(土地代の7~10%程度)

(2) 不動産会社への相談と物件紹介

希望条件を整理したら、不動産会社に相談します。複数社に相談することで、より多くの物件情報を得られます。

不動産会社選びのポイント

  • 地域に詳しい地元業者
  • 土地取引の実績が豊富
  • インフラ整備や法的制限に詳しい

物件紹介を受けたら、立地、価格、広さ、形状、インフラ状況を確認し、候補を絞り込みます。

(3) 現地確認での確認ポイント

気になる土地が見つかったら、必ず現地確認を行います。

現地確認のチェックリスト

  • 境界標の有無:隣地との境界がはっきりしているか
  • 道路との関係:接道状況(建築基準法上の道路に2m以上接しているか)
  • 地形・高低差:擁壁の有無、造成の必要性
  • 周辺環境:日当たり、騒音、臭い、近隣建物の状況
  • インフラ:上下水道、ガス、電気の引込位置
  • 法的制限:用途地域、建ぺい率、容積率の確認(役所で確認可能)

複数回、異なる時間帯に訪問することで、平日・休日の違いや日照の変化も確認できます。

重要事項説明と売買契約

(1) 重要事項説明の内容と確認事項

購入の意思が固まったら、購入申込書を提出します。その後、売買契約前に宅地建物取引士による重要事項説明が行われます。

重要事項説明の主な内容

  • 物件の権利関係(所有権、抵当権の有無)
  • 法令上の制限(用途地域、建ぺい率、容積率、高さ制限)
  • インフラ整備状況(上下水道、ガス、電気)
  • 取引条件(代金、支払時期、引渡時期)
  • 契約解除に関する事項(ローン特約、手付解除)

出典:国土交通省「重要事項説明書の説明義務」

重要事項説明書は事前に受け取り、不明点があれば質問しておきましょう。

(2) 売買契約書の記載内容

重要事項説明の後、売買契約を締結します。売買契約書には以下の内容が記載されます。

売買契約書の主な記載事項

  • 売買代金と支払方法(手付金、中間金、残代金)
  • 引渡時期
  • 所有権移転の時期
  • 公租公課(固定資産税等)の負担区分
  • 契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)
  • 契約解除条件(手付解除、ローン特約)

契約内容をよく確認し、納得した上で署名・押印します。

(3) 手付金の支払いと契約解除条件

売買契約締結時、買主は売主に手付金を支払います。

手付金の一般的な額

  • 売買代金の5~10%
  • 例:2,000万円の土地 → 100~200万円

手付金の性質

  • 解約手付:買主は手付金を放棄、売主は手付金の倍額を返還することで契約解除可能
  • 解除期限:相手方が契約の履行に着手するまで

ローン特約

  • 住宅ローン審査が不承認の場合、契約を白紙解除できる特約
  • 手付金も返還される
  • 期限は通常、契約から1~2ヶ月以内

住宅ローン審査と金銭消費貸借契約

(1) 事前審査と本審査の流れ

土地購入に住宅ローンを利用する場合、審査が必要です。

事前審査(仮審査)

  • タイミング:購入申込時または契約前
  • 所要期間:3~7日
  • 必要書類:本人確認書類、収入証明書、物件資料
  • 目的:借入可能額の目安を確認

本審査

  • タイミング:売買契約後
  • 所要期間:1~2週間
  • 必要書類:事前審査書類 + 売買契約書、重要事項説明書、住民票等
  • 目的:正式な融資承認

出典:金融庁(住宅ローン審査に関する一般的な情報)

(2) 審査期間とスケジュールへの影響

住宅ローン審査は、土地購入のスケジュールに大きく影響します。

審査が長引く要因

  • 提出書類の不備
  • 金融機関の繁忙期(年度末など)
  • 複数の借入がある場合の確認作業

審査期間を短縮するため、以下の対策が有効です。

  • 事前審査を早めに済ませる
  • 必要書類を事前に準備しておく
  • 金融機関の担当者と密に連絡を取る

(3) ローン特約と審査否決時の対応

ローン特約があれば、住宅ローン審査が不承認の場合、契約を白紙解除できます。

ローン特約の条件

  • 特約の期限内(通常1~2ヶ月)に審査結果が出ること
  • 審査否決の証明書類の提出

審査否決時の対応

  • ローン特約あり:契約白紙解除、手付金返還
  • ローン特約なし:手付金を放棄して解約、または残代金を自己資金で用意

ローン特約は必ず契約書に明記し、期限を確認しておきましょう。

決済・引き渡しと所有権移転

(1) 残代金決済の流れ

住宅ローンの本審査が承認されたら、金融機関と金銭消費貸借契約を締結します。その後、決済日を迎えます。

決済当日の流れ

  1. 買主が残代金(売買代金 - 手付金)を売主に支払う
  2. 売主が領収書を発行
  3. 司法書士が所有権移転登記の書類を確認
  4. 所有権移転登記の申請(決済当日または翌営業日)
  5. 鍵、測量図、境界確認書などの引き渡し

出典:法務局「所有権移転登記の手続き」(参考情報)

(2) 所有権移転登記の手続き

所有権移転登記は、司法書士が代行するのが一般的です。

登記に必要な書類

  • 売買契約書
  • 売主の権利証(登記識別情報)
  • 売主の印鑑証明書
  • 買主の住民票
  • 固定資産評価証明書

登記費用

  • 登録免許税:土地の固定資産税評価額 × 2%(2026年3月31日まで1.5%に軽減)
  • 司法書士報酬:5~10万円程度

登記完了後、登記識別情報(権利証)が発行されます。

(3) 引き渡し当日の確認事項

決済・引き渡し当日は、以下を確認します。

  • 境界標の確認:隣地との境界が明確か
  • 測量図・境界確認書の受領
  • 公租公課の清算:固定資産税・都市計画税の日割り清算
  • 鍵の受領:門扉、倉庫などの鍵(該当する場合)
  • 契約不適合の有無:現地の状態が契約内容と一致しているか

不明点や問題があれば、その場で確認・解決しておくことが重要です。

購入後の手続きと建築準備

(1) 不動産取得税の申告と納付

土地取得後、不動産取得税の申告が必要です。

不動産取得税

  • 税率:土地の固定資産税評価額 × 3%(2027年3月31日まで)
  • 軽減措置:住宅用地は評価額の1/2に軽減(要件あり)
  • 申告期限:取得から30~60日以内(都道府県により異なる)
  • 納付:申告後、納税通知書が届いてから納付

出典:総務省「不動産取得税の申告期限」

(2) 境界確定と測量の実施

建築前に、境界確定と測量を実施することをおすすめします。

境界確定の必要性

  • 隣地との境界を明確にし、将来のトラブルを防ぐ
  • 建築確認申請に必要な正確な敷地面積を確定

測量の流れ

  1. 土地家屋調査士に依頼
  2. 隣地所有者の立会いのもと、境界標を確認
  3. 測量図の作成
  4. 境界確認書の作成(隣地所有者の署名・押印)

費用は30~50万円程度、期間は1~2ヶ月が目安です。

(3) 建築確認申請までの準備

土地購入後、建築を開始するまでには以下の準備が必要です。

建築前の準備事項

  • 地盤調査:地盤の強度を確認(スウェーデン式サウンディング試験など)
  • 設計打ち合わせ:建築士・ハウスメーカーとの打ち合わせ
  • 建築確認申請:設計図書を作成し、建築確認申請を提出
  • 審査期間:木造住宅で1~2週間、鉄筋コンクリート造で1~2ヶ月

建築開始までの期間

  • 最短:引渡しから2~3ヶ月後
  • 地目変更・造成工事が必要な場合:3~6ヶ月以上

建築確認済証が交付されてから、建築工事を開始できます。

まとめ

土地購入は、土地探しから引渡しまで通常3~6ヶ月、建築開始まではさらに2~3ヶ月必要です。手付金は売買代金の5~10%が一般的で、住宅ローン審査は事前審査3~7日、本審査1~2週間が目安です。

ローン特約を契約書に明記しておけば、審査不承認時に契約を白紙解除でき、手付金も返還されます。購入後は境界確定・測量・地盤調査・建築確認申請などの準備が必要で、これらを計画的に進めることがスムーズな建築開始につながります。

土地特有の確認事項(境界、地盤、インフラ、法的制限)を漏れなくチェックし、将来のトラブルを防ぐことが重要です。

よくある質問

Q1土地購入にはどのくらいの期間がかかりますか?

A1土地探しから引渡しまで通常3~6ヶ月程度です。内訳は、土地探し1~3ヶ月、契約準備1~2週間、住宅ローン審査2~3週間、決済まで1~2ヶ月が目安です。地目変更や造成が必要な場合はさらに長期化します。建築開始まではさらに2~3ヶ月必要です。

Q2土地購入時の手付金はどのくらい必要ですか?

A2売買代金の5~10%が一般的です。例えば2,000万円の土地なら100~200万円です。契約締結時に現金または銀行振込で支払い、決済時に売買代金から差し引かれます。手付金を放棄することで契約解除も可能ですが、ローン特約があれば返還されます。

Q3住宅ローン審査が通らなかった場合、契約はどうなりますか?

A3ローン特約があれば契約を白紙解除でき、手付金も返還されます。ローン特約の期限(通常契約から1~2ヶ月)内に審査結果が必要です。特約がない場合は、手付金を放棄して解約するか、自己資金で残代金を用意する必要があります。

Q4土地購入後すぐに建築を始められますか?

A4境界確定・測量・地盤調査・建築確認申請などの準備が必要です。最短でも引渡しから2~3ヶ月後となります。地目変更や造成工事が必要な場合はさらに時間がかかります。建築確認済証が交付されてから建築工事を開始できます。

関連記事