都内の土地購入が注目される理由
東京都内で土地購入を検討する際、「23区と多摩地域の価格差はどのくらいか」「予算に応じてどのエリアを選ぶべきか」といった疑問を持つ方は少なくありません。
東京都の土地価格は2025年に前年比+7.30%上昇し、4年連続で全国1位の高騰が続いています。一方で、エリアによって価格帯が大きく異なり、予算に応じた選択肢が広がっています。
この記事では、都内の土地価格相場、エリア別特性、予算別の購入戦略を、国土交通省や東京都財務局の公式情報を元に解説します。
この記事のポイント
- 東京都の2025年公示地価は平均133.5万円/㎡(前年比+7.30%)で全国1位
- 中央区・千代田区・渋谷区が高額エリア、世田谷区・杉並区が人気エリア
- 23区内4,000万円以下の予算では狭小、郊外で広さ確保が選択肢
- 密集地の建築制限と地盤改良工事の必要性を事前確認が必須
(1) 4年連続の価格上昇トレンド
東京都財務局によると、2025年1月1日時点の公示地価は、調査対象2,542地点中2,483地点が上昇し、わずか13地点のみ下落という結果でした。これは、ほぼ全域で価格上昇が継続していることを示しています。
住宅地の上昇率は+5.71%、商業地は+10.44%で、都心部のオフィス需要回復が顕著です。この上昇トレンドは2022年から4年連続で続いており、東京都の土地市場の活況が続いています。
(2) 資産価値の安定性と将来性
東京都は、日本の政治・経済・文化の中心地であり、人口集中が続いています。交通網が整備され、商業施設・医療・教育機関が充実しているため、資産価値の安定性が高いエリアです。
特に、23区内や主要駅周辺は、将来的な資産価値の維持・向上が期待されています。ただし、価格上昇が続いているため、過熱感に注意し、適正価格かどうか複数の査定で確認することが重要です。
東京都の土地価格相場と推移
(1) 2025年の公示地価(平均133.5万円/㎡、前年比+7.30%)
土地代データによると、2025年の東京都の公示地価平均は133.5万円/㎡(441.2万円/坪)で、前年比+7.30%と大幅に上昇しています。
この上昇率は全国1位で、東京都の土地市場が引き続き活況であることを示しています。
(2) 用途別の価格(住宅地46.6万円/㎡、商業地270万円/㎡)
用途別に見ると、住宅地の公示地価平均は46.6万円/㎡(154万円/坪)、商業地は270万円/㎡(892万円/坪)です。
商業地の上昇率+11.23%が住宅地+5.57%を大幅に上回っており、都心部のオフィス需要回復が顕著です。住宅地でも堅調な上昇が続いています。
(3) 全国比較(東京都が全国1位)
国土交通省の令和7年地価公示によると、東京都は全国で最も地価が高く、4年連続で上昇が続いています。
全国平均の住宅地が+2.5%、商業地が+3.8%であるのに対し、東京都は住宅地+5.71%、商業地+10.44%と、全国平均を大きく上回る上昇率です。
エリア別特性と価格帯(23区・多摩地域)
(1) 高額エリア(中央区・千代田区・渋谷区)
東京都内で最も地価が高いのは中央区920万円/㎡、千代田区622万円/㎡、渋谷区543万円/㎡です(土地代データ)。
東洋経済オンラインによると、住宅地では首位が1坪1,950万円、13地点が坪1,000万円超という高額な価格帯となっています。都心部の利便性が高く、資産価値が安定しているエリアです。
(2) 人気エリア(世田谷区・杉並区・大田区・目黒区)
住友不動産ステップによると、東京都内の人気エリアランキングでは世田谷区が1位で、杉並区、大田区、目黒区が続きます。
これらのエリアは、住環境が良く、交通アクセスも良好なため、子育て世帯や注文住宅を検討する方に選ばれています。土地の売れ行きが早く、良い物件は即決が必要とされています。
(3) 多摩地域の価格帯(八王子・町田等)
スムトコによると、23区内で4,000万円以下の予算では土地面積が小さくなるため、郊外(八王子・町田等)で広い土地を検討するのも選択肢です。
多摩地域は、23区に比べて価格が抑えられ、広い土地を確保しやすいエリアです。一方で、都心へのアクセスは23区より時間がかかるため、通勤時間とのバランスを考慮する必要があります。
(4) 駅別の人気ランキング
駅別では、西武池袋線の大泉学園駅、石神井公園駅、東急東横線沿線が評価が高いです。立川市が23区外で唯一ランクインしており、多摩地域でも利便性が高いエリアとして注目されています。
土地購入の流れと注意点
(1) 土地購入の基本的な流れ
土地購入の基本的な流れは以下の通りです。
- 予算と希望条件の整理: 自己資金、住宅ローン借入額、希望エリアを明確化
- 物件探し: 不動産業者、ポータルサイト等で候補を絞る
- 現地確認: 実際に現地を訪問し、周辺環境・インフラを確認
- 重要事項説明: 宅建士から法規制、取引条件の説明を受ける
- 売買契約: 契約書の内容を確認し、手付金を支払う
- 決済・引渡し: 残代金を支払い、所有権移転登記を行う
(2) 東京特有の建築制限(密集地)
Cleverly Home Tokyoによると、東京の密集地では建築幅・高さ制限が厳しく、建ぺい率・容積率を満たしても希望する建物を建てられない可能性があります。
購入前に建築プランを立てて、実現可能性を確認することが推奨されています。特に、第一種低層住居専用地域では、高さ制限が10mまたは12mと厳しく設定されています。
(3) 地盤改良工事の必要性
23区内では、地盤改良工事が必要なケースが多く、200万円以上の追加費用が発生するリスクがあります。アドキャストによると、ハザードマップと簡易地盤調査で事前確認が重要です。
地盤改良とは、軟弱地盤に建物を建てる際の基礎補強工事で、費用は100万円〜数百万円かかることがあります。購入前に地盤の状態を確認してください。
(4) ハザードマップと災害リスクの確認
東京都内でも、洪水・土砂災害・地震等の災害リスクがあるエリアが存在します。購入前に、各自治体が公表しているハザードマップを確認し、災害リスクを把握してください。
ハザードマップは、自然災害のリスクを地図化したもので、洪水浸水想定区域、土砂災害警戒区域、地震の揺れやすさ等を確認できます。
予算別の選択肢と購入戦略
(1) 4,000万円以下の予算(郊外で広さ確保)
4,000万円以下の予算では、23区内では土地面積が小さくなる傾向があります。広い土地を確保したい場合は、多摩地域(八王子・町田・青梅・あきる野等)を検討することを推奨します。
郊外では、都心に比べて価格が抑えられ、100㎡以上の土地を確保しやすいです。一方で、通勤時間が長くなるため、ライフスタイルに合わせた選択が必要です。
(2) 4,000万円~8,000万円の予算(23区外縁部)
4,000万円~8,000万円の予算では、23区の外縁部(練馬区・板橋区・足立区・葛飾区・江戸川区等)で土地を探すことができます。
これらのエリアは、都心へのアクセスが良好で、住環境も整っています。予算と広さのバランスを考慮した選択が可能です。
(3) 8,000万円以上の予算(人気エリア)
8,000万円以上の予算では、人気エリア(世田谷区・杉並区・大田区・目黒区等)で土地を探すことができます。
これらのエリアは、住環境が良く、資産価値の安定性が高いため、長期的な資産形成を目指す方に適しています。ただし、人気エリアは土地の売れ行きが早く、良い物件は即決が必要です。
(4) 購入タイミングの見極め
東京都の土地価格は4年連続上昇中で、過熱感があるため、適正価格の見極めが重要です。複数の査定を取得し、相場と比較して判断してください。
また、金利動向にも注目し、住宅ローンの借入条件を確認することも重要です。金利が低い時期に購入することで、総返済額を抑えることができます。
まとめ:都内での土地購入判断ポイント
東京都の土地価格は、2025年に公示地価平均133.5万円/㎡(前年比+7.30%)で全国1位の上昇が続いています。中央区・千代田区・渋谷区が高額エリア、世田谷区・杉並区・大田区・目黒区が人気エリアです。
予算に応じて、23区内・多摩地域のどちらを選ぶか判断することが重要です。4,000万円以下の予算では郊外で広さを確保、8,000万円以上では人気エリアを検討する戦略が考えられます。
購入前には、用途地域・建ぺい率・容積率の確認、地盤改良工事の必要性、ハザードマップでの災害リスク確認が必須です。専門家(宅建士、土地家屋調査士等)に相談しながら、慎重に検討することを推奨します。
