一戸建て平屋の購入・賃貸ガイド:メリット・デメリット・価格相場

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/21

なぜ今、平屋が人気なのか?若い世代からシニアまで選ばれる理由

「平屋」と聞くと、シニア世代の住宅というイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし実際には、若い世代からシニア世代まで幅広い層に選ばれており、近年大きなブームとなっています。

本記事では、平屋のメリット・デメリット、建築費用相場、賃貸物件の探し方、土地選びのポイントを、住宅業界のデータやハウスメーカーの情報を元に解説します。

平屋の購入・賃貸を検討されている方が、自分に合った住宅選びができるようになります。

この記事のポイント

  • 2023年の平屋着工棟数は全体の15.6%(2019年比1.4倍)で、近年大幅に増加
  • 平屋のメリットは生活動線が良い・バリアフリー・メンテナンス費用削減の3点
  • 平屋のデメリットは広い土地が必要・建築費が2階建てより10〜20%高い・防犯対策が必要
  • 平屋の建築費用は2,000万円前後が相場、コンパクトな平屋なら1,000万円台から可能
  • 平屋の賃貸物件は郊外のベッドタウンで見つかりやすく、リノベーション済み物件が増加中

2023年の平屋着工棟数は全体の15.6%(2019年比1.4倍)

アップルホームによると、**2023年の平屋着工棟数は全体の15.6%**で、2019年の10.8%から大幅に増加しています。

約6.4棟に1棟が平屋という計算になり、2011年の約2.8万棟から2021年には約5.5万棟に増加しており、平屋ブームが明確に数字に表れています。

住友林業は約3軒に1軒が平屋(35.9%)

AVANTIAコラムによると、大手ハウスメーカーの住友林業では2023年に35.9%が平屋で、約3軒に1軒が平屋住宅となっています。

これは、ハウスメーカーの設計力・提案力により、平屋の魅力を最大限に引き出した住宅が増えていることを示しています。

ZEH基準との相性が良く省エネ住宅として注目

平屋はZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準との相性が良く、省エネ住宅として注目されています。

ZEHとは、年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロ以下になる住宅で、平屋は階による温度差が少なく、冷暖房効率が高いためZEH基準を満たしやすい特徴があります。

平屋の基礎知識:定義・構造・2階建てとの違い

平屋とは何か?全ての部屋が1階にある一戸建て

平屋(ひらや)とは、全ての部屋が1階にある一戸建て住宅を指します。

2階・3階がなく、ワンフロアで生活が完結するため、階段の昇り降りが不要で、高齢者や小さな子供がいる家庭でも安全に生活できます。

2階建てとの構造上の違い(階段なし・勾配天井活用)

平屋と2階建ての主な違いは以下の通りです。

項目 平屋 2階建て
階数 1階のみ 2階以上
階段 なし あり
天井高 勾配天井で開放感を確保しやすい 2階の床があるため天井高に制約
土地面積 広い土地が必要 狭い土地でも建築可能
建築費用 2階建てより10〜20%高い 平屋より10〜20%安い
メンテナンス費用 足場代不要で安い 外壁・屋根の足場代がかかる

平屋が向いている世帯タイプ

平屋が向いている世帯タイプは以下の通りです。

  • シニア世代: 階段の昇り降りがなく、バリアフリーを実現しやすい
  • 子育て世帯: 子供の動きを把握しやすく、家事と育児の両立がしやすい
  • 将来のバリアフリー重視: 老後も安心して暮らせる住宅を求める方
  • 自然との繋がり重視: 庭へのアクセスが良く、自然を身近に感じたい方

平屋のメリット7つ:生活動線・バリアフリー・メンテナンス費用

生活動線が短く家事負担が軽減

ワンフロアで生活が完結するため、生活動線が短く、家事負担が軽減されます。

SUUMOお役立ち記事によると、洗濯物を2階のベランダまで運ぶ必要がなく、1階で干せるため、家事の効率が上がります。

階段がなくバリアフリーを実現しやすい

階段がないため、バリアフリーを実現しやすいのが平屋の最大のメリットです。

バリアフリーとは、高齢者・障害者・子供等が生活しやすいよう、段差・障壁を取り除いた設計です。平屋は階段がなく、バリアフリー住宅の代表例となっています。

家族のコミュニケーションが取りやすい

ワンフロアで家族全員の気配を感じられるため、家族のコミュニケーションが取りやすいです。

子供の様子を把握しやすく、家族が自然と顔を合わせる機会が増えるため、コミュニケーションが活発になります。

勾配天井・吹き抜けで開放感を確保

平屋は2階がないため、勾配天井・吹き抜け・天窓を活用すれば、開放感のある空間を実現できます。

勾配天井とは、屋根の傾斜に沿って設置された天井で、平屋では天井を高く設計しやすく、圧迫感のない開放的な空間を作れます。

メンテナンス費用削減(外壁・屋根の足場代不要)

平屋は外壁・屋根のメンテナンス時に足場代が不要で、長期的にメンテナンス費用を削減できます。

トヨタホームによると、2階建ての外壁塗装には足場代が10〜30万円かかりますが、平屋は足場が不要なため、この費用を節約できます。

地震に強い構造(重心が低い)

平屋は建物の重心が低いため、地震に強い構造です。

2階建てと比べて揺れが小さく、耐震性に優れています。ホームズによると、耐震性の観点から平屋が見直されており、リノベーション物件が増加しています。

自然との繋がりを感じやすい(庭へのアクセス)

平屋は全ての部屋が1階にあるため、庭へのアクセスが良好です。

リビングから直接庭に出られる設計にすれば、自然との繋がりを感じながら暮らせます。子供が庭で遊ぶ様子を室内から見守ることもできます。

平屋のデメリット5つ:土地面積・建築費用・防犯対策

広い土地が必要(駅近・都心部では困難)

平屋は広い土地が必要で、駅近や都心部では十分な広さの土地を見つけることが困難です。

例えば、延床面積30坪の平屋を建てる場合、建ぺい率60%の土地であれば50坪以上の土地が必要です。都心部では50坪以上の土地は高額で、土地代が建築費を上回ることもあります。

建築費用が2階建てより10〜20%高い

平屋は建築費用が2階建てより10〜20%高い傾向にあります。

トヨタホームによると、同じ延床面積の場合、平屋は屋根と基礎の面積が大きくなるため、建築費が高くなります。ただし、メンテナンス費用は平屋のほうが安いため、長期的には費用差が縮まる可能性があります。

日当たり・通風の確保が難しい場合がある

平屋は日当たり・通風の確保が難しい場合があります。

2階建てと比べて、隣家や周辺の建物に遮られやすく、中央部の部屋が暗くなることがあります。土地選び・間取り設計により、天窓や中庭を活用して日当たり・通風を確保する必要があります。

防犯・プライバシー対策が必要

平屋は地上階の窓が多くなるため、防犯・プライバシー面での対策が必要です。

窓の位置・高さを工夫したり、防犯設備(シャッター、防犯ガラス、センサーライト等)を設置したりすることで、安全性とプライバシーを確保できます。

収納スペースが不足しやすい

平屋は2階がないため、収納スペースが不足しやすいです。

2階建てでは2階の部屋や小屋裏を収納スペースとして活用できますが、平屋では工夫が必要です。ロフトや床下収納、ウォークインクローゼットを設けることで、収納スペースを確保できます。

平屋の価格相場と賃貸物件の探し方

平屋の建築費用相場(2,000万円前後、坪単価40〜60万円)

トヨタホームによると、平屋の建築費用は土地代を除いて2,000万円前後が相場、坪単価は40〜60万円程度です。

2LDK〜3LDKの木造住宅を想定した場合の費用です。設備や仕様をグレードアップすると、3,000万円以上になることもあります。

コンパクトな平屋なら1,000万円台から可能

コンパクトな平屋なら1,000万円台から建築可能です。

延床面積20〜25坪、2LDK〜4LDKの間取りで、シンプルな設備・仕様にすれば、1,000万円台で建築できます。ただし、土地代は別途必要です。

平屋の賃貸物件は郊外のベッドタウンで見つかりやすい

ホームズによると、平屋の賃貸物件は都心部より郊外のベッドタウンで見つかりやすいです。

都心部では土地の制約から平屋の賃貸物件が少ないですが、郊外では戸建て賃貸として平屋が流通しています。

リノベーション済み平屋賃貸の増加

最近、リノベーション済み平屋賃貸が増加しています。

耐震性・バリアフリーの観点から平屋が見直されており、築古の平屋をリノベーションして賃貸物件として提供するケースが増えています。内装が新しく、設備も最新のため、快適に暮らせます。

まとめ:平屋を選ぶべき人・避けるべき人の判断基準

平屋を選ぶべき人(シニア世代・子育て世帯・将来のバリアフリー重視)

平屋を選ぶべき人は以下の通りです。

  • シニア世代: 階段の昇り降りがなく、バリアフリーで安全に暮らせる
  • 子育て世帯: 子供の動きを把握しやすく、家事と育児の両立がしやすい
  • 将来のバリアフリー重視: 老後も安心して暮らせる住宅を求める方
  • 自然との繋がり重視: 庭へのアクセスが良く、自然を身近に感じたい方
  • メンテナンス費用削減重視: 長期的にメンテナンス費用を抑えたい方

平屋を避けるべき人(土地が狭い・予算が限られている)

平屋を避けるべき人は以下の通りです。

  • 土地が狭い: 駅近・都心部で十分な広さの土地を確保できない方
  • 予算が限られている: 建築費用が2階建てより10〜20%高いため、予算が限られている方
  • 収納スペース重視: 2階の部屋や小屋裏を収納スペースとして活用したい方

こうした方は、2階建てやマンションを検討したほうが良い場合があります。

次のアクション(ハウスメーカーへの相談・土地探し)

平屋を検討されている方は、以下のアクションを推奨します。

  1. ハウスメーカーへの相談: 平屋の実例を見学し、間取り・費用の見積もりを取る
  2. 土地探し: 建ぺい率・容積率を確認し、平屋が建築可能な土地を探す
  3. 専門家への相談: 建築士や不動産会社に相談し、最適なプランを提案してもらう

平屋は一生に一度の大きな買い物です。専門家のアドバイスを受けながら、無理のない予算設定とリスク管理を心がけましょう。

よくある質問

Q1平屋のメリット・デメリットは何ですか?

A1メリットは生活動線が短く家事負担が軽減される、階段がなくバリアフリーを実現しやすい、メンテナンス費用削減(外壁・屋根の足場代不要)の3点です。デメリットは広い土地が必要で駅近・都心部では土地確保が困難、建築費用が2階建てより10〜20%高い、防犯・プライバシー対策が必要の3点です。詳細は専門家(建築士、ハウスメーカー)にご相談ください。

Q2平屋の建築費用はどのくらいですか?

A2土地代を除いて2,000万円前後が相場で、坪単価は40〜60万円程度です。コンパクトな平屋(延床面積20〜25坪、2LDK〜4LDK)なら1,000万円台から建築可能です。2階建てより10〜20%高い傾向にありますが、メンテナンス費用(外壁・屋根の足場代不要)で長期的には節約できます。建築費用は時期・ハウスメーカー・間取り・設備により変動するため、最新情報は各ハウスメーカーでご確認ください。

Q3平屋の賃貸物件はありますか?

A3平屋の賃貸物件は存在します。都心部より郊外のベッドタウンで見つかりやすく、戸建て賃貸として流通しています。最近、耐震性・バリアフリーの観点から平屋が見直されており、リノベーション済み平屋賃貸が増加しています。内装が新しく設備も最新のため、快適に暮らせます。不動産ポータルサイトや地域の不動産会社で検索してみてください。

Q4平屋はなぜ今人気なのですか?

A42023年の平屋着工棟数は全体の15.6%で、2019年の10.8%から大幅に増加しています。人気の理由は、ワンフロア生活の利便性(生活動線が短く家事負担が軽減)、ZEH基準との相性の良さ(省エネ住宅として注目)、バリアフリーの観点(階段がなく安全)の3点です。若い世代からシニア世代まで幅広く選ばれており、住友林業では約3軒に1軒が平屋となっています。

Q5平屋を建てる際の注意点は何ですか?

A5広い土地が必要で、駅近・都心部では十分な広さの土地を確保することが困難です。例えば延床面積30坪の平屋を建てる場合、建ぺい率60%の土地で50坪以上が必要です。防犯・プライバシー対策(窓の位置・高さ、防犯設備の設置)が重要です。日当たり・通風は土地選び・間取り設計により大きく変わるため、天窓や中庭を活用する工夫が必要です。専門家(建築士、ハウスメーカー)への相談を推奨します。

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Room Match編集部

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