転勤で新築マンション購入時の控除・特例の全体像
転勤に伴い新築マンションを購入される方にとって、住宅ローン控除の居住要件や税制優遇を正しく理解することは重要です。転勤の場合、やむを得ない事情として居住要件が柔軟化される特例があります。
本記事では、転勤で新築マンションを購入する際の控除・特例を解説します。
この記事のポイント
- 転勤特有の居住要件の柔軟性を理解できる
- 住宅ローン控除の基本と転勤時の適用条件がわかる
- 単身赴任と家族帯同での控除の違いを把握できる
- 登録免許税・不動産取得税の軽減措置を確認できる
- 転勤者の確定申告と必要書類を理解できる
2. 住宅ローン控除の基本と転勤特有の適用条件
(1) 控除率0.7%・最大13年間
住宅ローン控除の基本的な内容は以下の通りです(国税庁)。
控除の概要
- 控除率:年末ローン残高の0.7%
- 控除期間:最大13年間
- 所得制限:年間所得2,000万円以下
- 床面積:50㎡以上(2023年以前の建築確認は40㎡以上)
(2) 借入限度額|認定住宅5,000万円・ZEH4,500万円・省エネ4,000万円
新築マンションの性能により借入限度額が異なります。
(3) 転勤前提での購入でも適用可能
転勤が予定されていても、購入時点で居住の用に供していれば住宅ローン控除を適用できます。
3. 転勤時の住宅ローン控除|単身赴任と家族帯同の違い
(1) 単身赴任時は配偶者等が居住継続すれば控除継続
単身赴任で配偶者や親族が引き続き居住している場合、住宅ローン控除を継続できます。
(2) 家族帯同時は控除が中断、再適用手続き必要
家族全員で転居する場合、控除は中断されますが、転勤終了後に再居住すれば再適用可能です。
(3) 再適用時の控除期間は残存期間のみ
再適用時は、当初の13年間から既に控除を受けた期間を除いた残存期間のみ控除を受けられます。
4. 転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書
(1) 家族帯同時は事前届出が必須
家族帯同で転居する場合、税務署に「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を提出する必要があります。
(2) 提出を怠ると再適用不可
届出を怠ると、転勤終了後に再居住しても控除の再適用が認められません。
(3) 転勤中に賃貸に出す場合の注意点
転勤中にマンションを賃貸に出すと、再適用が認められない可能性があります。
5. 登録免許税・不動産取得税・固定資産税の軽減措置
(1) 登録免許税|保存登記0.1%・移転登記0.2%
新築マンション購入時の登録免許税は軽減措置により大幅に減額されます。
(2) 不動産取得税|控除額1,200万円
新築住宅の不動産取得税は、固定資産税評価額から1,200万円を控除できます。
(3) 固定資産税|3年間1/2軽減
新築マンションは当初3年間、固定資産税が1/2に軽減されます(120㎡相当分まで)。
6. 転勤者の新築マンション購入時の確定申告と注意点
(1) 住宅ローン控除を受ける場合の確定申告
住宅ローン控除を受けるには、初年度に確定申告が必要です。2年目以降は年末調整で控除を受けられます。
(2) 必要書類|登記事項証明書・転勤命令書等
確定申告時には、登記事項証明書、住宅ローンの残高証明書、転勤の場合は転勤命令書等が必要です。
(3) 単身赴任時の住民票の扱い
単身赴任の場合、住民票を転居先に移すか、家族の住所に残すかは任意ですが、控除継続には配偶者等の居住実態が重要です。
まとめ
転勤で新築マンションを購入する際は、単身赴任か家族帯同かにより住宅ローン控除の取扱いが異なります。家族帯同の場合は事前届出が必須で、提出を怠ると再適用が認められません。転勤者でも利用できる控除・特例を活用し、税負担を軽減しましょう。