首都圏不動産市場の動向と取引のポイント|データで見る最新トレンド

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/22

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首都圏不動産市場を理解する重要性

首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)で不動産の購入や売却を検討する際、「今は買い時なのか」「売却するタイミングは適切か」と迷う方は少なくありません。

この記事では、首都圏不動産市場の最新動向、エリア別の価格推移、新築・中古市場の特徴を、国土交通省、東日本不動産流通機構(REINS)、不動産経済研究所の公式データを元に解説します。

首都圏の不動産市場は全国の中でも特に活発で、世界的にも注目されるエリアですが、都心・23区・郊外ではトレンドが大きく異なります。データに基づいて判断材料を提供します。

この記事のポイント

  • 首都圏不動産市場は2024年世界都市別投資額で第2位、前年比46%増の約3兆円
  • 東京23区の新築マンション平均価格は1億5313万円(2025年10月)、過去2番目に高い水準
  • 2025年上半期は新築マンション発売戸数が前年比11.2%減、一方で戸建成約件数は216.6%増と急増
  • 都心の好立地は利回りが低く(表面利回り4〜6%台)、郊外では頭打ち感も出始めている
  • 不動産価格は市況により変動するため、最新データと専門家への相談が重要

首都圏の定義と不動産市場の全体像

首都圏とは:1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)

不動産業界で「首都圏」と呼ぶ場合、一般的に東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の1都3県を指します。この定義は、東日本不動産流通機構(REINS)の統計データなど、業界の公式資料でも使用されています。

首都圏は日本の不動産市場の中心であり、全国の取引件数・金額の大部分を占めています。

世界都市別不動産投資額で第2位の実績

2024年の世界都市別不動産投資額において、首都圏は前年比46%増の約3兆円を記録し、ニューヨークに次ぐ第2位となりました。これは、海外投資家からも首都圏の不動産市場が高く評価されていることを示しています。

首都圏と全国の価格動向の違い

国土交通省の不動産価格指数によると、首都圏の不動産価格は全国平均を大きく上回る上昇率で推移しています。特に、東京23区を中心としたエリアでは、地価・マンション価格ともに高水準を維持しています。

一方で、首都圏内でも郊外(神奈川・埼玉・千葉)では、都心ほどの価格上昇は見られず、エリアによる格差が拡大しています。

首都圏新築マンション市場の最新動向

東京23区の平均価格1億5313万円(2025年10月)

日本経済新聞の報道によると、2025年10月の東京23区における新築マンションの平均価格は1億5313万円となり、過去2番目に高い水準を記録しました。

この背景には、以下の要因があります。

  • 都心の好立地物件への需要集中
  • 建築コストの上昇(資材・人件費)
  • 共働き世帯(パワーカップル)の購買力向上

パワーカップルとは、共働きで世帯年収が高い(一般的に1,000万円以上)夫婦を指し、都心の高額物件購入を支える層として注目されています。

新築マンション発売戸数の推移と契約率

不動産経済研究所の統計によると、2025年上半期の首都圏新築マンション発売戸数は前年比11.2%減となりました。これは、価格高騰により購入者が絞られ、供給側も慎重な姿勢を強めていることを示しています。

一方、契約率は70%前後で推移しており、需要自体は依然として堅調です。

新築プレミアムと価格水準の背景

新築物件の販売価格には、「新築プレミアム」と呼ばれる販売会社の広告費・人件費・利益が上乗せされています。そのため、購入後数年で売却する場合、価格が下がるリスクを認識しておく必要があります。

新築か中古かを選択する際は、この価格差を考慮することが重要です。

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首都圏中古市場の動向:マンション・戸建て

中古マンション成約価格の推移

東日本不動産流通機構(REINS)の「首都圏不動産流通市場の動向」によると、首都圏の中古マンション成約価格は上昇傾向が続いています。

成約価格とは、実際に売買が成立した価格を指し、売り出し価格とは異なります。REINSのデータは、実際の取引価格を反映しているため、市場の実態を把握する上で信頼性の高い情報源です。

東京カンテイの市況レポートでも、首都圏の中古マンション70㎡価格の月次データが公表されており、エリア別の価格動向を詳細に分析できます。

戸建成約件数の急増(216.6%増)

住まいの情報館によると、2025年上半期の首都圏では新築一戸建成約件数が前年比216.6%増と急増しました。

これは、マンション価格の高騰を受けて、戸建てへの需要がシフトしていることを示しています。特に、郊外の戸建ては都心のマンションに比べて割安感があり、ファミリー層を中心に人気を集めています。

新築・中古の選択基準と価格比較

新築と中古を比較する際は、以下の点を確認してください。

項目 新築 中古
価格 新築プレミアム込み 築年数により割安
設備・仕様 最新 築年数に応じて劣化
修繕履歴 なし 重要事項調査報告書で確認必須
売却時の価格下落リスク 高い(数年で1-2割減) 低い(すでに下落済み)

中古物件を購入する際は、重要事項調査報告書で修繕履歴・管理組合の積立金・滞納状況を必ず確認してください。これらの情報は、将来の修繕費用や資産価値に直結します。

首都圏で不動産取引する際の注意点とエリア別特徴

都心・23区・郊外での価格・トレンドの違い

首都圏といっても、都心・東京23区・郊外(神奈川・埼玉・千葉)では価格・トレンドが大きく異なります。

エリア 価格水準 トレンド
都心(千代田・中央・港区等) 非常に高い 上昇継続
東京23区 高い 上昇傾向だが一部で頭打ち
郊外(神奈川・埼玉・千葉) 比較的割安 頭打ち感が出始めている

都心の好立地物件は、資産価値の維持が期待できる一方、表面利回りが低く(4〜6%台)、インカムゲインでの手残りが少ない点に注意が必要です。

中古物件の重要事項調査報告書の確認ポイント

中古マンションを購入する際は、以下の項目を重要事項調査報告書で確認してください。

  • 修繕履歴: 大規模修繕の実施時期・内容
  • 修繕積立金: 現在の積立金残高・今後の修繕計画
  • 滞納状況: 管理費・修繕積立金の滞納の有無
  • 管理組合の運営状況: 総会の開催頻度・決議事項

これらの情報は、購入後の修繕費用負担や資産価値に直結するため、必ず確認してください。

投資用物件の利回りと入居率データ

投資用物件を検討する場合、表面利回りだけでなく、入居率データも確認してください。

  • 首都圏: 95.8%
  • 関西圏: 94.9%
  • その他地方: 92.9%

首都圏は全国で最も高い入居率を維持していますが、都心以外では利回りが低く、初期投資が大きいため、キャッシュフローをシミュレーションした上で判断することが重要です。

なお、2億円超の物件は原則3割以上の自己資金が必要で、融資条件が厳しい点にも注意してください。

まとめ:首都圏不動産取引の判断ポイント

首都圏の不動産市場は、世界的にも注目される投資先であり、2024年には世界都市別投資額で第2位を記録しました。東京23区の新築マンション平均価格は1億5313万円と過去2番目の高水準ですが、郊外では頭打ち感も出始めています。

2025年上半期は新築マンション発売戸数が減少した一方、戸建成約件数が急増しており、市況の変化が見られます。

不動産価格は市況・金利・税制により変動するため、国土交通省REINSの最新データを確認し、専門家(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー)への相談を推奨します。

首都圏での不動産取引は、エリア・物件種別・購入目的により最適な選択が異なります。慎重に情報を収集し、無理のない資金計画を立てましょう。

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よくある質問

Q1首都圏のマンション価格はいつまで上昇し続けるのか?

A1価格予測は断定できませんが、2025年時点で東京23区の新築マンション平均価格は1億5313万円と過去2番目の高水準です。一方、郊外(神奈川・埼玉・千葉)では頭打ち感も出始めています。不動産価格は市況・金利・税制により変動するため、国土交通省やREINSの最新データを確認し、専門家(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー)への相談を推奨します。

Q2新築と中古どちらを選ぶべきか?

A2新築は「新築プレミアム」(販売会社の広告費・人件費・利益)が上乗せされており、購入後数年で売却すると価格が1-2割下がるリスクがあります。中古は築年数により割安ですが、重要事項調査報告書で修繕履歴・管理組合の積立金・滞納状況を必ず確認してください。将来の修繕費用負担や資産価値に直結するため、慎重な判断が必要です。

Q3首都圏で不動産投資に必要な自己資金はいくらか?

A32億円超の物件は原則3割以上の自己資金が必要で、融資条件が厳しくなります。都心の好立地物件は表面利回りが低く(4〜6%台)、インカムゲインでの手残りが少ない点に注意してください。首都圏の入居率は95.8%と全国で最も高い水準ですが、初期投資が大きいため、キャッシュフローをシミュレーションした上で判断することが重要です。

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