横須賀市で土地購入を検討する前に知っておきたいこと
横須賀市で土地を購入する際、「価格相場はどれくらいか」「どのエリアが住みやすいか」「購入時の注意点は何か」と悩む方は少なくありません。
この記事では、横須賀市の土地価格相場、エリア別の特徴、再建築不可物件や傾斜地の注意点、住環境と将来性を解説します。2024年時点の取引データや公式統計を基に、実務に即した判断材料を提供します。
初めて横須賀市で土地購入を検討する方でも、エリア選びや物件選びの基準を明確にできるようになります。
この記事のポイント
- 横須賀市の土地価格相場は坪単価41.3万円(2024年)で、横浜市や逗子市に比べて比較的手頃
- 再建築不可物件が多く、接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接道)の確認が必須
- 三浦半島は山が多く、傾斜地・がけ地の造成費用が数百万円~高額になる可能性がある
- 海と緑の自然環境が魅力で、東京駅まで約1時間、横浜駅まで約30分とアクセス良好
横須賀市の土地価格相場とエリア別の特徴
横須賀市の土地価格は、立地・駅距離・地形により大きく異なります。
(1) 全体相場:坪単価41.3万円の内訳
横須賀市の土地価格相場は以下の通りです(2024年時点)。
| データ元 | 坪単価 |
|---|---|
| SUUMO「横須賀市の土地価格相場情報」 | 41.3万円 |
| 土地代データ「横須賀市の土地価格相場」 | 公示地価・基準地価データ掲載 |
| アットホーム「横須賀市の土地の価格相場」 | 取引価格データ掲載 |
横須賀市の平均坪単価は41.3万円ですが、駅距離・地形・接道状況により価格は大きく変動します。
(2) 駅別の価格差:横須賀中央駅周辺と郊外エリア
駅別の価格差は以下の通りです。
| エリア | 特徴 | 坪単価の目安 |
|---|---|---|
| 横須賀中央駅周辺 | 市の中心部、商業施設が充実 | 50万円以上 |
| 久里浜駅周辺 | ベッドタウン、京急・JR両線利用可能 | 40~50万円 |
| 追浜駅周辺 | 横浜方面へのアクセス良好 | 40~50万円 |
| 郊外エリア | 駅から離れた住宅地 | 30万円以下 |
横須賀中央駅周辺が最も高く、郊外エリアは比較的手頃です。駅距離と生活利便性を考慮してエリアを選びましょう。
(3) 2024年の取引実績データ
2024年の横須賀市の土地取引実績は以下の通りです(いえうり調べ)。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 取引件数 | 108件 |
| 平均売却価格 | 2,390万円 |
| 平均面積 | 295㎡(約89坪) |
| 平均坪単価 | 約26.8万円 |
取引件数は108件と安定しており、平均価格は2,390万円です。ただし、これは全市の平均であり、エリア・条件により大きく異なる点に注意が必要です。
横須賀市特有の土地購入時の注意点
横須賀市で土地を購入する際は、再建築不可物件と建築条件付土地に注意が必要です。
(1) 再建築不可物件とは何か
再建築不可物件とは、建築基準法の接道義務を満たしていない土地のことです。
再建築不可物件の特徴:
- 解体すると建て替えができない
- 既存建物の増改築には制限がある
- 市場価値が低く、売却が困難
なぜ横須賀市に多いのか:
- 旧市街地に古い道路が多い
- 幅員4m未満の道路に接道する土地が多い
- 山間部の狭い道路に面した土地がある
再建築不可物件は価格が安いですが、将来の建て替えができないリスクがあります。
(2) 接道義務の確認方法
接道義務とは、建築基準法で定める以下の要件です。
接道義務の要件:
- 幅員4m以上の道路に、2m以上接道すること
確認方法:
- 不動産会社に接道状況を確認
- 土地家屋調査士に測量を依頼
- 横須賀市の都市計画課で道路台帳を確認
購入前に必ず接道義務を満たしているか確認しましょう。再建築不可物件は住宅ローンが組みにくい場合があります。
(3) 建築条件付土地の契約内容
建築条件付土地とは、一定期間内(通常3ヶ月)に特定の建設会社と建築請負契約を結ぶことが条件の土地です。
建築条件付土地の特徴:
- 土地代が比較的安い
- 建設会社が指定される(自由に選べない)
- 期間内に契約が成立しない場合、土地売買契約は白紙撤回される
メリット・デメリット:
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 土地代が安い | 建設会社を自由に選べない |
| 設計プランの提案あり | 建築費が高くなる可能性 |
建築条件なしの土地を選ぶと、建築会社を自由に選べます。契約前に条件をよく確認しましょう。
傾斜地・がけ地の土地を購入する際のポイント
横須賀市は三浦半島の山がちな地形のため、傾斜地・がけ地が多くあります。
(1) 横須賀市の地形的特徴
横須賀市は以下の地形的特徴があります。
- 三浦半島の丘陵地帯:山が多く、平地が少ない
- 海岸線が長い:海沿いのエリアも傾斜地が多い
- 急傾斜地崩壊危険区域:県が指定する危険区域が存在
傾斜地・がけ地の土地は、眺望が良い・価格が安いなどのメリットがありますが、造成費用や工事の制約に注意が必要です。
(2) 造成費用と基礎工事の費用相場
傾斜地・がけ地に家を建てる場合、造成費用と基礎工事の費用が高額になります。
造成費用の目安:
- 傾斜が緩やか(5度未満):100~200万円
- 傾斜が中程度(5~15度):200~500万円
- 傾斜が急(15度以上):500万円以上
基礎工事の費用:
- 通常の基礎工事:100~150万円
- 傾斜地の基礎工事(杭打ち工法等):200~500万円以上
造成費用と基礎工事を合わせると、数百万円~1,000万円以上になる場合があります。購入前に地盤調査を実施し、建築会社に見積もりを依頼しましょう。
(3) 急傾斜地崩壊危険区域での手続き
急傾斜地崩壊危険区域とは、都道府県が指定する危険区域です。
急傾斜地崩壊危険区域での制限:
- 土地の形質変更(造成工事)には、神奈川県知事の許認可が必要
- 工事前に申請・審査が必要(数ヶ月かかる場合がある)
- 工事内容によっては許可が下りない場合がある
確認方法:
- 横須賀市の都市計画課で「急傾斜地崩壊危険区域」に該当するか確認
- 神奈川県の砂防課で詳細な規制内容を確認
購入前に必ず確認し、工事が可能か、追加費用がいくらかかるかを把握しましょう。
横須賀市の住環境と将来性
横須賀市は自然環境に恵まれ、都心へのアクセスも良好です。
(1) 交通アクセス:東京・横浜へのアクセス
横須賀市の主要駅からのアクセスは以下の通りです。
| 駅 | 東京駅まで | 横浜駅まで | 品川駅まで |
|---|---|---|---|
| 横須賀中央駅 | 約1時間 | 約30分 | 約50分 |
| 久里浜駅 | 約1時間10分 | 約40分 | 約1時間 |
| 追浜駅 | 約50分 | 約25分 | 約40分 |
横須賀中央駅から横浜駅まで約30分、東京駅まで約1時間と、都心へのアクセスが良好です。追浜駅は横浜方面へのアクセスに優れています。
(2) 生活環境:買い物・子育て支援制度
横須賀市の生活環境は以下の通りです。
買い物環境:
- 駐車場完備のスーパーが多く、車での買い物に便利
- 横須賀中央駅周辺に商業施設が集中
- イオン久里浜店、コースカベイサイドストアーズ等の大型施設あり
子育て支援制度:
- 公園面積は神奈川県内19市中2番目
- うみかぜ公園、くりはま花の国等の大型公園あり
- 子育て支援センター、児童手当等の制度が充実
気候:
- 温暖で夏は涼しく、冬は暖かい
- 海風が吹き、過ごしやすい環境
(3) 空き家率と資産価値の考え方
横須賀市の空き家率は以下の通りです。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 空き家率 | 14.8% |
| 全国平均 | 13.8% |
横須賀市の空き家率は14.8%で、全国平均13.8%を上回っています。地域によっては人口減少により資産価値が下落するリスクがあります。
資産価値を保つためのポイント:
- 駅近エリア(徒歩10分以内)を選ぶ
- 再建築可能な土地を選ぶ
- 平坦地または造成済みの土地を選ぶ
- 市街化区域内の土地を選ぶ
将来の売却を考慮し、立地・利便性を重視して土地を選びましょう。
まとめ:横須賀市で土地を購入する際の判断基準
横須賀市の土地価格相場は坪単価41.3万円(2024年)で、横浜市や逗子市に比べて比較的手頃です。横須賀中央駅周辺が最も高く、郊外エリアは価格が下がります。
再建築不可物件が多いため、購入前に接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接道)を必ず確認しましょう。また、三浦半島は山が多く、傾斜地・がけ地の造成費用が数百万円~高額になる可能性があります。急傾斜地崩壊危険区域では工事前に神奈川県知事の許認可が必要です。
横須賀市は海と緑の自然環境が魅力で、東京駅まで約1時間、横浜駅まで約30分とアクセス良好です。買い物環境・子育て支援制度も充実しています。一方、空き家率は14.8%(全国平均13.8%超)のため、駅近エリアや再建築可能な土地を選ぶことで資産価値を保つことができます。
横須賀市で土地を購入する際のチェックリスト:
- 接道義務を満たしているか(再建築可能か)
- 造成費用・基礎工事費用はいくらかかるか
- 急傾斜地崩壊危険区域に該当しないか
- 駅距離・生活利便性は十分か
- 将来の資産価値を考慮した立地か
信頼できる不動産会社、土地家屋調査士、地盤調査会社に相談しながら、無理のない購入計画を立てましょう。
