住み替えで新築戸建てを購入する際の必要書類の全体像
住み替えで新築戸建てを購入する場合、中古戸建てとは異なる書類が必要になります。建築期間中の書類管理、完成前の契約、建築確認済証や検査済証の取得など、新築特有の手続きがあります。
さらに、旧居の売却と建築期間のタイミング調整が重要です。建築遅延リスクに備えた書類準備や、仮住まいを挟む場合の追加書類も必要になります。
本記事では、住み替えで新築戸建てを購入する際の必要書類を、時系列に沿って解説します。
この記事でわかること
- 新築戸建て特有の書類(建築確認済証・検査済証・工事請負契約書等)
- 住み替えに伴う追加書類(旧居の売買契約書・残債証明書等)
- 建築期間中の書類準備とタイミング調整
- つなぎ融資・住み替えローンの必要書類
- 住宅ローン控除の適用書類と確定申告期限
新築戸建て特有の書類とは
新築戸建ては、中古戸建てと異なる書類が必要です。
書類 | 中古戸建て | 新築戸建て |
---|---|---|
売買契約書 | ○ | ○(建売)× |
工事請負契約書 | × | ○(注文住宅) |
建築確認済証 | ○(既存) | ○(取得必要) |
検査済証 | ○(既存) | ○(完成後取得) |
重要事項説明書 | ○ | ○ |
登記事項証明書 | ○(既存) | ○(完成後取得) |
新築戸建ては、建売住宅(完成済みまたは建築中)と注文住宅(土地購入後に建築)で必要書類が異なります。
建売住宅
- 売買契約書(土地・建物一括)
- 建築確認済証(建築会社が取得)
- 検査済証(完成後に取得)
注文住宅
- 土地の売買契約書
- 建物の工事請負契約書
- 建築確認済証(着工前に取得)
- 検査済証(完成後に取得)
住み替えに伴う追加書類
住み替えで新築戸建てを購入する場合、旧居の売却関連書類が追加で必要です。
旧居関連書類
- 旧居の売買契約書
- 旧居の登記事項証明書
- 既存ローン残債証明書
- 旧居の査定書・媒介契約書
新居関連書類
- 土地の売買契約書(注文住宅の場合)
- 建物の工事請負契約書(注文住宅の場合)
- 建築確認済証
- 建築工程表(完成予定日を証明)
- 完成予定証明書(金融機関提出用)
新築戸建ての建築期間中に旧居を売却する場合、建築遅延リスクへの対応が重要になります。
書類準備の時系列チェックリスト
住み替えで新築戸建てを購入する際の書類準備を時系列で整理します。
1. 土地探し・建築会社選定(1〜3ヶ月)
- 土地の重要事項説明書
- 建築会社のパンフレット・見積書
2. 旧居売却開始(並行)
- 旧居の査定書・媒介契約書
- 旧居の登記事項証明書
3. 土地契約・建築確認申請(1ヶ月)
- 土地の売買契約書
- 建物の工事請負契約書
- 建築確認申請書
4. 旧居売買契約締結
- 旧居の売買契約書
- 既存ローン残債証明書
5. 住宅ローン本審査(1〜2ヶ月)
- 建築確認済証(取得後)
- 建築工程表・完成予定証明書
- 旧居の売買契約書・残債証明書
6. 着工〜建築期間(4〜6ヶ月)
- 中間検査済証(必要な場合)
- 工事進捗報告書
7. 完成・引き渡し(1週間)
- 検査済証
- 建物の登記事項証明書
- 火災保険証券
8. 確定申告(翌年2〜3月)
- 住宅ローン年末残高証明書
- 登記事項証明書・売買契約書
売買契約時に必要な書類
本人確認書類
新築戸建ての購入でも、通常の不動産取引と同様に本人確認書類が必要です。
必要な書類
- 運転免許証(両面コピー)
- パスポート
- マイナンバーカード(通知カードは不可)
住み替えで旧居を売却する場合、売却と購入の両方で本人確認書類が必要です。
重要事項説明書
重要事項説明書は、宅地建物取引業法に基づき、契約前に物件・取引条件を説明する書類です。
土地の重要事項説明書(注文住宅の場合)
- 土地の面積・境界
- 用途地域・建ぺい率・容積率
- 道路との接道状況
- 上下水道・ガス等のインフラ状況
建物の重要事項説明書(建売住宅の場合)
- 建物の構造・面積
- 建築確認番号・検査済証の有無
- 住宅性能評価の有無
重要事項説明は契約前に宅地建物取引士が口頭で説明します。説明を受けた後、重要事項説明書に署名・押印します。
売買契約書関連
建売住宅の場合
- 不動産売買契約書(土地・建物一括)
- 手付金(売買代金の5〜10%)
注文住宅の場合
- 土地の売買契約書
- 建物の工事請負契約書
- 手付金(土地代金の5〜10%)
- 着手金(工事請負代金の10〜30%)
注文住宅の場合、土地の購入と建物の建築で2つの契約が必要です。
住宅ローン審査の必要書類
収入証明書類
通常の住宅ローンと同様、収入証明書類が必要です。
給与所得者
- 源泉徴収票(直近1〜3年分)
- 住民税課税証明書
自営業者・フリーランス
- 確定申告書の控え(直近3年分)
- 所得税納税証明書
物件関連書類(建築確認済証等)
新築戸建ての住宅ローン審査では、以下の物件関連書類が必要です。
建築確認済証
- 建築基準法に基づき、建築計画が法令に適合していることを証明する書類
- 着工前に自治体または民間検査機関から取得
- 住宅ローン審査で必須書類
建築確認済証の記載内容
- 確認済証番号
- 建築主・設計者・工事施工者
- 敷地面積・建築面積・延床面積
- 構造・階数・用途
建築工程表・完成予定証明書
- 建築会社が作成
- 完成予定日を証明
- 金融機関は完成予定日までにローン実行できるかを確認
建築期間中に住宅ローンを申し込む場合、建築確認済証が取得されていることが審査の前提条件です。
住み替えローン利用時の追加書類
住み替えで新築戸建てを購入する場合、住み替えローンを利用すると旧居のローン残債を新規ローンに組み込めます。
住み替えローンの追加書類
- 旧居の売買契約書
- 既存ローン残債証明書
- 旧居の査定書・媒介契約書
- 旧居の登記事項証明書
金融機関は、旧居の売却が確実に進むか、新居の完成予定日までに旧居の引き渡しが完了するかを審査します。
タイミング調整の注意点
- 新築戸建ての完成予定日:例)2026年3月
- 旧居の引き渡し予定日:例)2026年2月
- 建築遅延リスクを考慮し、余裕を持った計画が必要
建築遅延により新居の完成が遅れる場合、つなぎ融資や仮住まいの期間が延びるため、追加費用が発生します。
決済・引渡し時の必要書類
残金決済時の書類
新築戸建ての引き渡し時には、以下の書類が必要です。
買主側の書類
- 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
- 実印
- 住民票(引き渡し後に転入届を提出し取得)
- 本人確認書類
- 残金(住宅ローン実行金額+自己資金)
売主(建築会社・土地売主)側の書類
- 登記識別情報(土地の場合)
- 印鑑証明書
- 固定資産評価証明書
- 検査済証
検査済証の確認
新築戸建ての引き渡し時には、検査済証の取得を必ず確認します。
検査済証とは
- 完成した建物が建築確認申請通りに建てられたことを証明する書類
- 完成後に自治体または民間検査機関が完了検査を実施し発行
検査済証がない場合のリスク
- 建築基準法に違反している可能性
- 住宅ローン控除を受けられない場合がある
- 将来の売却時に評価が下がる
検査済証は引き渡し時に必ず原本を確認し、コピーを保管してください。
仮住まいを挟む場合の注意点
新築戸建ての建築期間中に旧居を売却する場合、仮住まいが必要になるケースがあります。
仮住まいのパターン
- 売り先行(旧居売却→仮住まい→新居完成):一般的
- 買い先行(新居完成→引越し→旧居売却):つなぎ融資が必要
仮住まい関連の書類
- 賃貸借契約書(仮住まい用)
- 転入届・転出届(住民票移動)
- 郵便物転送手続き
住民票移動の注意点
- 旧居→仮住まい:転出届・転入届
- 仮住まい→新居:転出届・転入届
- 住宅ローン控除は新居入居後に転入届を提出してすぐに適用
仮住まい期間中の家賃・引越し費用は、住み替え費用として予算に組み込む必要があります。
登記手続きに必要な書類
所有権移転登記申請書類
新築戸建ての登記は、土地と建物それぞれで必要です。
土地の所有権移転登記(土地購入時)
- 登記申請書
- 登記原因証明情報(売買契約書等)
- 登記識別情報(売主側)
- 印鑑証明書・住民票
- 固定資産評価証明書
建物の所有権保存登記(新築建物の初回登記)
- 登記申請書
- 建築確認済証
- 検査済証
- 工事完了引渡証明書(建築会社が発行)
- 印鑑証明書・住民票
- 固定資産評価証明書
新築建物の場合、売主からの所有権移転ではなく、買主が初めて登記する「所有権保存登記」となります。
抵当権設定登記の書類
住宅ローンを利用する場合、土地・建物それぞれに抵当権を設定します。
抵当権設定登記申請書類
- 登記申請書
- 抵当権設定契約書(金融機関が作成)
- 印鑑証明書
- 登記識別情報(所有権移転・保存登記後に取得)
抵当権設定登記は、所有権移転・保存登記と同時に行うのが一般的です。
税務手続きの必要書類
住宅ローン控除の申告書類
新築戸建てを購入した場合、初年度は確定申告で住宅ローン控除を申請します。
必要書類
- 確定申告書B(第一表・第二表)
- (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 土地・建物の登記事項証明書
- 土地・建物の売買契約書または工事請負契約書
- 住宅ローンの年末残高証明書(金融機関が発行)
- 源泉徴収票(会社員の場合)
- マイナンバーカードまたは通知カード+本人確認書類
長期優良住宅・低炭素住宅の場合
- 長期優良住宅認定通知書または低炭素建築物認定通知書
- 住宅用家屋証明書
長期優良住宅・低炭素住宅は、住宅ローン控除の限度額が引き上げられるため、認定を受けている場合は必ず申告してください。
贈与税非課税措置の適用書類
住宅取得資金の贈与を受けた場合、一定額まで贈与税が非課税となります。
住宅取得資金贈与の非課税枠
- 一般住宅:最大500万円(令和6年1月1日以降)
- 質の高い住宅(長期優良住宅・低炭素住宅等):最大1000万円
必要書類
- 贈与税申告書
- 土地・建物の登記事項証明書
- 売買契約書または工事請負契約書
- 住宅用家屋証明書
- 贈与者との続柄を証明する戸籍謄本
- 贈与を受けたことを証明する銀行の通帳等
贈与税の申告期限は贈与を受けた年の翌年3月15日です。
確定申告時の必要書類と期限
新築戸建てを購入した翌年の2月16日〜3月15日に確定申告を行います。
確定申告期限
- 毎年2月16日〜3月15日
- e-Tax(電子申告)なら24時間提出可能
初年度の確定申告の注意点
- 入居した年の翌年に確定申告
- 住宅ローン控除は13年間(新築の場合)
- 2年目以降は会社員なら年末調整で手続き可能
確定申告を忘れた場合、5年以内なら更正の請求により遡って控除申請可能ですが、控除年数が減るため早めに対応してください。
まとめ
住み替えで新築戸建てを購入する場合、以下の点を押さえれば書類準備をスムーズに進められます。
新築戸建て特有の書類
- 建築確認済証(着工前に取得)
- 検査済証(完成後に取得、引き渡し時に必ず確認)
- 工事請負契約書(注文住宅の場合)
- 建築工程表・完成予定証明書(住宅ローン審査用)
住み替え関連書類
- 旧居の売買契約書・残債証明書・査定書・媒介契約書
- 住み替えローン・つなぎ融資の審査で必須
タイミング調整
- 建築期間(4〜6ヶ月)と旧居売却のタイミング調整が重要
- 建築遅延リスクを考慮し、余裕を持った計画
- 仮住まいを挟む場合、転入届・転出届の手続きが複数回必要
税務手続き
- 住宅ローン控除:初年度は確定申告(翌年2〜3月)
- 贈与税非課税措置:贈与を受けた年の翌年3月15日までに申告
- 長期優良住宅・低炭素住宅は控除限度額が引き上げ
新築戸建ての住み替えは書類が多く複雑ですが、建築会社・不動産会社・司法書士と密に連携し、計画的に進めれば問題なく対応できます。
よくある質問
住み替えローンを利用する場合、通常の住宅ローンと必要書類は違いますか?
基本書類は同じですが、旧居の売買契約書・残債証明書・査定書等の追加書類が必要です。金融機関により異なるため事前確認が必須です。新築戸建ての場合、建築確認済証・建築工程表・完成予定証明書も提出します。建築遅延リスクを金融機関が審査するため、余裕を持った完成予定日の設定が重要です。
新築戸建ての建築期間中に旧居を売却する場合、タイミング調整で注意すべき書類はありますか?
つなぎ融資利用時の追加書類として、建築工程表・完成予定証明書・旧居の売買契約書が必要です。建築遅延リスクに備えて仮住まい契約書も準備を推奨します。住民票の移動は、旧居→仮住まい→新居の2回必要になるため、転入届・転出届のタイミングに注意してください。住宅ローン控除は新居入居後に転入届を提出してすぐに適用されます。
住宅ローン控除を受けるための書類はいつまでに準備すればよいですか?
入居した年の翌年の確定申告期限(3月15日)までに、登記事項証明書・売買契約書または工事請負契約書・住宅ローン残高証明書等を税務署に提出してください。長期優良住宅・低炭素住宅の場合は認定通知書も必要です。贈与税非課税措置を併用する場合は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与税申告書を提出してください。
自治体によって異なる届出書類はありますか?
住民票異動届・不動産取得税申告書・固定資産税減額申請書等は自治体により様式が異なります。事前に転入先自治体に確認してください。建築確認申請も自治体または民間検査機関により様式が異なります。検査済証の発行期間も自治体により異なるため、引き渡し予定日から逆算して余裕を持った計画が必要です。