東京の中古一戸建て購入の基礎知識
東京都内で中古一戸建ての購入を検討する際、「価格相場はどのくらいか」「どのエリアが狙い目か」「購入時の注意点は何か」と疑問を持つ方は少なくありません。
この記事では、東京の中古一戸建て市場の2025年最新動向、エリア別価格相場、購入時の注意点、諸費用・税金を、国土交通省の不動産取引価格情報等の公的データを元に解説します。
初めて中古一戸建てを購入する方でも、適切なエリア選びと購入判断ができるようになります。
この記事のポイント
- 2025年上半期の東京中古戸建て成約件数は+43.3%と急増、新築価格高騰により中古へのシフトが進行中
- 東京23区の平均価格は6,898万円(+11.3%)、西東京は約2,500万円、都心と郊外で二極化
- 立地が最重要で、1981年以前の旧耐震基準物件は要注意、ハザードマップでの災害リスク確認が必須
- 仲介手数料は物件価格の3%+6万円+消費税が上限、不動産取得税・固定資産税の軽減措置も活用可能
東京の中古一戸建て市場の現状と2025年の動向
2025年上半期の成約件数と価格の急上昇
住まいの情報館によると、2025年上半期の東京都中古戸建て成約件数は前年同期比+43.3%と急増しています。5月単月では+62.8%と7ヶ月連続で増加が続いています。
東京23区の平均価格は6,898万円(+11.3%)と上昇を続けており、需要の強さを示しています。
新築価格高騰による中古へのシフト
日本不動産研究所によると、建築費・人件費の高騰により新築一戸建ての価格が上昇し、中古戸建ての相対的なお得感が増しています。
新築一戸建ての在庫減少も加わり、中古戸建てへの需要シフトが加速しています。テレワーク普及により、広い居住空間を求める家族層の需要も増加しています。
都心と郊外の二極化(23区vs神奈川・埼玉・千葉)
住まいの情報館によると、東京23区の価格は上昇を続けている一方、郊外は価格下落が見られます。
| エリア | 価格変動率 | 平均価格 |
|---|---|---|
| 東京23区 | +11.3% | 6,898万円 |
| 神奈川県 | -5.5% | 約3,500万円 |
| 埼玉県 | -4.0% | 約3,200万円 |
| 千葉県 | -3.2% | 約2,800万円 |
(出典: 住まいの情報館、2025年5月データ)
都心は通勤利便性・生活インフラで需要が高く、郊外は価格が下落しているため、予算に応じてエリアを選ぶことが重要です。
東京23区・西東京の価格相場とエリア別特徴
東京23区の平均価格:6,898万円(2025年5月)
東京23区の中古一戸建て平均価格は6,898万円(2025年5月時点)です。住まいインデックス(LIFULL)によると、23区内でも3,000万円台から1億円超まで幅広い価格帯があります。
世田谷区・目黒区・渋谷区等の人気エリアは高価格帯、足立区・葛飾区等は比較的手頃な価格帯となっています。
西東京エリアの平均価格:約2,500万円
住まいインデックス(LIFULL)によると、西東京エリア(八王子市、立川市、武蔵野市等)の平均価格は約2,500万円です。
西東京エリアは23区より価格が抑えられており、広い敷地面積を確保しやすい特徴があります。
過去3年間の価格推移と資産価値
住まいインデックス(LIFULL)によると、東京都の中古一戸建て価格は過去3年間で上昇を続けています。
- 2022年: +4.32%
- 2023年: +3.01%
- 2024年: +3.36%
資産価値は高くなっている傾向にあり、東京都の中古一戸建ては投資対象としても注目されています。
人気エリアと沿線の選び方
世田谷区の人気エリア(成城・二子玉川・下北沢)
M-LINEによると、世田谷区は東京の中古戸建て人気エリアの筆頭です。成城、二子玉川、下北沢、駒沢、三軒茶屋等の人気エリアがあります。
世田谷区は治安が良く、商業施設・教育機関が充実しており、ファミリー層に人気です。
JR中央線沿線(荻窪・吉祥寺・国立・立川)
JR中央線沿線は荻窪、吉祥寺、国立、立川、八王子等で活発に取引されています。吉祥寺は東京駅まで26分でアクセス良好で、商業施設が充実しています。
中央線沿線は西東京エリアへのアクセスが良く、価格も23区より抑えられているため、コストパフォーマンスに優れています。
その他人気沿線(小田急線・西武池袋線・東急東横線)
小田急線、西武池袋線、東急東横線沿線も人気があります。小田急線沿線(成城学園前、経堂、下北沢等)は世田谷区へのアクセスが良く、東急東横線沿線(自由が丘、田園調布等)は高級住宅地として知られています。
沿線選びでは、通勤時間、生活利便性、将来の再開発計画を総合的に判断することが重要です。
中古一戸建て購入時の注意点とリスク管理
立地の重要性(建物は直せるが立地は変えられない)
東京中古一戸建てナビによると、中古戸建て購入では立地が最重要です。「建物は直せるが立地は変えられない」という原則を念頭に置きます。
立地確認では、複数の時間帯(平日・休日・夜間)で現地を見学し、街灯の有無、繁華街・トラブル地域からの距離、周辺環境を確認します。
築年数と耐震基準の確認(旧耐震vs新耐震)
1981年5月31日以前に建築された物件は旧耐震基準で、新耐震基準(1981年6月1日以降)より耐震性が低い可能性があります。旧耐震基準の物件は、耐震診断・耐震補強工事の実施を検討してください。
| 耐震基準 | 建築時期 | 特徴 |
|---|---|---|
| 旧耐震基準 | 1981年5月31日以前 | 耐震性が低い可能性 |
| 新耐震基準 | 1981年6月1日以降 | 震度6強〜7でも倒壊しない設計 |
ハザードマップでの災害リスク確認
東京中古一戸建てナビによると、河川近くの物件は洪水リスクがあるため、ハザードマップで確認が必須です。特に多摩川・荒川沿いは要注意です。
自治体のウェブサイトでハザードマップを確認し、洪水・土砂崩れ・液状化リスクをチェックしてください。
市場滞留期間と在庫増加の意味
東京中古一戸建てナビによると、2024年の市場滞留期間は97.3日に延びており、需要軟化の兆候が見られます。在庫は33ヶ月連続増加(2022年9月以降)しており、供給過剰による価格調整の可能性があります。
在庫増加は買い手にとって選択肢が増える好機ですが、価格変動リスクにも注意が必要です。
インスペクションの活用
インスペクション(建物状況調査)は、専門家が住宅の劣化状況を調査するサービスです。中古住宅購入時の判断材料となり、購入後のトラブルを防ぐことができます。
インスペクション費用は5-10万円程度で、売主または買主が依頼します。
購入の流れと諸費用・税金
中古一戸建て購入の基本ステップ
中古一戸建て購入の基本ステップは以下の通りです。
- 予算設定と住宅ローン事前審査(1-2ヶ月)
- 物件検索と現地見学(1-3ヶ月)
- 購入申込と価格交渉(1-2週間)
- 住宅ローン本審査(2-4週間)
- 売買契約(手付金支払い)
- 決済・引渡し(残代金支払い、所有権移転)
仲介手数料と諸費用の目安
仲介手数料は、宅地建物取引業法により物件価格の3%+6万円+消費税が上限です。例えば、5,000万円の物件の場合、仲介手数料は約171万円(税込)となります。
その他の諸費用(登記費用、印紙税、火災保険等)を含めると、物件価格の5-10%程度を目安にしてください。
不動産取得税と固定資産税
不動産取得税は、不動産を取得した際に課される地方税です。一定要件(床面積50㎡以上240㎡以下、築年数要件等)を満たすと軽減措置があります。
固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に課される税金です。土地・建物の評価額に応じて課税されます。
住宅ローン控除と税制優遇措置
住宅ローン控除は、一定要件を満たすと年末ローン残高の0.7%が所得税から控除される制度です(2025年時点)。中古住宅も対象となりますが、築年数要件があります。
税制は改正される可能性があるため、国税庁の公式サイトで最新情報を確認してください。
まとめ:東京で中古一戸建てを購入するポイント
東京の中古一戸建て市場は、2025年上半期に成約件数が急増(+43.3%)し、新築価格高騰により中古へのシフトが進んでいます。東京23区の平均価格は6,898万円、西東京は約2,500万円で、都心と郊外で二極化しています。
購入時は、立地が最重要であり、1981年以前の旧耐震基準物件は要注意、ハザードマップでの災害リスク確認が必須です。インスペクション(建物状況調査)を活用することで、購入後のトラブルを防ぐことができます。
諸費用は物件価格の5-10%程度を見込み、不動産取得税・固定資産税の軽減措置を活用しましょう。信頼できる不動産会社や専門家(宅地建物取引士、不動産鑑定士等)に相談しながら、無理のない購入計画を立ててください。
