戸建てとは何か?基本の定義
住宅購入を検討している方の中には、「戸建てとは何か」「マンションとどう違うのか」「どちらが自分に合っているのか」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、戸建ての基本定義、種類(注文住宅・建売住宅・中古戸建て)、マンションとの違い、メリット・デメリット、向いている人の特徴を、基本から分かりやすく解説します。
初めて住宅購入を検討する方でも、戸建ての特徴を正確に把握できるようになります。
この記事のポイント
- 戸建ては独立した1棟の建物になっている住宅で、一戸建て・一軒家とも呼ばれる
- 注文住宅・建売住宅・分譲住宅・中古戸建ての4種類があり、それぞれ費用・期間・自由度が異なる
- マンションとの主な違いは、所有形態(土地・建物全て所有)、騒音(生活音を気にせず暮らせる)、管理費(不要)
- メリットは広々とした空間、騒音トラブルが少ない、土地資産の取得、管理費不要、自由なカスタマイズ
- デメリットは維持管理の負担、修繕費用の自己負担(30年で平均615万円)、防犯リスク、交通利便性の低さ
(1) 戸建て(一戸建て)の定義
戸建てとは、独立した1棟の建物になっている住宅のことです。
グランディハウスの解説によると、「戸建ては1つの建物が1つの住居として独立している住宅」と定義されています。
マンションやアパートのように、1つの建物内に複数の住居があるのではなく、建物全体が1つの家族のための住居となっています。
(2) 一軒家との違い
戸建ては「一戸建て」「一軒家」とも呼ばれますが、基本的に同じ意味です。
- 戸建て: 正式な不動産用語
- 一戸建て: 戸建てと同義
- 一軒家: 日常会話でよく使われる表現
いずれも「独立した1棟の建物になっている住宅」を指します。
(3) 集合住宅(マンション・アパート)との違い
集合住宅とは、マンション・アパート等、1つの建物内に複数の独立した住居がある住宅のことです。
| 項目 | 戸建て | 集合住宅(マンション等) |
|---|---|---|
| 建物の形態 | 独立した1棟の建物 | 1つの建物内に複数の住居 |
| 所有形態 | 土地・建物全て所有 | 専有部分のみ所有 |
| 管理費 | 不要 | 毎月支払い |
| 騒音 | 生活音を気にせず暮らせる | 上下階・隣室の音が聞こえる場合あり |
戸建ては建物全体が自分のものであり、マンションは専有部分(部屋の内部)のみが自分のものです。
戸建ての種類と特徴
(1) 注文住宅(自由設計・費用高め・期間長め)
注文住宅とは、土地購入後、自由に設計して建築する戸建て住宅です。
一条工務店の解説によると、注文住宅の特徴は以下の通りです。
メリット:
- 間取り・仕様・設備を自由に設計できる
- 家族のライフスタイルに合わせた住まいを実現
- 建築過程を確認できる
デメリット:
- 費用が高い(建売住宅の1.2〜1.5倍程度)
- 建築期間が長い(6ヶ月〜1年以上)
- 打ち合わせ・設計の手間がかかる
向いている人: 自分の理想の家を実現したい、予算に余裕がある、時間をかけて家づくりをしたい人
(2) 建売住宅(即入居可能・低価格・カスタマイズ不可)
建売住宅とは、すでに建築された戸建て住宅を土地とセットで購入するものです。
メリット:
- 価格が比較的低い(注文住宅よりも安い)
- 即入居可能(建物がすでに完成している)
- 実際の建物を見て購入できる
デメリット:
- 間取り・仕様のカスタマイズができない
- 建築過程を確認できない
- 画一的なデザインになりがち
向いている人: 予算を抑えたい、早く入居したい、間取り・仕様にこだわりがない人
(3) 分譲住宅(大規模開発・統一感ある街並み)
分譲住宅とは、大規模な土地を分割して複数の戸建てを建築・販売する住宅です。
メリット:
- 統一感のある街並み(街並みの美観が保たれる)
- 同世代のファミリーが多く、コミュニティが形成されやすい
- 大規模開発のため、周辺インフラ(道路・公園等)が整備される場合がある
デメリット:
- カスタマイズの自由度が低い
- 画一的なデザインになりがち
向いている人: 新しい街並みで暮らしたい、同世代のファミリーとのコミュニティを求める人
(4) 中古戸建て(価格安め・リフォーム費用が必要)
中古戸建ては、すでに誰かが住んでいた戸建て住宅を購入するものです。
メリット:
- 価格が安い(新築の7〜8割程度)
- 実際の住環境・周辺状況を確認できる
- リノベーションで自分好みにカスタマイズ可能
デメリット:
- 築年数が古い場合、修繕・リフォーム費用が必要
- 建物の劣化状態を確認する必要がある
- 住宅ローン控除の優遇措置が新築より少ない場合がある
向いている人: 予算を抑えたい、リノベーションで自分好みにしたい、立地を重視する人
戸建てとマンション(集合住宅)の違い
(1) 所有形態の違い(戸建ては土地・建物全て所有、マンションは専有部分のみ)
戸建てとマンションの最大の違いは、所有形態です。
SUUMOの解説によると、以下の違いがあります。
- 戸建て: 土地・建物全てが所有物
- マンション: 専有部分(部屋の内部)のみが所有物、土地・建物の共用部分は共有持分
戸建ては建物全体と土地が自分のものになるため、資産価値が高いと言えます。
(2) 騒音・生活音の違い
戸建ては、上下階・隣室の住人がいないため、生活音を気にせず暮らせます。
- 戸建て: 生活音を気にせず暮らせる、子供が走り回っても問題なし
- マンション: 上下階・隣室の音が聞こえる場合があり、生活音に配慮が必要
小さな子供がいる家庭や、楽器演奏・ペット飼育を希望する場合は、戸建ての方が適しています。
(3) 駐車場・駐輪場の違い
戸建ては敷地内に駐車スペースを確保でき、駐車場代が不要です。
- 戸建て: 敷地内に駐車可能、駐車場代不要(月0円)
- マンション: 駐車場代が毎月必要(月1〜3万円程度)
車を所有している家庭にとって、駐車場代が不要な点は大きなメリットです。
(4) 管理費・修繕積立金の有無
戸建ては管理費・修繕積立金が不要ですが、修繕費用は自己負担で計画的に準備する必要があります。
- 戸建て: 管理費・修繕積立金不要、ただし修繕費用は自己負担(30年で平均615万円)
- マンション: 管理費・修繕積立金を毎月支払い(月2〜5万円程度)
戸建ては毎月の支払いがない分、自分で修繕費用を計画的に貯蓄する必要があります。
戸建てのメリット
(1) 広々とした空間を確保できる
戸建ては、同じ価格帯のマンションと比べて、広い敷地・建物面積を確保できます。
- 庭・駐車場: 敷地内に庭や駐車スペースを確保可能
- 複数階: 2〜3階建てにすることで、居住スペースを広く取れる
- 収納スペース: 床下収納、屋根裏収納等を設けることが可能
ファミリー層にとって、広々とした空間は大きな魅力です。
(2) 騒音トラブルが少ない(生活音を気にせず暮らせる)
戸建ては上下階・隣室の住人がいないため、生活音を気にせず暮らせます。
- 子供が走り回っても問題なし
- 楽器演奏も可能(深夜を避ければOK)
- ペット飼育も自由
小さな子供がいる家庭や、趣味で楽器演奏をする方にとって、騒音トラブルが少ない点は大きなメリットです。
(3) 資産となる土地を取得できる
戸建ては土地・建物全てが所有物となるため、資産価値が高いです。
- 建物は経年劣化するが、土地は資産として残る
- 将来的に売却する際、土地の価値が残る
- 相続時にも土地・建物を残せる
土地は資産価値が下がりにくいため、長期的な資産形成に適しています。
(4) 管理費・修繕積立金が不要
戸建てはマンションと異なり、管理費・修繕積立金の毎月の支払いが不要です。
- マンションの管理費・修繕積立金: 月2〜5万円程度
- 戸建て: 管理費・修繕積立金不要(月0円)
毎月の固定費を抑えられる点はメリットですが、修繕費用は自己負担で計画的に準備する必要があります。
(5) 自由にリフォーム・カスタマイズできる
戸建ては建物全体が所有物のため、自由にリフォーム・カスタマイズできます。
- 間取り変更も自由
- 外壁の色・デザインも自由
- ガレージ・サンルーム等の増築も可能
マンションでは管理組合の許可が必要な工事も、戸建てなら自由に行えます。
戸建てのデメリットと注意点
(1) 維持管理の負担(外壁・屋根のメンテナンス)
戸建ては建物全体を自分で維持管理する必要があり、負担が大きいです。
主な維持管理項目:
- 外壁塗装: 10年ごとに60〜100万円
- 屋根の補修: 10〜15年ごとに50〜80万円
- 給湯器・エアコン等の設備交換: 10〜15年ごとに数十万円
これらのメンテナンスを怠ると、建物の劣化が進み、資産価値が下がります。
(2) 修繕費用の自己負担(30年で平均615万円)
ダイワハウスの資料によると、戸建ての修繕費用は30年で平均615万円です。
マンションは管理組合が修繕積立金を管理しますが、戸建ては自己負担で計画的に貯蓄する必要があります。
計画的な貯蓄が重要:
- 年間20万円程度の貯蓄を目安に
- 大規模修繕(外壁塗装等)に備える
(3) 防犯上のリスク(1階侵入のリスク)
戸建ては1階部分からの侵入リスクがあります。
マンションは共用エントランスにオートロックがありますが、戸建ては各戸で防犯対策が必要です。
防犯対策:
- 防犯カメラの設置
- センサーライトの設置
- 窓に防犯ガラス・補助錠を設置
(4) 交通利便性の低さ(駅から遠い立地が多い)
戸建ては駅から遠い立地が多く、通勤・通学に不便な場合があります。
マンションは駅近くに建てられることが多いですが、戸建ては土地の広さを確保するため、駅から離れた場所に建てられる傾向があります。
対策:
- 車を所有する
- バス便の充実したエリアを選ぶ
- 駅徒歩圏内の戸建てを探す(ただし価格は高め)
(5) 2025年省エネ基準義務化によるコスト上昇
2025年4月から新築住宅の省エネ基準が義務化され、建築コストが上昇しています。
アキュラホームの資料によると、主なコスト上昇要因は以下の通りです。
- 構造計算費用: 約50万円
- 高性能断熱材: 従来の1.5〜2倍の費用
- 高気密工事: 追加費用が発生
- 高性能窓・玄関ドア: 従来より高額
新築戸建てを購入する場合、これらのコスト上昇を考慮した予算計画が必要です。
まとめ:戸建てが向いている人・マンションが向いている人
戸建ては、独立した1棟の建物になっている住宅で、注文住宅・建売住宅・分譲住宅・中古戸建ての4種類があります。マンションとの主な違いは、所有形態(土地・建物全て所有)、騒音(生活音を気にせず暮らせる)、管理費(不要)です。
メリットは広々とした空間、騒音トラブルが少ない、土地資産の取得、管理費不要、自由なカスタマイズです。デメリットは維持管理の負担、修繕費用の自己負担(30年で平均615万円)、防犯リスク、交通利便性の低さ、2025年省エネ基準義務化によるコスト上昇です。
戸建てが向いている人:
- 広い空間を求める家庭(ファミリー層)
- 騒音を気にせず暮らしたい人(小さな子供がいる、楽器演奏・ペット飼育を希望)
- 土地資産を残したい人
- 自由にリフォーム・カスタマイズしたい人
- 車を所有している人(駐車場代が不要)
マンションが向いている人:
- 駅近くに住みたい人(通勤・通学の利便性重視)
- 維持管理の負担を減らしたい人(管理組合が対応)
- セキュリティを重視する人(オートロック・管理人常駐)
- 単身者・夫婦のみの家庭(広い空間は不要)
自分のライフスタイルや優先事項を明確にして、戸建てかマンションかを選択してください。詳細は信頼できる不動産会社や宅地建物取引士にご相談ください。
