生活保護を受けながら賃貸物件を探す方法と専門不動産の活用ガイド

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/5

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生活保護受給者の賃貸物件探しが難しい理由

生活保護を受けている方が賃貸物件を探す際、「審査に通らない」「初期費用が払えない」「保証人がいない」と悩むケースは少なくありません。

この記事では、生活保護受給者向けの賃貸物件探しの方法、住宅扶助制度の仕組み、専門不動産会社の活用法を、厚生労働省の生活保護制度や実務的なノウハウに基づき解説します。

生活保護受給者の賃貸契約には、住宅扶助の上限額、入居審査、初期費用、保証人など様々な制約があります。一般の不動産会社では対応が難しいケースも多いですが、生活保護専門の不動産会社を利用することで、スムーズに部屋探しができる可能性が高まります。

この記事のポイント

  • 生活保護受給者でも賃貸物件は借りられる(専門不動産会社の利用を推奨)
  • 住宅扶助の上限額は地域・世帯人数で異なる(東京23区で単身53,700円が目安)
  • 専門不動産では初期費用0円、保証人不要、敷金・礼金なしのサービスを提供
  • 住宅扶助は家賃のみが対象(管理費・共益費は生活扶助から支払う必要あり)
  • ケースワーカーへの事前相談と引っ越し前の申請が必須

生活保護の住宅扶助制度の基本

(1) 住宅扶助とは何か

住宅扶助とは、生活保護制度における家賃補助の仕組みです。

  • 対象: 生活保護受給者の家賃
  • 支給方法: 原則として現金支給(受給者が自分で家賃を支払う)
  • 支給タイミング: 毎月、生活扶助費とは別枠で支給

住宅扶助は生活保護の8つの扶助の1つで、住居費用を支援する制度です。

(2) 住宅扶助の上限額(地域別・世帯人数別)

住宅扶助の上限額は、地域と世帯人数により異なります(LIFULL HOME'Sより、2024年時点)。

東京23区の例:

世帯人数 住宅扶助上限額(月額)
単身世帯 53,700円
2人世帯 64,000円
3〜5人世帯 69,800円
6人世帯 75,000円
7人以上 83,800円

地域区分による違い:

  • 1級地: 東京23区、横浜市、川崎市など(上限額が最も高い)
  • 2級地: さいたま市、千葉市、名古屋市など(中程度)
  • 3級地: 地方都市(上限額が低め)

住宅扶助の上限額を超える物件には原則として住めません。詳細は福祉事務所のケースワーカーに確認が必須です。

(3) 住宅扶助の対象範囲(家賃のみ、管理費は対象外)

住宅扶助は家賃のみが対象で、以下は含まれません。

項目 対象
家賃 ○ 住宅扶助
管理費・共益費 × 生活扶助から支払う
水道光熱費 × 生活扶助から支払う
敷金・礼金 △ 一時扶助で支給される場合あり
引っ越し費用 △ 一時扶助で支給される場合あり

管理費・共益費は生活扶助費から支払う必要があるため、住宅扶助上限額ギリギリの物件を選ぶと、管理費分で生活費が圧迫される可能性があります。

(4) 代理納付制度の仕組み

代理納付とは、福祉事務所から直接大家・管理会社へ家賃を支払う制度です。

メリット:

  • 家賃滞納のリスクが軽減される
  • 大家側が安心して契約しやすくなる
  • 受給者が家賃を払い忘れる心配がない

利用方法:

  • ケースワーカーに代理納付を希望する旨を伝える
  • 大家・管理会社が代理納付を受け入れる必要がある

代理納付を活用することで、入居審査が通りやすくなる場合があります。

生活保護専門の不動産会社とは?サービス内容とメリット

(1) 生活保護専門不動産の特徴

生活保護専門の不動産会社は、生活保護受給者向けの賃貸仲介に特化した業者です。

主な特徴:

  • 生活保護制度に詳しく、住宅扶助の仕組みを理解している
  • 生活保護受給者を受け入れる大家・物件を多数保有
  • ケースワーカーとの連携がスムーズ
  • 精神保健福祉士等の専門資格者による相談サポート体制

2024年時点で、エンプラス、みまもり不動産、福祉のお部屋.com等が東京・埼玉・神奈川・千葉で展開しています。

(2) 主なサービス内容(初期費用0円・保証人不要等)

生活保護専門の不動産会社が提供する主なサービスは以下の通りです。

サービス内容 詳細
初期費用0円 敷金・礼金・仲介手数料なし
保証人不要 家賃保証会社の利用または代理納付で対応
来店不要 電話・LINE・メールで契約まで完結
無料相談 生活保護申請から部屋探しまで一貫サポート
即日対応 最短即日で物件紹介可能

これらのサービスにより、初期費用が払えない、保証人がいない等の課題を解決できます。

(3) 一般の不動産会社との違い

生活保護専門不動産と一般の不動産会社の違いは以下の通りです。

項目 専門不動産 一般不動産
生活保護の理解 詳しい 詳しくないケースが多い
受け入れ物件 多数保有 限られる
初期費用 0円のサービスあり 通常は敷金・礼金が必要
保証人 不要のサービスあり 通常は必要
ケースワーカー連携 スムーズ 連携が取りにくい

一般の不動産会社では、生活保護受給者の入居審査に慣れていないため、契約が難航するケースが多いです。

(4) 専門不動産を利用するメリット・デメリット

メリット:

  • 審査通過率が高い(理解のある大家を紹介してもらえる)
  • 初期費用・保証人の問題を解決できる
  • 住宅扶助上限内の物件を効率的に探せる
  • ケースワーカーとの調整を代行してくれる

デメリット:

  • 一般の賃貸市場に比べて選択肢が限られる
  • エリア・設備条件に妥協が必要な場合がある
  • 悪質な貧困ビジネス業者も存在する(選定に注意が必要)

専門不動産を利用する場合は、信頼できる業者を選ぶことが重要です。

生活保護受給者の賃貸物件探しの具体的な流れ

(1) ケースワーカーへの事前相談

賃貸物件探しを始める前に、必ずケースワーカーに相談しましょう。

相談内容:

  • 引っ越しの必要性(現在の住居の問題点等)
  • 希望するエリア・間取り
  • 住宅扶助上限額の確認
  • 引っ越し費用の支給可否

ケースワーカーの了承を得ずに転居すると、住宅扶助が支給されない可能性があります。

(2) 住宅扶助上限額の確認

自分の住宅扶助上限額を正確に把握しましょう。

確認方法:

  • ケースワーカーに直接確認
  • 福祉事務所の窓口で確認
  • 自治体のホームページで確認(地域区分・世帯人数別の表が公開されている場合あり)

住宅扶助上限額を超える物件には原則として住めないため、この確認が最も重要です。

(3) 専門不動産会社への問い合わせ

生活保護専門の不動産会社に問い合わせます。

問い合わせ方法:

  • 電話・LINE・メールで相談可能
  • 来店不要のサービスが主流

伝えるべき情報:

  • 生活保護受給中であること
  • 住宅扶助上限額
  • 希望エリア・間取り・設備
  • 入居希望時期

生活保護受給者であることを事前に伝えることで、理解のある大家や物件を紹介してもらいやすくなります。

(4) 物件探しのコツ(条件を絞りすぎない等)

生活保護受給者の物件探しでは、以下のコツが重要です。

  • 条件を絞りすぎない: 一般の賃貸市場に比べて選択肢が限られるため、エリアや設備条件に柔軟性を持つ
  • 住宅扶助上限額ギリギリは避ける: 管理費・共益費分を考慮し、余裕を持った家賃の物件を選ぶ
  • 現地確認を依頼: 可能であれば内見を依頼し、物件の状態を確認
  • 複数の専門不動産会社に相談: 1社だけでなく、複数社に相談して比較

(5) 契約時の必要書類

賃貸契約時に必要な書類は以下の通りです。

  • 生活保護受給証明書: 福祉事務所で発行
  • 身分証明書: 運転免許証、マイナンバーカード等
  • 印鑑: 認印(実印不要の場合が多い)
  • 住民票: 市区町村役場で取得
  • ケースワーカーの連絡先: 代理納付等の手続きに必要

必要書類は物件により異なるため、専門不動産会社に確認しましょう。

賃貸契約時の注意点とトラブル回避のポイント

(1) 住宅扶助上限額を超える物件に注意

住宅扶助上限額を超える物件には原則として住めません。

注意点:

  • 超過分を自己負担しても原則認められない
  • 例外的に認められるケースもあるが、ケースワーカーの判断が必要

住宅扶助上限額内の物件を選ぶことが基本です。

(2) 管理費・共益費は生活扶助から支払う必要がある

管理費・共益費は住宅扶助の対象外です。

計算例:

  • 家賃50,000円、管理費3,000円の物件の場合
  • 住宅扶助から50,000円が支給される
  • 管理費3,000円は生活扶助費から支払う必要がある

総額(家賃+管理費)が生活費を圧迫しないか、事前に確認しましょう。

(3) 引っ越し前のケースワーカーへの申請が必須

引っ越し前に必ずケースワーカーに申請し、了承を得る必要があります。

手続きの流れ:

  1. ケースワーカーに引っ越しの意向を伝える
  2. 引っ越しの必要性を説明(現在の住居の問題点等)
  3. 新しい物件の情報を提出(物件概要、家賃等)
  4. ケースワーカーの了承を得る
  5. 賃貸契約を締結

無断で転居すると、住宅扶助が支給されない可能性があります。

(4) 悪質な貧困ビジネスに注意

生活保護受給者を対象にした悪質な貧困ビジネスに注意が必要です。

悪質業者の特徴:

  • 住宅扶助上限ギリギリの質の悪い物件を強引に勧める
  • 契約内容が不透明(説明が不十分)
  • 初期費用が異常に高い(住宅扶助の範囲を超える請求)
  • 退去時に不当な費用を請求する

対策:

  • 複数の専門不動産会社に相談し、比較する
  • ケースワーカーに相談し、信頼できる業者を紹介してもらう
  • 契約内容を十分に確認してから契約する

(5) 信頼できる専門不動産会社の選び方

信頼できる専門不動産会社の見分け方は以下の通りです。

  • 生活保護制度に詳しい: 住宅扶助の仕組みを正確に説明できる
  • ケースワーカーと連携: ケースワーカーと円滑に連携してくれる
  • 丁寧な対応: 質問に丁寧に答え、無理な勧誘をしない
  • 透明な契約: 契約内容を明確に説明してくれる
  • 口コミ・評判: 他の利用者の評価を確認

ケースワーカーに信頼できる業者を紹介してもらうのも有効な方法です。

まとめ:スムーズな部屋探しのための判断基準

生活保護受給者でも賃貸物件は借りられます。生活保護専門の不動産会社を利用することで、審査通過率が高まり、初期費用0円、保証人不要のサービスを受けられます。

住宅扶助の上限額は地域・世帯人数で異なり、東京23区で単身53,700円が目安(2024年時点)です。住宅扶助は家賃のみが対象で、管理費・共益費は生活扶助から支払う必要があります。

賃貸物件探しの流れは、ケースワーカーへの事前相談、住宅扶助上限額の確認、専門不動産会社への問い合わせ、物件探し、契約という順序です。引っ越し前のケースワーカーへの申請が必須で、無断転居は住宅扶助が支給されない可能性があります。

悪質な貧困ビジネスに注意し、信頼できる専門不動産会社を選ぶことが重要です。ケースワーカーへの相談を活用しながら、無理のない条件で理想の部屋を見つけましょう。

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よくある質問

Q1生活保護受給者でも賃貸物件は借りられますか?

A1はい、生活保護受給者でも賃貸物件は借りられます。生活保護専門の不動産会社を利用することで、審査通過率が高まります。一般の不動産会社は生活保護制度に詳しくないケースが多いため、専門業者の利用を推奨します。専門不動産では、初期費用0円、保証人不要、敷金・礼金なしのサービスを提供している業者が多く、電話・LINE・メールで来店不要で契約まで完結可能です。

Q2住宅扶助の上限額はいくらですか?

A2住宅扶助の上限額は地域と世帯人数により異なります。東京23区の場合、単身世帯で53,700円、2人世帯で64,000円、3〜5人世帯で69,800円が目安(2024年時点)です。地域区分により、1級地(東京23区、横浜市等)が最も上限額が高く、2級地(さいたま市、千葉市等)、3級地(地方都市)の順に上限額が低くなります。詳細は福祉事務所のケースワーカーに確認が必須です。執筆時点(2025年)の情報であり、今後改正される可能性があります。

Q3初期費用が払えないのですが、部屋を借りられますか?

A3生活保護専門の不動産会社では、初期費用0円、敷金・礼金なし、保証人不要のサービスを提供している業者が多数あります。2024年時点で、エンプラス、みまもり不動産、福祉のお部屋.com等が東京・埼玉・神奈川・千葉で展開しています。電話・LINE・メールで来店不要で契約まで完結可能です。また、引っ越し費用については一時扶助で支給される場合もあるため、ケースワーカーに相談することを推奨します。

Q4連帯保証人がいない場合はどうすればよいですか?

A4連帯保証人がいない場合は、家賃保証会社の利用、または自治体の代理納付制度(福祉事務所から直接大家へ家賃支払い)を活用できます。代理納付制度を利用することで、家賃滞納のリスクが軽減され、大家側が安心して契約しやすくなります。生活保護専門の不動産会社が、家賃保証会社の手続きや代理納付の調整をサポートしてくれます。ケースワーカーに代理納付を希望する旨を伝えましょう。

Q5悪質な貧困ビジネスを見分ける方法は?

A5悪質な貧困ビジネス業者の特徴は、住宅扶助上限ギリギリの質の悪い物件を強引に勧める、契約内容が不透明(説明が不十分)、初期費用が異常に高い(住宅扶助の範囲を超える請求)、退去時に不当な費用を請求する等です。信頼できる専門不動産会社は、生活保護制度に詳しく、ケースワーカーと円滑に連携し、質問に丁寧に答え、契約内容を明確に説明してくれます。複数の専門不動産会社に相談して比較し、ケースワーカーに信頼できる業者を紹介してもらうことを推奨します。

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Room Match編集部

Room Matchは、不動産の購入・売却・賃貸に関する実践的な情報を提供するメディアです。住宅ローン、物件選び、不動産会社の選び方など、実務担当者に役立つ情報を分かりやすく解説しています。

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