田舎の土地を購入・活用するには:価格相場・注意点・失敗しない選び方

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/8

広告

無料査定依頼キャンペーン 【ノムコム】

田舎の土地購入が注目される理由と現状

セカンドハウスや移住、投資目的で田舎の土地購入を検討する方が増えています。都市部と比べて価格が安いことが魅力ですが、インフラ整備コストや売却の困難さなど、知っておくべきリスクもあります。

この記事では、田舎の土地の価格相場、購入前に確認すべき法規制やリスク、失敗しない選び方を、国土交通省の取引価格データや農地法等の法規制を元に解説します。

この記事のポイント

  • 田舎の土地価格は固定資産税評価額の1.4倍前後が取引価格の目安
  • 農地(田・畑)は農地法により農業委員会の許可が必要
  • 接道義務・境界不明・インフラ未整備など購入前の確認事項が多い
  • 売却が困難になるリスクがあり、将来の出口戦略を事前に検討すべき

田舎の土地の価格相場と調べ方

田舎の土地は都市部と比べて格段に安いですが、地域や土地の状態により価格は大きく異なります。適正価格を把握することが重要です。

固定資産税評価額を使った価格算定

田舎の土地の取引価格は、固定資産税評価額の1.4倍前後で成立するケースが多いとされています。

価格の調べ方:

  • 固定資産税評価額: 市町村から届く固定資産税の納税通知書で確認
  • 国土交通省の取引価格情報: 不動産情報ライブラリで過去の取引事例を検索
  • 地価公示・地価調査: 国土交通省・都道府県が公表する標準地の地価

売り出し価格と成約価格には差があり、2024年の実績では売り出し価格の約91%で成立するケースが多いとのデータもあります。

地域別の取引価格の目安

田舎の土地価格は地域により大きく異なります。以下は参考値です。

用途 価格目安 備考
田んぼ一反(300坪) 平均約108万円 地域・水利条件により大きく変動
住宅用地(地方都市郊外) 1万円〜5万円/㎡ 駅からの距離・インフラ状況による
山林・原野 数百円〜数千円/㎡ 接道状況・地形により大きく異なる

価格は地域・時期・土地の状態により大きく異なるため、複数の情報源で相場を確認することをおすすめします。

田舎の土地購入で確認すべき法規制とリスク

田舎の土地には都市部にはない特有の法規制やリスクがあります。購入前に十分な確認が必要です。

農地法による制限と農業委員会の許可

田や畑などの農地は、農林水産省が所管する農地法により売買が規制されています。

農地購入の主な制限:

  • 購入には農業委員会の許可が必要: 手続きに数ヶ月かかる場合あり
  • 農業従事者以外は原則購入不可: 農業経営を行う意思・能力が求められる
  • 農地転用(宅地化等)にも許可が必要: 農用地区域では原則不許可

「安いから」という理由で農地を購入しても、住宅を建てられない場合があります。購入前に農業委員会や行政書士に相談することを推奨します。

都市計画法と市街化調整区域の建築制限

田舎の土地は市街化調整区域に該当する場合が多く、建築に制限があります。

区域 特徴 建築制限
市街化区域 積極的に市街化を進める区域 用途地域に応じた制限
市街化調整区域 市街化を抑制する区域 原則として建築不可
都市計画区域外 都市計画の適用外 規制は緩いが融資が難しい場合あり

市街化調整区域では、住宅の新築や増築に厳しい制限があり、住宅ローンの審査も通りにくい傾向があります。購入前に必ず用途地域を確認してください。

接道義務・境界・飛び地の問題

田舎の土地には以下のような問題が潜んでいることがあります。

接道義務:

  • 建築基準法により、建物を建てるには幅4m以上の道路に2m以上接する必要あり
  • 私道のみに接している場合や、道路に接していない土地は建築不可の可能性

境界問題:

  • 田舎では境界が不明確な土地が多く、隣地との境界確定に時間とコストがかかる
  • 購入前の測量実施を推奨

飛び地:

  • 道路等で分断され、連続していない土地(飛び地)になっている場合がある
  • 想定と異なる土地構成の可能性があるため、現地確認が必須

田舎の土地購入の流れと物件選びのポイント

田舎の土地を購入する際は、都市部以上に現地調査と事前確認が重要です。

インフラ(上下水道・電気)の確認

田舎の土地ではインフラが未整備の場合があります。

確認ポイント:

  • 上水道: 公営水道が引かれているか、井戸が必要か
  • 下水道: 公共下水道か、合併浄化槽か、汲み取り式か
  • 電気: 電線が近くまで来ているか、引込工事が必要か
  • ガス: プロパンガスが一般的、都市ガスは通っていない場合が多い

インフラ整備に数十万円〜数百万円の追加費用がかかる場合があります。購入価格が安くても、総額で判断することが重要です。

災害リスクとハザードマップの確認

田舎の土地は自然災害のリスクも確認が必要です。

  • ハザードマップ: 市町村のWebサイトで浸水・土砂災害リスクを確認
  • 過去の災害履歴: 地域の災害履歴を調査
  • 地盤の状態: 軟弱地盤の場合、地盤改良費用が発生

特に河川沿いや山間部の土地は、浸水・土砂災害のリスクが高い場合があります。

購入後の維持管理コスト

田舎の土地は購入後も維持管理コストがかかります。

項目 内容 費用目安
固定資産税 毎年の税負担 評価額の1.4%程度
草刈り・除草 年数回必要 数万円/回〜
不法投棄対策 看板設置・巡回等 ケースによる
地域活動 水路・農道の維持管理への参加 地域による

遠方に住んでいる場合、草刈りの外注費用や管理の手間も考慮が必要です。

田舎の土地の活用方法と将来的な売却

田舎の土地は売却が難しい傾向があるため、購入前に活用方法や出口戦略を検討しておくことが重要です。

太陽光発電・賃貸住宅等の活用事例

田舎の土地でも収益を生む活用方法があります。

太陽光発電:

  • 集客不要で田舎の土地活用に適している
  • 8〜9%のリターンを目指し、12〜13年で投資回収するケースが多い
  • 固定価格買取制度(FIT)の売電価格は年々下落傾向

賃貸住宅:

  • 外国人労働者向け賃貸住宅は田舎でも需要が高まっている
  • ただし、市街化調整区域では建築制限あり

その他:

  • 高齢者施設(価格の低い郊外でも需要あり)
  • 資材置き場・駐車場(建築不要で始めやすい)

活用方法は土地の立地・面積・法規制により異なるため、専門家への相談を推奨します。

空き家バンクを活用した売却

売却を検討する場合、以下の方法があります。

  • 不動産仲介: 一般的な売却方法、仲介手数料(物件価格×3%+6万円+消費税)が必要
  • 空き家バンク: 市町村が運営する無料のマッチングサービス、田舎の土地の売却に有効
  • 古家の解体: 古家付きの場合、解体すると売却しやすくなる(解体費用約150万円〜)

空き家バンクは市町村の支援を受けられる点がメリットです。

売れない土地の対処法

田舎の土地は需要が低く、売却に1年以上かかることも珍しくありません。売れない場合の選択肢は以下のとおりです。

  • 価格の見直し: 相場より高い場合は値下げを検討
  • 隣地所有者への打診: 隣地の方が購入してくれる場合あり
  • 市町村への売却・寄付: 自治体によっては受け入れ可能な場合あり
  • 相続土地国庫帰属制度: 2023年開始、一定の要件を満たせば国に引き渡し可能

なお、平成7年以降28年連続で地価が下落しているデータもあり、今後も下落傾向が続く可能性があります。「将来値上がりする」という期待での購入は慎重に判断してください。

まとめ:田舎の土地購入で失敗しないための判断基準

田舎の土地は価格が安い反面、農地法・都市計画法等の法規制、インフラ未整備、売却困難性などのリスクがあります。「安いから買う」という安易な判断は避け、以下の点を十分に確認してから購入を検討してください。

購入前の確認チェックリスト:

  • 農地かどうか(農地法の適用)
  • 用途地域(市街化調整区域かどうか)
  • 接道状況(建物が建てられるか)
  • 境界の明確さ(測量の必要性)
  • インフラ状況(上下水道・電気)
  • 災害リスク(ハザードマップ)
  • 維持管理コスト(固定資産税・草刈り等)
  • 将来の出口戦略(売却可能性・活用方法)

田舎の土地購入は専門的な知識が必要です。宅地建物取引士、行政書士、税理士等の専門家への相談を推奨します。

広告

無料査定依頼キャンペーン 【ノムコム】

広告

よくある質問

Q1田舎の土地の価格相場はどれくらい?

A1田舎の土地価格は、固定資産税評価額の1.4倍前後で取引が成立するケースが多いとされています。地域差が大きく、田んぼ一反(300坪)は平均約108万円、住宅用地は1万円〜5万円/㎡程度が目安です。ただし、インフラ状況や接道状況により価格は大きく変動するため、複数の情報源で確認することをおすすめします。

Q2農地(田・畑)は自由に買える?

A2農地は農地法により売買が規制されており、農業委員会の許可が必要です。原則として農業従事者でないと購入できず、許可取得には数ヶ月かかる場合があります。また、農地を宅地に転用する場合も許可が必要で、農用地区域では原則不許可です。購入前に農業委員会や行政書士への相談を推奨します。

Q3田舎の土地は売れる?

A3田舎の土地は需要が低く、売却に1年以上かかることも珍しくありません。売却方法としては、不動産仲介、空き家バンクへの登録、隣地所有者への打診などがあります。古家付きの場合は解体すると売却しやすくなることもあります。売れない場合は、相続土地国庫帰属制度(2023年開始)の利用も選択肢の一つです。

Q4田舎の土地を所有し続けるリスクは?

A4固定資産税の継続的な負担、草刈り等の維持管理コスト、不法投棄のリスクが発生します。遠方に住んでいる場合は管理の手間や外注費用もかかります。また、平成7年以降28年連続で地価が下落しているデータもあり、資産価値が下がり続ける可能性があります。購入前に将来の出口戦略を検討しておくことが重要です。

R

Room Match編集部

Room Matchは、不動産の購入・売却・賃貸に関する実践的な情報を提供するメディアです。住宅ローン、物件選び、不動産会社の選び方など、実務担当者に役立つ情報を分かりやすく解説しています。

関連記事