津田沼駅南口再開発はなぜ注目されるのか
津田沼駅南口の再開発は、千葉県を代表する大規模プロジェクトとして注目されてきました。しかし、2025年5月に野村不動産が一時中断を通知し、計画の先行きに不透明感が生じています。
この記事では、津田沼駅南口再開発の概要、野村不動産の計画内容、一時中断の理由、周辺エリアへの影響、今後の見通しを、習志野市の公式情報を元に解説します。
津田沼エリアに在住の方、購入を検討している方が、再開発の最新動向を理解し、適切な判断ができるようになります。
この記事のポイント
- 津田沼駅南口再開発は総延床面積約22万㎡、52階建て住宅棟(約1,000戸)と9階建て複合施設棟を計画
- 2025年5月に野村不動産が一時中断を通知、建設費高騰により総事業費が1,400億円から2,060億円へ約47%増加
- 都市計画決定は2024年10月29日に取得済みで、野村不動産は再開発事業の中止意向はないと表明
- モリシア津田沼は2025年3月31日に閉館、野村不動産が2025年度内に部分営業再開を検討中
(1) 総延床面積約22万㎡の大規模プロジェクト
津田沼駅南口再開発は、対象面積約3.4ha、総延床面積約22万㎡の大規模プロジェクトです。習志野市の公式発表によると、地上52階・高さ198.5mの住宅棟と、9階建ての複合施設棟が計画されています。
住宅棟には約1,000戸の住宅が供給される予定で、千葉県内でも有数の規模を誇ります。
(2) 千葉県有数のターミナル駅の再生計画
津田沼駅は、JR総武線の快速停車駅で、都心へのアクセスが良好な千葉県有数のターミナル駅です。駅周辺の再開発は、エリア全体の価値向上が期待されていました。
野村不動産の再開発計画の概要
野村不動産が計画している津田沼駅南口再開発の内容を詳しく解説します。
(1) 地上52階・約1,000戸の高層住宅棟
計画では、地上52階・高さ198.5mの高層住宅棟に約1,000戸の住宅を供給する予定です。タワーマンション形式で、周辺エリアのランドマークとなることが期待されていました。
(2) 9階建て複合施設棟と習志野文化ホール
9階建ての複合施設棟には、商業施設、公共施設、習志野文化ホール(1,350席)が入る計画です。習志野文化ホールは、地域の文化活動の拠点として期待されていましたが、再建が遅延しています。
(3) 都市計画決定と施行予定者の指定
2024年10月29日に、「津田沼駅南口地区第一種市街地再開発事業」の都市計画決定が行われ、施行予定者として野村不動産が指定されました。
都市計画決定は、都市計画法に基づく正式な行政決定であり、再開発事業の法的な基盤が整備されたことを意味します。
再開発の一時中断とその理由
2025年5月、野村不動産が習志野市に対して再開発の一時中断を書面で通知しました。ここでは、その経緯と理由を解説します。
(1) 2025年5月の一時中断通知
東京新聞の報道によると、2025年5月21日、野村不動産が習志野市の宮本泰介市長に対して、再開発の一時中断を書面で通知しました。
習志野市長は「非常に残念で困惑している」とコメントし、商業施設の早期営業再開を強く要請しています。
(2) 総事業費の膨張(1,400億円→2,060億円)
日経クロステックの分析によると、総事業費は2023年4月時点の約1,400億円から、2025年1月時点で約2,060億円へと膨張しました。約660億円(約47%)の増加です。
建設資材価格の高騰、人件費の上昇が主な要因です。
(3) 特定業務代行者選定の不調
再開発事業では、設計・施工を一括して担当する「特定業務代行者」を選定する必要があります。しかし、公募に対して応募が1社のみで、その提示価格が予算を大幅に超過したため、選定ができませんでした。
この結果、当初予定していた2031年の完成が困難になりました。
周辺エリアへの影響とモリシア津田沼の動向
再開発の一時中断により、周辺エリアにどのような影響があるのかを解説します。
(1) モリシア津田沼の閉館と部分営業再開の可能性
モリシア津田沼は、約45年間営業してきた津田沼駅南口の商業施設で、2025年3月31日に閉館しました。
日本経済新聞の報道によると、野村不動産は設備点検後に部分営業再開を検討中です。ただし、実現するかどうかは未定です。
(2) 習志野文化ホールの再建遅延
再開発計画には、習志野文化ホール(1,350席)の再建が含まれていました。しかし、再開発の一時中断により、文化ホールの再建も遅延しています。
習志野市の文化活動への影響が懸念されます。
(3) 地域の商業機能への影響
モリシア津田沼の閉館により、地域の商業機能が低下しています。周辺住民の利便性に影響が出ている状況です。
なお、2024年9月にはイトーヨーカドー津田沼店も閉店しましたが、2024年11月に京成グループがビルを改装し、イオンが入居する計画が発表されています。
不動産市場への影響と今後の見通し
再開発の一時中断が、不動産市場に与える影響と今後の見通しを解説します。
(1) 周辺不動産価格への影響
再開発の遅延・中断により、周辺不動産の資産価値への影響が懸念されます。
大規模再開発が実現すれば、周辺エリアの利便性が向上し、不動産価格の上昇が期待されました。しかし、計画の先行きが不透明になったことで、価格動向を慎重に見極める必要があります。
(2) 野村不動産の今後の方針
野村不動産は、習志野市に対して「再開発事業の中止意向はない」と表明しています。ただし、再開時期は未定で、社会情勢を注視しながら判断するとしています。
野村不動産は、モリシア津田沼の部分営業再開を2025年度内に検討中ですが、具体的なスケジュールは明らかになっていません。
(3) 建設費高騰と大型再開発への逆風
日経クロステックの分析によると、建設費高騰により、全国的に大型再開発プロジェクトに逆風が吹いています。
津田沼再開発と同様に、総事業費の膨張により計画の見直しを迫られるプロジェクトが増えています。
まとめ:津田沼再開発の今後と注意点
津田沼駅南口再開発の今後と注意点をまとめます。
津田沼駅南口再開発は、総延床面積約22万㎡、52階建て住宅棟(約1,000戸)と9階建て複合施設棟を計画する大規模プロジェクトです。2024年10月29日に都市計画決定が行われ、施行予定者として野村不動産が指定されました。
しかし、建設費高騰により総事業費が約1,400億円から約2,060億円へ約47%増加し、2025年5月に野村不動産が一時中断を通知しました。特定業務代行者の選定が不調に終わったことが直接の原因です。
野村不動産は「再開発事業の中止意向はない」と表明していますが、再開時期は未定です。モリシア津田沼の部分営業再開を検討中ですが、実現するかどうかは不透明です。
津田沼エリアでの不動産購入を検討している方は、再開発計画の最新動向を注視し、慎重な判断を行うことを推奨します。最新の情報は、習志野市の公式サイトでご確認ください。
