戸建て購入の控除・特例|基礎知識と活用法完全ガイド

公開日: 2025/10/18

この記事のポイント

戸建て購入時には、住宅ローン控除をはじめ複数の税制優遇措置を活用できます。控除率0.7%・13年間の住宅ローン控除、贈与税非課税特例、登録免許税・不動産取得税の軽減など、押さえるべきポイントを解説します。

  • 住宅ローン控除は年末ローン残高の0.7%を13年間控除(上限は物件により異なる)
  • 初年度は確定申告が必要、2年目以降は会社員なら年末調整で手続き可能
  • 親からの資金援助は住宅取得資金贈与の非課税特例で一定額まで非課税
  • 登録免許税・不動産取得税は軽減措置で税負担を大幅に軽減できる
  • 新築住宅の固定資産税は一定期間軽減される

1. 戸建て購入で使える控除・特例とは

戸建て購入時には、複数の税制優遇措置が用意されています。これらを活用することで、税負担を大幅に軽減できます。

(1) 購入時に利用できる税制優遇の全体像

戸建て購入で利用できる主な税制優遇は以下の通りです。

税制優遇 対象税金 優遇内容
住宅ローン控除 所得税・住民税 年末ローン残高の0.7%を13年間控除
贈与税非課税特例 贈与税 親からの資金援助を一定額まで非課税
登録免許税軽減 登録免許税 税率を0.4%→0.15%に軽減
不動産取得税軽減 不動産取得税 建物評価額から最大1,300万円控除
固定資産税軽減 固定資産税 新築住宅は3-5年間税額を1/2に軽減

これらの税制優遇は、要件を満たせば併用できます。

(2) 新築と中古で異なる適用要件

税制優遇の適用要件は、新築と中古で異なります。

住宅ローン控除の控除上限:

  • 新築住宅(認定住宅): 最大455万円
  • 新築住宅(ZEH水準省エネ住宅): 最大409.5万円
  • 新築住宅(省エネ基準適合住宅): 最大364万円
  • 新築住宅(その他): 最大273万円
  • 中古住宅: 最大210万円(1982年以降築または耐震基準適合)

中古住宅の場合、築年数や耐震基準により控除上限が低くなります。

2. 住宅ローン控除の基本

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合の税額控除制度です(国税庁 住宅借入金等特別控除)。

(1) 控除率0.7%・13年間の仕組み

住宅ローン控除では、年末時点の住宅ローン残高の0.7%を所得税(控除しきれない場合は住民税からも)から控除できます。控除期間は13年間です。

控除額の計算例:

  • 年末ローン残高: 3,000万円
  • 控除額: 3,000万円 × 0.7% = 21万円

この21万円が、その年の所得税から控除されます。所得税で控除しきれない場合は、住民税からも控除されます(上限あり)。

(2) 新築・中古・省エネ基準別の控除上限

住宅ローン控除の控除上限は、物件の種類により異なります。

新築住宅(2024年以降入居):

住宅の種類 借入限度額 控除上限(13年間)
認定住宅 5,000万円 455万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 409.5万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 364万円
その他の住宅 3,000万円 273万円

中古住宅(2024年以降入居):

住宅の種類 借入限度額 控除上限(10年間)
1982年以降築または耐震基準適合 3,000万円 210万円

(3) 確定申告と年末調整の手続き

住宅ローン控除を受けるには、初年度は確定申告が必要です。2年目以降は、会社員なら年末調整で手続き可能です。

初年度の確定申告(入居年の翌年2-3月):

  • 確定申告書
  • 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • 住宅ローンの年末残高証明書
  • 登記事項証明書
  • 売買契約書のコピー
  • 住宅性能証明書(省エネ住宅等の場合)

2年目以降の年末調整:

  • 住宅ローンの年末残高証明書
  • 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書(税務署から郵送)

3. 登録免許税・不動産取得税の軽減措置

不動産購入時には、登録免許税と不動産取得税が課されますが、軽減措置があります。

(1) 登録免許税の軽減税率と適用要件

登録免許税は、不動産登記を行う際に課される国税です(法務省 登録免許税の軽減措置)。

登録免許税の税率:

登記の種類 本則税率 軽減税率
所有権移転登記(土地) 2.0% 1.5%
所有権移転登記(建物・中古) 2.0% 0.3%
所有権保存登記(建物・新築) 0.4% 0.15%
抵当権設定登記 0.4% 0.1%

軽減措置の適用要件:

  • 自己居住用の住宅であること
  • 床面積50㎡以上
  • 中古住宅の場合、1982年以降築または耐震基準適合

(2) 不動産取得税の特例と計算方法

不動産取得税は、不動産を取得した際に課される地方税です(総務省 不動産取得税の軽減措置)。

不動産取得税の計算:

  • 本則: 固定資産税評価額 × 4%
  • 軽減後: (固定資産税評価額 - 1,200万円〜1,300万円) × 3%

軽減措置の適用要件:

  • 自己居住用の住宅であること
  • 床面積50㎡以上240㎡以下
  • 新築住宅または1982年以降築の中古住宅

建物の評価額から最大1,300万円(新築)または最大1,200万円(中古)を控除できるため、評価額がこれ以下であれば不動産取得税はかかりません。

4. 贈与税の非課税特例

親や祖父母から住宅取得資金の贈与を受けた場合、贈与税の非課税特例を利用できます(国税庁 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置)。

(1) 非課税限度額と適用要件

住宅取得資金贈与の非課税限度額は、以下の通りです(2024年の場合)。

住宅の種類 非課税限度額
省エネ等住宅 1,000万円
その他の住宅 500万円

適用要件:

  • 贈与者: 父母または祖父母(直系尊属)
  • 受贈者: 20歳以上(贈与を受けた年の1月1日時点)
  • 合計所得金額: 2,000万円以下
  • 住宅取得後、遅滞なく居住すること

(2) 親からの資金援助時の注意点

非課税特例を利用するには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに確定申告が必要です。

確定申告に必要な書類:

  • 贈与税の申告書
  • 受贈者の戸籍謄本
  • 住宅の売買契約書のコピー
  • 登記事項証明書
  • 住宅性能証明書(省エネ住宅の場合)

贈与税の基礎控除110万円と併用できるため、省エネ住宅なら最大1,110万円まで非課税で贈与を受けられます。

5. すまい給付金制度

住宅購入時には、すまい給付金を受け取れる場合があります。

(1) 給付額と収入要件

すまい給付金は、消費税率引上げによる住宅取得者の負担を軽減する現金給付制度です(国土交通省 すまい給付金制度)。

給付額(消費税10%の場合):

収入の目安 給付額
450万円以下 50万円
450-525万円 40万円
525-600万円 30万円
600-675万円 20万円
675-775万円 10万円

収入要件は都道府県民税の所得割額で判定されます。

(2) 住宅ローン控除との併用

すまい給付金と住宅ローン控除は併用可能です。ただし、収入額により給付金額が変動するため、高所得者ほど給付金額は少なくなります。

すまい給付金の申請は、住宅引渡し後に行います。申請期限は引渡しから1年3ヶ月以内です。

6. 固定資産税の軽減措置

新築住宅を購入した場合、固定資産税の軽減措置があります(総務省 固定資産税・都市計画税の軽減措置)。

(1) 新築住宅の特例期間

新築住宅の場合、一定期間は固定資産税が1/2に軽減されます。

軽減期間:

  • 一般住宅(3階建て以下): 3年間
  • 認定長期優良住宅(3階建て以下): 5年間
  • マンション等(3階建て以上): 5年間
  • 認定長期優良住宅(3階建て以上): 7年間

適用要件:

  • 床面積50㎡以上280㎡以下
  • 専用住宅または併用住宅(居住部分が1/2以上)

(2) 長期優良住宅の優遇

長期優良住宅の認定を受けた住宅は、以下の優遇を受けられます。

  • 固定資産税軽減期間の延長(3年→5年、または5年→7年)
  • 住宅ローン控除の借入限度額引上げ(5,000万円)
  • 登録免許税のさらなる軽減

長期優良住宅の認定には、一定の性能基準(耐震性・省エネ性・維持管理性など)を満たす必要があります。

まとめ

戸建て購入時には、住宅ローン控除をはじめ複数の税制優遇措置を活用できます。住宅ローン控除は年末ローン残高の0.7%を13年間控除でき、省エネ住宅ほど控除上限が高くなります。初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は会社員なら年末調整で手続き可能です。

親からの資金援助は、住宅取得資金贈与の非課税特例で省エネ住宅なら1,000万円、その他は500万円まで非課税です。登録免許税・不動産取得税は軽減措置で税負担を大幅に軽減できます。

新築住宅の固定資産税は、一般住宅で3年間、認定長期優良住宅で5年間、税額が1/2に軽減されます。これらの税制優遇を活用し、賢く戸建てを購入しましょう。税務面は複雑なため、不明点があれば税理士への相談が推奨されます。

よくある質問

Q1. 住宅ローン控除の確定申告は毎年必要ですか?

初年度のみ確定申告が必要です。2年目以降は会社員なら年末調整で手続き可能です。必要書類は、住宅ローンの年末残高証明書と、税務署から郵送される「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」です。

年末調整で手続きを行えば、所得税の還付が年末調整で受けられます。住民税分は翌年度の住民税から控除されます。

Q2. 中古戸建てでも住宅ローン控除は使えますか?

1982年以降築または耐震基準適合証明があれば適用可能です。控除上限は新築より低く、借入限度額3,000万円、控除上限210万円(10年間)です。

耐震基準適合証明は、建築士等による耐震診断で取得できます。1982年以前築の物件でも、耐震基準を満たせば住宅ローン控除を利用できます。

Q3. 親からの資金援助に税金はかかりますか?

住宅取得資金贈与の非課税特例を使えば一定額まで非課税です。省エネ住宅なら1,000万円、その他は500万円まで非課税です(2024年の場合)。

非課税特例を利用するには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに確定申告が必要です。贈与税の基礎控除110万円と併用できるため、省エネ住宅なら最大1,110万円まで非課税で贈与を受けられます。

Q4. 控除と給付金は両方もらえますか?

住宅ローン控除とすまい給付金は併用可能です。ただし、収入額により給付金額が変動します。収入が低いほど給付金額は多く、高所得者ほど少なくなります。

すまい給付金の申請は、住宅引渡し後に行います。申請期限は引渡しから1年3ヶ月以内です。必要書類は、すまい給付金申請書、住民票、売買契約書のコピー、登記事項証明書などです。

よくある質問

Q1住宅ローン控除の確定申告は毎年必要ですか?

A1初年度のみ確定申告が必要です。2年目以降は会社員なら年末調整で手続き可能です。必要書類は、住宅ローンの年末残高証明書と、税務署から郵送される「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」です。年末調整で手続きを行えば、所得税の還付が年末調整で受けられます。住民税分は翌年度の住民税から控除されます。

Q2中古戸建てでも住宅ローン控除は使えますか?

A21982年以降築または耐震基準適合証明があれば適用可能です。控除上限は新築より低く、借入限度額3,000万円、控除上限210万円(10年間)です。耐震基準適合証明は、建築士等による耐震診断で取得できます。1982年以前築の物件でも、耐震基準を満たせば住宅ローン控除を利用できます。

Q3親からの資金援助に税金はかかりますか?

A3住宅取得資金贈与の非課税特例を使えば一定額まで非課税です。省エネ住宅なら1,000万円、その他は500万円まで非課税です(2024年の場合)。非課税特例を利用するには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに確定申告が必要です。贈与税の基礎控除110万円と併用できるため、省エネ住宅なら最大1,110万円まで非課税で贈与を受けられます。

Q4控除と給付金は両方もらえますか?

A4住宅ローン控除とすまい給付金は併用可能です。ただし、収入額により給付金額が変動します。収入が低いほど給付金額は多く、高所得者ほど少なくなります。すまい給付金の申請は、住宅引渡し後に行います。申請期限は引渡しから1年3ヶ月以内です。必要書類は、すまい給付金申請書、住民票、売買契約書のコピー、登記事項証明書などです。

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