住み替え中古マンション購入の必要書類|旧居売却から登記まで

公開日: 2025/10/17

住み替えで中古マンション購入時の書類準備の重要性

住み替えで中古マンションを購入する際、売却と購入を並行して進めるため、書類準備が複雑になります。本記事では、中古マンション購入時の必要書類、住み替え特有の追加書類、住宅ローン申込の書類、登記手続きの書類、管理規約と瑕疵保険の確認、書類準備のスケジュールまで、実務的な観点から解説します。

この記事のポイント:

  • 売却物件の査定書や売却予定証明が必要
  • 住宅ローン控除の初年度は確定申告が必須(2年目以降は年末調整)
  • 管理規約はペット飼育・楽器演奏などの制限を事前確認
  • 既存住宅売買瑕疵保険は購入後の不具合リスク軽減に有効
  • 売却と購入の並行スケジュールで書類準備のタイミング調整が重要

中古マンション購入時の必要書類一覧

(1) 売買契約関連書類

中古マンション購入の売買契約では、以下の書類が必要です。

重要事項説明書:

国土交通省の宅地建物取引業法に基づき、宅地建物取引士が購入者に対して物件の重要事項を説明する際に使用する書類です。

重要事項説明書に記載される主な内容:

  • 物件の権利関係(所有権・抵当権の有無)
  • 法令上の制限(用途地域・建ぺい率・容積率)
  • 管理費・修繕積立金の額
  • 契約解除条件・手付金の扱い
  • 契約不適合責任(欠陥があった場合の責任範囲)

売買契約書:

売買契約の条件を記載した書類です。

  • 売買価格・支払方法
  • 引き渡し時期
  • 契約解除の条件
  • 契約不適合責任の期間

(2) 本人確認と印鑑証明書類

売買契約時には、本人確認と印鑑証明が必要です。

本人確認書類:

  • 運転免許証
  • パスポート
  • マイナンバーカード

印鑑証明書:

  • 発行から3ヶ月以内のもの
  • 市区町村の窓口またはコンビニで取得可能

住民票:

  • 発行から3ヶ月以内のもの
  • 住宅ローン申込時にも必要

住み替え特有の追加書類

(1) 売却物件の査定書と売却予定証明

住み替えで中古マンションを購入する場合、金融機関から売却物件の査定書や売却予定証明の提出を求められることがあります。

売却物件の査定書:

不動産会社が作成した売却予定物件の査定書です。金融機関は、売却資金を購入資金の一部として見込むため、売却価格の妥当性を確認します。

売却予定証明:

売却物件の売買契約書(コピー)や、不動産会社が発行する売却予定証明書です。売却と購入のタイミングを調整するため、金融機関に提出します。

つなぎ融資が必要な場合:

売却物件の決済前に購入物件の決済が必要な場合、つなぎ融資を利用します。この場合、以下の書類が追加で必要です。

  • 売却物件の売買契約書
  • つなぎ融資の申込書
  • 売却予定日を記載した資金計画書

(2) 住宅ローン控除申請書類

住み替えで中古マンションを購入する場合、住宅ローン控除を受けるための書類準備が必要です。

初年度の確定申告で必要な書類(国税庁):

  1. 確定申告書
  2. 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  3. 登記事項証明書: 法務局で取得
  4. 売買契約書(コピー): 購入価格を証明
  5. 住宅ローンの年末残高証明書: 金融機関から送付
  6. 住民票: 市区町村で取得
  7. マイナンバーカードまたは通知カード

2年目以降:

初年度の確定申告後、税務署から「住宅借入金等特別控除証明書」が送付されます。2年目以降は年末調整で控除を受けられるため、確定申告は不要です。

住宅ローン申込と審査の必要書類

(1) 所得証明と勤務先関連書類

住宅ローン申込時には、所得証明と勤務先関連の書類が必要です。

所得証明書類(住宅金融支援機構):

雇用形態 必要書類
会社員 源泉徴収票(直近1-2年分)
自営業 確定申告書(直近2-3年分)、決算書
公務員 源泉徴収票、給与明細(直近3ヶ月分)
契約社員・派遣 源泉徴収票、雇用契約書

勤務先関連書類:

  • 健康保険証(勤務先が記載されているもの)
  • 雇用契約書(契約社員の場合)
  • 在職証明書(金融機関により異なる)

(2) 物件資料と資金計画書

住宅ローン審査では、購入物件の資料と資金計画書が必要です。

物件資料:

  • 売買契約書(コピー)
  • 重要事項説明書(コピー)
  • 登記事項証明書(法務局で取得)
  • 固定資産税評価証明書(市区町村で取得)
  • 建築確認済証・検査済証(マンションの場合)
  • 管理規約・総会議事録(マンション管理組合から取得)

資金計画書:

項目 金額
物件価格 例: 3,000万円
諸費用(登記・仲介手数料など) 例: 200万円
合計購入資金 3,200万円
自己資金(頭金) 例: 500万円
売却資金 例: 1,500万円
住宅ローン借入額 例: 1,200万円

資金計画書は、金融機関が融資可否を判断する重要な資料です。

登記手続きに必要な書類

(1) 所有権移転登記の必要書類

中古マンション購入時の所有権移転登記では、以下の書類が必要です(法務局)。

買主が準備する書類:

  • 住民票
  • 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
  • 実印
  • 登記費用(登録免許税・司法書士報酬)

売主から受け取る書類:

  • 登記識別情報(旧「権利証」): 12桁の英数字
  • 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
  • 固定資産税評価証明書

登記手続きは、決済日当日に司法書士が行います。決済後1-2週間で登記が完了し、登記事項証明書を取得できます。

(2) 登記識別情報の受領と保管

所有権移転登記が完了すると、法務局から買主に「登記識別情報」が通知されます。

登記識別情報の重要性:

  • 次回売却時に必要となる重要書類
  • 12桁の英数字で構成(目隠しシールで保護)
  • 紛失しても再発行不可(本人確認が厳格化される)

登記識別情報は、金庫や貸金庫など安全な場所に保管しましょう。

マンション管理と瑕疵保険の書類

(1) 管理規約・使用細則の確認

中古マンション購入時には、管理規約と使用細則を必ず確認しましょう。

管理規約で確認すべき主な内容(国土交通省):

項目 確認ポイント
ペット飼育 飼育可能な種類・大きさの制限
楽器演奏 演奏可能な時間帯・楽器の種類
リフォーム制限 間取り変更・設備交換の可否
駐車場・駐輪場 利用料金・空き状況
専有部分と共用部分の区分 バルコニー・窓は共用部分扱い

ペット飼育や楽器演奏などの制限は、生活に直結するため、契約前に確認することが重要です。

修繕積立金の確認:

  • 修繕積立金の残高
  • 大規模修繕の予定時期と費用
  • 修繕積立金の値上げ予定
  • 滞納履歴の有無

修繕積立金が不足している場合、将来一時金の徴収や修繕積立金の大幅な値上げが発生する可能性があります。

(2) 既存住宅売買瑕疵保険と建物状況調査

既存住宅売買瑕疵保険は、中古住宅購入後に瑕疵(欠陥)が発見された場合、補修費用を保険でカバーする制度です。

既存住宅売買瑕疵保険の仕組み(住宅瑕疵担保責任保険協会):

  • 加入者: 売主または買主(不動産会社が仲介する場合が多い)
  • 保険期間: 1年間または5年間
  • 保険金額: 500万円または1,000万円
  • 加入条件: 建物状況調査(インスペクション)を実施

建物状況調査(インスペクション):

建築士が既存住宅の劣化状況を調査する制度です。

  • 調査内容: 基礎・外壁・屋根・床・天井・設備の劣化状況
  • 調査費用: 5-10万円程度
  • 調査期間: 2-3時間

瑕疵保険に加入することで、購入後の不具合リスクを軽減できます。売主側が加入している場合は、引継ぎが可能です。

書類準備のスケジュールと注意点

(1) 売却と購入の並行スケジュール

住み替えでは、売却と購入を並行して進めるため、書類準備のタイミング調整が重要です。

売却と購入の並行スケジュール:

時期 売却物件 購入物件
1-2ヶ月前 査定依頼・売却活動開始 物件探し・見学
1ヶ月前 売買契約締結 購入申込・住宅ローン事前審査
3週間前 売却予定証明の発行 売買契約締結・住宅ローン本審査
2週間前 決済準備(書類準備) 決済準備(書類準備)
決済日 売却決済・引き渡し 購入決済・引き渡し

つなぎ融資が必要な場合:

売却物件の決済前に購入物件の決済が必要な場合、つなぎ融資を利用します。この場合、金融機関に早めに相談し、売却予定証明や資金計画書を準備しましょう。

(2) 決済日までの書類チェックリスト

決済日までに準備すべき書類をチェックリスト形式でまとめます。

購入物件の決済日に必要な書類:

  • 本人確認書類(運転免許証など)
  • 住民票(発行から3ヶ月以内)
  • 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
  • 実印
  • 登記費用(現金または振込)
  • 住宅ローンの借入金額確認書(金融機関から)
  • 売買契約書(原本)
  • 火災保険証券(決済日までに加入)

売却物件の決済日に必要な書類:

  • 登記識別情報(旧「権利証」)
  • 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
  • 固定資産税評価証明書
  • 管理費・修繕積立金の清算書
  • 抵当権抹消書類(住宅ローン完済後)

決済日の1週間前までに、司法書士と不動産会社に書類を確認してもらい、不備がないかチェックしましょう。

まとめ

住み替えで中古マンションを購入する際は、売却と購入を並行して進めるため、書類準備が複雑になります。

売却物件の査定書や売却予定証明を金融機関に提出し、つなぎ融資が必要な場合は早めに相談しましょう。住宅ローン控除の初年度は確定申告が必須で、登記事項証明書や売買契約書などの書類を翌年の確定申告時に提出します。2年目以降は年末調整で控除を受けられます。

管理規約は、ペット飼育・楽器演奏・リフォーム制限など生活に直結する内容を契約前に確認することが重要です。既存住宅売買瑕疵保険に加入することで、購入後の不具合リスクを軽減できます。

決済日までに必要な書類をチェックリスト形式で整理し、司法書士と不動産会社に確認してもらうことで、スムーズな決済を実現できます。住み替えは売却と購入のタイミング調整が重要なため、早めの資金計画と書類準備を心がけましょう。

よくある質問

Q1住み替えの場合、売却物件と購入物件の書類はどう準備すればいいですか?

A1売却物件の査定書や売却予定証明を金融機関に提出し、売却と購入のタイミングを調整します。売却物件の決済前に購入物件の決済が必要な場合、つなぎ融資を利用します。この場合、金融機関に早めに相談し、売却物件の売買契約書や資金計画書を準備しましょう。売却と購入を並行して進めるため、決済日の1週間前までに司法書士と不動産会社に書類を確認してもらい、不備がないかチェックすることが重要です。

Q2中古マンションの管理規約は、いつ確認できますか?

A2管理規約は、重要事項説明時(契約前)に宅地建物取引士から説明を受けます。国土交通省の宅地建物取引業法に基づき、ペット飼育、楽器演奏、リフォーム制限など生活に直結する内容は事前に確認すべきです。管理規約の原本はマンション管理組合が保管しており、不動産会社を通じて閲覧できます。特にペット飼育や楽器演奏の制限は、入居後のトラブルにつながるため、契約前に必ず確認しましょう。

Q3既存住宅売買瑕疵保険は加入必須ですか?

A3既存住宅売買瑕疵保険への加入は法的義務ではありませんが、購入後の不具合リスク軽減のため加入を推奨します。建物状況調査(インスペクション)が前提条件となり、建築士が基礎・外壁・屋根・床・天井・設備の劣化状況を調査します。調査費用は5-10万円程度、調査期間は2-3時間です。売主側が加入している場合は引継ぎが可能です。保険期間は1年間または5年間、保険金額は500万円または1,000万円が一般的です。

Q4住宅ローン控除を受けるには、どの書類を確定申告で提出しますか?

A4初年度の確定申告では、登記事項証明書(法務局で取得)、売買契約書のコピー、住宅ローンの年末残高証明書(金融機関から送付)、住民票、マイナンバーカードまたは通知カード、住宅借入金等特別控除額の計算明細書を提出します。国税庁によると、初年度のみ確定申告が必要で、2年目以降は税務署から送付される「住宅借入金等特別控除証明書」を使って年末調整で控除を受けられます。確定申告は売却翌年の2月16日から3月15日に行います。

関連記事