札幌の不動産市場の現状と2025年最新動向
札幌市内で不動産の購入・売却を検討する際、「今は買い時なのか」「価格はどれくらいか」「どのエリアがいいのか」と悩む方は多いでしょう。
この記事では、札幌市の不動産市場の2025年最新動向、エリア別の特徴、物件タイプ別の相場、購入・売却時の注意点を、公的データ・不動産業界の調査情報を元に解説します。
札幌ならではの雪対策、ガス種類、地盤の確認方法など、実践的なポイントも含めて、安心して不動産取引を進められるようになります。
この記事のポイント
- 2025年公示地価は11年連続上昇も伸び率は鈍化、都心部は堅調だが郊外は頭打ち傾向
- 札幌駅エリアのマンション価格は直近3年間で約76.0%上昇(バブル懸念も)
- 東西線沿線(西18丁目、円山公園、琴似)や桑園エリアが転勤者にも人気
- 春の内覧でも地盤・湿度を確認、都市ガス推奨(プロパンは最大6倍コスト)
- 売却タイミングはエリア・物件種別により異なるため、複数社で査定を
エリア別の特徴と人気エリアガイド
中央区:札幌駅・大通周辺の都心エリア
札幌市中央区は、札幌駅・大通公園を中心とした都心エリアで、商業施設・オフィス・公共交通機関が集中しています。
特徴:
- 交通利便性: 地下鉄南北線・東西線・東豊線、JR函館本線が利用可能
- 商業施設: 大丸、パルコ、ステラプレイス、さっぽろ地下街など
- 価格帯: 札幌市内で最も高額、マンション価格は3年で5.93%上昇
おすすめの人:
- 都心勤務で通勤時間を短縮したい
- 生活利便性を最優先したい
東西線沿線:西18丁目・円山公園・琴似
東西線の西側(西18丁目、円山公園、西28丁目、琴似)は、転勤者にも人気の高いエリアです。
特徴:
- 都心アクセス: 大通駅まで10分以内
- 住環境: 円山公園(自然豊か)、円山動物園、北海道神宮が近い
- 教育施設: 評判の良い小中学校が多い
おすすめの人:
- 都心へのアクセスと住環境のバランスを重視
- 子育て世帯
函館本線沿線:桑園エリア
桑園駅周辺は、札幌駅の隣駅でありながら比較的落ち着いた住宅街です。
特徴:
- 札幌駅まで1駅: JR函館本線で約3分
- 医療施設: 北海道医療センターが近い
- 商業施設: イオン札幌桑園店あり
おすすめの人:
- 都心に近く、静かな住環境を求める
- 医療施設の近くに住みたい
その他のエリア(北区・東区・豊平区)
北区:
- 北海道大学周辺:学生街、文化施設が充実
- 麻生・新琴似:地下鉄南北線沿線、住宅街
東区:
- 栄町・元町:地下鉄東豊線沿線、価格帯が比較的手頃
豊平区:
- 平岸・美園:地下鉄南北線沿線、住宅街として人気
エリア選びは通勤時間・生活利便性・予算のバランスで決めることをおすすめします。
物件タイプ別の相場(マンション・戸建て・土地)
マンション価格相場と推移
LIFULL HOME'Sのデータによると、札幌駅エリアの中古マンション価格は以下の通りです。
| 期間 | 価格変動 |
|---|---|
| 直近1年間 | 約20.3%上昇 |
| 直近3年間 | 約76.0%上昇 |
要因:
- 札幌駅周辺の再開発(新駅ビル建設等)
- インバウンド観光客回復による需要増
- 北広島のボールパークF VILLAGE、千歳の半導体工場誘致(ラピダス効果)
2010年頃から新築マンション価格が年々高騰しており、中古価格も比例して上昇しています。新築当時より数百万円も高い価格で売れている事例も多いですが、バブル懸念もあるため、慎重な判断が必要です。
一戸建ての売却価格相場
LIFULL HOME'Sのデータによると、札幌市の一戸建て売却の平均データは以下の通りです。
| 項目 | 平均値 |
|---|---|
| 平均売却額 | 2,761万円 |
| 取引件数 | 4,819件 |
| 平均専有面積 | 193m² |
| 平均築年数 | 24年 |
一戸建ては昨年同時期比で0.45%下降傾向にあり、マンションとは異なる動きを見せています。
土地の坪単価動向
株式会社エリアネットの調査によると、2025年公示地価では以下の傾向があります。
- 2025年公示地価: 11年連続上昇だが伸び率は鈍化
- 都心部・リゾート地: 堅調な上昇
- 郊外・地方: 頭打ち傾向
- 2024年: 坪単価が300万円を超えるエリアも登場
金利上昇、建築コスト高騰、人口減少により市場見通しには不透明感があります。
札幌で不動産購入する際の注意点
札幌で買ってはいけない土地の特徴
ミサワホームの調査によると、札幌で避けるべき土地の特徴は以下の通りです。
冬季の雪解け水による湿地:
- 春に内覧した場合でも、地面の湿度や低く見える場所に注意
- 不動産会社に地盤調査履歴や過去の写真を依頼する
地盤が軟弱なエリア:
- 札幌は一部に軟弱地盤エリアがあり、地盤改良費用が想定外に発生するケースがある
- 建設会社に早期相談し、地盤調査を実施する
前面道路が狭い土地:
- 除雪車が入れない、雪置き場がないなどの問題が発生
ガス種類の確認(都市ガスvs.プロパン)
賃料の安い物件はプロパンガスに注意が必要です。ミサワホームの調査によると、悪質なプロパンガス業者の場合、都市ガスの最大6倍のコストがかかる可能性があります。
推奨: 長期居住なら「都市ガス」を選ぶ
確認方法: 物件情報にガス種類が記載されていない場合は、不動産会社に必ず確認
春の内覧時の注意点(雪解け後の地盤)
札幌で物件を探す際は、春に内覧した場合でも以下を確認してください。
- 地面の湿度・低く見える場所
- 不動産会社に地盤調査履歴を依頼
- 過去の冬季の写真を見せてもらう
雪解け後に地盤の問題が顕在化することがあるため、注意が必要です。
土地購入時の建設会社への早期相談
札幌で土地購入時は、不動産会社だけでなく建設会社にも早期相談するのが安心です。土地だけ先に決めると、以下の問題が起こりやすいためです。
- 希望の間取りが入らない
- 想定外の地盤改良費用が発生
- 前面道路が狭く建築制限がある
転勤シーズンの競争激化への対応
転勤シーズンの3〜4月は競争が激化し、冷静な判断が難しくなります。10月入居を希望する場合は8月に時間的余裕を持って探すのがベターです。
札幌で不動産を売却するポイント
売却のベストタイミング
札幌の不動産売却のベストタイミングは、エリア・物件種別により異なります。
マンション:
- 直近3年間で約76.0%上昇しているため、現時点では売り時と言える
- ただし、バブル懸念もあるため、複数社で査定を取り比較
一戸建て:
- 昨年同時期比で0.45%下降傾向
- 市場動向を見ながら、急がず慎重に判断
土地:
- 都心部は堅調、郊外は頭打ち傾向
- 開発プロジェクト(札幌駅再開発、ボールパークF VILLAGE等)の近隣エリアは今後も需要が見込める
不動産会社の選び方
札幌の不動産会社を選ぶ際は、以下のポイントを確認してください。
- 地元密着型: 札幌の地域事情に詳しい
- 大手: 全国ネットワークで買主を探せる
- 実績: 過去の取引実績、口コミを確認
複数の不動産会社で査定を取り、価格・サービス内容を比較することをおすすめします。
媒介契約と仲介手数料
不動産会社に売却を依頼する際は、媒介契約を結びます。
媒介契約の種類:
- 専属専任媒介: 1社のみに依頼、自己発見取引不可
- 専任媒介: 1社のみに依頼、自己発見取引可
- 一般媒介: 複数社に依頼可能
仲介手数料:
- 物件価格の3%+6万円+消費税が上限
- 例:3,000万円の物件 → 96万円+消費税
仲介手数料は法定上限額のため、複数社で比較しても大きく変わらない場合が多いです。サービス内容・実績で選ぶことを推奨します。
まとめ:札幌で不動産取引を成功させるために
札幌の不動産市場は、2025年公示地価で11年連続上昇を続けていますが、伸び率は鈍化しています。都心部・リゾート地は堅調ですが、郊外・地方は頭打ち傾向にあり、市場動向を慎重に見極める必要があります。
購入時は、エリア選び(東西線沿線、桑園等)、ガス種類の確認(都市ガス推奨)、地盤調査の実施、建設会社への早期相談が重要です。
売却時は、エリア・物件種別により最適なタイミングが異なるため、複数の不動産会社で査定を取り、市場動向を見ながら判断することをおすすめします。
札幌ならではの雪対策・気候条件を踏まえた物件選びと、専門家(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー等)への相談を活用し、安心して不動産取引を進めましょう。
