住友不動産販売(住友不動産ステップ)の離職率データと業界平均との比較
不動産業界への就職・転職を検討する際、「離職率」は企業の労働環境を測る重要な指標です。特に住友不動産販売(2025年4月に「住友不動産ステップ」に社名変更)は大手不動産会社として注目されています。
この記事では、住友不動産販売の離職率データ、不動産業界全体の離職率、離職理由、長く働くためのポイントを解説します。
この記事のポイント
- 住友不動産販売の10年定着率は男性68.4%、女性68.9%で、業界平均より約20%高い
- 不動産業界全体の離職率は13.4%(2023年)で、全産業平均15.4%より低く、業界別では16業種中7位と中程度
- 離職理由は厳しいノルマ、長時間労働、週末勤務、成果主義による心理的プレッシャー等
- 顧客満足度は94.4%と高く、2024年実績は購入相談16万件超、成約3.1万件超
- 会社選びでは、労働環境、デジタル化への取り組み、ノルマの適正性、キャリアパスの明確さ等をチェック
(1) 10年定着率:男性68.4%、女性68.9%(2022年3月時点)
住友不動産販売の10年定着率は以下の通りです。
| 項目 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 10年定着率 | 68.4% | 68.9% |
| 業界平均 | 50.3% | 48.5% |
| 平均勤続年数 | 11.8年 | 8.5年 |
(出典: 厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」、転職会議より)
10年定着率は「入社から10年後も在籍している従業員の割合」を示し、業界平均より約20%高い水準です。これは比較的長く勤務する社員が多いことを示しています。
(2) 業界平均との比較:業界平均より約20%高い定着率
住友不動産販売の10年定着率は、業界平均(男性50.3%、女性48.5%)を大きく上回っています。これは大手企業の安定性や研修制度の充実等が影響していると考えられます。
(3) 平均勤続年数:男性11.8年、女性8.5年
平均勤続年数は、男性11.8年、女性8.5年です。不動産業界では、女性の平均勤続年数が男性より短い傾向があります。
(4) 2025年4月の社名変更について
住友不動産販売は、2025年4月に「住友不動産ステップ」に社名変更しました。サービス名は「すみふの仲介ステップ」となっています。
不動産業界全体の離職率:他業種との比較と位置づけ
不動産業界全体の離職率を、他業種と比較してみましょう。
(1) 不動産業界の離職率:13.4%(2023年)、全産業平均15.4%より低い
不動産業界の離職率は以下の通りです。
| 年 | 離職率 |
|---|---|
| 2022年 | 13.8% |
| 2023年 | 13.4% |
| 全産業平均(2023年) | 15.4% |
(出典: LIFULL HOME'S 不動産転職)
不動産業界の離職率は全産業平均より低く、業界全体としては中程度の離職率と言えます。
(2) 業界別ランキング:16業種中7位と中程度
不動産業界の離職率は、16業種中7位に位置しています。これは中程度の水準です。
(3) 離職率が高い業界:宿泊業・飲食サービス業(26.8%)、生活関連サービス業(19.4%)
離職率が高い業界は以下の通りです。
| 業界 | 離職率(2023年) |
|---|---|
| 宿泊業・飲食サービス業 | 26.8% |
| 生活関連サービス業・娯楽業 | 19.4% |
| 不動産業 | 13.4% |
不動産業界は、これらの業界より離職率が低いことがわかります。
(4) 離職率が低い業界:金融・保険業(9.3%)、製造業(9.7%)
一方、離職率が低い業界は以下の通りです。
| 業界 | 離職率(2023年) |
|---|---|
| 金融・保険業 | 9.3% |
| 製造業 | 9.7% |
不動産業界は、これらの業界より離職率が高いですが、大きな差ではありません。
不動産営業の離職率が高い理由:ノルマ・長時間労働・週末勤務
不動産営業職の離職理由には、以下のような特徴があります。
(1) 厳しいノルマと成果主義によるプレッシャー
不動産営業は成果主義が強く、ノルマ達成のプレッシャーが大きい職種です。特に売買仲介では、月間・四半期の契約件数や売上目標が設定され、未達成の場合は評価に影響します。
(2) 長時間労働と休憩時間の削減
不動産営業は、顧客対応や物件案内、契約手続き等で長時間労働になりがちです。早朝出勤や休憩時間の削減も指摘されています。
(出典: オープンハウス 不動産営業の離職率)
(3) 週末勤務が多い(顧客が休日に相談を希望)
不動産の購入・売却を検討する顧客は、休日に相談を希望するケースが多いため、週末勤務が多くなります。これにより、ワークライフバランスの維持が難しいと感じる社員もいます。
(4) 低い固定給+高い歩合給の給与体系
不動産営業の給与は、固定給が低く歩合給が高い傾向があります。契約が取れない月は収入が大幅に減少するため、精神的な負担が大きくなります。
住友不動産販売の評判と実際の労働環境:口コミから見る実態
住友不動産販売の評判を、口コミサイトのデータから見てみましょう。
(1) 総合評価:3.0〜3.46点(口コミサイト平均)
住友不動産販売の総合評価は以下の通りです。
| サイト | 総合評価 | 回答数 |
|---|---|---|
| エン カイシャの評判 | 3.0点 | 正社員499人、口コミ3,012件 |
| 不動産投資のミカタ | 3.46/5点 | 99件のレビュー |
(出典: エン カイシャの評判、不動産投資のミカタ)
(2) 顧客満足度:94.4%と高い水準
顧客満足度は94.4%(また利用したいとの回答)と高い水準を維持しています。サービス品質の高さが伺えます。
(3) 実績:2024年購入相談16万件超、成約3.1万件超
2024年の実績は、購入相談16万件超、成約3.1万件超と、業界トップクラスの取引量を誇ります。
(4) 離職理由:厳しいノルマ、パワハラ、個人プレーヤー中心等
一方で、口コミには以下のような離職理由が挙げられています。
- 厳しいノルマと達成プレッシャー
- パワハラや上司との関係性
- 個人プレーヤー中心の職場文化
- 長時間労働と週末勤務
(出典: 不動産売買の歩き方)
ただし、口コミサイトの評価は主観的で、個人の経験に基づくため、参考程度にとどめることが重要です。
不動産業界で長く働くためのポイント:会社選びと対策方法
不動産業界で長く働くためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
(1) 労働環境の見直し(残業削減、休暇取得促進)
企業が離職率を下げるには、労働環境の見直しが不可欠です。残業時間の削減、休暇取得の促進、週末勤務のローテーション制導入等が有効です。
(2) デジタル化推進による業務効率化
不動産業界はデジタル化が遅れている分野ですが、近年はオンライン内覧、電子契約、業務管理システム等の導入が進んでいます。業務効率化により、長時間労働の削減が期待できます。
(3) ノルマの適正化とキャリアパスの明確化
ノルマの適正化(達成可能な目標設定)と、キャリアパスの明確化(昇進基準、評価制度の透明性)も重要です。
(4) 会社選びのチェックポイント
不動産会社を選ぶ際には、以下のポイントをチェックしましょう。
- 平均勤続年数: 長い企業は労働環境が安定している可能性が高い
- 残業時間・休暇取得率: 月間平均残業時間、有給休暇取得率を確認
- デジタル化への取り組み: オンライン内覧、電子契約等の導入状況
- ノルマの適正性: 達成可能な目標設定か、未達成時のペナルティは適切か
- キャリアパスの明確さ: 昇進基準、評価制度が透明か
就職・転職を検討する際は、キャリアアドバイザーや転職エージェントへの相談を推奨します。
まとめ:不動産業界への就職・転職を検討する際の判断基準
住友不動産販売(住友不動産ステップ)の10年定着率は男性68.4%、女性68.9%で、業界平均より約20%高い水準です。不動産業界全体の離職率は13.4%(2023年)で、全産業平均15.4%より低く、業界別では16業種中7位と中程度です。
離職理由には、厳しいノルマ、長時間労働、週末勤務、成果主義による心理的プレッシャー等が挙げられます。一方で、顧客満足度は94.4%と高く、業界トップクラスの取引実績を誇ります。
不動産業界で長く働くためには、労働環境(残業時間、休暇取得率)、デジタル化への取り組み、ノルマの適正性、キャリアパスの明確さ等をチェックし、複数の企業を比較検討することが重要です。就職・転職を検討される際は、キャリアアドバイザーや転職エージェントに相談しながら、納得のいく企業選びを進めてください。
