土地購入の必要書類・チェックリスト|基礎から登記まで

公開日: 2025/10/19

土地購入の必要書類とは

土地購入を検討する際、「どんな書類が必要なの?」と疑問に思う方は多いでしょう。土地購入は建物付き不動産の購入とは異なり、測量図や境界確認書など土地特有の書類が必要になります。

国土交通省によると、不動産購入時には本人確認書類や印鑑証明書などの基本書類に加え、取引の段階ごとに様々な書類が求められます。この記事では、初めて土地を購入する方に向けて、必要書類を段階別に整理してご紹介します。

この記事のポイント:

  • 契約時・ローン申込時・登記時など、段階ごとに必要な書類が分かる
  • 地積測量図や境界確定測量図など、土地特有の確認書類を理解できる
  • 建築条件付き土地の場合の注意点が把握できる
  • 住宅ローン利用時の追加書類が明確になる

(1) 土地購入の流れと書類準備

土地購入は、以下のような流れで進みます。各段階で必要な書類を事前に準備しておくことで、スムーズな取引が可能になります。

土地購入の主な流れ:

段階 主な内容 必要書類
1. 物件探し・内見 希望エリアや条件に合う土地を探す 特になし
2. 購入申込 購入意思を表明し、条件交渉 本人確認書類(運転免許証など)
3. 契約締結 重要事項説明を受け、売買契約を結ぶ 印鑑証明書、実印、手付金
4. ローン申込 金融機関に住宅ローンを申し込む 収入証明、建築計画書類
5. 残代金決済・引渡し 残金を支払い、所有権を移転 住民票、登記書類
6. 登記申請 法務局で所有権移転登記を行う 登記申請書、評価証明書

(2) 建物購入との違い

土地購入と建物付き不動産の購入では、必要書類に以下のような違いがあります。

土地購入特有の書類:

  • 地積測量図: 土地の面積・形状を正確に示した図面(法務局に登記)
  • 境界確定測量図: 隣地所有者立会のもと境界を確定した測量図
  • 用途地域確認書類: 都市計画法で定められた土地の利用制限を示す書類
  • 建築計画概要書: 建築基準法上の制限(建ぺい率・容積率など)を確認する書類

法務省によると、所有権移転登記の際には地積測量図の確認が推奨されており、登記簿の面積と実際の面積が異なるケースもあるため注意が必要です。

2. 契約時の必要書類

(1) 重要事項説明書と売買契約書

土地の売買契約を結ぶ際には、宅地建物取引士から重要事項説明を受けます。この際に交付される書類が「重要事項説明書」です。

重要事項説明書の主な記載内容:

  • 土地の所在地、地目、面積
  • 用途地域や建築制限
  • 水道・電気・ガスなどのインフラ状況
  • 法令上の制限事項
  • 契約解除に関する事項

重要事項説明を受けた後、売買契約書に署名・押印します。売買契約書には売買代金、支払時期、引渡時期などが明記されます。

(2) 本人確認書類と印鑑証明書

契約時には、以下の書類が必要です。

必要書類一覧:

  • 本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)
  • 印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
  • 実印
  • 住民票(場合により必要)

印鑑証明書は市区町村役場で取得できます。発行後3ヶ月以内のものが有効とされるのが一般的ですので、契約日に合わせて取得しましょう。

(3) 手付金の準備

売買契約時には、手付金(売買代金の5〜10%程度)を支払うのが一般的です。手付金は現金または預金小切手で準備します。

手付金の性質:

  • 契約成立の証として支払われる
  • 買主が契約を解除する場合、手付金を放棄することで解除可能(手付解除)
  • 売主が契約を解除する場合、手付金の倍額を買主に返還する必要がある

3. 住宅ローン申込時の書類

(1) 本人確認書類と収入証明

土地購入で住宅ローンを利用する場合、金融機関に以下の書類を提出します。

一般的な必要書類:

  • 本人確認書類(運転免許証、健康保険証など)
  • 収入証明書類:
    • 給与所得者: 源泉徴収票(直近1〜3年分)、住民税決定通知書
    • 自営業者: 確定申告書(直近2〜3年分)、納税証明書
  • 健康保険証
  • 印鑑証明書
  • 実印

金融庁の指針では、住宅ローン審査において返済能力の確認が重要とされており、収入証明書類は審査の重要な判断材料となります。

(2) 土地のローン申込特有の書類

土地のみを購入する場合、建物付き不動産とは異なる書類が必要になることがあります。

土地ローン特有の書類:

  • 土地の売買契約書(写し)
  • 重要事項説明書(写し)
  • 登記簿謄本(全部事項証明書)
  • 公図・地積測量図
  • 用途地域確認書類

(3) 建築予定の証明書類

土地だけを購入する場合でも、多くの金融機関では「2年以内に建物を建築する計画」の証明を求められます。

建築計画の証明書類:

  • 建築プラン(間取り図、外観パース)
  • 建築工事請負契約書(仮契約でも可)
  • 建築確認申請書(申請前の場合は予定を記載)
  • 建築予算の見積書

土地先行融資や分割実行型ローンを利用する場合、建築計画の具体性が審査に影響します。

4. 登記申請時の必要書類

(1) 所有権移転登記の書類

残代金の決済が完了したら、法務局で所有権移転登記の手続きを行います。通常は司法書士に依頼しますが、以下の書類が必要です。

登記申請の必要書類:

  • 登記申請書
  • 売買契約書
  • 登記原因証明情報
  • 登記識別情報(売主が提供)
  • 印鑑証明書(買主・売主両方)
  • 委任状(司法書士に依頼する場合)

(2) 住民票と印鑑証明書

登記申請時には、買主の住民票と印鑑証明書が必要です。

取得のポイント:

  • 住民票: 発行後3ヶ月以内のもの(本籍地記載は不要)
  • 印鑑証明書: 発行後3ヶ月以内のもの
  • マイナンバーカードがあればコンビニでも取得可能

(3) 固定資産評価証明書

登記申請の際には、登録免許税を計算するために固定資産評価証明書が必要です。

取得方法:

  • 土地所在地の市区町村役場で取得
  • 売主または買主が取得可能
  • 発行手数料は300円程度(自治体により異なる)

登録免許税は、固定資産評価額に税率(所有権移転の場合は2.0%、令和8年3月31日までは軽減税率1.5%適用)を乗じて計算します。

5. 土地特有の確認書類

(1) 地積測量図と境界確定測量図

土地購入時には、面積や境界を正確に把握することが重要です。

地積測量図:

  • 土地の面積・形状を正確に示した図面
  • 法務局に登記されている
  • 古い測量図では実際の面積と異なる場合がある

境界確定測量図:

  • 隣地所有者の立会のもと境界を確定した測量図
  • 法的義務はないが、買主から要求されるケースが多い
  • 境界が不明確な土地では特に重要

国土交通省の指針では、境界未確定の土地は購入後にトラブルになる可能性があるため、境界確定測量の実施が推奨されています。

実測売買と公簿売買の違い:

項目 実測売買 公簿売買
面積の基準 実際に測量した面積 登記簿上の面積
面積差の精算 あり(差額を精算) なし
測量の実施 必要 不要(既存の測量図を使用)
費用 測量費用が発生(30〜100万円程度) 測量費用なし
リスク 低い 面積差があってもクレーム不可

(2) 用途地域と建築制限の確認

土地には都市計画法による用途地域の指定があり、建築できる建物の種類や規模に制限があります。

確認すべき事項:

  • 用途地域(第一種低層住居専用地域、商業地域など)
  • 建ぺい率(敷地に対する建築面積の割合)
  • 容積率(敷地に対する延べ床面積の割合)
  • 高さ制限(北側斜線制限、道路斜線制限など)
  • 防火地域・準防火地域の指定

購入前に市区町村役場の都市計画課で確認することで、建築制限により希望の建物が建てられないといったトラブルを防げます。

(3) 都市計画図と建築計画概要書

都市計画図:

  • 用途地域や都市計画道路などが記載された地図
  • 市区町村役場で閲覧・取得可能
  • 将来の道路計画なども確認できる

建築計画概要書:

  • 過去に建築された建物の概要を記載した書類
  • 法務局または市区町村役場で取得
  • 隣地の建築状況を確認する際にも有用

6. 建築確認申請との連携

(1) 建築条件付き土地の場合

建築条件付き土地とは、「売主が指定する建築会社で一定期間内(通常3ヶ月)に建築請負契約を結ぶ」という条件付きで販売される土地です。

建築条件付き土地の注意点:

  • 建築会社を自由に選べない
  • 建築プランの自由度が制限される場合がある
  • 期間内に建築請負契約が成立しない場合、土地売買契約は白紙解除される
  • 手付金は全額返還される

必要な書類:

  • 土地売買契約書
  • 建築条件に関する特約書
  • 建築請負契約書(期間内に締結)

(2) 建ぺい率・容積率の確認

建ぺい率と容積率は、建築基準法で定められた重要な制限です。

建ぺい率の例:

  • 敷地面積200㎡、建ぺい率60%の場合
  • 建築できる建築面積: 200㎡ × 60% = 120㎡

容積率の例:

  • 敷地面積200㎡、容積率200%の場合
  • 建築できる延べ床面積: 200㎡ × 200% = 400㎡

これらの制限を超えた建物は建築できないため、購入前に希望する建物の規模が建築可能か確認することが重要です。

(3) 建築確認申請の必要書類

土地購入後、建物を建築する際には建築確認申請が必要です。

建築確認申請の主な書類:

  • 建築確認申請書
  • 設計図書(配置図、平面図、立面図、断面図など)
  • 構造計算書(一定規模以上の建物)
  • 土地の登記簿謄本
  • 公図、地積測量図
  • 委任状(設計事務所に依頼する場合)

建築確認申請は建築士または建築会社が行いますが、土地購入時に取得した測量図や用途地域確認書類が必要になります。

まとめ

土地購入には、契約時・ローン申込時・登記時など、段階ごとに様々な書類が必要です。特に地積測量図や境界確定測量図など、土地特有の書類は建物購入時には必要ないものが多く、初めて土地を購入する方は戸惑うこともあるでしょう。

重要なのは、購入前に用途地域や建築制限を確認し、希望する建物が建築可能かを把握することです。また、境界が不明確な土地は将来トラブルになる可能性があるため、境界確定測量の実施を検討しましょう。

住宅ローンを利用する場合は、2年以内に建物を建築する計画の証明が求められることが多いため、建築プランや工事請負契約の準備も並行して進める必要があります。不明な点があれば、不動産会社や司法書士に相談しながら、必要書類を着実に準備していきましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. 土地だけ購入する場合も住宅ローンは使えますか?

A. はい、使えます。ただし多くの金融機関では、2年以内に建物を建築する計画が必要とされます。土地先行融資や分割実行型ローン(土地購入時と建物建築時の2回に分けて融資を受ける)などの商品があります。建築計画書や工事請負契約書(仮契約でも可)を提出することで、審査がスムーズに進む場合があります。

Q2. 境界確定測量図は必須ですか?

A. 法的義務はありませんが、買主から要求されるケースが多いのが実情です。特に境界が不明確な土地の場合、購入後に隣地とのトラブルになる可能性があるため、境界確定測量の実施が推奨されます。測量費用は30〜100万円程度で、通常は売主が負担することが多いですが、契約条件によっては買主負担となる場合もあるため、事前に確認しましょう。

Q3. 登記簿の面積と実測面積が違う場合はどうなりますか?

A. 実測売買か公簿売買かで対応が異なります。実測売買の場合、契約後に実際に測量を行い、面積差があれば売買代金を精算します(面積が多ければ追加支払い、少なければ返金)。一方、公簿売買の場合は登記簿上の面積で取引するため、実際の面積が異なっていても精算は行われません。どちらの方式で取引するかは契約前に確認し、公簿売買の場合は面積差のリスクを理解しておくことが重要です。

Q4. 建築制限で希望の家が建てられない場合は?

A. 土地購入前に、用途地域・建ぺい率・容積率・高さ制限などを必ず確認しましょう。市区町村役場の都市計画課で都市計画図や建築計画概要書を取得し、希望する建物の規模が建築可能かを確認することが重要です。また、建築士や建築会社に相談し、敷地調査を依頼することで、より詳細な建築可能範囲を把握できます。購入後に「希望の建物が建てられない」と判明した場合、多大な損失となる可能性があるため、事前の確認が不可欠です。

よくある質問

Q1土地だけ購入する場合も住宅ローンは使えますか?

A1はい、使えます。ただし多くの金融機関では、2年以内に建物を建築する計画が必要とされます。土地先行融資や分割実行型ローン(土地購入時と建物建築時の2回に分けて融資を受ける)などの商品があります。建築計画書や工事請負契約書(仮契約でも可)を提出することで、審査がスムーズに進む場合があります。

Q2境界確定測量図は必須ですか?

A2法的義務はありませんが、買主から要求されるケースが多いのが実情です。特に境界が不明確な土地の場合、購入後に隣地とのトラブルになる可能性があるため、境界確定測量の実施が推奨されます。測量費用は30〜100万円程度で、通常は売主が負担することが多いですが、契約条件によっては買主負担となる場合もあるため、事前に確認しましょう。

Q3登記簿の面積と実測面積が違う場合はどうなりますか?

A3実測売買か公簿売買かで対応が異なります。実測売買の場合、契約後に実際に測量を行い、面積差があれば売買代金を精算します(面積が多ければ追加支払い、少なければ返金)。一方、公簿売買の場合は登記簿上の面積で取引するため、実際の面積が異なっていても精算は行われません。どちらの方式で取引するかは契約前に確認し、公簿売買の場合は面積差のリスクを理解しておくことが重要です。

Q4建築制限で希望の家が建てられない場合は?

A4土地購入前に、用途地域・建ぺい率・容積率・高さ制限などを必ず確認しましょう。市区町村役場の都市計画課で都市計画図や建築計画概要書を取得し、希望する建物の規模が建築可能かを確認することが重要です。また、建築士や建築会社に相談し、敷地調査を依頼することで、より詳細な建築可能範囲を把握できます。購入後に「希望の建物が建てられない」と判明した場合、多大な損失となる可能性があるため、事前の確認が不可欠です。

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