戸建て購入の流れとスケジュール|7ステップ完全ガイド

公開日: 2025/10/14

戸建て購入の流れとスケジュール:基礎知識

初めて戸建てを購入する際、全体の流れとスケジュールを把握することで、スムーズな取引と計画的な準備が可能になります。予算設定から物件探し、内覧、購入申込、売買契約、住宅ローン審査、そして引き渡しまで、各段階で必要な手続きと注意点を理解しておくことが重要です。

本記事では、戸建て購入の流れとスケジュールについて、国土交通省や住宅金融支援機構の公的資料を基に、各ステップの所要期間・必要書類・注意点を解説します。

この記事でわかること

  • 戸建て購入の全体像と7つのステップ、購入にかかる期間の目安
  • 予算設定と諸費用の内訳、自己資金と住宅ローンのバランス
  • 物件探しから内覧までの方法と内覧時のチェックポイント
  • 購入申込から売買契約までの流れと重要事項説明のポイント
  • 住宅ローンの事前審査・本審査の違いと住宅ローン特約の重要性
  • 決済・引き渡し当日の流れと所有権移転登記の手続き

1. 戸建て購入の全体像とスケジュール

(1) 戸建て購入の7つのステップ

戸建て購入は、以下の7つのステップで進みます(国土交通省資料より)。

  1. 予算設定と資金計画: 購入予算の決定、自己資金と住宅ローンのバランス確認
  2. 物件探し: 不動産会社との媒介契約、物件情報の収集
  3. 内覧: 気になる物件の現地確認、建物・設備のチェック
  4. 購入申込: 購入意思の表明、価格交渉
  5. 売買契約: 重要事項説明、契約書への署名・押印、手付金支払い
  6. 住宅ローン手続き: 本審査申込、承認、金銭消費貸借契約締結
  7. 決済・引き渡し: 残代金支払い、所有権移転登記、鍵の受け取り

(2) 購入にかかる期間の目安

購入申込から引き渡しまでの期間は、通常2〜3ヶ月程度です。各ステップの所要期間の目安は以下の通りです。

ステップ 所要期間
予算設定・物件探し 数週間〜数ヶ月
内覧 1日〜数週間
購入申込〜売買契約 1〜2週間
住宅ローン事前審査 数日〜1週間
住宅ローン本審査 1〜2週間
契約〜引き渡し 1〜2ヶ月

(3) 新築と中古の違い

新築と中古では、購入の流れに以下の違いがあります。

項目 新築 中古
契約時期 建物完成前に契約することが多い 現況渡しが基本、契約から引き渡しまで1〜2ヶ月
引き渡しまでの期間 建築中の場合、数ヶ月〜1年 契約から1〜2ヶ月程度
仲介手数料 売主が不動産会社の場合は不要 物件価格×3%+6万円+消費税が目安
住宅ローン控除 借入限度額3,000〜5,000万円(省エネ性能により異なる) 借入限度額2,000〜3,000万円
瑕疵担保責任 構造躯体・雨水浸入は10年保証(品確法) 契約内容により異なる(一般的に2〜3ヶ月)

2. 予算設定と資金計画

(1) 購入予算の決め方

購入予算は、「年収の5〜6倍」または「月々の返済額が手取り月収の25%以内」が目安とされています(住宅金融支援機構資料より)。

予算設定の計算例:

  • 世帯年収: 600万円
  • 購入予算: 3,000〜3,600万円(年収の5〜6倍)
  • 月々の返済額: 10〜12.5万円(手取り月収50万円の25%以内)

(2) 諸費用の内訳と見積もり

戸建て購入時には、物件価格の他に諸費用がかかります。諸費用の目安は物件価格の6〜10%程度です。

諸費用項目 金額目安
仲介手数料 物件価格×3%+6万円+消費税(中古の場合)
登記費用(所有権移転・抵当権設定) 20〜40万円
住宅ローン諸費用(事務手数料・保証料) 30〜100万円
火災保険料 10〜30万円(10年一括払いの場合)
固定資産税・都市計画税(日割り精算) 数万円〜十数万円
不動産取得税 固定資産税評価額×3%(軽減措置あり)

計算例(物件価格3,000万円の場合):

  • 諸費用合計: 180〜300万円程度

(3) 自己資金と住宅ローンのバランス

自己資金は、諸費用分(物件価格の6〜10%)と頭金(物件価格の10〜20%)を合わせて、物件価格の20〜30%程度を用意することが理想的です。

資金計画の例(物件価格3,000万円の場合):

  • 自己資金: 600〜900万円(諸費用180〜300万円+頭金300〜600万円)
  • 住宅ローン: 2,400〜2,700万円

3. 物件探しから内覧まで

(1) 物件探しの方法と媒介契約

物件探しの方法は主に以下の3つです。

  • 不動産ポータルサイト: インターネットで広範囲に物件情報を検索
  • 不動産会社: 店舗訪問または電話で希望条件を伝え、物件を紹介してもらう
  • 住宅展示場: 新築戸建て(建売・注文住宅)の場合、展示場で直接見学

不動産会社と媒介契約を結ぶことで、物件探しを正式に依頼できます(国土交通省資料より)。媒介契約には、専属専任媒介・専任媒介・一般媒介の3種類があります。

(2) 内覧時のチェックポイント

内覧時には、以下のポイントを確認しましょう。

建物のチェック:

  • 壁・床・天井のキズ、ひび割れ、シミ
  • 建具(ドア・窓)の開閉動作、隙間の有無
  • 水回り設備(キッチン・バス・トイレ)の動作、水漏れ
  • 給湯器・エアコンの動作確認

周辺環境のチェック:

  • 最寄り駅までの距離、バス路線の有無
  • 学校・保育園・病院・スーパーの近さ
  • 騒音・日当たり・風通し
  • ゴミ置き場、駐車場の位置

(3) 希望条件の整理と優先順位

物件探しを始める前に、希望条件を整理し優先順位をつけることが重要です。

優先順位の例:

  1. 立地: 通勤・通学の利便性
  2. 価格: 予算内であること
  3. 間取り: 家族構成に合った部屋数
  4. 築年数: 新築または築浅
  5. 設備: 駐車場、庭、収納スペース

4. 購入申込と売買契約の締結

(1) 購入申込から契約までの流れ

気に入った物件が見つかったら、以下の流れで購入申込を行います(国土交通省資料より)。

  1. 購入申込書の提出: 不動産会社に購入意思を伝え、申込書を提出
  2. 価格交渉: 売主と価格や引き渡し時期を交渉
  3. 住宅ローン事前審査: 金融機関に事前審査を申込(数日〜1週間)
  4. 重要事項説明: 宅地建物取引士から物件の詳細説明を受ける
  5. 売買契約締結: 契約書に署名・押印、手付金を支払う

(2) 重要事項説明のポイント

重要事項説明では、宅地建物取引士が以下の内容を説明します。

  • 物件の権利関係: 所有権、抵当権、賃借権等
  • 建築基準法等の法令制限: 用途地域、建ぺい率、容積率等
  • インフラ整備状況: 上下水道、電気、ガスの引き込み状況
  • 周辺環境: 騒音、悪臭、日照阻害等の環境リスク
  • 契約解除条件: 手付解除、住宅ローン特約等

事前に重要事項説明書を受け取り、内容を確認しておくことが推奨されます。不明点は必ず質問しましょう。

(3) 手付金と契約書の確認

売買契約時には、手付金(売買代金の5〜10%程度)を支払います。手付金は、契約の証として売主に預けるお金で、引き渡し時に売買代金の一部に充当されます。

契約書の確認ポイント:

  • 売買代金、手付金の額
  • 引き渡し日、所有権移転登記の時期
  • 瑕疵担保責任(契約不適合責任)の範囲と期間
  • 住宅ローン特約の有無と内容
  • 契約解除条件

5. 住宅ローンの手続きと流れ

(1) 事前審査と本審査の違い

住宅ローンには、事前審査と本審査の2段階があります(住宅金融支援機構資料より)。

審査種類 タイミング 所要期間 審査内容
事前審査 購入申込時 数日〜1週間 年収、勤務先、借入状況等の簡易審査
本審査 売買契約後 1〜2週間 物件の担保評価、詳細な返済能力審査

本審査に通過すると、金融機関から融資承認通知が発行されます。

(2) 住宅ローン特約の重要性

住宅ローン特約は、住宅ローンの本審査に落ちた場合に売買契約を白紙解除できる特約です(国土交通省資料より)。

住宅ローン特約の内容:

  • 特約期限: 通常、契約から1〜2ヶ月以内
  • 解除条件: 指定した金融機関の住宅ローン審査に落ちた場合
  • 手付金の返還: 白紙解除の場合、手付金は全額返還される

住宅ローン特約がない契約では、審査に落ちても手付金が返還されないため、必ず特約を付けることが重要です。

(3) 金利タイプと返済計画

住宅ローンの金利タイプには、変動金利・固定金利(フラット35等)・固定金利選択型の3種類があります。

金利タイプ メリット デメリット
変動金利 金利が低い、総返済額が抑えられる可能性 金利上昇リスク、返済額が増える可能性
固定金利 金利が変わらない、返済計画が立てやすい 金利が高め、金利低下時の恩恵なし
固定金利選択型 一定期間固定、その後変動または再固定選択 固定期間終了後の金利上昇リスク

ライフプランに合わせて金利タイプを選択し、返済計画を立てましょう。

6. 決済・引き渡しと入居準備

(1) 決済日当日の流れ

決済・引き渡しは、通常、金融機関または不動産会社のオフィスで行われます(国土交通省資料より)。

  1. 本人確認: 買主・売主の本人確認書類を提示
  2. 残代金の支払い: 住宅ローンの融資実行により売主に振込
  3. 固定資産税等の清算: 引き渡し日を基準に日割り計算
  4. 所有権移転登記書類の署名: 司法書士が準備した登記申請書に署名
  5. 鍵の受け渡し: 売主から買主へ鍵を引き渡す
  6. 登記申請: 司法書士が法務局に所有権移転登記を申請

(2) 所有権移転登記の手続き

所有権移転登記は、不動産の所有権が売主から買主に移転したことを公示するための登記です(法務省資料より)。

  • 登記申請: 司法書士が法務局に申請
  • 登記完了: 通常、申請から1〜2週間で登記が完了
  • 登記識別情報通知: 登記完了後、買主に郵送(権利証に相当)

(3) 引き渡し後の手続き

引き渡し後、以下の手続きを行います。

  • 住民票の移動: 引越し後14日以内に転入届を提出(総務省資料より)
  • ライフラインの契約: 電気・ガス・水道・インターネットの契約
  • 住宅ローン控除の申請: 翌年の確定申告で申請(国税庁資料より)
  • 火災保険の加入: 引き渡し日から補償開始となるよう事前加入

まとめ

戸建て購入の流れは、予算設定→物件探し→内覧→購入申込→売買契約→住宅ローン手続き→決済・引き渡しの7つのステップで進みます。購入申込から引き渡しまでの期間は通常2〜3ヶ月程度ですが、新築の場合は建築期間が加わり半年以上かかることもあります。

諸費用は物件価格の6〜10%程度を見込み、自己資金として物件価格の20〜30%(諸費用+頭金)を用意することが理想的です。住宅ローンの事前審査は購入申込時、本審査は売買契約後に行い、本審査に落ちた場合は住宅ローン特約により契約を白紙解除できます。

重要事項説明では、物件の権利関係、法令制限、インフラ整備状況、契約解除条件を確認し、不明点は必ず質問しましょう。決済・引き渡し当日は、残代金の支払いと同時に所有権移転登記を行い、鍵を受け取ります。引き渡し後14日以内に住民票を移動させ、翌年の確定申告で住宅ローン控除を申請しましょう。

よくある質問

Q1戸建て購入にはどのくらいの期間がかかりますか?

A1購入申込から引き渡しまで通常2〜3ヶ月程度です。住宅ローンの審査に1〜2週間、契約から引き渡しまで1〜2ヶ月が目安です。新築注文住宅の場合は建築期間が加わり半年以上かかることもあります。物件探しの期間は人により異なり、数週間から数ヶ月かかる場合もあります。

Q2購入時にかかる諸費用はどのくらいですか?

A2物件価格の6〜10%程度が目安です。仲介手数料(物件価格×3%+6万円+消費税、中古の場合)、登記費用20〜40万円、住宅ローン諸費用30〜100万円、火災保険料10〜30万円などが含まれます。諸費用は基本的に現金で用意する必要があるため、自己資金として物件価格の20〜30%(諸費用+頭金)を準備することが理想的です。

Q3住宅ローンの事前審査と本審査の違いは何ですか?

A3事前審査は購入申込時に行う簡易的な審査で、年収・勤務先・借入状況等を確認します(所要期間:数日〜1週間)。本審査は売買契約後に行う正式な審査で、物件の担保評価や詳細な返済能力を審査します(所要期間:1〜2週間)。本審査で落ちた場合は住宅ローン特約により契約を白紙解除でき、手付金は全額返還されます。

Q4新築と中古で購入の流れは違いますか?

A4基本的な流れは同じですが、新築は建物完成前に契約することが多く、完成・引き渡しまで数ヶ月〜1年かかります。中古は現況渡しが基本で、契約から引き渡しまで1〜2ヶ月程度です。仲介手数料は、新築で売主が不動産会社の場合は不要ですが、中古では物件価格×3%+6万円+消費税が目安です。住宅ローン控除の要件も異なります。

Q5重要事項説明では何を確認すべきですか?

A5物件の権利関係(所有権、抵当権等)、建築基準法等の法令制限(用途地域、建ぺい率、容積率等)、インフラ整備状況(上下水道、電気、ガスの引き込み)、周辺環境(騒音、悪臭等)、契約解除条件(手付解除、住宅ローン特約等)を確認します。宅地建物取引士が説明しますが、事前に重要事項説明書を受け取って内容を確認しておくことが重要です。不明点は必ず質問しましょう。

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